今も青き、呪術アーカイブ   作:ネログリフィス

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前回のアンケートへのご回答ありがとうございました。
ストーリーの都合上、呪術sideのオリキャラが登場することはあると思いますが、準レギュラー的立ち位置のキャラは作らないように立ち回っていこうかと思います。

まあ、出るにしてもまだまだ遠い先の話になると思いますが。


そうだ ブラックマーケット、行こう。

「カイザーローンとお取引いただき、毎度ありがとうございます。来月もよろしくお願いいたします。」

 

そう言うと、カイザーローンの職員であるロボットは、スーツケースを片手に現金輸送車に乗り込んで、アビドス高等学校を走り去っていく。その車の後ろ姿を見届け終わったところで、小鳥遊さんが肩の力を抜きながら言葉を漏らす。

 

「はぁ、今月もなんとか乗り切ったねー。」

 

「それにしても、788万・・・・細かい部分は忘れたけど、それだけのお金をよく稼ぎ切れたな・・・・。」

 

「正確には788万3250円ですね。アルバイトやシャーレの業務によるお給料は勿論、学校の使わなくなった物置の掘り出し物を売却して、なんとかって感じです。」

 

奥空さんが苦笑いを浮かべながら、俺の疑問に答えてくれる。このままの調子でいけば、いずれ完済できるかもしれないが、現状を維持し続けても解決はできない。身体を壊すのが先か、補填のために売却している掘り出し物が尽きるのが先かだ。

 

「奥空さん、ちなみに完済までどれくらいかかるの?」

 

「309年返済なので────」

 

彼女がそう答えかけたところで思考が止まる。

 

人間って、生きられてもせいぜい100年そこらじゃなかったっけ?そもそも、アビドス高等学校は3年制なので、完済までに100回は生徒の入れ替わりが発生することになる。

 

「言わなくていいわよ。正確な数字で言われるとさらにストレス溜まりそう・・・・どうせ死ぬまで完済できないんだし!計算してもムダでしょ!!」

 

黒見さんが言っている通りだ。今世をすべてかけても返し切れないほどの負債を直視したところで気が滅入るだけだ。いっそのこと今は我武者羅に、目の前の返済に当たる方が気が楽かもしれない。

 

「ところで、カイザーローンはなぜ現金でしか受け付けないのでしょうね?わざわざ現金輸送車まで用意して・・・・。」

 

「確かに。口座から引き落とした方が早いし簡単なのに。」

 

十六夜さんが口に出した疑問に先生も同調する。キヴォトスには、学生証や社員証に自身の口座を紐づけることができるものが多く普及しているため、買い物は基本的に電子決済が中心である。俺も現金はほとんど持ち歩いておらず、大体が学生証による電子決済で買い物をしている。仮に、学生証を落としたり、使えなくなるようなことになると大変だ。

 

案外、あんなふうに色んな事業に手を出している大企業ともなると、古くからの慣習を切り捨てて新しい技術や習慣に切り替えるといったことができないのかもしれない。それか、何かやましいことがあるか。

 

「・・・・・。」

 

そんなことを考えていると、砂狼さんが現金輸送車が走り去った後をジッと見続けていることに気が付く。同時に黒見さんも気づいたようで、彼女に言い聞かせるように言う。

 

「シロコ先輩、あの車は襲っちゃダメだよ。」

 

「うん、分かっている。」

 

どの車でもダメだろ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでは、定例会議を始めたいと思います。」

 

校門前から教室に戻ってきたところで、奥空さんの一声で定例会議が始まる。俺は、2日ぶりにアビドスに来たので、ひとまずは聞きに徹することにしよう。

 

「まずは・・・・先日セリカちゃんを襲ったヘルメット団の黒幕についてです。」

 

奥空さんが一度こちらを見てから話を切り出す。もしかしたら、2日間いなかった俺のために、まずは俺も関わっている話題から話し始めてくれたのかもしれない。

 

優しい。

 

「戦闘で手に入れた戦略兵器の破片を分析した結果、現在は取引されていない型番だということが判明しました。」

 

「もう生産されていないってこと?」

 

「それをどうやって手に入れたのかしら。」

 

「生産が中止された型番を手に入れる方法は、キヴォトスでは『ブラックマーケット』しかありません。」

 

