シャーレの先生追放計画《集いし4人は無関心》   作:ルルザムート

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4つ目の⭐︎1評価でちょっぴりナイーブなワタクシ。
ただこれ自分の文章力の問題なのか曇らせ系なのが問題なのか戦闘面のダメージをデカくしすぎたのか、原因がなんなのか分かんないのがモヤモヤしてしまう…(多分ホシノへのダメージ描写をやりすぎたと思ってる、ボロボロだけどクソ強いっていう錬金術漫画の某大総統みたいなのを表現したいがためにやったが見返すとアレは良くなかった)
まぁ悩んでても仕方ないので乱雑わっぴーエンドの準備を。
そしてそのためにちょっと長め。
というわけで8th ②です、お楽しみください


8th ②

ゲマトリアのとある活動拠点にて…

 

 

 

「んっふっふっふ、ついに…ついにできたぞ!

おいマエストロ起きたまえ!」

「ロハン…?なんだ、できたのか」

 

時刻は午前5時!疲れ切っているマエストロを叩き起こしてテレビをつける

 

「ううっ、素晴らしい出来だぞ!?

それもこれも先生という生徒に愛される存在とそのために全力でぶつかり合った生徒達…そして生徒1人1人のヘイローを正確に模写してくれたマエストロのおかげだ!」

「さすがにここまで無茶を言われるとは思わなかったが…その甲斐はあるということか」

 

「タイトルは、そう…

 

 

 

『シャーレの先生追放計画《集いし4人は無関心》』

 

 

 

だねぇ!」

 

「4人?誰のことを指している」

「グッド!いい質問だねぇ!」じゃ再生するよ

 

答えないのか、ってヤジが聞こえるが…なぁに見ていれば分かる

 

まぁ結論を言ってしまうと僕、ドグマ、ラミィ、フクヨといった先生に対してあまり思い入れの無い生徒のことを指している

 

もちろん指しているからといって主役というわけでは無い、むしろこの映画の主役はティーパーティや小鳥遊ホシノといった先生を取り戻そうと全力で戦う者だ

 

途中、あまりの活躍に便利屋を主役にしようか迷ったが企画の途中変更は愚の極み。彼女達が主役の話はまた別で作ろう

 

「いやぁ、それにしても長い道のりだったなぁ」

 

少しやりすぎて正義実現委員会にしつこく追いかけられてる時、僕はたまたまキヴォトスと外の世界を繋ぐ不思議な装置を見つけた

 

実験の結果連続での使用は難しかったが時間をかければ勝手に復元されると分かり、もちろん先生に伝えた。

…?そういえば1週間は経過してるのにまだ戻ってきた話を聞かないな?8日目だから帰ってきてるハズなのだが

 

まぁそれはいい、先生以外の登場人物──ワカモくんやサオリくんといった生徒達には()()()一方通行だと伝える…

この時に見せた彼女達の葛藤の表情はこれまた素晴らしかった

 

最初から事実を伝えていればあの光景は見られなかっただろう

 

もちろん先生から漏れる可能性も考慮して上手いこと生徒達を言いくるめ、先生には計画当日睡眠薬で眠ってもらったけど

 

危ない橋もかなり渡った、先生追放計画を匿名でクロノス報道部に流してトリニティやアビドスを呼び寄せて戦わせたり、いきなり参戦してきた空崎ヒナの飲み物に毒を混ぜて弱体化させワンサイドゲームにならないよう調整したり…

 

ヒナとミカに備えるため前日に矯正局に忍び込んで七囚人と交渉したりもしたね

あ、彼女とゲマトリアの取引ルートを用意しないと…

 

便利屋にもかなりの金額を払ったし決して代償は安くは無かった

しかしこの映画はその損失を補って余りある傑作である!

 

なにせ先生を失ってたまるかと向かってくる生徒達の鬼気迫る表情!行動!

かすり傷ひとつ、息遣いひとつでさえ僕の創作意欲を掻き立てた!

