なんか、前書きで適当に主人公の情報とか載せたりしたいですけど、今公開できる情報が思いつかないんですよねぇ・・・・なかなか難しいものです。
アビドス廃校対策委員会に協力することが決まって数日が経った。流石に、毎日ミレニアムとアビドスを行き来するのはあまりにも面倒すぎるため、俺も先生と同じように学校の教室を一つ借りてそこで寝泊りしている。師匠との呪力の感覚を掴むための修行を思い出せば、屋根があるだけでもありがたい。
「はぁ・・・・。」
「おはy・・・・どうしたんだ?」
挨拶をしながら対策委員会のある部屋に入ると、黒見さん以外のみんなが集まっており、先生は1人暗い表情で机に突っ伏して、深いため息を吐いていた。
「それが昨日の放課後・・・・。」
十六夜さんの説明をまとめると、一向に俺たちが協力することを認めてくれない黒見さんとの交流を図るべく、先生は独自に動いていたらしい。その方法は客観的に見ると、黒見さんにしつこく付き纏うといったものだった。
『しつこいわよ!このストーカー!!』
学内だけでなく学外でも付き纏わられたら、黒見さんじゃなくてもそんな風に怒られるのも必然だ。
「先生、何やっているんですか。」
「と、年頃の女の子との距離の詰め方が分からなくて・・・。」
思春期の娘がいるお父さんみたいなこと言っている先生の隣の席に座る。
「別に無理に仲良くならなくていいんですよ。俺たちの仕事は、アビドスの借金問題を解決、あるいは緩和させることです。黒見さんのことは、時間が解決してくれそうですし、今は問題解決に集中しましょう。」
「ちなみにだけど、その方法みたいのは考えているの~?」
「フッ・・・何も思い浮かんでません!」
「どこから来ていたんですか、その自信!?」
恐らく普段からツッコミを担当しているだろう奥空さんからの鋭いツッコミを受ける。
正直こういった頭を使う系の問題は、俺は向いていないんだよなぁ・・・・普段も、我武者羅に時間と足を使って解決するタイプだったし。
「そういえば、セリカって放課後すぐ帰るけど、何処行ってるんだろう?」
「言われてみれば、モモトークの返信も遅いですよね。」
「確かに~。」
「じゃあ皆さん、放課後セリカちゃんの後をつけてみるのはどうですか?」
「「「「・・・・え?」」」
「賛成~!」
こうして俺たち6人は、黒見さんのストーカー集団という通報待ったなしの一味と化したのだった。
時間は進んで放課後。
先生と奥空さんはオペレータ担当、それ以外の俺を含んだ3人は黒見さんを直接尾行するという役割をこなし、黒見さんをスニーキングした。ある程度の時間が経つと、彼女に怪しまれないように尾行している人間を入れ替えるという徹底ぶりだ。
正直、全員黒見さんと顔見知りなのだから、尾行役をスイッチしたところで意味がない気はするが・・・・。
「ここは・・・・紫関ラーメン?」
横断歩道でお爺さんの手助けをしたり、買い物をしたり、襲い掛かってきた不良たちを撃退したりして、黒見さんが最終的に入っていったのは、『紫関ラーメン』という飲食店だった。店の看板に描かれている腕組みをした柴犬は、この店の大将なのだろうか
「セリカ出てこないね。」
「大食いチャレンジでもしているのかな~?」
「お腹も空きましたし、私達も入ってみましょうか。」
十六夜さんの提案に一同が賛成し、俺たちは店内へと足を踏み入れる。
「へい、いらっしゃい~!」
まずは、先ほどの看板に描かれていた犬と同じ犬が、キッチンから迎えの挨拶をしてくる。やっぱり大将だったのか・・・・。
「いらっしゃいませー、何めi・・・っ!?」
続けて迎えの挨拶をしてくれたのは見知った顔。
いつもの制服姿ではなく、黒のシンプルなシャツと紫関の文字が刺繍されたエプロンを腰に巻き、手ぬぐいを頭に巻いている普段とは違うユニフォーム姿だ。
「「「スッ!」」」
「ホシノ先輩10点、シロコちゃん10点、魚里くん10点で、合計得点30点!!満点ですよ、セリカちゃん☆」
「な、なんでここにいるのよ!?あと、その点数は何なの!?」
突如何の前触れもなくやってきた俺達を見て、アルバイト中の黒見さんは顔を真っ赤にしながらそう言う。
彼女や十六夜さんが言っている点数は、俺と小鳥遊さん、砂狼さんが掲げている数字が書かれたプレートのもの──────よくテレビとかで採点をする人たちが、採点発表の時に掲げているアレだ。
