今も青き、呪術アーカイブ   作:ネログリフィス

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じゃあ、そっちが簀巻きになるべきだろ。

「では、尋問を始めましょうか☆」 

 

「さっさと吐かないと酷いことする。」

 

「先生、助けて!!このままだと滅茶苦茶にされる!!」

 

簀巻きにされた状態で椅子に座らされ、アビドス生と思われる2人の女の子にじりじりと距離を詰められる。

 

「ハハハ・・・・シロコ、ノノミ。彼には私のところで、仕事を手伝ってもらっているんだ。だから、大丈b────」

 

「じゃあ、まずは名前と所属校を言って。」

 

「話聞けよ!!」

 

すでにノリノリで尋問ごっこに勤しんでいるため、先生の声も届いていないようだ。思わず突っ込みを入れてしまったことで、銀髪の少女は自分の銃を俺の口元に突き付ける。

 

アビドス生であろう他3人の様子は────

 

「あわわわ・・・・。」

 

「本当に大丈夫なのかしら・・・。」

 

「うへぇ~。」

 

これはダメだ。

眼鏡の子は慌てふためいているし、猫耳の子は見物を決め込んで動こうとしない。

そして、ピンク髪の子は()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

先生も強く干渉してこないということは、下手なことは起こらないという判断なのだろう。ひとまずはこの茶番を乗り切ろう。さっきから身体を縛っているロープの締め付けがきついので、早く外してほしい。

 

「────ミレニアムサイエンススクール セミナー副会長の魚里だ。君たちは?」

 

「私は、アビドス高等学校2年 砂狼(すなおおかみ) シロコ。あなたは?」

 

「俺は、ミレニアム3年 魚里 s────って、今言っただろ!!」

 

「ん、冗談。」

 

満足そうに口元を綻ばせる銀髪の少女は砂狼さんというらしい。

頭の上にピコピコと動く犬耳に目が行くのだろうが、それよりも首元に巻いたマフラーが蒸し暑そうで仕方ない。彼女は涼しい顔をして付けているが、見ている立場としては暑苦しくてたまらない。

 

「セミナー・・・?」

 

「ミレニアムの生徒会ですね。ほら、服についている名札にもミレニアムの校章がデザインされてます。申し遅れました、私は十六夜(いざよい) ノノミです。シロコちゃんと同じ2年生です☆」

 

見物を決め込んでいた猫耳の子はセミナーのことを知らないようで、ほんわかした雰囲気を纏う十六夜さんがセミナーの説明をしてくれる。

 

「そして、こちらが奥空(おくそら) アヤネちゃんと黒見(くろみ) セリカちゃんです。2人とも、私達の可愛い後輩です☆」

 

「ど、どうも。」

 

「ふん。それで・・・ミレニアムのお偉いさんがアビドスに何しにきたのよ?」

 

正統派眼鏡っ子が奥空さん、猫耳ツインテールの子が黒見さんとのことだ。奥空さんはまだ少し俺のことをどういった人物か分からずに戸惑っている感じだが、黒見さんは敵対心をむき出しにしている。

 

「別に偉いわけではないけど・・・・今日はシャーレの当番だったからシャーレの部室に行ったら、『アビドスに行く』って先生のメモが残っていたから心配で来ただけだよ。『お昼までに帰る』なんて、最寄り駅からでも距離的に無理そうなことを書いていたから、てっきり距離感を間違ってて何処かで倒れているんじゃないかと思ったんだけど、不要な心配だったようでよかったよ。」

 

「いえ、先生がここに来られた時にはもう半分死にかけみたいな状態でしたよ。」

 

「おい、先生。」

 

「ハハハ・・・・。」

 

奥空さんがさらっととんでもないことで、俺は先生の方に視線を向けると苦笑いを浮かべる。いや、笑い事じゃないんだが・・・・。

 

詳しく聞くと、俺が来ることになった不安はものの見事的中しており、アビドスに向かっている最中で先生は倒れていたらしい。

 

「そして、私が背負ってここまで連れてきた。」

 