 

かつてないリアリティを手に入れた僕はここずっとロクに眠らず、眠れず、その想いを全て画面の向こうに叩きつけ、今!最高傑作としてここに完成した!

 

…CG映画なのが気に食わないが流石に本人達を雇用するのはどうひっくり返っても無理だ、本当に残念だがそこは諦めるしかなかった

 

「始まるぞマエストロ…!

見たまえこれが!私の最高傑作だ!」

「………水を差すようで悪いがロハン」

「んん?なんだい?」

 

「その台詞はすぐに殺される間の抜けた科学者のそれだぞ」

「? それがどうした、これは現実だ

映画でもssでも小説でもない、実現なんてしないさ」はっはっは!

 

 

 

そして…

 

 

 

「………!ロハン、次のディスクを…!」

「急かすな急かすな、映画は逃げないぞ!」

 

食い入るように画面に貼り付けになっているマエストロを見て言いようのない幸福感に包まれる

 

ああ、僕の作った映画が…!他人を魅了しその時間を奪っている…!僕の映画を、見てくれている!!!

 

なんて素晴らしい、なんて心地いい、鑑賞してもらえていることのなんて嬉しいこと!

ああっ!映画って素晴らしいねぇ!

 

コンコン

 

「む」

折角の鑑賞会に外部から踏み込んできて欲しくないのに…とはいえ大事なことかもしれないので仕方ない

 

「おやMr.ブラックスーツ、どうしたんだい?」

「ククッ、せめて黒服と呼んでほしいのですが…小鳥遊ホシノの件です」

 

おっと忘れてた

 

「で、生きてるのかい?」

まぁ生きてたとしてもあの身体ではもう銃を握ることも難しいだろうけど

 

「命を繋ぐ処置は1週間前に終わっています、私は彼女が戦線復帰できるよう今日まで手を尽くしてきた」

「すごいな、アレを?」

 

右腕なんて殆ど消し飛んでいたのに

 

「彼女の肉体は損傷が激しく普通に治療しても無駄だと分かっていたので…これまでの研究成果を使いヘイローを介して治療致しました」

「ヘイローを、介して???なんだいそれ」

 

「申し訳ありませんがゲマトリアでもないアナタにそれをお話しすることはできません

ただ後遺症などの恐れは一切無いと保証しましょう」

「そっか、うん分かった。助けてくれてありがとう」

 

詳細はどうであれ彼らがいなければ小鳥遊ホシノは死んでいただろう

映画一筋の僕とはいえ、死人が出るのは面白くないからね

…だって死んでしまったら二度と映画にできないだろう?

 

「…ところでアナタとマエストロは朝から何を?」

「ん?映画鑑賞、1週間ほど前の先生追放計画で起こった事件をそのまま映画にしたんだ

色々と大変だったけど生徒達が全力でぶつかり合う感動長編はこれまでもこれからもこの1本だけだろうねぇ」

 

「ほう、生徒達が戦う映画ですか…」

「おやっ!もしかして興味あるのかい!?」

それならそれで早く言ってくれれば「いえ特に」

 

ズコッ…

 

「なんだよ、つまらないな」

「ククッ、ただ数多の生徒が集い、その神秘を輝かせてぶつかり合うその場面は見たかったですねぇ

 

写真の1つでも手に入れば御の字なのですが破壊し尽くされたDU地区からはせいぜい痕跡を探し出すのが精一杯で…」

「? 写真でよければいくらでもあげるよ」ホラ

「クー!?」

 

差し出した写真を見た瞬間、鳥みたいなおかしな声を出して縮み上がる黒服

いや別に写真くらいなら…

 

「あ、あの他には!?他にはありますか!?」

「わぁわぁ待ってくれ!とりあえず記録映像から引っ張ってくるから「映像記録があると…!?」

 

フンスフンスと鼻息を荒くして詰め寄ってくる彼の姿は完全に不審者のそれである

真剣にホシノくんを助けようとしてた人と同一人物だよね…?

