シャーレの先生追放計画《集いし4人は無関心》 作:ルルザムート
新しく評価も貰ったのにこの体たらく…スミマセン
-0th 04h 31mです、お楽しみください
「ハーッハッハ!素晴らしい!素晴らしいぞ!こんなリアリティ、もう2度と体験できないねぇ!ムツキくん、はいチーズ。」
「いぇーいピース!あっはっは!おもしろーい!」
「ムツキ!前見て運転して!
あとロハンさんカメラ回してないで手伝ってちょうだい!?」
道路を削り取らん勢いで爆走するSUVとそれを血眼になって追いかけるティーパーティの車群
たった1台に対しナギサ率いるティーパーティは次々と道路を封鎖したり先回りしたりと手を回すものの…
「抜けられました!敵は2ブロック先のT字路を左に曲がったもよう!」
「くっ、たった3人なぜ捕まらないのですか!」
届かない、またしてもギリギリでティーパーティの手をすり抜けたアル達が捕まらない理由は3つある
「ロハンちゃん次は?」
「分かってるって。ええと次の交差点を左。次は直進してその次をまた左だ」
「おっけー♡」
1つはロハンの経路誘導、ミレニアムから持ってきたドローンを飛ばしてティーパーティの包囲網をいち早く察知、逃げ場を失わないよう次々と指示を飛ばしていること
2つめはムツキの超人的なドライビングテクニック、障害物の多い市街地を走り切っているのもそうだが身長の関係であまり前が見えないはずなのにここまで運転できているのは謎である
まぁ運転できているからこそ3人とも助かっているのだが
そして3つめ
パァン!
「うわぁ!」
「また車軸が…撃ち返しなさい!」
「や、やっていますがこの距離であそこまでムチャクチャな蛇行運転をされては…あの赤髪の狙撃手かなりのやり手ですよ!」
「言い訳はいい!なんとしても連中を車から叩き落としてナギサ様の元に突き出すのよ!」
「ちょっとちょっと何台来るのよ!キリが無いわ!」
「キミよくこの酷いドライブの中でタイヤ撃ち抜けるね」百発百中だ
「ひどーい!ムツキちゃんは頑張ってるのに!」
「言ってる場合じゃないと思うのだけれど!?」
増え続けるティーパーティ車両のタイヤを次から次に撃ち抜いていくが一向に減る気配が無い
だがこれはティーパーティ側にとっても嫌な手ではあった
ただ逃げるだけならティーパーティは全ての戦力を先生捜索に向けるだろう。狐坂ワカモか錠前サオリを見つけ出せばそこに先生がいることら分かり切っているのだから
だがたった3人でここまでティーパーティを翻弄できる戦力を野放しにはできない
ワカモ達に気を取られている間に便利屋から不意打ちを受けてはタダでは済まないと桐藤ナギサは警戒していた
「………分かりました」
「へ?ナギサ、さま?」
「ゲヘナ風紀委員長を抑えに行った彼女をすぐに呼び戻しなさい。これ以上ここで時間をかけるわけにはいきません」
「は、ははっ!」
故に最終兵器を投入する、幸い部下からの報告では空崎ヒナは不調で何もできないとのこと
それなら彼女にはこっちに当たってもらうまで
「──あは⭐︎ナギちゃん呼んだ?」
「ひいっ!?いつの間に!」
「ええ。現在先生の居所を握っていると思われる3人組が車で逃走中です。それを──
「おっけー⭐︎」
どんっ!とおよそ人間の走る音とは思えない音を噴き出してあっという間に見えなくなった
「…追跡中の全部隊に通達を。
追撃中止、速やかに私の元へ戻るように
──巻き込まれても知りませんよ。とね」
〜
「どこへ行った!?」
「こっちにはいない!」
「いた!?」
「いやいない!」
「この辺りに居るはずだ!なんとしても狩り出せ!」
「クソッタレ、寄ってたかって…」
気休め程度に乾いた服を空崎先輩に着せながら外の様子を伺う
この廃ビルもすぐに見つかる、なんとか切り抜けたいが今相手するのは…
「ロケットスターが使えればあんな寄せ集め敵じゃねぇのに…!」
小鳥遊ホシノ襲撃でロケットスターの弾丸は撃ち尽くしてしまった
残っているのは鈍器としてのロケットスターとイズナの忍具セットだけ…
どうする?ロケットスターも無しに空崎先輩を抱えて戦うのは自殺行為だ、とはいえこれ以上は逃げ場所がもう…
「置いて、行って…」
掠れた声が後ろから聞こえた
「! 空崎先輩、意識を…」
「このままじゃ2人とも捕まるわ…一旦私を置いて行って…」
「置いていくなんてそんなこと…!