「最初、死体でも拾ってきたんじゃないかと思って、ほんとビックリしたわよ。」

 

「そうですね・・・。」

 

普通は人を背負って学校に来たからといっても、そういう発想にはならんだろ。どれだけ殺伐とした自治区なんだ、アビドス。まあ、ともかく────

 

「────先生を助けてくれてありがとう。」

 

「「「「「・・・・・。」」」」」

 

もし、彼女たちが助けてくれなかったら先生は今頃アビドスの砂漠地帯で、カピカピのミイラになっていたかもしれない。ひとまず現状俺が置かれている状況はさておき、そのことに改めて頭を下げて礼を言う。

 

「・・・ノノミちゃん、彼のロープを外してあげて。」

 

「分かりました~☆」

 

ほんの少しの沈黙の後、ずっと俺のことを警戒していたピンク髪の少女が、十六夜さんにロープを解くように指示を出してくれる。

 

「ごめんね~おじさん達の早とちりだったみたいで。」

 

「分かってくれたなら大丈夫だよ。」

 

「おじさんは、小鳥遊(たかなし) ホシノ。このアビドス廃校対策委員会の委員長をやっている3年生だよ~。」

 

どうやら少しは警戒を解いてくれたようだ。さっきまであったピリピリとし雰囲気がほんの少し和らいだ。さらに身体を縛っていたロープも解けたことで、自由になったことへの解放感をより噛み締める。

 

「ではホシノ先輩、このロープしまってきますね。」

 

「いや、シロコちゃんを縛り上げるから貸して~。」

 

「っ!?」

 

そして、次に自由を奪われることになったのは砂狼さんだった。

 

 

 

 

 

 

 

あっという間に小鳥遊さんは、砂狼さんを拘束してしまった。どうやら教室に来る前にあった銀行強盗云々のために鍛えているという話を覚えていたらしい。

 

「ん!!ん!!ん~~!!」

 

砂狼さんは、何とか抜け出そうと暴れているが、全くロープは千切れそうにない。

 

「さて・・・じゃあとりあえず会議始めようか。」

 

「砂狼さん、あのままでいいの?」

 

「まあ、いつものことなので気にしなくていいですよ。」

 

俺の質問に対して奥空さんが苦笑いをしながらそう答える・・・・・・それならそれでいいか。

 

「先生を助けてもらった恩もあるし、せっかくなら何か力になれることはないかな?」

 

「ん!先生を助けたのは私!」

 

「う~ん、そうだね・・・じゃあせっかくだし、手伝ってもらおうか。ちょっと計画練ってみたんだー。」

 

「えっ!?ホシノ先輩が!?」

 

「うそっ!?」

 

小鳥遊さんの言葉に、黒見さんと奥空さんが驚きの声をあげる。どうやら、普段は一歩引いたところで後輩たちの面倒を見ているようだ。

 

「いやぁ~その反応はいくら私でも、ちょーっと傷ついちゃうかなー。おじさんだって、たまにはちゃんとやるのさー。」

 

「ん!私も銀行強盗のための計画は念入りに────」

 

「全然懲りてねぇな、こいつ。」

 

肝の据わった砂狼さんにちょっと呆れつつ、小鳥遊さんが話す計画について聞く。

 

どうやら先ほどのヘルメット団はここ最近数日に1度といったペースで攻撃を仕掛けてきているらしい。このまま放置しても、数日経てば二の舞になってしまう。

 

「だから、奴らの前哨基地をこのタイミングで襲撃するってことか。さっき追い返したから、消耗もしているし・・・。」

 

「そうそう。今なら先生もいるから、補給とか面倒なことも解決できるし。」

 

「良いと思います。あちらも、まさか今から反撃されるなんて、夢にも思っていないでしょうし。」

 

「そ、それはそうですが・・・・先生はいかがですか?」

 

「いいと思うよ。」

 

奥空さんに判断を委ねられた先生は、小鳥遊さんの計画に同意する。後から聞いた話だが、元々アビドスからは弾薬や補給品といった支援補助の依頼があったようだ。ただ、それだけではヘルメット団との戦闘続きの現状は変わらない。対症療法ではなく、原因療法による根本的な原因を取り除かなくては、アビドスが置かれている状況は変わらないのだ。

