シャーレの先生追放計画《集いし4人は無関心》   作:ルルザムート

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わたくしの先生レベルは『90』です
ですが進行度は3-Aで止まっているのでご心配なく…
-6日目①です、お楽しみください


-6th ①

あれから日を跨ぎ翌日、俺たちはまず雷川ラミィを迎えようということになった

電話や無線では傍受される可能性があるので直接彼女が在籍する学校へと向かうつもりだったが…

 

「…なぁホントに大丈夫なのか?」

「まぁまぁ、あれだけ脅しておけば裏切りはしないさ」

 

ゲヘナ旧校舎の1室、ケラケラと笑うロハンに少々呆れてしまう

「俺が心配してるのはアイツがトリニティのアホ共にリンチされないかってことだよ、アイツら常に吐口探してるような奴らだし」

 

「ミンチに?キミ意外と物騒な思考回路だね…」「リ・ン・チ!私刑だマヌケ」

 

物騒なのはお前だ!

「いや、多分ミンチになる可能性もあるかもしれないぞ?」場所によっては

「マジで言ってんのかよ?」

「大マジだとも、ただまぁ本当に一部だけだ」

 

やれやれ、ゲヘナなんか可愛いものじゃねぇか

 

「…ちなみにどこだ?」

「シスターフッドさ、噂に過ぎないが聖職者の面を被った拷問官の集まりだと言う者もいる

まぁ基本的に外部での活動はあまりしない連中だから心配しなくていい」

「・・・彼女にどこへのお使いを頼んだんだ?」

「シスターフッドだね、うん」

 

「「・・・」」

 

「だぁーっ!クソ!助けに行くぞ!」

「待ちたまえよ、ゲヘナ所属のキミが乗り込んだら──」

「もし捕まったアイツが俺たちの関与をゲロってみろ、それこそ終わりだろーが!」

「うわ、キミやっぱりドライな人だね。だから誘ったんだけど」

「忍び込む!お前も来い!」

 

 

トリニティ総合学園

 

「うう…怖い…!」

スケバンモブ生徒こと山田マヤは今にも溢れそうな涙を堪えて歩を進める

 

雷川ラミィ、トリニティ総合学園シスターフッド所属の1年生…

トリニティということでゲヘナ学生のドグマは当然入れず、発案者であるロハンも過去に問題を起こして顔が割れていて無理だと

そこで白羽の矢が立ったのが私と言うわけだ

 

少しでも印象を和らげるためマスクを外し、ロハンに貰った紹介状(偽造)を使ってトリニティ内部には入れたが生徒たちの視線が痛い…

 

それもそうだ、つい最近まで自分の力が通用する範囲での不良生活を満喫していた人間がそうすぐに変われるわけがない、殆どが私を不良だと分かっているだろう

 

早く…早くシスターフッドに行って、手紙を渡して帰る!それで終わり、それでロハンは終わりだって言ってたから…!よし、やるぞ、がんばれ私…!

夏でもないのにやたらと汗が出る額を拭いながら地図の通り進んでいく、と

 

「おいそこのお前、大丈夫か?」

「はい、え?」

トリニティには珍しい言葉遣いに思わず振り返るとそこには──

 

「いや大丈夫じゃないだろう、大丈夫じゃないよな?そうに違いないきひひひひ」

正義実現委員会の制服を身に纏い、裂けんばかりに口角を吊り上げて笑う生徒みたいな『何か』

紅く小さく鋭い2つの目玉でこっちを見据えている

 

「────ッア」

10数メートルは離れているはずなのにばっくりと開いた口元からやけに大きな息づかいが聴こえてくる

…いやこの距離で聞こえるはずがない、これは幻聴で思い込みだ。確実なのは

 

ザッ…ザッ…

 

そいつが少しずつこっちに来ているということ

「………!……っ!っ!」

10秒後の自分がアレに頭からバリバリと喰われていく様子が脳裏に浮かぶ

 

逃げないと、逃げないと逃げないと逃げないと

声が出ないし身体も動かない、怖くて何もできない、誰か──

 

「おっ、見たまえ彼女だ!幸いまだミンチにはされていないようだね」

「のっ、バカ!なに堂々と表通りに出てんだ!」

 

と、これまたトリニティに似つかわしくない2人の声

目の前のアレの注意がその瞬間だけそちらに向いた瞬間、汗と力が一気に湧き上がってきた

 

「み、みんち…?

