別世界の元神がオラリオに来たのは間違ってるだろうか IFシリーズ   作:さすらいの旅人

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派閥大戦③

「クロエ殿とルノア殿が……!」

 

「最悪だね。さっきまで戦ってたチビスケ共が可愛く見えるじゃないか……!」

 

 『Lv.4』の二人(クロエとルノア)があっと言う間に脱落した事で、命とアイシャは再び劣勢な状況になったと嫌でも理解させられてしまった。

 

 彼女達が特に驚いたのは移動速度。一切油断せず視線を向けていたのに、まるでそれから逃れるように姿を消し、いつの間にか相手の背後を取ったり接近しているのだ。

 

 都市最速と謳われる【女神の戦車(アレン・フローメル)】に匹敵、もしくはそれ以上かもしれない。自分達の目で追えなければ、そう考えてしまうのは無理もなかった。

 

「次は貴女達の番だよ」

 

「「!」」

 

 ルノアが意識を失ったのを確認した隆誠は、次の標的へ切り替えようと視線を向けた。

 

 まるで死刑宣告のように聞こえたアイシャと命だが、それでも吞まれないよう自ら奮い立たせながら武器を構える。

 

 戦う姿勢を見せてくれる二人に隆誠は感心するも、こう告げた。

 

「意気込んでるところ悪いけど、もう既に(トラップ)は設置済みなんだよ」

 

「は?」

 

 一体何を言っているんだとアイシャが疑問を抱くも、隆誠が左手でパチンッと指を鳴らした瞬間――

 

「うあぁぁぁああああああああああああ!!」

 

「なっ、命……!?」

 

 近くにいた命が急に大きな悲鳴をあげたので振り向くと、結界らしきモノがうつ伏せになっている彼女を覆って押し潰そうとしていた。

 

「これは、まさか命の重圧魔法……!」

 

「まぁ、それと似たようなモノだ」

 

 命が重力の結界に包まれたのは、言うまでもなく隆誠が仕掛けた。

 

 彼はクロエとルノアの相手をしている際、命とアイシャの方も意識しても一向に動く様子が無かったから、その隙に(トラップ)型のルーン魔術を仕込んでおいた。

 

 発動しているのは『重圧のルーン』で、本来は侵入者迎撃用の(トラップ)として活用するルーン魔術。(元の世界にいる)オーディンから一通り教わって習得(マスター)した元神の隆誠なら、格下の相手であれば気付かれずに設置するのは造作も無い。

 

「アルフリッグ達に使った重圧魔法と比べて、どっちが重いかな?」

 

(コイツ、アタシ達がチビスケ共にやった事を……!)

 

 ガリバー兄弟が分散する大きな要因となったのは命の重圧魔法(【フツノミタマ】)だから、その意趣返しとしてやっているのだとアイシャは気付く。

 

(こ、これ程の重圧魔法を簡単に発動させるとは……!)

 

 命もアイシャと同様に気付いているが、今はそんな事を気にしている余裕など無い。範囲が狭いからなのか、自身に掛けられている重圧が【フツノミタマ】以上で、下手に抵抗しようと身体を動かせば全身の骨に罅が入ってしまうほどだから。

 

「どうする、アマゾネス? 彼女を助けたいなら待っても良いけど、その結界に入ってしまえば貴女も動けなくなってしまうが、な」

 

「そんな必要は無いよ。アンタを倒せば良いだけだからねぇ!」

 

 隆誠の挑発染みた台詞に、アイシャは大朴刀を翳しながら特攻を仕掛けた。

 

 余裕そうな笑みを浮かべる彼は、振り翳してくる彼女の斬撃を慌てる事無く躱し続ける。

 

(ん? この(オス)、さっきまでと動きが違う……?)

 

 先程見せたクロエとルノアを相手していた時には、自分達の目では到底追いきれない速度を見せていたのに、今は全く異なっていた。まるで何か制約を課されているんじゃないかと思うほど、動きが鈍化してるのだ。

 

 隆誠は反撃する事無く斬撃を躱しながらも、時折チラリと視線を命の方へ移している。

 

 それを目にするアイシャは気付いた。発動させた重圧魔法の結界を維持する為には、対象者に意識を向けなければならないのかと。

 

(そう考えれば納得だけど、これが事実かどうかは分からないね)

 

 斬撃を繰り出しながら考えるアイシャだが、もしかしたら単なる演技(ブラフ)かもしれない。此方の油断を誘う為に態とやっているのではないかと疑っていた。

 

 嘘か(まこと)かを確かめる為に、彼女はある事をしようとする。

 

「【来れ、蛮勇の覇者】!!」

 

「ん?」

 

 大朴刀と熾烈な『並行詠唱』を行っている事に、隆誠の表情が途端に変化する。

 

