シャーレの先生追放計画《集いし4人は無関心》   作:ルルザムート

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昨日投稿し忘れたので本日は2本立てです
…-0th 04h 00mです、お楽しみください


-0th 04h 00m

「やられましたね」

「諦めるな、まだやられてない」

「・・・この状況でどうしろと?」

「これから考える」

 

簡潔に今の状況を説明すると市街地にてヴァルキューレの部隊に包囲され退路も進路も完全に封鎖。

それだけならまだなんとかなるが──

 

ババババ…

 

「ヘリに見つかった!狙撃に備えろ!」

「こんなのに構っている時間は無いというのに!」

 

上からの狙撃でまた分断されワカモが路地裏に、私は無人の民家へと転がり込む

 

また分断されてしまった、どっちに来る…?

 

ガタッ…

 

(こちら)か…!」

アサルトライフルの銃撃を飛び上がって回避、そのまま天井を足場代わりに蹴って攻撃を

 

「ミヤコ」

「くそっ、また──ぐあっ!」

 

あと一歩で届くというのにまたしてももう1人からの横撃に邪魔をされて届かない

なんとか立て直して反撃しようにも──

 

「充分です、退きますよサキ」

「待てっ…!」

 

空からの狙撃でサオリとワカモを分断。

1人が囮になり、もう1人が横から1撃入れ、分断したパートナーが合流するより早く離脱…というゲリラ戦法のような戦い方にサオリ達は手も足も出なかった

 

彼女達の狙いはこの逃げ場のないこのブロックで時間をかけて私とワカモを弱らせ、機を見計らって一気に制圧するというのは間違いない

だがそれを分かっていても2人だけではどうしようもない

 

この状況を打破するには包囲を崩して外に出るか、あの2人組を倒すか、ヘリを無力化するかのどれかだ

 

だがヴァルキューレの包囲網はどこも上からの射線がクリーンであり、どこを崩そうとしてもそこをヘリから狙われる

 

ヘリを落とそうにも地対空ミサイルなど持ち合わせてはいない、ワカモも同様だろう

 

「ワカモ、無事か?」

「あなたの方がボロボロに見えますよ、早く移動しましょう」

 

だが希望はある。ヴァルキューレ達が私たちにここまで時間をかけているということは私たちと先生が一緒にいると知ってる、いや思い込んでいるからだ

 

現にブロック1つを丸々包囲できる人員を連れてきておきながら戦っているのはヘリのスナイパーと歩兵の2人だけ、先生へ流れ弾が当たることを危惧しているのだろう

 

が、実際のところ先生は近くにいない。幸か不幸かトリニティの生徒が押し寄せているという知らせを聞いた私たちは包囲が始まるより前に先生を隣ブロックにある空き家へ避難させ、偵察をしていた

光学迷彩も置いてきたからすぐに見つかる心配はない

 

彼女達は先生の居所を私たちのすぐ近くだと思い込んでいる。

そこが唯一、こちらが優位に立っている点

 

「ヘリです!」

「隠れろ!」

 

とはいえ空からの視線と鉄壁の包囲網はそんな優位なんて簡単に消し飛ばしてしまう

 

ダァン!

っ!また分断された!

 

「サキ、いきますよ」

「ああ」

「く、今度はこっちに…!」

 

「ワカモ!」

なんとか向こうに行こうとするが狙撃が邪魔で近付けない

 

「………」チラ

 

先生を回収して欲しい旨のメッセージを送ったものの誰の既読も付かないまま時間だけが過ぎていく

他も苦戦しているということか…うん?

 

《雷川ラミィ 既読》

 

「──よし」

あとは信じよう、頼む。先生を助けてくれ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………」

建物の影から目的のエリアを静かに伺う2人組

 

「よりによってヤシマ保管ブロックで…少しは考えて撃ちなさい」

うんざりしたくなる数のヴァルキューレ生が道を塞いでおり、ちょっとやそっとじゃ近付けそうにない

 

「せ、先生もそこにいるなんて…ど、どうすれば?アル様、私はどうすれば!?」

「ここにあなたの上司はいないわよ。…どちらにせよアレはなんとかしないとダメね」

 

1ブロック丸々ヴァルキューレに包囲されており、中からは銃声が止まることなく響いている

…いや、空からもね。あれじゃサオリ達は動けない

 

「ハルカ、あなた地対空ミサイルは持ってない?」

「え?いや持ってないです、爆弾しか…あ、う、すみませんすみません!肝心な時に役立たずで!いや、普段から大して役に立っていないのに肝心な時とか何もないですすみませんすみません!」

「静かに!…見つかるでしょう」

「すみ──はい…」

 

ヘリはそこまで高く飛んでいない…あの1番高いビルに上がれれば狙撃銃で無くとも届くかもしれないけれど…

 