『ブラックマーケット』は、中退、休学、退学といった様々な理由で学校を辞めた生徒たちが手段を形成しているキヴォトスにおける闇市と呼ぶべき場所だ。無論、連邦生徒会による管理が行われていないことで、実質治外法権ともいえる治安であり、違法な物品の取引や非認可の部活も活発に行われている場所だ。非認可の部活というのも、賭博とかそういった類のものである。

 

「(仮に俺がミレニアムを辞めることになったとしても、進んで近寄りたくはないな。)」

 

実際に行ったことはないが、C&Cからの報告には度々上がってくるので、まったくの無知ではなく、キヴォトス最悪ともいえる治安の悪さであることは知っている。

 

単純に規模は判明しているブラックマーケットだけでも、学園数個分に匹敵しており、ブラックマーケット専用の非認可機関が乱立しているような状態だ。

 

ブラックマーケットが生徒だけで成り立つ場所であれば、まだ可愛いものかもしれないが、報告に上がってくる内容から表沙汰にはできない業務を執り行っている企業の存在も確認されている。その中には偶然か、先ほどアビドスに集金をしに来たカイザーグループ系列の会社もある。

 

「それと、昨日アビドスに襲撃してきた便利屋68もブラックマーケットで何度か騒ぎを起こしていると聞きました。」

 

「は?襲撃?!」

 

思わぬ単語に目が点になっていると、隣に座っている十六夜さんが口を開く。

 

「昨日のお昼頃に、便利屋68というゲヘナの生徒さんが来たんです。」

 

「ぞろぞろと民間の傭兵を引き連れて・・・・ラーメン特盛にしてやったのに・・・!」

 

「ラーメン特m・・・・なんて?」

 

黒見さんが体をわなわなと震わせて怒りを表に滲ませているが、内容の意味が分からず、置いていかれる。

 

「ん、気にしなくていい。傭兵は定時で帰ったから、私たちも学校にも被害はなかった。」

 

「・・・・?」

 

砂狼さんがフォローしてくれたが、ますます意味分からん。便利屋68の名前自体は聞いたことはあるが、何故アビドスを襲撃してきたのか。ラーメン特盛にしたというのは何が関係あるのか。そもそも定時という概念が襲撃に存在するのか。

 

情報が完結せず、呆然とした俺は苦し紛れに言葉を紡ぐことにする。

 

「ま、まあ・・・俺が鼻血で貧血になっている間にそんなことがあったなんて・・・・助けになれなくて悪かったな。」

 

「鼻血で貧血ってあんた、何があったのよ。」

 

俺がばつが悪そうに誤ったのに対して、黒見さんがそう突っ込んでくる。

 

「えっ・・・・ああ~・・・・。」

 

不味い、何も考えてなかった。流石にそのまま言うわけにもいかないし、どうやって誤魔化そうか・・・・。

 

「何が不味い?誤魔化そうとしても無駄。」

 

「ナチュラルに心読まないで、砂狼さん。」

 

もしかして、どこかのタイミングで百鬼夜行にでも行ってきた?ミモリに読心術を習ったか?俺が動揺していると、これまた面白そうと思ったのか、十六夜さんがとてもいい笑顔を浮かべて話しかけてくる。

 

「面白そうですね。何があったか教えてください、魚里くん☆」

 

「早く早く。」

 

「えっ、ええ~・・・・。」

 

美少女2人に迫られていて大変羨ましい光景に思えるが、この後に待ち受ける軽蔑の視線を考えると胃が痛くなってくる。あくまで事故、あくまで事故なのだが、やっぱり相手が思春期の女子ということで、話すのも忍びない。

 

「(先生助けて・・・・)」

 

「・・・・。」

 

先生は何も言わずに両手をあげる。

 

「(お手上げじゃねぇよ!?)」

 

普段は頼れる大人なのに、生徒にゴリ押しされると急にヘナチョコになるの勘弁して。

 

「お2人とも、一旦その話は後にしてください。今は至急、これらの関連性を探るべくブラックマーケットに潜入調査が必要だと思います。」

 

「奥空さん・・・・っ!」

 

「そうだね、アヤネちゃんの言う通りだと思うよー。」

 

奥空さんが2人を制してくれて、流れるようにブラックマーケットへの潜入調査を提案する。小鳥遊さんもその提案に賛成する。

 