 

「よっしゃ、先生のお墨付きももらったことだし、この勢いでいっちょやっちゃいますかー。ところで、魚里くんは銃を持っていないみたいだけど、何処かに置いてきたの?ないんだったら、後方でアヤネちゃんとバックアップをしてもらいたいけど・・・・。」

 

「いや、俺は銃を使わないぞ。ヘイローもないから、被弾したら致命傷だけどな。」

 

「「「えっ!?」」」

 

「魚里は素手でヘルメット団と戦っていた。」

 

彼女たちは俺の発言に驚いた後、さらに現在進行形で拘束されているシロコの追い打ちでさらに驚きの声をあげる。まあ、この反応はキヴォトスにやってきてから何十回とやったものなので慣れたものだ。俺は何食わぬ顔をしながら肩や足首を回し、不自由だった身体をほぐし始める。

 

「あんた、本当に大丈夫なの?!」

 

「まあ、任せとけって。時代は銃より拳。」

 

「どこからその自信くるのよ。」

 

「まあ、ひとまずはお手並み拝見ということで連れて行こうか~。」

 

そう言って、小鳥遊さんはその場を収め、俺達はカタカタヘルメット団のアジトがあると思われる場所に向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐえっ!?」

 

「よし、次!」

 

「(この人・・・・・強い!!)」

 

カタカタヘルメット団のアジトは、アビドス高等学校から約30kmほど離れた場所にある廃ビルを占拠して作られたものだった。ビルといっても、全体の半分以上が砂に溺れてしまっており、目で確認できる高さは最上階から5フロア下くらいだ。

 

廃ビルに近づくと、アジト内にいたヘルメット団が武器を携えて出迎えてくれたこともあり、現在絶賛交戦中だ。恐らく監視カメラやドローンといった何かしらの方法で、俺達が攻めてきたのを感知したのだろう。

 

「(今のところ倒したカタカタヘルメット団の7割は魚里が倒している・・・・銃弾も当たらないように立ち回っているし、足手纏いかと思ったけど全然そんなことないじゃない!)」

 

「あいつは丸腰だぞ!撃て撃て!!」

 

「うおっ!?いったん退避!」

 

少し迂回をしてきたヘルメット団が横方向から発砲してきた。もう少しでボルテージが上がり切るところだったのだが、被弾してしまっては意味がないためすぐさま冷静になり、遮蔽物に隠れる。

 

「(ふ~ん、昔の私ほどガンガン行くわけではないけど、結構パワフルな戦いをするんだね。ただ、攻めと守りの緩急が結構ハッキリしている。一回の被弾が致命的であれば、それもそうなるか。それよりも・・・・)」

 

「ん、アジトとの距離が近づいたことで、ヘルメット団の数が多くなってきた。」

 

躱し切れないほど、行き交う銃弾の数が増えてしまい、遮蔽物から顔を出すことができない。こういう混戦に陥ると、ヘイローのある皆の丈夫な身体が羨ましくなる。

 

「ノノミ、突破口を作るんだ!」

 

「分かりました~☆」

先生からの指示を受け、十六夜さんがガトリング砲でヘルメット団を薙ぎ払ったことで、一時的にヘルメット団が放つ銃弾の雨が止んだ。

 

「ありがとう、十六夜さん。」

 

「はい~☆」

 

俺は十六夜さんにお礼を言って、呪力を操作しながら遮蔽物から飛び出す。

 

「・・・・。」

 

「(どうやら私の他にシロコちゃんも、私達の『神秘』とは違う魚里くんの力を感じ取っているみたいだね・・・・・・今のところはまだ無警戒でいるわけにはいかないかな。)」

 

「2人とも私達も続くわよ!!」

 

「ん、セリカはせっかち。」

 

「よ~し、おじさんも頑張っちゃうぞ~。」

 

そこからの戦闘は特に苦戦するようなこともなく、俺たちはカタカタヘルメット団のアジトを攻め落とすことができたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

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