シャーレの先生追放計画《集いし4人は無関心》   作:ルルザムート

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短めな-3th ③です、お楽しみください


-3th ③

「あー疲れ…え?」

演習場から戻ってくるなり俺を出迎えたのは正実の生徒…の津波。

 

「うわ…!?むぎゅ!!」

 

わあっ…!と押し寄せる生徒達にもみくちゃにされてあっという間に埋まってしまう

い、いったいなんだってんだ!?

 

「さっきのどうやったんですか!?」「いやそれは…」「銃を反対に撃って、どーんっ!って!すごかった!」「どうやってツルギ先輩を捕まえたの!?」「教えるから出して…」「途中までどこに隠れてたの?」「移動方法がまんま神羅社長。」「お前はミッドガルに帰れ」「その銃どこで買ったの?」「私にもあの高速移動できる?頑張ったらできる?」「君ゲヘナに居なかった?」

「だ、だから…うがーっ!押しつぶすなぁ!」

 

そんな叫びも虚しく彼女達に潰され、俺は正義の波の下へと沈められるのだった…

いやまぁ剣先さんと先生が助けてくれたけど。

 

 

 

 

 

でー、助けてもらったはいいが。

 

 

 

 

 

「…私から見えたのはこれくらいですね、マシロ。外から見ていて気付いたことはありますか?」

「はい、やはり先生の護衛がゼロだったことが致命的だったかと。

とはいえまさか銃の反動で空を飛ぶとは予測できるはずも無いですし仕方なかったのでは…」

 

「………」

うう、居づらい…なんでこうなったんだ…

今は演習後のAR…簡単に言えば反省会を開いているのだが場にいるのはツルギ、ハスミ、イチカ、マシロの4人+ドグマの計5人だ

先生すら席を外したのにどうして…

 

「…私たちに『仕方なかった』は許されない。予測できなかったとしても止められなければ我々はなんのためにここにいる?

これが実戦なら先生は連れ去られていたか殺されていたか…

 

何ができるか、にばかり目を向けていて何ができなくなるかを見ていなかった。

先生と共に動く場合は私たちの誰か、もしくは4人以上の班を編成して護衛に当たらせるべきだろう

 

…ドグマ、お前は何かあるか?」

「えっ、オレ!?あ、いや私ですか?」

 

いきなり話を振られて思わず素が出てしまう

というかナチュラルに名前を呼ばないでほしいんだが…

 

「…心配するな、ここの4人はお前がゲヘナ生だと知ってる。シャーレの当番だったんだろう?そのような事情を知ってなお追い出そうとするような生徒は正義実現委員会に居ない」

「………」

 

どうやら俺たちの計画云々ではなくシャーレの当番としてここにいると説明したらしい

それならいいか

 

「ええと…私から見た感じでは後半、先生に頼り切りのように見えました」

「あー、言われてみれば確かにそうかもしれないっす」

「…? どういう意味ですか?」

 

「私が正実委員達を無力化して行く途中、急に剣先さん、羽川さんの部隊と遭遇することが多くなり、そこで隊全体への損害は与えられなくなった…これは先生の指揮でこうなったと考えていますがそれは合っていますか?」

「ああ、最初は私が指揮を取って捜索していたが探し出すどころか次々やられて行くのを止められないと判断して代わってもらった」

 

…やはりか

 

「その途中、一回でも先生と一緒に方針や部隊の動きを話し合って決めましたか?」

「いや、代わってもらってからはそのままずっと…なるほど、そういうことか」

 

ツルギとイチカは気付いたようだがハスミとマシロはまだよく分かっていないようだ

 

「付き合いは殆どありませんでしたが先生は生徒のためなら文字通り命だって張る人なのは聞いています

多分先生自身自分に護衛をつけて欲しい、なんて一言も言わず、また誰もそれに口を挟まなかったんじゃないですか?」

 

「…!」

「あ…!」

どうやら気づいたらしい

 

「もちろんこれを油断と言えるのかと聞かれれば難しい、まともに考えてあの状況で先生の元に敵の手が迫るとは考えられないので」

「だがお前が来た」

「はい」

 

先生の指揮はすごいみたいだが先生だって神じゃない、間違えることもあるだろう

 

「正義実現委員会からの視点、あくまでも先生は部外者です。指揮を頼むのは良いかもしれませんが頼んだとしても剣先さんは指揮官の座を降りるべきでは無かったと思います」

 

いくら優秀であろうと正義実現委員会の者で無ければ判断できないこと、間違えてしまうこともあるだろう。指揮官が1人でないといけない理由は無いんだ

 

「あとは…先生自身に教えを乞うのはどうでしょう」

「せっ、先生に!?」

 

剣先さんなんでそこで挙動不審になるんだ…

いいや、ほっとこう

 

「極論ですが先生がどんな思考で指揮をしているのか学ぶことができれば先生が居なくとも同じことができるのでは無いでしょうか」

「そ、そうか…うむ…」

 

4日後に先生はこのキヴォトスから消えるからそれより早く頼んだほうがいい、と言えれば良かったが当然言えるわけもない

俺にできるのはここまでだ

 

「…ありがとう」

「役に立ったなら良かった、それでは私はそろそろ「待て」

 

がし、とツルギが肩を掴む

だが戦闘時に見せていたような威圧感や狂気はそこに無く、掴まれていてもなお僅かにしか感じない震えが剣先ツルギが年相応な普通の少女であることを知覚させる

 

「剣先さん…?」

「みんな、すまないが…席を外してくれるか?