ぴっ…!ぴやああぁぁぁっ!!!」ポト

それまで麻痺していた声帯がようやく再起動、かつてないほど情けない声を吐き出しながら

でたらめに走り出した

 

「ひ?おい待て、何か落としたぞ、待ておい…」

「な、なんだなんだ!なにごとだ!?」

「ははっ、僕がやっつけた時より酷い顔…

うん?…うっ!?あれは正義実現委員会の…

よし、逃げよう!!」

 

こっちを見つけた2人もなし崩しに逃げようとするがそうはいくか

ドグマはともかくロハンのせいでこんなことになったんだ、こうなったらロハンも道連れにしてやる…!

 

すってんてー、と逃げ出すロハンをフン捕まえ抱えて走る

「わー!何をするんだい!」

一蓮托生、死なば諸共!

 

…人間、恐怖が限界に達すると色々とおかしくなるんだなぁ、と残った最後の理性で考えながら私は走るのだった

「待てぇぇェッ!!!」

 

 

 

 

 

 

「やれやれ、どうなってる!?」

「僕が聞きたいねぇ!マヤくん、キミ何をやらかしたんだい?」

「ミンチは嫌…ミンチは嫌…ミンチは嫌…」

「話が通じないねぇ!というか降ろしてくれな「逃げるなァッ!!」

 

と、ここで背後からさっきのヤバい声が。

足音だけでも普通ではなく、なんかズシャシャシャいってるし!

 

「だいたいなんで俺一緒になって逃げてんだ?」

ゲヘナ学生の身でトリニティに入ってはいるとはいえやましいことなどしていない、それにあの制服は正義実現委員会だ。逃げる必要は──

 

「止まれェ…とまれとまれとまれェ!!

くき、きひひゃはははは!」

目は血走り、走り方はムチャクチャだがあきらかに俺たちより速い走りで追いかけてくるそれを一瞬振り返って見てしまう…

 

「(°▾°)・・・」

 

怖ぇーっ!

路地裏や狭く入り組んだ通路を選んでいるからかろうじて追い付かれてはいないがもし追い付かれたら──

 

「そこ!そこにマンホールがある、そこから逃げよう!ドグマくん、さっさと開けたまえ!」

「お前はいったい何様なんだ!」

まぁやるが!

 

曲がり角を使って追手が見えなくなった瞬間にマンホールをこじ開けて中へ飛び降りる

ゲヘナの下水道より匂いがキツいがそんなこと言ってられない

 

「マヤくんドグマくん、僕から離れないように!…起動!」

ガンガンとマンホールを殴り開けようとする音を背後にロハンが何かの機械を取り出した

 

これは…

「光学迷彩、起動完了。もう大丈夫さ、外からは完全に見えなくなった」

「お前がミレニアム出身で本当に良かったと思ってるよ。それよりも山田は?」

「たべられるのイヤ…たべられるのイヤ…」

「多分もう使い物にならないねぇ、役立たずだねぇ」

「…お前、ガチクズだって言われないか?」

 

ドゴォッ!

 

「「!」」

会話に割って入るかのようにひしゃげたマンホールがすぐそばに落ちてきた

やれやれ、持ち上げて外すもんだろ?壊すか普通…

 

びちゃっ!

…!来やがった…!

 

「………おいロハン」

「やり過ごす、静かに」

 

「………」

ひたひた、ひたひた、湿った下水道の床を歩き回りながらアイツが俺たちを探している

 

「………」ウロウロ

 

「………」キョロキョロ

 

「………」スンスン

 

くそ、やたらしつこいな…

それに歩き回っていると言っても俺たちの近くからなかなか離れない、勘が良いのか?

 

「………」

 

チャプ…ザブザブ…

 

水路に入って行った…?何やってんだ?