 

「あ、あるよ!ミレニアム製のスパイカメラで集めた映像がね」

というかそれが無いと映画作れなかったし

 

「ク、いつから…?」

「火神ドグマを引き入れた時からずっと撮ってるよ、さすがに寝てる間とかは撮ってないけど…

1週間前、あの戦争に参加した生徒の分は全部撮ってる」

 

「お願いします譲ってください!!!」

「えっええ!?いやさすがにそれはちょっと…

割と命懸けで集めた映像だし、それを他に流すとなると映画の映像と被って一品製が薄れるというか…」

 

「ゲマトリア外での活用はしません!

なんなら小鳥遊ホシノを助けた研究成果もお渡ししましょう!

望みはなんですか?撮影機材、音響機材、スタジオ、人材、金、なんでも用意します!

ですのでその記録映像をどうか…!」

 

いったいなんなんだい!?というかここまで騒ぎまくってるのにマエストロが一切干渉してこな──彼ヘッドホン付けてるねぇ!

 

しかも左右の頭両方!

 

「お、おい本気で言ってるのかい?生徒の映像なんてその気になればいくらでも撮れるだろう!」

「いいえ撮れません、確かにただ撮影するだけなら可能ですが…私は神秘と神秘の激突を見たい」

 

えーと

 

「つまり戦ってる生徒の映像が欲しいと?」

「ククッ、その通りです。模擬戦などで生徒同士が戦うことはあってもそれは本気ではない

しかし生徒が命を懸けるほど本気でぶつかり合う状況なんてそうそう発生しないでしょう

 

…ベアトリーチェのような真似をするわけにもいきませんし、何より復帰した先生がそれを許しません」

 

「ベアトリーチェ?誰だったっけそれ」

…!ああ、サオリくんのマダムか!というか先生が戻って来てるの知ってるなら教えてくれよ

 

「元同志です、それよりこれはこちらにとってチャンスなんです、我々が非道に手を染めず、生徒達の神秘を研究できる唯一の…

 

対価は如何様にもお支払いするので重ねてお願い申し上げます、その記録映像を我々に譲っていただけませんか?」

「──ふむ」

 

マエストロと知り合った時と同じだ、僕は彼の研究については理解できないし興味もない

でもそこにかける熱意だけは伝わった

(彼は彼で僕の映画に興味を持ってくれたが)

 

僕が映画を作りたいと思うように、彼もまた知りたいという探究心だけでここにいる

目指す場所は分からなくとも、その熱意だけは無下にはできないな

 

「さっき『なんでも用意する』って言った時に挙げた物、お金と人材以外ぜーんぶ貰えるかい?」

「ククッ!ええもちろん、最高の物を用意させてもらいますよ!」

 

即答…うん、いい答えだ!あ、そうだ

「すまない1つ追加だ、山海経の…今は矯正局に居るとある生徒があなたたちゲマトリアと取引したがっているんだ

1ヶ月でいいから交渉の場を設けてやってくれないか?」

「生徒から?ククッ、喜んで…!」

 

よし、約束は果たしたぞぅ申谷カイくん!

「じゃあこれ約束の記録映像だ、小鳥遊ホシノが出てくるディスクのケースには付箋を貼っておいたからゆっくり見てくれ」

「感謝します」

 

そそくさと部屋を出ていく黒服を見送りながら予想外の利益に思わず小躍りしてしまう

 

まさかただの記録映像がゲマトリアにとってあれだけ価値のある物だとは夢にも思わなかった

これだけ対価が支払われるのならもう1.2回起こしてもいいかもしれないな…?

 

「ンッン〜♪実にスガスガしい気分だねぇ!

歌でも1つ歌いたいようないい気分だよぉ!

フフフフハハハハ!」

 

次の映画も、その主役も決まった!あとはゲマトリアの用意した最高の仕事場で最高の映画を作るだけだ!