あまりにも相次ぐ襲撃の数に、何か裏があるのは確実だろう。危険ではあるけど、先生も同伴してくれたら

 

あと奥空さん、よく砂狼さんと十六夜さんを止めてくれた。あとでお礼しておこう。

 

「では、魚里さん。道中で何があったか、お2人に話してあげてください。」

 

「奥空さん?」

 

訂正、この子も敵だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局、俺はブラックマーケットに来るまでの道中で、ミレニアムであったことを白状させられていた。俺の予想とは打って変わって彼女たちの反応は『後輩の裸を見たことに対してドン引き』といったようなものではなく、『アビドス学区ではあり得ないような面白い体験を夢中になって聞いている』って感じだった。まあ、反応は人それぞれであったが────

 

『み、見たんですか!?』

 

「あ、ああ・・・事故なんだけど。」

 

「この変態!!」

 

「だから事故なんだって!」

 

1年コンビは他の誰よりも反応が大きかった。奥空さんは通信越しではあるが、声からしても動揺は隠しきれてなかったし、黒見さんに至っては顔を真っ赤にしながら身体を震わせて言ってきた。

 

「じゃあ、責任取らないとですね☆」

 

「なんで生塩と同じこと言うの、十六夜さん。」

 

十六夜さんは、生塩と同じようなことを言ってきて胃が痛くなってくる。2人ともいつもニコニコと笑顔を浮かべているし、何か共通点のようなものがあるのかもしれない。

 

「もしかして、ミレニアムには最新の───────」

 

「あるわけねえだろ。」

 

「むぅ。」

 

頼むから何でも銀行強盗に結び付けようとしないでほしい。彼女の倫理観は何処へ・・・・・ないよね?銀行強盗に役立つ発明品みたいなの。急に心配になってきたが、そこはエンジニア部を信じよう。ちょっと発想が変な方向にいくだけで、倫理観はちゃんとしているし。

 

「うへー青春だね~。おじさんは、もうそういう時期はとっくに過ぎちゃったよ。」

 

「何歳の視点だよ。小鳥遊さんは、俺と同い年でしょ。」

 

傍から見ると、身長差のせいでそうは見えないかもしれないけど。

 

「それで、結局後輩ちゃん達にはどうしたの?」

 

「謝罪した後に『できる範囲で魚里への命令権』を1枚ずつ発行した。」

 

「うへーお母さんの日の肩たたき権みたいなセンスだね。」

 

「なんだ、そのよくわからん例え。」

 

あれから、早瀬が怒り頂点のような赤い顔でやってきた時はどうなるかと思ったけど、なんとか思いついた『できる範囲で魚里への命令権』を渡すと急に笑顔で『楽しみにしてますね。』と言われた時は肝が冷えた。果たして、何を命令されるのだろうか・・・・。

 

そんなこんなで話をしていると、俺達はブラックマーケットと呼ばれる区域に足を踏み入れる。なんというか、もう少し暗い雰囲気を想定していたが、普通の街並みといった感じである。

 

「最新銃火器入荷だよ~。」

 

「それマ!?」

 

「超ウケるでしょ?」

 

ただまあ、道端で銃火器を売っている獣人や明らかに怪しいコートを着用したロボット、そこら中でつるんでいる不良生徒の姿などを見ると、やはり他区域と比べて治安はよくないのだろう。あと、なんで獣人は揃いも揃ってサングラスをつけているのだろうか。

 

「ここがブラックマーケット・・・っ!」

 

「凄い賑わっていますね☆」

 

「連邦生徒会の手が及ばないエリアがここまで巨大化しているなんて・・・・。」

 

「まあ、私たちはアビドス学区内にばっかりいるからねー。外は結構変な場所が多いんだよ。」

 

「そうなの。まあ、確かにミレニアムにも服を脱がしてくる人形型の機械があるくらいだし・・・・。」

 

「ちょっと待て。ミレニアムは変な場所じゃないぞ。変な人が多いだけだ。」

 

「それはそれでどうなのよ。」

 

砂狼さんからの心外すぎる評価に俺が訂正をすると、前を歩いていた黒見さんから指摘が入る。

 

「ん、魚里がその筆頭ってわけだね。」

 

「だまらっしゃい。」

 

