シャーレの先生追放計画《集いし4人は無関心》   作:ルルザムート

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ええー、まず最初に。親切な2人の読者に指摘していただいてキヴォトスの通貨の呼び方の間違いに気付けました
つい最近対策委員会編読み直した時とか思い切り《円》って言ってたのに何故かゲーム内の《クレジット》で通してしまった…
おかげですぐに修正できました、ありがとうございます

…それと今回から同時並行でクロスオーバー作品も投稿することにしました。内容はブルアカ×ドラクエ9でタイトルは『ギュメイ将軍のキヴォトス放浪記』…

ガナン帝国三将軍が1人、ギュメイ将軍が世界を離れられない星空の守り人に代わってキヴォトスに落ちた女神の果実を回収しに行く…
願いを叶える女神の果実、常識すら改変させる異世界の異物を手にした生徒とギュメイはどう向き合い、どう付き合っていくのか…
という内容です

ハイテンションで宣伝までしてしまいましたがドラクエ9を知らない人にはなんのこっちゃになりますしあまり関係なかったですね
相変わらず前置きが長くなりましたが7th ②です、お楽しみください

…しれっと前回《①》をつけ忘れていたのも直しましたハイ。


7th ②

「着いたはいいが…なんか騒がしいな?」

時々フクヨに肩を借りながら風紀委員会に来たが奥から怒鳴り声みたいものが…

 

「ホシノ先輩を返してよっ!」

「セリカちゃん落ち着いて…」

「!」

 

ホシノという名前で思わず身構えてしまうもすぐに持ち直す

落ち着け、あの怪物はここにいないはずだ

 

ロハンからちょくちょく俺にも連絡が来ている

ゲマトリア?ってとこで治療を受けてると。

 

「だからここにはいないとさっきから…」

「ん、セリカどいて。力づくで聞き出す」

「シロコ先輩もやめてください!」

 

セリカにシロコ…アビドスの連中もここに?

 

「ヒナさんは?」

「…ヒナ委員長は休養中です」

 

「構わないので会わせてください」

「できません」

「では私の代わりに聞いてくれませんか、なぜこんなことをしたのかと」

 

「ノノミ先輩…」

「先生を追放した今キヴォトスはメチャクチャになっています、こうなることはヒナさんも分かっていたはず…それを押してなぜこんなことを?」

「それは──」

 

「そしてホシノ先輩が危険な組織に狙われていることもヒナさんは知っていたはず

にも関わらず動けないホシノ先輩をあっさりとそいつらに引き渡し、結果としてアビドスは先生とホシノ先輩を同時に失うことになりました」

 

「待ってください!小鳥遊ホシノは今ゲマトリアという組織で療養中なんです

失ったなんてそんな…現に妙奇ロハンからホシノさんの状況報告を」

「七囚人に最も近いと言われる彼女のことが信用できるんですか?

そもそも妙奇ロハンがついて行ったところでなんの保証にもならないんじゃないですか?」

「そ、それは…」

 

 

 

「ドグマさん…」

「ああ、出直そう」

空崎先輩の話を聞きたかったがここで出ていけばアビドス組から袋叩きにされるな…

 

「火神ドグマ、ですね?」

「!」

 

うわっ、バレ──んや?

 

「天雨行政官?」

「話があります、こっちに」

 

手招きする天雨アコの後を静かについていく

 

相変わらずバカみたいな格好してるな、それに普段騒ぎまくる彼女しか知らないからこう落ち着かれてると違和感が凄い…

 

アビドス組の怒鳴り声が聞こえなくなって少し、使われていなさそうな会議室へ到着した

「フクヨ、お前はここで待ってろ」

 

話があるのは俺だけみたいだし

「は、はい」

オドオドするフクヨを置いて中へ

 

この会議室ちょっと埃っぽいな…

「話というのは他でもありません、1週間前の先生追放計画についてです」

…ま、それだろうな

 

「先に言っとくと先生の安全を守るためだ、銃弾飛び交うキヴォトスで彼に安全な場所なんてどこにも無いからな」

「ええ、それについては理解してます。私が聞きたいのは別のこと…」

 

? なんだ?

 

「──なぜ、ヒナ委員長を巻き込んだんですか」

「巻き込…え?」

 

「いえ正確には、なぜヒナ委員長()()を巻き込んだんですか」

「どういう意味です、加わったのは空崎先輩だけでは「ヒナ委員長が…!ヒナ委員長がどれだけ苦しんでいるか知らないくせに!

答えなさい、なぜです!なぜ委員長に1人で抱え込ませたんですか!!!」

 

「ま、待て、どういうことなんだ?何があった?」

口調を直すのも忘れて聞き返すがアコの怒りは収まらない

 

「1週間前、DU地区から戻ってきたヒナ委員長が話してくれました…!