 

「さてと、鑑賞会もそろそろ終わる頃合いだろう」

思った以上に百鬼夜行の生徒には嫌われてしまったらしいがまぁ必要経費だ

今度はレッドウィンターかハイランダーあたりにでも行ってみようかな…?

 

「あれ、マエストロ?どこだ?」

ふと見るとさっきまでマエストロが座っていた椅子が空っぽ、代わりに窓が空いており外からは人形の軋む音…

 

「うおっ、彼ってあんなに速く走れたんだ」

外を見ればとんでもないスピードで走って行く彼の姿が見える

 

「…でもなんで?」

「私を見たからじゃないかな」

 

 

「うわっホシノくん!?」

少しフラついているホシノが音もなくドアを開けてそこに立っていた

 

「黒服達が話してるのを聞いた…先生が2度と戻ってこないっていうの、アナタが流した嘘だってね…?」

「む、聞いたのか…ああそうだよ?おかげで素晴らしい映画が撮れた!

キミも嬉しいだろう?なにせキミの活躍は余すとこなく形になって、人を感動させる映画になることができたんだからねぇ」

 

「………そのために、そんなことのために私も、シロコちゃん達も、先生やヒナちゃん達も都合よく利用したんだ、そっか」

 

ブンッ!

 

「おっと!?」パシッ

治ったばかりであろう右腕から繰り出されるパンチ、一切の加減が考えられていない一撃なのは分かったが僕はしっかりと受け止める

 

「そんなもの呼ばわりとは言ってくれるね?

でも…ふふ、今の君のパンチ…すごくパワーが弱かったぞ?ピッチャーフライ取るみたいにかんたんに受け止められた

果たしてそんな弱った身体で私を捕まえられるかい?」

「………ぐ」

 

生憎これと正面切ってやり合う気は無い、適当に逃げて身を隠そう

幸いここは都心部とはいかなくともある程度人はいる、人混みに紛れて逃げるのは容易いだろう

 

「じゃあね!」

 

マエストロが逃げた窓から私も逃げる

2階だがなんてことはない、さっさと逃げ切って次の映画を作ろう

 

そう、思っていた矢先

 

「貴様が」

「え」

「妙奇ロハンだな?」

 

飛び降りた先どういうわけか、裏通りに続く通路をびっちりとヴァルキューレが塞いでおり、彼女達の前に立つのは1週間前結局逃した尾刃カンナ

 

「最後のチャンスをやろう、抵抗せず自首しろ

そうすれば命の保障はしてやる」

「ちょっ、冗談だろぅ!?」

 

もちろん自首なんてするわけない、すかさずヴァルキューレの居ない方に逃げ、表に用意していた逃走車両(コンパクトカー)に乗り込む

 

「いったいなんなんだ!?なんでここがバレたんだ…?」

ともかく考えるのは後 バキッ

 

「え"」

 

気のせいで無ければ車が持ち上がっている

両方の前輪が浮き、そこから金属のひしゃげる音が…

 

こ、この光景1週間前にも見たことがあるぞ

外から見るか、中から見るかの違いはあるがこれは──

 

「どこへ行くのかなぁ」

「み"っ!?聖園ミカ!?」

 

彼女まで…や、やばい車ごと潰される!

「うっ、うおおおおお!!?」

少しずつ圧縮されて行く車から命からがら脱出したが聖園ミカは手を止めず、あっという間に車を丸めて投げ捨ててしまった

 

もし逃げるのが遅れていたら僕も某野菜人みたいに…?っていうか早く逃げないと!

 

まさかこの手段まで使うとは思わなかったが急いでビルの中へと戻り、黒服達も使っていたという地下通路を目指す

 

バレている!僕がここにいる事が少なくともヴァルキューレとトリニティにバレている!

上には色々と回収したい物もあるが諦めるしかない、地下通路の入口は…あった!