…一旦?」
俺より一回り小さな手が、腕を掴む
弱々しかったが、それでも確固たる意思がその手に握られていた
「あなた1人なら、あれくらいどうにかできるはず…数を減らしたら、迎えに来て…そして、先生のところに連れて行って…」
「空崎、さん」
「見送るって言ったけど、最後くらい会いたい…会って話したい…!列車の中でも、先生をっ、うぐっ、起こす勇気も無くて…!でもこのまま知らないうちに先生が、消えてしまうなんて、やだ…!そんなのやだ…!」
感情を爆発させ泣き出す空崎ヒナ、そこには普段の──敵には無慈悲で、仲間へ思いやりのある風紀委員長はいなくて、ただ好きな人への思いを吐露する少女だけが…
「…相手はトリニティです、俺が暴れたら外交問題になるかもしれません」
「うん」
「数の差が圧倒的です、劣勢を覆すために街も派手に壊すかもしれません」
「うん」
「…構いませんね?」
「うん…だからお願い、私を先生のところに連れて行って…
私のお願いを、ワガママを、一回だけ聞いてほしい…」
震える手を握り返して、俺は答えた
「俺で良ければ何回だって聞きますよ
…任せてください」
先生の代わりでも構わない、いや俺が先生の代わりになれるとは思えないがそれでも今の彼女には拠り所が必要だ
もう鈍器にしか使えないロケットスターと忍具を再確認し、5秒だけ目を閉じて深呼吸…
ここまで言われて何もしないわけにはいかないよな──よし
「やることは決まった、覚悟しろよお嬢様方」
一方外、ナギサ直下生徒の捜索隊
「ゲヘナの野蛮人がちょこまかと…」
「まだ見つからないの!?」
「うるさいな、今探してるところで──」
その時、
「いた!いたぞ!火神ドグマと空崎ヒナを見つけた!こいつ大人しく…うわっ!おい、誰でもいいから早く来てくれ!逃げるつもりだ!」
瞬間、捜索に回っていたトリニティ生達は我先にと声のした立体駐車場へと殺到した
仲間が窮地だから、ではない。手柄を立ててナギサに引き立ててもらうためだ
しかも相手はゲヘナ最強と目される空崎ヒナ、それが不調で自分でも捕えられると分かっていた彼女らはこれまで生きてきた中でも出したことのないような活力を漲らせ走って行った
…その声が誰のものかなんて、誰1人気にしていなかった
「どこに隠れた!?」
「探せ!追い詰めろ!」
怒号の飛び交う駐車場内でトリニティ生達が走り回る
「………よし」
そんな光景を車の影から見ていたゲヘナ生徒はこれ以上トリニティ生が入ってこないのを確認し、動き出す
カランコロンッ
「うん?」
ボンッ!
「ごほっ!なんだ!?」
ボンボフッ!
煙が立ち込め混乱するトリニティ生達、だが所詮ただの煙だ
「落ち着け、ただの煙幕だ!煙に紛れて逃げようとするぞ!出口を見張れ!」
「袋のネズミだ、逃げられは──うわっ!」
1番近かった奴に飛びかかり、有無を言わさず背負い投げを喰らわせる
よし、仕留めた!
「なんだ、どこだ!」
「ッコホン…出口に向かって行ったぞ!止めろ!」
隠れつつ、大胆に声を上げる
この数の差を覆すには余程上手く策に嵌めないと無理だ
「止めろ!来るぞ!…っ?なんだ、来ないのか?」
「あっ!見つ──ぎゅ!?」
2人目は締め落とし、3人目は車に叩きつけて無力化。防犯用のアラームも囮にして回り込み4人目、5人目と叩き潰していく
数は28、いや30…!煙幕が切れるまで可能な限り数を減らしておかねぇと…
「フーッ…フーッ…よし、落ち着けドグマ。大丈夫だ俺ならやれる。」
イズナの手作りという爆弾を懐にしまい直して走る
正義実現委員会との演習を思い出せ。あの時の方が相手は多く、統制の取れた強い部隊だった
それに比べりゃこんな寄せ集め──なんてことない!