先生追放計画をひと足早くあなたから聞いていたことを。そして先生とそれ以外を天秤に掛けさせたことを!」

「──ああ確かに言った、だが空崎先輩は先生を「黙りなさい!」

 

いつもは騒ぎ立てるだけの彼女がまさか手を上げるとは思っておらず、胸ぐらを掴んできた天雨行政官に呆気にとられてしまう

 

な、なんだ?

 

「ヒナ委員長は悩んで、悩みに悩んで!その上で私達を選んでくれたんです!

先生の未来がかかっていると知ったヒナ委員長は誰にも話せず、誰にも相談できず!

 

先生がキヴォトスから居なくなるその瞬間まで苦しみも涙も押し殺して銃を握ったんです!

 

あなたにそれが分かりますか…!?

ずっと1人で苦しんでいた委員長の気持ちが分かりますか!!?」

「へ、ちょっと、待てよ…まさかそんなに…」

 

「普段どれだけ辛くとも絶対に弱音を吐かない委員長があの日泣きながら転がり込んで、打ち明けてきたんです!

 

あなたが風紀委員会の手助けをしていたのは私も知っています、私もあなたを認めてもいいと思い始めていたのに…!

 

妙奇ロハンも許せませんが一番許せないのはあなたです…!

私は…いえ、風紀委員会は!ヒナ委員長から笑顔と拠り所を奪ったあなたを絶対に許さない!」

「そんな、そんな素ぶりは一度も…」

 

空崎先輩、俺は──

「やめなさいアコ、外まで声が響いてる」

「っ!?委員長!寝てないとダメです!」

「空崎先輩!?」

 

弱々しくドアを開けて入ってきたのは空崎先輩だった

だが──

 

「空崎先輩…その、いったい…!?」

「確かに辛かった、けれどドグマが無理して知らせてくれたから私は他の生徒と違って最後のお別れが言えたの

…彼女を責めるのは違うわアコ」

 

もう既に時計は15時を回っている、それなのに空崎先輩はパジャマ姿だし靴も履いていない

目は虚ろでクマも酷い

髪もボサボサ、少し埃も付いているように見えるしちょっぴり匂う

 

まさかずっと──

 

「ヒナ委員長…!でもこいつのせいで…!」

「誰のせい、とかじゃないのよ。強いて言えばエデン条約の時彼を守れず危険に晒し、結果として関係の無い生徒にそんな辛い決断をさせてしまった私のせいよ」

 

「そらざき、せんぱい」

「いつか、いつか必ず立ち直るから、必ず私がなんとかするから…だからもう少しだけ休ませてほしい。私も、ドグマも」

 

怒りの収まらないアコの手をヒナが優しく引き寄せる

…その時見えた手は以前見た時よりも少し痩せていた気がした

 

「せ、先輩…おれ、おれっ…こんな、こんなつもりじゃ…」

「ドグマ、あなたももう帰って。あの戦いじゃ小鳥遊ホシノの次に重傷よ、しっかり休んで…また風紀委員会に力を貸して?」

「っ…はい」

「うん、ありがとう。…じゃあね」

 

ごほごほと咳をする空崎先輩に見送られて俺はその場を後にした

大丈夫か、なんて声をかける勇気も無かった

 

見ただけで空崎先輩がいかに苦しんでいるか分かる。それも氷山の一角に過ぎないのだろうがそれでもまだ空崎先輩は俺のことを気にかけてくれていた

 

「あっ、ドグマさん!今入れ違いで入った人って…」

「行くぞ」

「えっ…はい」

 

そのあと俺はフクヨと一緒に各学園の情報を集めた

ゲヘナから外には出ていないがフクヨが持ち込んだ情報と外にいるラミィ、錠前サオリとの情報共有でキヴォトス全体の状況が少しずつ見えてきた

 

まず1番情報を集めやすかったゲヘナから

外に出て静かだと感じたのは間違いだったようで実際騒ぎになりそうな連中は今も健在だ

違うのは万魔殿の対処…

 

信じられないことに今万魔殿を動かしているのはあの丹花イブキらしい、先生が居なくなってからというもの風紀委員会と万魔殿の部員達の士気は下がり、機能低下したことで元々悪かったゲヘナの治安が悪化しかけていたが──

 

『みんな先生が居なくなって寂しいんだよ

誰かが励ましてあげないと…マコトせんぱい、イロハせんぱい、みんな…力を貸して!』

『お前たち聞いたな!?先生が居なくともイブキがいれば万魔殿は不滅だ!やるぞ!』

『ええ、今回ばかりはサボりも無しです

戦車も新しくなりましたし…やりましょう』

 

イブキの一声で万魔殿は以前以上の力を取り戻し、(改めて考えるとこれで復活できるのスゲェな万魔殿)機能低下していた風紀委員会を補佐、ゲヘナの治安は風紀委員会健在時に近いものを取り戻していた

 

全ての学園の状況を知れたわけではないが俺が思うに今最も治安の良い学園はダントツでゲヘナだろう。…皮肉なことにな

 

次にフクヨから聞いた百鬼夜行の状況だが先生追放の件で1番騒いでいるのはロハンのファンらしい

 