「…やるしかないわね」

どちらにせよ先生の回収とヤシマの起動準備を終わらせなければ後からやってくるであろうティーパーティの切り札に私たち全員皆殺しにされる。今すぐ動かなくては

 

「私の爆弾も渡しておく、まずはヘリを落とす

包囲を破って中の2人と合流するわよ」

「は、はいっ!ぜ、全部吹き飛ばしますっ」

 

…性格に反して意外と暴力的ね、この子

 

「うん?あっ!便利屋68…うわー!?」

「うわぁあああ──っ!どいてください死んでくださいどいてください死んでください!」

 

雨あられのように爆弾を投げ付けるハルカ、文字通り包囲を破壊した私たちは中心部へと走る

 

「しかしどうすれば…」

ヘリを落とすといってもよほど近付いてくれなきゃ無理だ。それも私達ではなく厳しい訓練を受けている錠前サオリがやらなければ成功率は著しく下がる

 

「あ、あの、ビルに登ってヘリを落とすんですよね」

「え?ええ、そうね。ただ都合よくヘリが近付いてくれないと無理そうだけど」

 

「で、できます、よ」

「何が?」

「ヘリに、こっちから近づく方法」

 

以前アル様と仕事をした時にやったんです、ともじもじしながら話し出すハルカだが内容的には狂ってるとしか思えないもの

 

「…本気?」

「え、ええ、そうです!あ、でもアル様だから成功したのかもしれないですし失敗するかもしれないからそうなったら「いい、それで行きましょう」

 

ふぅ、今まで感じたことのない苛烈さね…

ゲヘナ生徒でもここまで狂っているとは思わず頭を抱えるが確かにこれならまだ勝率がある

 

「伊草ハルカ、あなたはオドオドしてて暗くてネガティブで陸八魔アルが居ないと何にもできない人と思ってたけど」

「う、は、はい、その通りで「でも違った、あなたはあなたの考えがあって。しかも発想も凄い。ここぞという時には頼りになるのね

見直した、いや私が理解してなかった」

 

サクラコ様と陸八魔アル、それぞれ崇拝する相手は違うけれど崇拝者として理解した気になっていたがそんなこと全くなかった

 

「あなたは間違いなく、誰かに必要とされる強い人間よ。自信を持って。

…さぁ蹴散らしてあなたの社長の元へ行くわよ」

「っ…はいっ!」

 

覚悟を決め、私たちはそこで別れた

 

…それでも過酷な道なのは間違いない

「──サクラコ様。どうか、貴女の御加護を。」

 

 

 

 

 

『何事だ』

「敵襲です!便利屋68とシスターフッド生が包囲の中に…!」

『………直ちに包囲を敷き直せ、中に入ったというのなら中の2人と纏めて封殺すればいい』

 

「は!」

『あとヘリの燃料だけ注意しろと言っておけ、あれが飛んでいる限り奴らに手は無い』

「分かりました、カンナ局長!」

 

 

 

 

 

「あぅぐっ…!」

度重なる攻撃で足元がフラつく

だがこれは普通の銃弾によるものではない

 

「サオリさん、コイツら普通の弾丸では」

「分かってる!」

 

スナイパーのは実弾だが…下の2人の使う弾丸…これは、麻酔か…?

 

いよいよ限界が近い、だが雷川ラミィからの連絡は未だ──ピコン

 

来た…!

 

「…?」

だが送られてきた連絡はこちらの望むものではなかった

 

『1番高いビルの屋上へ』?

 

「よそ見している場合ですか?」

「! しまっ──」

「あなたがね」

 

ダァン!

 

「! …仲間ですか」

「な…!」

 

何故、どうしてかその場に現れるはずのない生徒がミヤコと呼ばれた生徒に立ち塞がった!

 

「何故ここにいる!?話はどうなった!」

「ここのブロックを取り返さないといけない理由がある。この場は引き受けるから指示に従って」

 

まるで意図は分からないがこのままでは全滅も目に見えている…

…よし

 

「分かった、信じるぞ」

 

踵を返し、指定されたビルへと走る

 

「追わなくていいの?」

「むしろ戻ってきて欲しくありませんね

…各個撃破できるので。」

 

後ろに気配…狐坂ワカモ、じゃないわよね

「──それがただの自惚れだと教えてあげるわ」

 

 

 

 

 

「指定されたビルは…!?」

「あっ、こ、こっちですこっち…!この上です」

「む、あなたは便利屋の…ここで何をしている?」

「い、いいから早く上がってください!」

 

はやくはやくと急かされるままビルの中へ、エレベーターは動いておらず階段で登るしかなさそうだ

 

「階段如きに怯むものか!」

 

 

 

 

 

「短期戦に切り替えます、雷川ラミィを速攻で排除して狐坂ワカモにかかります」

「ふー…ふー…ぐ…!」

 

「ラミィさ──

ダァンッ!

