再構築しました。完全に新作です、元の設定をこねくり回したので変わってないところも多々あります。
それでは、どうぞ
「死」に追いつかれないように、必死に飛び続ける
「はぁ…はぁ…!」
突如として私の前に現れ、私に攻撃を仕掛けてきた黒の外套に身を包んだ仮面の謎の人物。
そいつから逃げ続けてどれくらい経過しただろうか…アグライアちゃんがそろそろ帰りが遅い私を心配してくれているころだろうなぁ…
そんなことを思いながら逃げ続ける
事態の発端は数刻間へと遡る…
時は遡り数刻前…
金髪の美しい淑女が告げる
「少し良いですか?『イカロ』?」
「ん?どうしたのアグライアちゃん?」
『イカロ』と呼ばれた、純白の翼をはやした少女が返事をする
「…イカロ、他の目があるところではちゃん付けをしないと約束したはずですよ?」
「えぇ~?姫ちゃんだけなんだから別によくない?姫ちゃんもそう思うでしょ?」
いきなり話題を振られたながらも姫ちゃんと呼ばれた少女、キャストリスは戸惑いながらも返事をする
「その…イカロ様。約束はしっかりと守られた方がよいと私は思います…」
「姫ちゃんもアグライアちゃんの味方をするの?トリちゃん達にもこの前同じこと言われたし…でも私はちゃんを付け続けるよ!ここでちゃん付けを続けるのも、『勇気』だからね!」
「……あとで貴方には少しお話をする必要があるようですね、『え!?』しかし今は、貴方にお願いがありますので貴方が帰って来てからにするとしましょう。」
お話、その単語を聞いた途端イカロはキャストリスに視線で助けを求める
しかしキャストリスは首を横に振り否定の意を示す。そのことに落胆しながらも問いを返す
「それで私へのお願いってなんなの?アグライアちゃん?」
「これだけ言われても辞めないその胆力は私も見習うところがありますね…それで私からのお願いというのは、この手紙を樹庭にいるヒアンシーまで届けてほしいのです。彼女には既に貴方が届けに行くことを伝えているので、貴方から彼女への連絡は不要です。それに、最後に会ったときは喧嘩別れのような形だったと聞いていますよ、これを機に関係を修復しては?」
「それ最初から私に断らせる気がないよねアグライアちゃん…勿論手紙を届けるのはいいんだけどさ、シーちゃんと仲直りできるかな…私シーちゃんのことを怒らせちゃったし、あれは約束を破っちゃった私が悪かったことだから許してくれるかな…」
イカロは柄にもない不安そうな顔をしながら、言葉を溢す
「ふふ、貴方らしくないですね。貴方は彼女の親友なのでしょ?でしたら貴方がしっかりと思いと理由を伝えれば大丈夫なはずですよ。これでもまだ迷うならば、こうしましょう。もし貴方が依頼をこなし、関係を修復したならば説教の件は無しとします。それでも、まだ迷いますか?」
その言葉を聞き、勇気を貰い覚悟が決まったのかイカロは顔を明るくする
「…いや、大丈夫だよアグライアちゃん。ありがとね、気を使ってもらっちゃって…ちゃんとシーちゃんと仲直りしてくるね!それじゃあ今すぐにでも行くね!それじゃあね!…っとその前に」
イカロは立ち止まると、キャストリスの前で腕を広げる
「姫ちゃん!いつもの!」
その言葉を聞くとキャストリスは、少し照れながらもイカロに抱き着く
「姫ちゃんの体は、やっぱり温かいね!「勇気」をもらってるみたいだよ。みんなも触れられたらいいのにね〜」
「ありがとうございますイカロ様…もしよろしければですが、私はイカロ様が仲直りできるようお守りを作ってきたので、これをどうぞ」
そう言うとキャストリスは、紫色の蝶を形どったブローチをイカロに渡す
「ありがとうね姫ちゃん!私大切にするよ…よし!それじゃあアグライアちゃん今度こそ行ってくるね!姫ちゃんもまたあとでね!次は一緒に手芸しようね!それじゃあ!」
そういうとイカロは、慌ただしく飛び立っていった
「ほんとうに嵐のような子ですね…彼女は」
アグライアは、飛び立って行ったイカロを見つめながら呟く
「その通りですね…アグライア様。彼女にはいつも驚かされてしまいます。本当に凄いこと方です、誰しもが彼女を前にすると優しくなったり、甘くなったりしてしまいますから…それは出身や性別、年齢関わらずです、皆が彼女のことを愛してるのでしょう…」
「それは貴方もでしょうキャス、彼女が私に本当に怒られることになっていたら、貴方はきっと彼女に対して助け舟を出していたでしょう?」
「見抜かれていましたか… しかし、アグライア様も彼女に説教をするつもりは始めからなかったと思います…お互い様ですアグライア様」
「ふふ…彼女のそういうところもまた、彼女の美点ですからね。叱ることなどできませんよ、それに彼女は相手が本当に嫌がることはしませんからね」
彼女達は他愛もない話をする。彼女達は黄金裔「火を追う旅」をするもの、その旅には犠牲がつきものである。過酷なその旅において彼女は、間違いなく癒しであった。
しかし、別れとは誰しもに平等に訪れ、非常なものであるという事を忘れてはならない…
私はアグライアちゃんに、別れを伝えてからすぐにオクヘイマを飛び出して樹庭に向かっていた、その時のことだった
何処からか途轍もない殺意が飛んでくる
「!!」
