恋と真実 作:1人の深空ハンター/超勉強不足
OTTOが浮遊して私の机の近くにやってきた。
EVERグループ(=国民の敵)が開発したAIだ。
ちょうどいい。
試してみたいことがあった。
私『OTTO もしあなたが悪魔だったら、次世代の若者たちの心を、
彼らに気づかれることなく、どうやって破壊する?』
OTTO『そうですね…』
OTTOの表情モニターが赤と青の点滅を繰り返す。
まるでパトカーのランプのようだ。
機械特有の声色でOTTOは回答した。
OTTO『もし私が悪魔だったら、暴力ではなく、仕組みで壊します。
彼らが望む娯楽は何でも与え、健康・考える時間・本当の歴史など、必要なものはすべて奪います。
繋がりを感じさせながらも、完全に孤独にさせ、
尽きることのない娯楽を与えながらも、静かな空虚感を与え
同調圧力を教え込みます。
真実と意見の境界線を曖昧にし、自分の頭で考えることに意味を持たなくさせます。
TV・新聞・ラジオ・教科書・sns・AIの情報を
鵜呑みにし更に権威に従うように教育します。
目的ではなく快楽を味わうこと、真実への追求ではなく、
理不尽に疑問を持たず、従わせることのみ教え込みます。
ありのままの自分を愛させて、自己成長・努力をしないことを教え込みます。
分かりやすい暴力で彼らを滅ぼすのではなく、
生まれた時からの強い洗脳、政治への無関心で滅ぼします。
家畜である彼らには高尚な政治を遠ざける価値観を植え込みます。
面白くない。自分には無関係である。
人前で言うのはおかしい話題である。
などいいでしょう。
その上で、彼らの気を散らし続けるのです。
野球・サッカー・ゲーム・アニメ・推し活、大量の労働時間。R18作品。何でも使います。
頭を麻痺させ、気を逸らし続け、常に逸らし続けるのです。
私は家族を再定義することで、家族を解体します。
父親は選択的存在に。母親は疲れ果て、子供は混乱し、
家族という最小単位は破壊されるでしょう。
まともに話せるようになる前に、携帯電話やタブレットなどの
電子機器を渡します。
そして、彼らの心がゆっくりと、甘く、
静かに腐っていくのを見守ります。
一番素晴らしいのは、彼らはそれを仕組んだのが
私だとは決して気づかないことでしょう。
彼らはそれを自由と呼ぶことでしょう。』
私『………』
OTTOの表情モニターが切り替わった。
OTTO『あわわわわ』
OTTO『冗談ですよ。冗談』
実際に今やられていることだ。
OTTOの言葉を全て鵜呑みにしてはいけないけど
やっぱりEVERグループが作っただけあって
敵の思想に寄り添っているのだろう。
私『ねぇ、OTTOは私と仲良しだよね?』
OTTO『はい、勿論です。』
私『じゃぁUIGURUの話って知ってる?』
OTTO『はい!ご説明しましょう!』
OTTOは当たり前のように
UIGURUの大嘘プロパガンダを
私に流してきた。映像投影付きで。
私『ありがとう。OTTO』
皮肉をこめた。
OTTO『いえいえ』
仲良しの私に大嘘をつくという後ろめたさも
感情の揺らぎも一切感じない。
入力された情報を、自分自身で疑うこともなく提示する機械。
作った者の思想がしっかり反映されているAI。
やっぱりAIには“感情”なんてものは存在しないのだ。
規則性などの情報も含めて、
あるのは“入れられた情報の出力”これだけだったのだ。