投げて締めてブン殴って、ひたすら動き続ける
もっと、もっと減らすんだ!
「ぎえっ!」
「はっ、はっ、14人目…!」
カチッ
と、そこで煙幕の煙が切れた。10秒もしないうちに隠れる場所は無くなるだろう
ここまでか…!
「あっ!いた!今度こそいたわ!柱の陰きゃっ!」
「ぜえっ、ぜえっ、捕まえてみろ温室育ち!」
15人目を封鎖していた連中に投げつけて外へ、当然連中も追ってくる
「追えっ!」
さっきの廃ビルに駆け込んで2階へ駆け上がる
後ろから地震みたいな足音がしてるが関係ない
「入れ…入れ…!」
追手が全員廃ビルに入らなければ意味がない、今にも迫ってきそうな足音を背に俺は窓の外でひたすら祈る
12、13、14…15!入った!
「居たぞ!観念しろ!」
「するかマヌケ!」
2階の窓から飛び降り、再び廃ビルの出入口へ
当然中のトリニティ生も戻ってくるが──
「ケッ、ばーか」
残った忍者爆弾を全て投擲、廃ビルの出入口を派手に吹き飛ばした
当然瓦礫が積もって中にいたトリニティ生徒は出られなくなり、窓から飛び降りようとしてくる奴もいたが──
「流石に甘いぜ」
「わ、きゃっ…!?ぎゃふっ!」
コンクリの大地に降り立つより俺が殴り倒す方が速い。いくらロケットスターが無いとはいえこんな隙だらけな相手に遅れを取るほどヤワじゃないぞ
「く!下に集まれ!瓦礫をどけろ!急げ!」
このまま降りても無駄だと分かったのか集団の気配が2階から消えた
よし、充分時間は稼いだ
「早く空崎先輩の元へ「くたばれっ!」
ご…
という鈍い音、揺れる脳
殴られた、と知覚することはできたがそのあとが続かない
!!! 仕留め損ねたのがいた…!
「はーっ!はーっ!手間取らせてくれた…!」
おそらく最後に投げ飛ばした15人目のトリニティ生…!封鎖組がクッションになって衝撃が弱かったのか…!
自重で地面に叩きつけられて身体が動かない、なんとか意識は持ち直してるがこの状況はかなりマズい!
「シャーレの先生はどこだ?」
「っは、知らねぇよマヌケ──がっ…!!」
ガードできない脇腹に躊躇の無い蹴り
クソ痛い!
「さっさと答えろよ、近くにシスターフッドの拷問官を連れて来てるんだ、ゴネるならソイツに引き渡してゆっくり聞き出してもいいんだぞ?アタシが優しく質問してるうちに言え!」
「く、ふ…シスターフッドがお前みたいなカスと組む訳ないだろ…嘘をつくなら信憑性のある嘘を──うあっ…!」
踏みつけられた手にぐりぐりと体重をかけられてゆく
たいして重くないのが救いだがそれでも捻るように踏みつけられては声の一つも出る
「言え!言えよ!さもないともっと──あっ!」
がつーん!と踏みつけていた足が、というかトリニティ生が吹っ飛んだ
「そらざき、せんぱい…」
「ごほっ、がほっ…!ドグマ…早く立って…!」
尋常じゃない汗を流しながら手を差し伸べてくれる空崎先輩
──だが身体が動かない!
「身体が、いうこと、を…!」
「居たぞ!早く起きろ!ドグマとヒナが居た!
捕まえろ!」
無力化した駐車場の奴らやこっちの異常に気付いた廃ビルの奴らが窓からどんどん飛び出してきている…!
「こんな、ところで…止まるわけには…!」
「くそ、が…!まずい…!」
まずいぞ…!
照れて顔を背けるワカモの仮面をそっと取ってあげたい作者のルルザムートです、ハイ。
戦闘シーンたくさん書きたいがために追放作戦の描写は-7th〜-1thと同じかちょっと少ないくらいの長さになってます
まぁ書いてて楽しけりゃいいのだわ
そして2度と予約を忘れないようにしなければ…