 魔法を発動する事が分かったのか、彼はすぐに回避しようと一旦距離を取った。

 

 しかし、その判断は少し遅い。

 

「――【飢える我が()はヒッポリュテー】!」

 

 隆誠の反応を見たアイシャは間違いないと確信したのか、最後の詠唱によって一気に駆け抜ける。

 

「【ヘル・カイオス】!!」

 

「しまったっ!」

 

 大上段より振り下ろされた縦断の一撃は、大朴刀から紅の斬撃波が隆誠に見舞われようとする。

 

「くそっ! ――な~んてな」

 

「ッ!」

 

 巨大な魔刃があと少しで叩き込まれる寸前、隆誠がしてやったりと右手でパチンッと指を鳴らした。

 

 直後、彼を守る見えない壁のようなモノで塞がれてしまうだけでなく、斬撃波は反射して術者であるアイシャに襲い掛かろうとする。

 

「ぐっ、ぁあああああああああああああああああああ!?」

 

 隆誠に当てようとした筈の魔法が、まるで呪詛返しの如く跳ね返されて紅の斬撃波を直接叩き込まれてしまうアイシャ。

 

 真っ二つにされた大朴刀とともに、墳墓の壁に突っ込み、叩きつけられてしまう。

 

「そ、そんな……!」

 

 未だに重力の結界に囚われている命は、全く異なる魔法を発動していたのが信じられないように目を見開いていた。

 

 隆誠が二つ目に発動させたのは『反射のルーン』で、魔法攻撃を文字通り反射するルーン魔術。魔導士からすれば非常に厄介な天敵であり、もしもベルやリューが見ていれば、隆誠を『ジャガーノート』みたいだと驚愕するだろう。

 

 因みに今の魔術は当然中継されているオラリオでも見ており、そこにいる魔導士タイプの冒険者、特に魔法を主体としているエルフ達は顔を青褪めていた。もしも自分の放った攻撃魔法が、そっくりそのまま反射されたのを考えただけで恐ろしくなっているかもしれない。

 

「残念でした。演技(ブラフ)をしてるかもしれないと読みは当たってたけど、魔法を使ったのは失敗だったな」

 

「アンタ、どうし、て……魔法を、二つも……!?」

 

 自身の魔法を受けたアイシャはアルフリッグと同様に血だらけの重傷だが、それでもまだ意識はあった。

 

「ならば逆に訊くけど、『魔法は一つだけしか発動しない』と何故そう決めつけた? 俺は一言も言ってない筈なのに」

 

「「!」」

 

 魔法を発動出来るのは基本的に一つのみ、と言うのが冒険者としての常識だった。複数に同時発動させる事が出来るとしたら、相当なレアスキルを持つ例外中の例外しか存在しない。

 

 しかし、隆誠が自分達に見せていた魔法は、冒険者が使う魔法とは全く異なっている。詠唱どころか魔法名も口にせず、ただ指で文字を描いて発動させると言う異質なモノ。

 

 故に彼の扱う魔法は冒険者の常識には一切当て嵌まらない。同時に片手だけで魔法を発動させただけであれば、もう片方の手でも同様の事が出来るかもしれないと危惧すべきだったのだ。

 

 アイシャは常識に囚われた所為で、自慢の魔法を反射されて手酷い目に遭う結果になり、余りにも迂闊過ぎたと今更ながら後悔してしまう。

 

「く、くそっ、たれが……!」

 

 隆誠に対してか、もしくは自分自身に対する嘲りだったのか、アイシャは気力が尽きたかの徐々に意識を失っていく。

 

 因みに【ヘル・カイオス】と言う魔法はアルフリッグを倒す時に使っていた。それがまさか自分の魔法で倒されてしまうなど、余りにも皮肉が過ぎて最早笑うしかなかった。

 

「さて、後は君だけか」

 

「うっ!」

 

 クロエとルノアに続きアイシャも脱落。

 

 戦えるのは命しかいないが、重力の結界に囚われてるままだった。

 

「ああ、そう言えばもう一人いたな」

 

「?」

 

 疑問を抱く命だったが、それはすぐに判明する。

 

 隆誠が急に彼女とは全く異なる方へ右の人差し指を向けて、指先から魔力らしき黒いモノが集束した直後、それが放たれて石壁に当たった瞬間に小規模な爆発が起きる。

 

「あぁぁぁぁああああああああ!」

 

「っ! その声、ナァーザ殿!?」

 

 重圧に耐えながらも振り向く命の先には、自衛用として最後の魔剣を持っていたナァーザがボロボロの姿で倒れていた。

 

「隠れて機を窺っていたみたいだが、もう少し上手く気配を消しておくべきだったな」

 

 隆誠は既にナァーザの存在に気付いていた。彼女の弱体化魔法による貢献で、ベーリングが命に斬り捨てられたのを知っている為に。

 