2人で話がしたい」

 

ただそれも本当に僅かかつ一瞬、ハスミやマシロといった他の正実委員は気付いていない

…仲正イチカだけは何か勘繰っていたみたいだが

 

「…行ったか」

「あの、話とは…?」

 

テーブルと椅子だけの殺風景な会議室には俺と剣先さんの2人だけ

「…お前の戦い方」

「え?」

 

「銃を後ろに撃って加速したり、僅かな予備動作から相手の動きを予知したりと、これまで経験したことのない相手と戦えた。ありがとう

ただ動きが直線的すぎる、ロープとかワイヤーを使って動きに工夫をつけたほうがいい」

「え、あ、どうも…」

 

確かにそれは改善しないといけないとは思ってたが…わざわざ2人きりで話すことか?

 

「それと山田マヤのことだが…良ければ少し様子を見てやってくれないか?

私のせいでPTSDになってないか心配でな

トリニティ生ならハスミ達の誰かに頼めるんだが」

「分かりました」

 

…どうもおかしい

「ああ。…ありがとう」

歯切れが悪い、今の彼女は聞きたいことはあるが聞けずに濁しているようにしか見えない

 

「えっと…他には…?」

「………いや、無い」

「分かりました、では改めて失礼」

だがそこは火神ドグマという女、こちらからそれについて指摘も追及もせずに終わらせる

 

気にならないと言えば嘘になるが下手につついてヘビを出したくはない

そう思いそそくさと部屋を「っ待て!」

 

「………あの」

「頼む、待ってくれ…本当に聞きたいことは他にあるんだ」

 

ホントに同一人物か?と思えるほどしおらしく手首を掴まれる

多分だが正実委員の人たちにも見せたことが無いと思う、それくらい異常だった

 

「私は、あまり人と接するのは得意じゃない

自分で言うのもおかしな話だが情緒不安定というやつか」

 

…?

言いたいことが見えてこない、いったい…

 

「そんな私でも他の生徒のように普通に会話ができる状況が2つある。1つはハスミやイチカといった気の知れた相手しかいない時

もう1つは…どうしようもない非常事態の時だ

 

なんだろうな、3年間ずっとこの役割をこなしていたからかなんとなく感じるんだよ

…ここでお前を止めておかないと大変なことになると」

「…っ!?」

 

反射で背中のロケットスターに手を掛ける

が、当のツルギには戦闘の気配は無い

 

「私は止めるつもりは無い、ただ正義実現委員会の長として感じたまま言葉にしただけだ

そしてこれは正実委員長としてではなく剣先ツルギとしての質問だ

………お前は、お前達はいったい何をしようとしてるんだ?」

「言えません」

 

答えられるわけがない、だがだからと言ってこれが間違っているとも俺は思わない

だからきっぱりと言う、『言えない』と

 

「言えないか。…そうか」

さてどう来る…?

「分かった、もう行っていいぞ」

「…追及しないんですね」

 

こっちとしてはありがたいからいいが…なんでだ?

 

「もし少しでも迷いや後ろめたさが見えたらどんな手を使ってでも吐かせるつもりだった」

ギラリと睨みをきかせる彼女からはそれが脅しではないというオーラが出ている

 

…率直に言って超怖い!

 

「だがお前にはそれが無かった、悪意が無いことは以前から分かっていたしそれに対する迷いが無いことも今確認できた、だからもういい」

「──ありがとうございます」

「時間を取らせてすまなかったな、先生によろしく頼む」

「はい、ではこれで…」

 

今度こそ扉を開けて部屋を去る

 

………計画が終わったら、もう一度彼女と話す必要があるな

「なんて言えばいいのか、まるで分からないのがキツいが」

 

「ドグマ、ツルギとの話は終わったのかい?」

「ええ、待たせて申し訳ありません先生」

「構わないよ、むしろのんびりできて良かったくらいさ」

 

出迎えてくれた先生に一言謝って合流、演習という用も済んだことだしこれからシャーレに帰るところだが…

 

…そうだ

「先生、それなら少しゲヘナに寄っていきませんか?」

今日の仕事がもう無いのならそれくらいの時間はあるはずだ

 

「ああ、いいよ行こう」

よし、これでゲヘナ内で俺と先生が一緒に行動しているという認識を広められればあるいは…

 

と、その前に風紀委員会か万魔殿のどちらに連れて行くか考えないとな

計画前にこんなチャンスはもう巡ってこないだろうし…いや待てよ?

…うん、決めた

 

「それでゲヘナのどこに行くの?」

「それはですね…」




ワカモほど純愛が似合う生徒はいないのでは…?と最近思っている作者のルルザムートです、ハイ。
メモに下書きしてたのをそのまま持ってきたら意外と短くなってしまった…
そしてここからドグマさんはちょっぴりお休み、明日はラミィの切り札を取りに行くところからっすよぉ
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