くっ!いい加減にしなさい!」

 

合流もままならず麻酔弾を次々と受けてしまう。私はただのシスターだ。人並みには鍛えているが錠前サオリのような戦闘力は私に無い

 

構わない。ほんの少し、ほんの少し耐えればいい…!

 

「ミヤコ、錠前サオリが…」

「ほっといてください。登ったところでモエ達には届きませんよ」

「ふふ…随分と楽観的なのね…」

 

届かない、と思い込んでいる2人組に対して思わず薄ら笑いが滲み出る

 

「楽観的ではありません、経験に基づいた結論です。モエが自分からヘリを寄せない限りあれは届かない」

「それが楽観的なのよ。…あなたは彼女を分かっていない」

 

「ですからどう足掻こうと錠前サオリには

「サオリじゃない、あなた達は──

伊草ハルカを分かっていない!」

 

ドドドドッ!!!

 

 

 

 

 

『伊草ハルカを分かっていない!』

通信機越しに聞こえてくるラミィの声と遥か下から聞こえてくる爆発音。

 

…いや、彼女達は伊草ハルカと会ったことないから知らないのも当たり前なのでは。

なんて傾き始めたビルの上で思いつつ、目標物へと狙いを定める

 

もっとも銃はまだいらないが

 

まさか爆弾でビルを傾けてヘリに近付ける、なんてな。これは雷川ラミィや狐坂ワカモの発想じゃない。

 

「ふ、流石は裏のトップ便利屋68のメンバーだ」

 

「あ、やばい。モエ、ビルから離れて」

「いや分かってるけど──うわっ!」

もはやヘリのプロペラ音があっても声が聞こえる距離。離脱しようとしているようだが地上からの発砲で操縦桿を握る手が乱れた

 

助かったぞワカモ!…よし今だ!

 

崩れ始めたビルを足蹴に跳躍、ヘリの足にしがみつきそのまま内部へ──

 

「うわっ!わっ!あわわっぎゃふん!」

スナイパーを殴り倒してすぐさまパイロットをホールドアップ。多数の爆弾とビル1つを使い、ようやく手が届いた

 

「さぁ決断しろ。このまま大人しく地上に降りるか、もしくは頭に弾丸を叩き込まれた後…私とパイロットを交代するか」

「あ、あらぁ…たはは…」

 

ちなみに私はヘリの操縦はできない。が、これが嘘だと分かるわけもなくパイロットは高度を下げ始めた

 

 

 

 

 

「と、届いた!?」

「ミユとモエが…!」

「よそ見、してる場合ですか?」

 

ヘリの無力化に下の2人も釘付けになっており、それまで隙の生まれなかった状況が変わった

…そしてそれ見逃さなかったワカモが決定打を叩き込む!

 

「きゃっ!」

「ミヤ──ぐえっ!」

 

「ふぅ、終わりましたか」

麻酔弾でフラフラになりながらもなんとか撃滅。これで少なくともこの場の憂いは無くなった

 

ワカモと協力してとりあえず2人組を縛り上げていると同じく縛り上げられたヘリの2人もサオリとハルカに抱えられてやってきた

 

「何かやるとは思ってましたが無茶をしますね」

「そう言うな、お陰でヘリを無力化できた」

「へ、ヘリは一応爆破しておきました!」

 

容赦無いわね

 

「でもここで終わりじゃないわ、ヴァルキューレの包囲を突破しないと…」

「ふむ、それなんだがさっきヘリで上から見た時、ヴァルキューレの包囲は解け始めていたぞ」

「どういうこと?」

 

「あの包囲は私とワカモを封殺し、かつ先生を逃がさないためのものだったが中の戦力を撃滅したことで意味を失った

私とワカモが組めばただの包囲なんて意味がないと思ったんだろう」

 

そしてそれは恐らく正しい、と付け加えて彼女は言葉を続ける

 

「ここからは私達以外も探すための捜索隊として動き始めると思う」

「!! ならばすぐに先生を迎えに行かなくては!失礼します!」

 

あの戦闘のあとでどこにそんな活力があったのかと聞きたくなる速度でワカモが離脱。もちろん単騎行動は危険なので私達もそれに続いた

 

「捜索隊が転移装置の場所まで広がるには時間がかかるだろうが…あまりのんびりしている時間は無い」

「分かってる、あなた達はこのまま先生の護送を。ハルカはアル社長と合流して」

「はっ、はいっ!」

「ああ、分かった。…お前はどうするんだ?」

「………『ヤシマ』を起こしてくる」

 

あれが無ければ詰みだ、なんとしても起動させないと…

 

「大変です!」

と、さっき出たばかりのワカモが戻ってきた

「どうした」

「先生がっ…先生が居なくなりました!」

 

・・・

 

「なんだと(なんですって)!?」




ワカモと一緒に食器とか買いに行きたい作者のルルザムートです、ハイ
毎日投稿というものの素晴らしさを知って実践してたらありえないミスを…悔しい…
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