シャーレの先生追放計画《集いし4人は無関心》   作:ルルザムート

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短めなので-5thは単品。以降も単品出てくるかも?
-5thです、お楽しみください


-5th

「ぐ…クソ、頭いってぇ…なんだってんだ…」

あきらかに『殴打しました』っつー痛みに目が覚める

 

「…? どこだここ?」

地下室のような薄暗い部屋、床も壁も無機質なコンクリートが敷き詰められており少なくとも生活空間には見えない

 

とりあえず出るか

見たとこ部屋唯一の扉から外に出ようと

「おはようございます」

 

!?

 

真横からいきなり声がして飛び上がりそうになる

「な…!? サクラコ、様…?」

「はい」

 

にこにことさっきも見た人懐っこい笑顔で歌住サクラコがそこに立っている

い、今どこから現れたんだ?さっき部屋を見回した時は誰もいなかったし気配も無かった

ドアは開いてないし…

 

と、直後そのドアが開いた

「おはようドグマ」

「雷川ラミィ…?おい説明しろ、いったいなんのマネだ?」

 

入ってきたのは雷川ラミィと、シスターフッドの生徒達。俺に道案内をしてくれたシスターマリーもいる

 

「なんの、って…あなたを救済する準備だけど」

「………は?」

 

にこにこ、にこにこ、全員が全く同じ笑顔を俺に向けている

全く同じだ。目元も口元も、傾げる首の角度まで。

薄暗い部屋とはいえ彼女達の頭上に浮かぶ虹色のヘイローが強く輝いているせいか良く見えた

 

…待て、おかしい。俺はなんで他人のヘイローを認識できている?というかアレは本当にヘイローなのか?

 

天使の光輪を思わせる虹色のそれが俺以外の全員の頭上に浮かんでいる

なぜか誰1人として違うデザインは無く、全員が虹色の光輪を浮かべているのだ

 

「サクラコ様、サクラコ様、どうか彼女をお救いください」

「おい待てって、どういうこと「聞き届けましたシスターラミィ。彼女、火神ドグマを

『神の子』として迎え入れ、その幸福を約束しましょう」

 

にこにこ、にこにこ、表情は変わらない。変わらないまま歌住サクラコが近づいてくる

…本来他人からは見えないはずの、俺のヘイローに手を伸ばしながら

 

「お、おい何をする気だ!聞いてるのか!?」

「受け入れてドグマ、そうすればあなたも

神の…サクラコ様の子になれるの」

「はぁっ!? あ。」

 

ぎゅ。と俺本人ですら触れないヘイローにサクラコの手が触れて──

「う、うおおおおおっ!?」

 

本能で逃げ出した。所狭しと部屋に来ていたシスター達を押し除けて飛び出した

階段を駆け上がり、廊下を駆け、鍵のかかった教会の入り口を撃ち壊して外へ

 

「いったいどうなってるんだ!?」

早く、今すぐにゲヘナに帰ろう!

「あれ?アナタ、もしかしてゲヘナ生?」

…!

 

トリニティの生徒が話しかけてきた、なぜか俺がゲヘナ生だと見破っている

クソ、バラされる前に黙らせるしか──

 

「ようこそトリニティへ!歓迎いたしますわ!」

「えっ」

 

「やぁゲヘナから来たんだって?よろしく!」

「お腹は空いてない?喉は乾いてない?」

「うわ、ちょ、いきなりどうしたん…うっ!?」

 

声を聞きつけ、わらわらと集まってきたトリニティ生徒達、その頭上にはさっきも見た虹色の光輪が…

 

「…あれ、この子。『祝福』されてないわ」

「ええっ!かわいそう!」

「『神の子』になれてない生徒がまだ居たなんて」

 

見えるだけでも30人、全員が光輪を光らせてにじり寄ってくる

「よ、寄るな!この、やめろっ!」

 

もうゴチャゴチャ考えてる暇はない!