 

幸いホシノも居ない、これを使えば逃げられる!

勝った!『シャーレの先生追放計画《導かれし4人は無関心》』完っ!

 

「ここは満員だ」

 

え?

 

ガチャッ

 

「逃げることはできねぇぞ」

「あなたの読み通り、よくやったわドグマ」

 

「えっ、えっ!?」

今まさに入ろうとした隠し通路が内側から開き、中からはよく見知った顔と…今1番見たく無い顔が現れた

 

「ドグマ、くん?」

「よう、久しぶりだな?妙奇ロハン」

 

「ひえっ…」

「ただまぁ今俺が話すことはない、用があるのはこっちだ」お願いします

「ええ。さて妙奇ロハン?ゲヘナ風紀委員長として今回の件は見過ごせないわ

大人しく投降してくれるかしら、さもないと…」

 

「さ、さもないと?」

「────さぁ?どうなっちゃうのかしら?」

 

見たことのないような怒り、睨んだだけで心臓の弱い人ならそのまま死ねるような視線の弾丸

だが忘れてはいけない、最悪の時にこそチャンスというものは訪れる

追い詰められた時こそチャンスをものにするんだ…!

 

「くっ…」

「指一本でも動かせば次に目覚めるのは…いえ、目覚めないかもしれないわね

大人しくしていれば危害は加えないわ」

 

近づいて来る…くそ、どうする!?

 

「突入だ!救護騎士団は小鳥遊ホシノを探せ!

ヴァルキューレは私と来い!妙奇ロハンを逃すな!」

 

広く見積もっても棚のないコンビニくらいの広さしかない部屋にヴァルキューレ部員達が流れ込んでくる

 

「あっ!居たぞ捕まえろ!」

「お、おい待て!ここはヒナ先輩に任せて──」

 

押し潰す勢いで突撃してくるヴァルキューレ達

「きゃっ…!?」

「ギャー!折れてる!俺今腕折れてんだよ!押すな!!?痛ぇ痛ぇ痛ぇって!」

 

僕はもちろんヒナもドグマくんも吹き飛ばされる

「ぐ、だが──」

 

これがチャンスだ!やはり最悪の時にこそチャンスは訪れた!

 

「貰うよ!」

倒れ込んだ1人のヴァルキューレから閃光手榴弾をくすね、そのまま投擲

 

身構えていた僕以外の生徒は一時的に視力をまとめて奪われており、今のうちに地下通路から脱出…することはなく

 

ギィー、バタン!

 

扉は閉めるだけ、あとは音を立てないよう迅速に素早くすり抜けて正面玄関から出る

 

これで地下通路を使ったと錯覚するだろう

突入してきた生徒の数を見ても外を封鎖してるのはそう多くない、路地裏を通って人混みに紛れれば

 

「そこだワカモ、撃って」

「はい」

 

「は?げぶっ」

 

なんとか生徒を振り切ったと思ったのに、というか振り切ってたのに

目の前降り立っている、彼女はなんだ?

 

「また会いましたね、妙奇ロハン」

「あ、ああ…?」

 

ワカモのライフル弾は正確にロハンの左足を撃ち抜いており、往生際悪く逃げ回った彼女の逃走劇もいよいよ終わりを迎えていた

 

ザッザッザッ…

 

「あっ!」

後ろの通路がゲヘナ風紀委員に、前の通路がヴァルキューレと正義実現委員会に塞がれてしまった

に、逃げ道が…

 

「………本音を言えば少しだけ感謝をしています

あなたのおかげで先生とワタクシの距離は以前よりもずっと縮まりました」

「………」

 

「しかしそれを差し引いたとしても、今回の所業は…あまりに酷い

ワタクシも破壊や略奪をすることはありましたし本来他人の蛮行を非難する資格は無いでしょう

ただこれは()()()()()()()()!」

 

仮面越しに怒気を発するワカモに気圧されながらもどうすればいいか考える

しかし──

 