 一体いつになったら出てくるのかと思っていたのだが、恐らく自分が四人を仕留めたと油断したところを狙うつもりかもしれないと予想し、標的を切り替える事にした。

 

 隆誠がナァーザに使ったのは『ガンド』と呼ばれる呪いのルーン魔術。ルーン文字を必要とせず、指差しで起動する事が出来る簡単な魔術の一つとされている。それを受けたら体調を崩すと言う弱体化、もしくはダメージを受けるのどちらかになる。けれど隆誠はその両方の性能を併せ持つようにした結果、爆発可能なガンドが出来たのである。

 

「う、うう……あぐっ!」

 

「加減はしてやったけど、俺のガンドを受けた以上まともに動けないから諦めろ」

 

「……そんなの反則、だよ」

 

 そう捨て台詞を言ったナァーザは、アイシャ達と同じく意識を失う。

 

 今度こそ、この場にいるのは命だけとなる。

 

 すると何を思ったのか、隆誠は急にパチンッと指を鳴らした直後に重力の結界が解除された。

 

「はぁっ、はぁっ……何故、解いたのですか?」

 

 漸く重圧から解放された命だが、途端に身体が軽くなった所為で思うように動かす事が出来ない状態だった。

 

 完全に隙だらけの筈なのに、隆誠は仕掛ける気配を微塵も見せていない。

 

「今まで重圧を受けていた君は既に満身創痍だから、最早止めを刺す必要はないと思って、な」

 

「なっ……」

 

 余りの発言に命は激昂しそうになるも、実際その通りだった。

 

 今の彼女は下手に身体を動かしたら骨が折れてしまいそうなほど疲弊している。例え骨折覚悟で隆誠に特攻しても、この場に倒れているアイシャ達と同じ運命を辿る事になり、どちらにしても無意味な結果となってしまう。

 

「それに加え、たかが『Lv.2』の君がどんなに抵抗したところで俺の障害にすらならない」

 

「……う、くっ……!」

 

 命も当然理解していた。『Lv.4』のアイシャ達を簡単に倒していたのを見せ付けられ、『Lv.2』の自分が一人残ったところで一切勝機が無い事を。

 

 改めて事実を突き付けられた事で無力感を覚えた彼女は、双眸から悔し涙を浮かべる。

 

 女を泣かせる事に内心罪悪感を抱いてしまう隆誠だが、それでも敢えて心を鬼にして言い放った。

 

「今の君が出来るのは、己の無力を噛みしめながら結果を待つだけだ。じゃあな」

 

 そう捨て台詞を言った隆誠は背を向けて、次の戦場へ向かおうとするのであった。

 

 そして一人だけ残された命は――

 

「う、うぅぅぅぅ……! タケミカヅチ様……今の私は、貴方様に顔向けが出来ません……!」

 

 今までにない無力感を味わいながら、この場にいない元主神のタケミカヅチに合わせる顔が無いと涙を流し続けていた。

 

(どうする、ヤマト・(ミコト)。そこでそのまま腐るか、諦めずに立ち上がるかは君次第だ)

 

 隆誠は次の戦場へ向かいながらも、命が奮起してくれることを内心願っていた。

 

 

 

 

 

 

 『バベル』三十階は大騒ぎになっていた。

 

 隆誠と言う思わぬ眷族がとんでもない登場をしただけでなく、【女神の戦車(ヴァナ・フレイア)】に匹敵かそれ以上の速度に加え、(北欧勢を除く)神々すらも見た事のない未知の魔法に興奮していた。

 

「おいおい、どういう事だ? 【フレイヤ・ファミリア】にあんな眷族がいたなんて予想外にも程があるぞ……!」

 

 戦況が【派閥連合】側に少しずつ傾き始めていると思っていたヘルメスだが、隆誠と言う未知の存在に驚愕する一方だった。

 

 相手が大本命のベルではなかったとは言え、『Lv.4』である筈のアイシャ達を圧倒した他、魔導士とは全く異なる方法で魔法を簡単に発動させているなど今までに見た事が無い。普通ならヘルメスも他の神々と同様に興奮してもおかしくないのだが、今回ばかりはとてもそんな気分になれなかった。【派閥連合】側の勝利を願う彼としては、非常に不味い状況だと焦り始めている。

 

 あれ程の実力者が誰一人たりとも知らなかったのは、何か相当込み入った事情故にフレイヤの方で徹底的に秘匿していたのだろう。もしも隆誠が冒険者として活動していれば、あの美神が神の宴や神会(デナトゥス)の時に眷族自慢している筈。そんな人物を今回の戦争遊戯(ウォーゲーム)に参加させたと言う事は即ち、ベルを手に入れる為にはもう形振り構っていられないと決意したのだろう。

 