四方八方から伸びてくる不気味なほど真っ白な手を払いのけ、愛用のウィンチェスターショットガン《ロケットスター》を群衆に撃ち込んで吹き飛ばす

 

「『祝福』を」

「ハッ!?」

 

群衆を突っ切って包囲の外に飛び出した瞬間、背後から聞こえる声

見ると吹き飛ばしたはずの生徒達は1人もおらず、かわりに歌住サクラコがそこに立っていた

 

にこにこ、にこにこと変わらぬ笑顔を見せながら

「ぐっ、クソ!俺が、俺が何をしたってんだ!」

 

ゆらりと向けられた彼女の手のひらは一言で言って『異常』だった

手の甲も腕も身体も普通なのに、手のひらの中だけが空洞だった

 

人の肌はそこに無く、まるで手のひらの中だけ夜空が広がっているようだ

数秒見つめてしまえば手の中の星空に取り込まれ、その一部にされてしまいそうな感覚…

 

やばい…!なにか分からないがアレに捕まるのだけはやばい!!!

 

走る、走る、理解できない恐怖から逃れるために走り続ける

 

そして──

 

「火神ドグマ?…随分息が切れているけれど何があったの?」

ふと、優しい声が聞こえた

「空崎、先輩?」

 

ゲヘナ風紀委員長、空崎ヒナ。頼れる先輩でありゲヘナ最強の生徒。

どうやらいつの間にかゲヘナ学園敷地内に帰ってきていたらしい

 

「はーっ、はーっ…いえ、ちょっと…説明できないと、言いますか」

 

なんて言えばいい?トリニティの歌住サクラコが実は神で生徒を洗脳してまわっていた、とでも言えばいいのか?

そんなの俺自身信じられない、とりあえず今後トリニティには絶対に近付かないようにしなくては…

 

がしっ

「え?」

空崎先輩が俺の腕を掴む

 

「だめじゃない、逃げ出したりしちゃ

せっかくサクラコ様が『祝福』してくれるのに」

「は、えっ、なん、な…!?」

 

トリニティで嫌と言うほど見た『にこにこ顔』、そして虹色の光輪、それが空崎先輩に──

 

「そうだよ!サクラコ様の言うことは聞かないといけないんだよ!じゃないと悪い子になっちゃうよ!」

イブキちゃんがお腹に抱きついた

 

「キキッ、そうとも。サクラコ様に従うことこそ正しい行いであり善なのだ」

万魔殿議長が後ろから羽交締めにしてくる

 

「こちらです、サクラコ様」

部屋の扉が開き、雷川ラミィと共に彼女が、歌住サクラコが現れる

 

「ぐっ!?ぐっ、く、くおおおおあああ!!」

なんとか片手を振り抜き、ショットガンを──

 

バチンッ!

 

「無礼だぞドグマ」

剣先ツルギに弾き落とされるショットガン

 

みんなみんな、俺以外の全てが虹色の光輪を浮かべながら俺を見ている

そして──

 

「嫌だ…!やめろ、やめてくれ!」

シスターの皮を被った『得体の知れない女』の手が、身じろぎ1つできない火神ドグマへと迫ってくる

 

「『祝福』を」

 

夜空のような虚空の手のひらが俺のヘイローを握った

「ひいいっ!?」

 

どろりと溶け出し液状化していくヘイロー、だがサクラコはそんなこと構いもせず、今度は直接頭の中に手を入れていく

 

「んぎゅっ、ぷえっ、えっえげっ…ぇ"…」

ずぶずぶ、ずぶずぶ、おそよ人間の身体から聞こえてはいけない音

 

頭の中にサクラコ様が、『神』が侵食していく…

「やめ、やめてとめて、俺を否定しないでくれ

思い出も、意思も、俺だけのものなのに」

「いいえ、この世全ての存在は例外無くサクラコ様の物。あるべき場所にただ返すだけ」

 

もう誰の声かも分からない、分かっているのはただ俺が俺で無くなっていく事実だけ

 

「たちゅ、けて、だれ、か…」

「ええ救いましょう。あなたを『祝福』し、『神の子』として迎え入れましょう

 

みなさん、666人目の神の子に

どうか『祝福』を」

 

サクラコ様の言葉を皮切りに色々な声が聞こえてくる

 

「おめでとう」

空崎先輩が拍手をする

 

「おめでとう!」

イブキちゃんが喜ぶ

 

「キキッ、おめでとう」

万魔殿議長が頷く

 

「…おめでとう」

剣先さんが微笑む

 

「いや、だ…あ、うあっ…さくらこ、さまぁ…」

ドグマの頭上には溶け切ったヘイローとは別に、虹色の光輪が浮かんでいた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こら着いたぞ、起きたまえ!」ぼかすか

「うやぁっ!?さ、サクラコ様!?」

この上なくマヌケな声をあげて飛び起きる

!! …?あ?