それに反応して、私は瞬時に体を捻らせる。すると、私が数秒前までいた場所には、剣を構えた黒い外套で身を包んだ仮面の人物が立っていた。
「…貴方は、いったい何者?」
「………」
仮面の人物は、答えないただ再び剣を構えて私に攻撃を繰り出す
「ッ!危ない!」
再び攻撃を躱す、確信したこいつはやばいと、私の脳内で警報が鳴り響く…私はすぐにオクヘイマへと折り返そうとするがそれを許さないように、そいつは分身を繰り出し進行方向を塞ぐ。そして再び攻撃を繰り出してくる
「逃げるしかない!」
そうして私とそいつのチェイスが始まったのだった…
そいつの目的はわからない、ただ奴は私がオクヘイマを出て一人にタイミングを待っていたかのように、襲撃してきたから狙いは私だろう。
私は、ノンちゃんとかアグライアちゃん達みたいに敵と戦うことなんてない非戦闘要員。つまり、私に出来るのは逃げ続けることだけ。しかし、それも終わりが近づいてきた…
「…クッ!」
何処からともなく現れたそいつからの攻撃を、疲れてしまった私の体は反応することができずに喰らってしまい、私の羽が一枚切り落とされる
「ハハッ…こんな辺境のまで追い込まれちゃったら流石に無理かな…」
私には似合わないだろう、乾いた笑みが溢れる。
奴は私がオクヘイマに戻れないよう、私をどんどんオクヘイマから離れるように追い詰めてきた。私がそれに気づいたときには、もう手遅れで到底帰ることの出来ない位置まで来てしまっていた。
「まずは一つ…」
そう言うと仮面の男は、白い武器を構えた
「(なるほどね〜狙いは私の持つ「勇気」の火種か。火種を狙っているから、私が一人になったタイミングで誰にも見られない場所で密かに暗殺する…ってことかな?正直この羽じゃさっきみたいに逃げるのは無理だろね)」
『死』という文字が脳内に色濃く思い浮かぶ。
「(私がここで何もせずに死んじゃったら次にまた、誰かが狙われる…それは)見過ごすことは出来ないよね、せめて私がここで…貴方のことを何とかしてみんなに知らせてあげないとね…」
そういうと私は既に満身創痍の体に鞭を打って起き上がる
「………」
奴の歩みは止まらない。そして奴が私の体に白い武器を差し込み、火種を奪おとした、その時に私は行動する
「!!」
私は、奴が掴むことのできる距離まで来るのと同時に奴の背に手を回しガッチリと掴む
「私には戦う力がないから油断してたでしょ?でも、私をこんなとこまで追い込んだのは失敗だったね!」
そういうと私は力強く地面を蹴り飛翔する
私はこのまま行けばなす術も無く殺されてしまう、けど私は
「これでも黄金裔の一人だからね!ただでは死んであげないよ!」
ぐんぐんと奴と一緒に天空へ向かって上昇して行く
私の力じゃ奴を倒すことは出来ない。
けれども…
「ねぇ、知ってる?天外へと向かおうとするとね、エーグルから攻撃されるんだってさ。その攻撃は、都市を一つ無くしてしまうほどの威力なんだって…」
「!!」
それを聞いた途端、私の狙いに気がついたのか奴は暴れ始める
きっと、背中を何度も何度も繰り返し剣で刺しているだろう。体から血が抜けていき、今にも倒れそうになるけど、
「無駄だよ…仮面くん。私は「勇気」の半神だよ?…この身には「勇気が宿っているんだから…そんな私の意思止めることは出来ないよ!」
まもなく、あと少しで天外へと到達する。
しかし、それと同時に空から光り輝く光線が飛んで来ているのも確認できた。
きっと、エーグルの攻撃だろう、仮面くんを逃さないようにしっかりと掴む。
そしてその日、オンパロスには大きな光の柱が観測され、一人の少女が行方不明となった…
光に包まれながら独り想う
「(アグライアちゃんならきっとこの攻撃に気づいてくれるはず、気づいてくれたら切り落とされた私の羽を見て、私が襲撃されたって思うはず…はぁ、シーちゃんと仲直りできなかったな…キャスちゃんとの約束も果たせそうじゃないし、悔いがたくさん残っちゃったな…でもきっと黄金裔のみんななら「再創期」に辿り着ける。そして、いつか西風の果てで再開するんだ…トリちゃん達の言葉を借りるなら、みんな「また明日!」)」
それを最期に彼女の意識は途切れてしまった、その後黒い外套で身を包んだ人物がどうなったかは、わからない。
ただ、エーグルの攻撃で焼き払われた地には、煙で霞んだ純白の翼だけが残された…
しかし、彼女の旅は終わらない。別れはまた、新たな始まりでもあったのだ…
「あら?目が覚めたのね?安心して頂戴、ここは危険な場所じゃないわ。ここは「星穹列車」よ、私は星穹列車でナビゲーターをしている「姫子」。貴方のことも教えてくれないかしら?」
旅はまだ終わらない…
設定
主人公「イカロ」
「勇気」の火種を受け継いでいた、黄金裔の一人。
タイタンからの祝福として大きな二対四枚の純白の翼と、特異体質とも言えるほどの健康体を有しており、「死」の侍女とも触れ合うことが出来た。
誰彼構わずに、親しく接しており名前を呼ぶときはいつも愛称で呼んでいる。
黄金裔は彼女に対して、かなり過保護である。
服には、紫の蝶を模ったブローチととある医者とお揃いのリボンが付いている
この後は、少し残された黄金裔の様子を描写する予定です。