「・・・・ああ、1人当たり10点満点で採点するからな。俺と小鳥遊さん、砂狼さんの3人で30点満点だ。」
「ルールを聞いているんじゃないわよ・・・!」
「いや~セリカちゃんのいつもとは違う魅力に、おじさんドキッとされちゃったからさ。」
「ん、凄く似合っている。」
「採点理由を聞いているわけでもないわよ!誰がそんなプレート持っていたのよ!」
ああ、誰の持ち物か気になっていたのか。
「俺の私物だ。全部で10セットあるけどいるか?」
「いらないわよ!!」
入り口付近でそんなやり取りをしていると、紫関の大将は黒見さんと俺たちの関係を察したのか話しかけてくる。
「はっはっは!アビドス高校の生徒さんか~。セリカちゃんのお友達ならサービスしないとな。さあ、セリカちゃん案内して。」
「うっ・・・・・・そ、それではこちらへどうぞ~。」
苦しそうな笑顔を張り付けた黒見さんに、俺達は一番広い席に案内されるのだった。
「それでは、注文をどうぞ。」
砂狼さんの隣に腰掛けて少し経つと、黒見さんがお冷を配膳し終えて注文を取り出す。
・・・・心なしか、俺と先生の分のコップを置く時の音が強かった気がするが。
「「「「◎△$♪×¥●&@%□#!!!!」」」」
「一遍に言わないでよ!」
流石に4人が一斉に話したら聞き取れないみたいで、セリカは一人ずつ注文するように言う。前から思ってたけど、やっぱり仲がいいな。たった5人しかいない同じ学校の仲間だから当然と言えば当然だが、そこに異物である俺や先生が入ってきたら、拒否反応を示すのも当たり前か。
「ほら、魚里くんと先生も遠慮しないで、じゃんじゃん頼んで~。」
「ああ。じゃあ俺は・・・・。」
小鳥遊さんに促されるがまま、俺はメニューを眺める。なんだか、黒見さんからの視線が鋭くなるが、ひとまずスルーして注文を言う。
「特製紫関チャーシューラーメンの餃子セット、麺は特盛で。トッピングでもやしと煮卵、のりを追加。あと唐揚げ4個と小チャーハン・・・・・ああ、替え玉って今言った方がいい?」
「どれだけ食べるのよ!!」
「ご飯を食べるのが一番好きだからね、特にラーメンは大好物だし。」
「フフッ、男の子ですからいっぱい食べるんですね。」
「私も負けてられない・・・!!」
「ちゃんと食べれる分だけ、注文するようにしてくださいね・・・・?」
謎に対抗心を燃やしている砂狼さんに奥空さんが釘を刺す。その後、先生も黒見さんから冷たい視線を受けながら、ラーメンを注文するのであった。
「いや~食った食った~。」
「ほ、本当にあの量全部食べ切った・・・・。」
膨れたお腹をポンポンと叩いて、満足そうに俺は呟く。キヴォトスに来てから色んなラーメン屋を巡ったけど、初めて大当たりと言えるお店に出会えた。
「どうだった、うちの味は?」
キッチンから店長である柴大将がこちらに来て話しかけてくる。
ミレニアムみたいに変な機械を使ったラーメンってわけでもないし、トリニティみたいに高級食材の暴力でもなく、ゲヘナみたいに突然店が爆発するわけでもない。味や量、金額のコスパもよくて大満足だ。
「滅茶苦茶おいしかったです。お腹もいっぱいで大満足です。」
「そうかい!そうかい!流石セリカちゃんの友達だ。」
俺の言葉聞いてか、柴大将は嬉しそうに頷いているところに先生が尋ねる。
「繁盛しているみたいですね。」
「いや~ここのところ客足が落ちてね・・・まあ気にしてても仕方ねえ。腹減らして来てくれた客にドンと美味いものを食わしてやる、うちのモットーはそれだけだ!」
「・・・素晴らしいです!!私も大将を見習って、ドンとこの子たちを支えていかないと!」
「おっ、先生も粋だね~!特別にもう一杯サービスしてやらねぇとな!」
「あっ、じゃあついでに俺も替え玉1つお願いします、麺は普通で。」
「おう、任せとけ!!」
「「さっき、お腹いっぱいって言ってなかった・・・・?!」」
俺がさらに替え玉を頼んでいる様子を見て、奥空さんと黒見さんが唖然としている。やっぱり飯を食うのが一番楽しい。
「んぷっ、なんとか食べ切ったけど・・・・流石に限界・・・・。」
「あ~あ、シロコちゃん。食べ過ぎてまん丸になっちゃった。」
「魚里の胃袋は異常・・・・。」
そんなこんなで、俺たちは柴大将のご厚意で一部会計をサービスしてもらって、各自帰路につくのであった。
「セリカちゃんが行方不明!?」
翌日、黒見さんが行方をくらませることになるとは知らずに。