 

「凄いうなされようだったよ?いくら殴っても起きないし…

それに『サクラコ様』ってキミ、シスターフッドに入る気かい?」

「…ロハン、俺のヘイローはどうなってる?」

「え?何言ってるんだ、他人のヘイローが見えるわけないじゃないか」

「………だよな」

 

停車した電車の中、窓ガラスに映った自分のヘイローを見る

…いつも通りの俺のヘイローだ

 

「あー、キミほんとに大丈夫かい?なんなら休んでても…」

「いや、いい。行こう」

夢…そうただの夢だ。気にしないでおこう

 

雷川ラミィと接触した翌日、俺とロハンは最後の1人である青山フクヨに会いに来ていた

 

百鬼夜行連合学園、か

駅を出て少し歩いただけでもすぐに分かる

 

ゲヘナのような治安の悪さもトリニティみたいな腹黒いところも見えない、上手く言えないが…のんびりできそう、とでも言えばいいか

 

「観光に来たんじゃあないぞ、時間は限られているんだからねぇ」

俺の考えを見抜いたか釘を刺してくるロハン

 

ちなみに彼女への仕返しはまだできていない、まぁこっちはそれこそのんびり考えればいいか

 

「さてここだ」

「ここか?」

てっきりもっと中心部に行くと思っていたが。

そんな予想に反してやってきたのは百鬼夜行連合学園の外れ、自治区内ギリギリだ

 

目の前の建物はどうやら服屋のようで屋上に備え付けられた正六面体の青い看板には堂々『青山』と書いてある

 

「さぁ行こう。…失礼するよ」

「あ、いらっしゃいませー」

内装は…正直百鬼夜行に合っていない気がする、どっちかと言えばトリニティっぽい

 

白い狐を思わせる銀の髪と耳を携えた店員がぺかっとした笑顔で出迎えてくれた

 

「やぁ店員さん、実は4着目の服を探しにきたんだが置いてるかい?」

「…4着目、ですか」

「そうとも。置いてるんだろう?」

 

なにやらロハンと店員が話している、多分あれが合言葉なんだろう

 

「…奥に置いてますが取りに行くのに時間がかかります」

「いいとも、いつ取りに来ればいい?」

「明日の午後11時以降、裏口を開けておきます

その時間に」

「分かったよ。さぁ戻るぞドグマくん」

 

サムズアップしたロハンが上機嫌で戻ってくる

「…これなら休んでても良かったな」

「だから言ったじゃないか、さぁ宿は取ってある。今日は休もう!」

「は?ちょっと待て、百鬼夜行に1日泊まるのか?」

 

明日はフツーに授業あるんだが!

「そうだよ?」

「っておい待てって!今のところ無遅刻無欠席なんだぞ…いや遅刻は一回したが!」

 

これ以上記録を潰したくはない!

「いいじゃあないか、ゲヘナでそんなこと気にする生徒はいないだろう」

「俺が気にするんだよ!」

「うるさいなぁ、だったら宿のキャンセル料キミが払ってくれよ」

「アホか!なんで俺が…」

「だってキミの名前で予約したから」

 

こ、このドブ女ぁ…!

あまりの勝手にこの場で再起不能(リタイア)させてやろうかと思ったがそうなってはそれこそ俺のイメージが悪くなる

 

「おっと宿代は僕の奢りだ、感謝してくれてもいいぞ」

「いつかテメーの薄ら笑いを顔面ごと消してやるからな???」

 

キャンセル料がアホみたいに高かったので俺は泣く泣くゲヘナに戻ることを諦めた

チキショウ、俺の記録が…

 

ちなみに宿は最高だった




ワカモのモッフな尻尾をモッフモッフしたい作者のルルザムートです、ハイ。
いやぁ投稿するだけってのは楽でいいね、もちろん書いてはいたけど書く→投稿→書く…だと変なプレッシャーがかかるし
今のうちに次の書くか…
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