艦これー提督の決断ー   作:れい4116

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いよいよ艦娘と深海棲艦の戦闘が始まります


第2話 初めての艦隊指揮

 大急ぎで指令室へと駆け込んだ俺を出迎えたのは、神通だった。

「お待ちしておりました、提督。どうぞこちらへ」

 

 神通の後ろをついて室内へと入ると、そこにはもう一人艦娘がいた。

 

 片目に眼帯をつけ、白と水色を基調としたセーラー服のような服を着た艦娘。

 確か名前は木曽だったはず。

 

 木曽は横目で俺の姿を見た後、机の上に置かれてある海図へと視線を戻した。

 

「現在、鎮守府近海に出現した敵艦隊はこちらに向け進軍中。編成としては軽巡「ヘ級」が一隻、駆逐艦「イ級」が三隻です」

「大した数じゃないな。それで提督、こっちはどう出る?」

「すぐに迎撃部隊を向かわせます。編成は第二戦隊に任せます」

 

 第二戦隊。

 それは、軽巡二隻、駆逐四隻からなる編成で、現状の鎮守府において最高戦力といっても過言ではない編成だ。

 

「わかりました。第二戦隊、出撃準備をお願いします」

 俺とのやり取りを終えた神通は第二戦隊に出撃命令を下している。

 そんな神通を横目に見ながら、木曽が話しかけてくる。

「なあ提督。あの戦力に第二戦隊は過剰戦力じゃないのか?」

 木曽が言うことはもっともだ。

 おそらく彼女や神通であれば、もっと少数の戦力で対処しただろう。

 

 俺がこの編成を選んだ理由。

 それは俺なりの優しさだった。

 

 彼女たちは深海棲艦と戦うために生まれた存在。

 そんなことはわかっている。

 だが、俺からすれば彼女たちも普通の人間と変わらない。

 そんな彼女たちが傷つく姿を、俺は見たくなかった。

 

「そうかもしれませんね」

 そんな気持ちを悟られないように、俺は苦笑いを浮かべながらそう答えた。

 

 

 

 鎮守府を出撃した第二戦隊は、旗艦である軽巡「球磨(くま)」を先頭に、敵艦隊が出現した海域へと進んでいく。

 

「もうすぐ作戦海域クマ。警戒態勢を厳とせよクマ」

 球磨の号令を聞いた艦娘たちは表情を引き締め、それぞれの武装を構える。

 

「前方、敵艦隊発見です!」

「攻撃開始クマ!」

 球磨の合図とともに、艦娘たちが一斉に攻勢を開始する。

 

 比較的射程の長い球磨と多摩が、スピードを緩めながら砲撃。

 発射された砲弾は放物線を描きながら飛んでいき、駆逐艦「イ級」に着弾する。

 イ級は黒い煙を上げながら進行を停止。やがてゆっくりと海水へと沈んでいった。

 

 続いて軽巡「ホ級」、および駆逐艦「イ級」が反撃を開始する。

 しかしイ級から放たれた砲弾は球磨たちより遥か手前に着弾し、激しい水しぶきを上げる。

 残されたホ級の砲弾も、回避行動をとっていた彼女たちにあたることはなかった。

 

「一気に畳みかけるクマ!」

 一隻減ったことを好機ととらえた艦娘たちは、全速力で深海棲艦へと近づいていく。

 そして、魚雷の射程内へと入った瞬間、一斉に魚雷を発射した。

 

 魚雷は白い軌跡を描きながら深海棲艦に向かって進んでいく。

 慌てて回避行動をとる深海棲艦たちだが、放射状に広がっていく魚雷を避けることは不可能だ。

 

 次の瞬間、轟音とともに激しい水しぶきが上がる。

 魚雷にあたった深海棲艦たちはみな、海の藻屑と化していた。

 

 

 

「敵艦隊撃破完了。こちらに損害はありません」

 神通からの報告を聞いて、俺はほっと胸をなでおろした。

「やるじゃないか」

「勝てたのは俺のおかげじゃありません。皆さん、艦娘のおかげです」

「ま、それもそうだな。それじゃあ俺はあいつらを迎えに行ってくる」

 そういうと、木曽は帰ってくる艦娘たちを出迎えるために部屋を出て行った。

「私も彼女たちの出迎えに行ってきます。提督はどうされますか?」

「俺は執務室に行きます。いろいろとやることがありますから」

「わかりました。それでは失礼します」

 

 

 

 執務室の椅子に座るや否や、糸が切れた操り人形のようにぐったりとした。

 神通にはやることがあるといって別れたが、落ち着きたかったというのが本心だ。

 

(俺の指揮で、彼女たちの命運が左右される)

 気づけば俺の掌は汗でぐっしょりと濡れており、小刻みに震えていた。

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