お、思いつかない!マンホールも無い、通路も塞がれて…

 

「よーうロハン、お前にはもう逃げ場が無いみたいだな

…あれ?というか剣先さんも来て──げっ!?歌住サクラコ、さま…!?なんでこんなところに…」

 

「小鳥遊ホシノ、アビドス生達が来てるから顔を見せて安心させてあげて」

「うへぇ、分かったよ。でもまずはアイツを先にヤっちゃおうかなぁ〜?」

 

「通路の封鎖は2列で行え、七囚人にも劣らない極悪人だ、絶対に逃してはならん

それと狐坂ワカモは狙うな、今回の討伐対象はあくまで妙奇ロハンだけだ」

 

「んー、ナギちゃんの部下は間に合わないかなぁ?まぁいいか、握り潰せば⭐︎」

「救護ォッ!」

「お前は下がれミネ、ここは私の正義実現委員会だけで充分だ」

「………」(シスターラミィの代わりに来ましたが…皆さんなんの話をしてるのでしょう?)

 

 

 

「こ、こんな、バカな…」

これは何かのマチガイだ…今までピンチは何度もあったが切り抜けてきた

だのに、これは…

 

「ロハン、お前はヴァルキューレと風紀委員会が差し伸べた投降っつー最後の手を蹴った

お前がやったことも既に全生徒が知っている、ここまでだ」

「う、うぐっ!し、しかしキミだって加担したじゃないか!ヒナくん、キミもだ!」

「ああ、だからケジメをつけるために俺達はここに居る」

 

くそっ、屁理屈を…そ、そうだ!

 

「先生!先生は僕を、生徒を見捨てないよね!?ねっ!」

 

藁にもすがる思いだったが初めからこうしておけばよかった、シャーレの先生は例え極悪人であろうと生徒を見捨てない

申谷カイやワカモくんなどが筆頭だ、生徒に甘い彼なら許してくれ「手を、放せ」

「ゑ?」

 

ばしっ

 

乱暴ではない、それでも確固たる拒絶の意思を持って伸ばした手は払いのけられた

びっくりした。私だけでは無く周りを囲んでいた生徒達も1人残らず驚愕している

 

今の、は

 

「もしキミが反省して、ヴァルキューレか風紀委員会に投降してれば弁護するつもりだったよ

やり方は悪かったがおかげで家に帰れたし、親とも話せた、その点は私も感謝している

 

…でもキミは2度も裏切った

私を裏切るのはいい、でもキミは仲間であるはずの生徒達まで裏切った

たくさんの生徒を、何度も裏切って悲しませた

ドグマの右目は治らないかもしれないしホシノとヒナに至っては死にかけた」

「ど、ドグマくんの目をやったのは僕じゃない!そこのホシノくんが「黙れ」

 

「ひっ…」

よく『普段怒らない人が怒ったら怖い』という話があるがこれはまさにそれであった

足が震え、腰が抜け、怪我とか関係なしに動けない

 

「それを知った上でまだ逃げようとするのか?

謝罪の1つすらせず、まだ人のせいするのか?

子供だからってやっていい事と悪い事があるだろう、いい加減にしろ…!」

 

「えっ、先生が…」

「あの先生が生徒を見捨てた…!?」

 

まさか先生が生徒相手にここまで怒るとは思わなかった、周りも同様だろう

普段怒ることはあってもそれは生徒の成長を気にしてのことであり、怒りの中にも気遣いがあった、しかし──

 

「あ、あう、あ…」ブルプル

目の前の男にはそれが無い、ただ凄まじい怒りと憎しみが混ざった声

思いやりの無い、憤怒だけがそこにあった

 

「…あなた様、そろそろ」

「うん、そうだね…おーいカンナ、来てもらって悪いけどやっぱり矯正局は甘いかもしれない

彼女の身柄はこちらが預かってもいいかい?」

「へ!?は、はい、ど、どうぞ」

 