というのも今回の事件、陸八魔アルが首謀者ということになっているらしいが奴のファンはロハンが真の首謀者であると気付いてるらしくそれゆえに怒りも凄まじかった

 

簡潔に言えば『いくら映画のためだからと言っても先生を追放するなんてやりすぎだ』と

その上で陸八魔アルに全ての責任を押し付けて雲隠れしてるのだから流石のファンも怒ったらしい

 

逆に便利屋68については守ろうとする動きを見せているようだ

金に困っていたところをロハンに高額で雇われ、仕事内容をロク明かされず訳の分からないまま戦っていた…と当たらずとも遠からずな推測が百鬼夜行連合学園に広まり、他学園(特にトリニティ)に居場所の無くなった彼女らを匿っているらしい

…その噂が学園外に広まるのはまだ時間がかかりそうだが

 

『アルさん、また賞金稼ぎだ!オレたちが誤魔化しておくから隠れろ!』

『あっありがとう!

うっ、ううっ…!かよ、かよこ…!

人の優しさが…!身に、沁みて…!』

『いいから隠れる!』

『サオリさんも早く!』

『すまない、感謝する』

 

そして最後、トリニティ。ここが1番酷い

というのも当初のラミィの思惑通りティーパーティは崩壊寸前まで追い込まれており、聖園ミカに続いて桐藤ナギサまでもが失墜。利己的主義の多いティーパーティにとって仕える相手を変えるには充分な事件、ナギサはもちろん非干渉だった百合園セイア、すぐ下の幹部達も揃って泥を被っており、人の流出が抑えきれていない

 

普段お嬢様としての仮面をつけて生活していた彼女達だったが下からの崩壊によりかなりの数の幹部連中が行き場を失っており、また離反したティーパーティ生がこれまた離反したティーパーティ生を集めて新しい組織を結成し、枝分かれしていく

 

もちろんそんな急造組織が機能するわけもなく自滅したり問題を起こして正義実現委員会に叩き潰されたりと、今トリニティはティーパーティを中心にして地獄へと姿を変え始めていた

 

そして極め付けにティーパーティ(多分桐藤ナギサ)が出した『手配書』はそれまで欲を隠して生活していたトリニティ生達を獣と化させた

 

便利屋68の手配書である。ティーパーティは便利屋を一連の事件の首謀者と断定し、およそまともではない懸賞金を4人に掛けた

最も低い金額でさえ6000万をゆうに超えており、社長の陸八魔アルにいたっては3億5000万という正気を疑う金額だった

 

6000万でも手に入れば人生は一変する

もはや恥も貞操も投げ捨て、カイザーPMCを始めとした傭兵まで雇って欲のままに外へと飛び出していくトリニティ生達にかつての上品さは微塵も残っていない

 

もちろん先生追放に助力したのは他にもいるが恐らくもうどうでもいいんだろう

いくらティーパーティとはいえあんな戦いの後でこんな大金をバラ撒いて平気なはずがない

ここで便利屋に報復ないし、できなくとも道連れにする気の額だ

 

唯一崩壊を止められる可能性のある先生はすでにいない、近いうちにあそこは跡形も無くなるだろうな

 

『セイアさま!〇〇のところがまた問題を!』

『△△のところが離脱しました!』

『シスターフッドに生徒が流れてます!』

『ちょ、諜報担当部隊が丸々救護騎士団に…!』

『元幹部がカイザーPMCを引き連れて百鬼夜行学園で問題行為を…!』

『ナギサさまがまた外部に金銭をばら撒いてます!』

『たかが4人にやりすぎよ!彼女乱心したの!?』

 

『く、ぐ…!』

『セイアさま、我々はどうすれば!』

『セイアさん、指示をください!』

『このままでは私たちは…』

『うるさい!分かってるから少し黙ってくれ!

くそ、ナギサ…キミまで居なくなってしまったらもうティーパーティは…』

 

と、まぁこんなところだ

狐坂さんについては動向が掴めなかったが情報を集める最中に合流、フクヨとどこかへ行ってしまった

 

…表情は狐の仮面で見えなかったが内情を聞くのは野暮というものだろう

 

 

 

それにしても

 

「──なんか、疲れたな」

…戻ろう

 

ボロボロの身体で出歩いたのもあるがそれ以上にアコとヒナの言葉が突き刺さっていたドグマは予定を早め、救急医学部へと戻るのだった




寝ぼけたワカモに尻尾ハグされたい作者のルルザムートです、ハイ。
ドグマさん、ようやく自分の愚かさに気付きました
アコに詰め寄られるシーンは割とお気に入り、直前までどうでもいいこと考えてたらいきなり雷が落ちて…みたいなぶつかられ方が1番好き。
もちろんネームド生徒もある程度曇らせてはいますが容赦なく殴れるキャラ探したらやっぱりオリキャラしかいなかった
(だからこそ彼女が基本視点なのですがね…)
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