 

チャキッ

 

謎の行動に俺もロハンも困惑していたがその意図に気づいた瞬間戦慄した

彼女の狙いは──

 

「……けええええーっ!!」

 

水路に、正確には流れる下水に向かってショットガンを連発。それによって飛び散った下水があちこちに撒かれていき──

 

ビチャ

 

「あ。マズイ」

本来不可視になっていたはずの俺たち、その足元に下水がついてしまった

…しっかりと足の形を浮き上がらせて

 

「見つけた…見つけたぁ!そこかぁ!」

「ぴゃい!?ぴいいいっ!!」

 

ヒヨコの断末魔みたいな声を上げてヘタり込むマヤと悪あがきで戦闘体制に入るドグマとロハン。

戦うしかないのか…!?そう覚悟を決めたが結果から言って戦闘は起こらなかった

 

「たべ、たべ、食べないでっ!」

「…?…っ!?いや、食べないぞ!?」

 

 

 

 

 

 

「サイズはどうだ」

「ぴったりです、わざわざ服まで貸していただきすみません」

下水で汚れてしまった服を洗濯する間、ひとまず正義実現委員会の制服を貸してもらえることになった

 

流石にマズイのではと断ったがゲヘナ丸出しの格好よりこっちの方がよいとのことでありがたく借りることにした

 

「自己紹介がまだだったな、正義実現委員会委員長の剣先ツルギだ」

「ゲヘナ学園1年生帰宅部、火神ドグマです」

 

…結局あの後下水道で起こった出来事なのだが泣き喚くマヤに剣先さんの方がオロオロしてしまい、最終的に俺が間に入って事なきを得た

恐ろしい姿だが話してみるとそう乱暴な人物でもない、むしろかなりの常識人であることが分かった

 

「落とし物だ。しっかり持っておくよう伝えておいてくれ」

「これはどうも丁寧に」

 

追いかけてきたのも俺がゲヘナだからとかじゃなくマヤが落とした手紙を届けようとしてくれただけで最初に声をかけたもの他地域から来た迷子だと思っての行動だったという

 

「ところで彼女とは…いややめておこう」

「…?」

なんのことです?と聞こうとしたがやめておいた、普段なら会話を広げる場面だが今は隠し事が多い身だ。藪をつついてなんとやら、追求はやめておこう

 

「あと1時間もすれば洗濯は終わるが…お前はどうする?」

「どう、と言ってもゲヘナ学生がトリニティを彷徨くのはマズいでしょう

終わるまで大人しく待って、それからこっそり出て行きます」

 

当然だ、あと6日しか無い中での今日の失敗はキツいが出直すしかない、シスターフッドには後日──

 

「………お前はゲヘナの特徴が少ない、今の格好なら表通りを歩いていても不審には思われないだろう」

「…なんですって?」

 

確かに俺には角も翼も無いし尻尾は短いから隠せるが…え?まさか…

「その気があるのならその制服はしばらく貸してやる。陽が沈む前に取りに来てくれればいい」

 

最初の頃の狂気はどこへやら、やんわりと静かに、だがこちらの行動を肯定してくれているように微笑む剣先委員長

もちろん俺たちの目的なんて知るわけがないから俺の思い込みといえばそれまでだが…

 

「俺はゲヘナですよ、トリニティの治安組織…そのトップがそんなことを許してもいいんですか」

「ゲヘナだろうとトリニティだろうと事を起こしていない以上私が止める理由はない

ここに来たのには山田マヤ以外の理由があるんだろう?」

「…参りました」

 

この人、見かけと中身が真反対だ。バーサーカーみたいな見た目と行動だが中身は鋭く、深い

なるほどこれがトリニティ治安維持組織のトップ、剣先ツルギ…

 

「制服、()()()()()()()()()()()()()()

「ああ」

思わぬ味方を作れたことに安堵と少しばかりの困惑を抱きながら俺は正義実現委員会本部を後にした

 

「少なくともああ言っておけば正義実現委員会に迷惑は掛からない、シスターフッドに向かおう。…それと」

いの一番に逃げ出したロハンにはキツい仕返しを考えておかないとな




ワカモの尻尾、絶対暖かいよねぇと思っている作者のルルザムートです、ハイ。
この話は主に『追放計画発動までの7日間』と『追放計画発動日』と『発動後のキヴォトス』の3パートで構成しております
基本的にはドグマ視点ですが場合によっては他のキャラクター視点も…
またドグマ以外の3キャラにはそれぞれモチーフにさせてもらったキャラクターや物がありその話も次以降、この後書きに書いて行こうと思います
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