尾刃カンナもここまで怒る先生は見た事が無かったようで、狂犬と呼ばれる彼女が子犬のように怯えていたのは印象深かった

 

「ヒナ」

「うん」

 

「ホシノ」

「うへぇ、なぁに?」

 

「ミカ」

「えへへ、なぁに先生」

 

「ワカモ」

「はい、あなた様」

 

1人1人優しく呼びかける先生、そして最後にはこちらを指差して──

 

「彼女、連れていっていいよ」

「え、え"っ!?」

 

「分かりました。…聞きましたねみなさん?先生のお許しが出ました、早速妙奇ロハンを連れて行きましょう」がしっ

「な、なんだとっ!?」

 

「でもどこに連れて行くの?ゲヘナには連れてったところであまりアテが無いのだけど」がし

「はいはーい!私凄いところ知ってまーす⭐︎

シスターフッドはどーお?」

 

「おや、シスターフッドに来られるのですか?

しかし急に来られても《おもてなし》できるかどうか…」

「ヒッ!?」

 

それまで蚊帳の外だったサクラコが急に出てきて心臓が止まりかける

ま、まさか…!?

 

「それなら心配しないでよ!私たちも手伝うし…ロハンさんにはたーっぷり、楽しんでもらわなきゃね…?」

「そうですか?そうですね、シスターラミィも《世話になった》ようですしいい機会です、トップである私自ら《お返し》してあげましょう」

 

「な、な!」

なんてことを思いつくんだいコイツらは…!?やばい、本当にやばい!

 

死より恐ろしい未来を前にして力の限り暴れるが今更暴れたところでワカモとヒナの拘束を解けるわけもなく…

 

「ホシノさんはどうするー?」

「おじさんは…一度アビドスのみんなと会って来るよ、きっと心配してると思うから…

その後ミカちゃん達のところに行こうかな」

「おっけー⭐︎その時は迎えに行くね!」あ、これ私の電話番号だよ!

「うへぇ、ありがとう〜」

 

「しかしどう痛めつけましょうか?ワタクシがやるとあっさり死んでしまいそうな気がするのですが…」

「それならマコトを呼びましょう、この手の類いなら私より鋭い知恵を貸してくれるわ」

「分かりましたお願いしますヒナさん」

 

「うんうん、じゃあ──

行こっか⭐︎」がし

「う、うおわああああっ!?」ジタバタ

 

冗談じゃない!いやだいやだ!

「うおおおおっ放せッ!ねぇ!?放せ!どこへ引っ張って行く気だァーッ!ねっ!」ポト

 

肌身離さず持っていた予定帳が落ちるが誰も気に留めない、ヒナもミカもワカモも、ただデカい置物を運んでいるように黙々と、歌住サクラコが用意した車へと歩いて行く

 

「………」ヒョイ

 

だが落ちた手帳を拾った生徒がいた

「ロハン」

「ドグマくん僕はどうなるんだ!?私はどこに、連れてかれるんだっ!?」

 

「……さぁな?ラミィにでも聞いたらどうだ

実際にシスターフッドの深部に入ったことは無いから知らんがどういう場所かはなんとなく分かるからな

お前の予定帳に書いといてやるよ」カリカリ

 

《【地獄に行く】》

 

「うああああああ──っ!!?」

 

バタン! ブロロロロ…

 

 

 

 

 

「………ふーっ、終わったか」

 

ったく、やれやれだな




ワカモとコヤンスカヤのクロスオーバーを見てみたい作者のルルザムートです、ハイ。
というわけで悪に天誅を。失ったものを取り戻し、先生追放計画はこれで本当に終わりを迎えました
しかしまだほんの少しだけ続きます。はい、第1話の30thについて
あそこの話と、ポジトロンライフル『ヤシマ』使用レポートの提出がまだ終わってません
それぞれ1話ずつ使って今度こそ終わりになるのであと少しだけお付き合いくださると幸いです
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