俺は変な人じゃない。

 

『皆さん、そちらでは何が起こるかわかりません。十分気を付けてください。』

 

インカムを通して奥空さんからの声が聞こえてくる。ちょっと緊張感が抜けていたかもしれないと思い、改めて気合を入れ直そうとすると、前方から発砲音が聞こえてくる。

 

「待て!!」

 

「う、うわああ!まずっ、まずいですー!!つ、ついてこないでくださいー!」

 

「そうはいくか!」

 

「アタイらに付き合えよ!!」

 

足を止めて念のため周囲に気を配らせていると、目の前から白い制服を着た少女が3人のチンピラに追いかけられて、こちらにやってくるのに気が付く。

 

「あの制服の校章ってトリニティだよな?」

 

『こちらでも確認しました。間違いありません。』

 

「あ、あうう・・・・私の方は特に用はないんですけどー!」

 

目をジッと凝らして見てみると、肩や首元にトリニティの校章が刻まれているのが分かる。念のため、ドローンで追跡をしている奥空さんにも確認を取ると間違いないようだ。

 

なんで、こんなところにトリニティの生徒がいるんだ?

 

「任せて。」

 

「大丈夫ですか?」

 

「えっ、あっ、はい!」

 

トリニティの生徒がいることに首を傾げていると、砂狼さんが彼女とチンピラの間に割って入る。

 

「なんだよ、お前ら。アタシたちはそいつに用があるんだ。」

 

「用ってなんだよ。」

 

大方チンピラ側が勝手に因縁をつけて絡んでいるのだろうが、念のため確認を取る。

 

「ハッ!見れば分かるだろ?!そいつは、キヴォトスで金を一番持っているトリニティ総合学園の

生徒・・・・サクッと拉致って、たんまりと身代金をちょうだいってなぁ!!!」

 

「ゴミじゃん。」

 

「拉致って交渉。なかなかの財テクだろ?くくくくっ。」

 

「クズじゃん。」

 

「興味あるなら、お前らも乗るか?身代金の分け前は─────」

 

「興味ない。」

 

直後、砂狼さんが容赦のない発砲でチンピラたちを無力化してしまった。

 

「・・・・弱っ。」

 

もう少しなにかあるかと思ったが、あっさりと沈んだことに驚きを隠せずにいると、先生がトリニティの生徒に話しかける。

 

「危なかったね。」

 

「あっ、皆さんありがとうございました!私、『阿慈谷(あじたに) ヒフミ』と言います。」

 

「ヒフミちゃんか、よろしくねー。それにしてもトリニティのお嬢様がなんでこんな場所に?」

 

小鳥遊さんの質問に阿慈谷さんは、苦笑いを浮かべながら答える。

 

「あははは・・・それはですね。実は探し物がありまして・・・・もう販売されてはいないものなんですが、ここでは密かに取引されているらしく・・・・。」

 

「もしかして戦車!?」

 

「もしくは違法な火器?」

 

「生物化学兵器ですか!?」

 

「物騒だな!!・・・・いや、そういう場所か、ここ。」

 

あまりにも穏やかな空気に流されていたが、今いる場所がキヴォトス1の治外法権地区であることを再び思い出す。

 

「えっ!?い、いいえ・・・・えっとですね、ペロロ様の限定グッズなんです。」

 

「ペロロ?」

 

「限定グッズ?」

 

「はい!これです。ペロロ様とアイス屋さんがコラボした、限定のぬいぐるみ!!」

 

そういって、阿慈谷さんが見せてきたスマホには、アイスクリームを口にぶち込まれて卒倒しているようにしか見えないペロロが映っていた。

 

「限定生産で100体しか作られていないグッズなんですよ。ね?可愛いでしょう?」

 

「・・・・。」

 

阿慈谷さんから滲み出るペロロ愛に対して、なんともまあ微妙な表情を浮かべる砂狼さん。そんな彼女の後ろから十六夜さんが話に混ざり始める。

 

「わあ☆モモフレンズですね!私も大好きです!ペロロちゃん可愛いですよねえ!私はミスター・ニコライが好きなんです!」

 

「分かります!ニコライさんも哲学的なところがカッコよくて──────」

 

すっかり十六夜さんと阿慈谷さんが、モモフレンズトークで盛り上がり始めてしまい、その会話に混ざることができない者たちは、呆気に取られている。

 

「・・・・いやぁー何の話だか、おじさんにはさっぱりだなー。」

 

「ホシノ先輩はこういうファンシー系にまったく興味ないでしょ。」

 

「ふむ、最近の若いやつにはついていけん。」

 

「実は小鳥遊さん、10年くらい留年してたりする?」

 

さっきの『青春だねー』発言も相まってそんなことを冗談で尋ねる。

 

「そんなわけないよー。そういう魚里くんこそ、こういうのは興味ないんじゃないの?」

 

「いや、俺もモモフレンズ好きだよ。特にビッグブラザー。」

 

『「「「えっ!?」」」』

 

そんなに意外だったのか、十六夜さん以外の対策委員会メンバーが驚きの声をあげる。ビッグブラザーとは、水色のフクロウの見た目をしたマスコットキャラクターである。

 

「ホントですか!?いいですよね、ビッグブラザーさん!!」

 

「あの何とも言えない表情がね、刺さるんだ。特に目を細めている時の表情が可愛い。」

 

十六夜さんとのモモフレンズ談義がキリのいいところで終わったのか、一気に距離を詰めてきた阿慈谷さんに内心驚きながらも俺はそう答える。

 

「そうですよね!!私はペロロ様が最推しではあるんですが、ビッグブラザーさんもまた選び難いと言いますか!」

 

「うんうん。どの子も可愛いんだけど、やっぱり最推しを決めるとなると、やっぱり最終的には自分の好みが出てくるしね・・・・・って、もしかしてそのリュックもペロロのやつ?」

 

「はい!そうですよ!」

 

「結構大きいというか、頑丈そうだな・・・その割には、顔周りのデザインは崩れずにしっかりしているし。」

 

俺も阿慈谷さんとモモフレンズ談義に花を咲かせていると、その様子を見た砂狼さんと黒見さんの声が聞こえてくる。

 

「凄い・・・・魚里、あの子のモモフレンズトークについていっているよ。」

 

「というか、むしろドンドン加速していっているというか・・・意外ね。魚里がモモフレンズが好きっていうの。」

 

「うちは、親におもちゃとか買い与えられなかったからな。その反動が今来ているというか・・・・ビッグブラザーのぬいぐるみは一通り集めているし、さっき阿慈谷さんが見せてくれたペロロのぬいぐるみも俺の部屋にあるよ。」

 

「本当ですか!?わぁーいいなー!私もそのためにここに来たので、何としても買って手に入れて帰らねば!!」

 

阿慈谷さんは目を輝かせた後、再度強く決心する。どことなく全身から炎が燃え盛っているのではないかというほどの熱いものを感じるのだが、さてはこの子、モモフレンズのことになると後先考えずに行動してしまうタイプなのだろう。同族として、親近感のようなものが、さっきから芽生えてきている。

 

「ところで、皆さんはなぜこちらへ?」

 

「私たちも探し物があるんだ。」

 

「ここで取り扱っていると話を聞いて来た。」

 

「そうなんですか・・・なんだか似ていますね!」

 

そう笑顔で答える阿慈谷さん。申し訳ないけど、流石にグッズを買うためにブラックマーケットには来ないよ?代わりにアイスの食べ過ぎでお腹は壊したけど。

 

「それにしても、グッズを買うために来たのに災難だったね。」

 

「その~色々と危ない場所だと知ってはいたのですが、連邦生徒会の手が及ばないことをいいことに、企業が好き勝手にやっていると聞きましたし、ここ専用の金融機関や治安機関があるだとか・・・・特に治安機関は避けるのが一番だとのことです!」

 

・・・・・さては阿慈谷さん、ここに来るの初めてじゃないな?それどころか、結構頻繁に出入りをしているのだろう。あまりにも内情に詳しすぎる。

 

「ほ~ん、ヒフミちゃん本当いろいろ知っているんだね。」

 

「えへへ、それほどでも。」

 

あっ、小鳥遊さんに目をつけられた。

 

「よ~し、決めた!助けてあげたお礼に、私たちの探し物手伝ってもらおうかな♪」

 

「えっ、ええっ!?」

 

というわけで、阿慈谷さんも俺達と一緒に行動することになったのだった。

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