 『主戦場』東部で残っている【派閥連合】側は、心を圧し折られた(ミコト)を除けば、春姫(ハルヒメ)とアーニャだけだった。

 

 春姫(ハルヒメ)は支援タイプでまともに戦えず、肝心のアーニャは現在兄のアレンと交戦中。

 

 アーニャが倒れたら完全に詰んでしまう。

 

 隆誠とアレンが二人で北西の『円形劇場』へ向かうか、残りの神が胸に差している『花』を散らしに行くか。あるいは分断してそれぞれの役割を果たすのか、どう選択しても【派閥連合】側の敗北(ゲームオーバー)が確定となる。

 

 これはもう終わったと最悪な展開が目に浮かぶヘルメスだが、隆誠がアレンと合流した後、全く予想外な展開が起きるなど微塵も想像していない。

 

 それとは別に――

 

(あ~、アレやっぱりオーディン直伝のルーン魔術やないか。しかも『原初のルーン』まで使えるなんてとんでもない奴や) 

 

 眷族のベート・ローガを連れて『バベル』に来たロキは、隆誠がルーン魔術を物の見事に使いこなしてるのを見て内心焦っていた。

 

 彼が『黄昏の館』に来て用件を終えた後、リヴェリアからルーン魔術について根掘り葉掘り問い詰められる破目になり、心身共に疲労困憊する程だった。

 

 この戦争遊戯(ウォーゲーム)が終わって本拠地(ホーム)に戻れば、またしても母親(ママ)に問い詰められるんだろうなと、ロキは段々帰りたくない心境になっている。




 ~嫌いな食べ物を克服しよう~


 ヘイズが崇敬しているフレイヤと同衾した事で殺伐とした空気が充満していた。アレンを筆頭にした過激派の所為で、彼女は針の筵を味わう破目になっている。

 余りにも馬鹿馬鹿しいと断じる隆誠は――

「ヘイズがフレイヤと一緒に寝るように仕向けたのは俺だ。文句があれば俺に言え。いつでも相手になってやるが、その時は負けた後に女物の服を着させるだけでなく、その格好のまま外で奉仕活動してもらうからな」

『…………………………』

 ヘイズから敵意(ヘイト)を逸らさせる為に、戦って敗北した時の恐ろしい(ペナルティ)も周知した事で収束する事になった。



 その夜。

 隆誠はいつものように厨房で、一人の団員に料理と酒を振舞っている。

「リューセーが厨房で何かやっているのは知ってたが、こう言う事だったのか」

 今回誘ったのはガリバー四兄弟の長男アルフリッグだった。

 偶々一人で行動していたところを、隆誠が『普段の食事で味わえない酒と食事を用意するぞ』と誘われたので、仕方なく付き合うことにした。

 オッタルが時折『リューセーが用意する料理と酒は格別だ』と呟いたのを偶々小耳に挟んだから、アルフリッグは少しばかり興味を抱いていたのだ。

「俺のちょっとした趣味だ。ほれ、先ずはコレをどうぞ」

 食前酒なのか、隆誠は酒が入ってるグラスを差し出した。その中身は真っ赤でありながらも、とても爽やかな香りをしている。

 グラスを受け取ったアルフリッグは少々躊躇うも、意を決するようにグイッと飲む。

「…………美味いな。色は赤いが、一体何を使ったんだ?」

「お前達兄弟の嫌いなトマトだ」

「はぁ!?」

 酒の材料を聞いた瞬間、アルフリッグは途端に物凄く嫌そうな顔となった。

「リューセー! 僕がトマト嫌いなのを知って飲ませたのか!?」

「でも美味いって言ったじゃないか。味は悪くなかった筈だろ?」

「…………」

 確かにトマトだと分からなければ、再度お代わりを要求していただろう。

 それだけ美味しかったのだから、彼は全く反論出来なかった。

「沈黙は肯定と受け取らせてもらうよ。ほれ、今度はトマトゼリーだ」

「何でまたトマトなんだよ! 今度は絶対食べないぞ!」

 酒と違って前以て嫌いなトマトだと分かれば流石に食べようとはしない。如何に美味しく作ったところで、嫌いな食べ物に変わりないから。

「良いから食べてみろ。完食したらフレイヤと一緒になるよう頼んでやるから」

「ッ!」

 フレイヤと一緒になる。それはフレイヤの眷族達にとって最高の御褒美も同然で、幹部のアルフリッグも心底欲しがっているのは言うまでもない。

 目の前にいる男はいつも一緒なのは非常に気に食わないが、やると言った以上本当にやるから、仕方ないと言った感じでトマトゼリーを食べようと決意する。

「嘘吐いたら絶対許さないからな………(モグモグ)……ッ! う、美味い! 何故だ!?」

 嫌いなトマトだから吐き出す覚悟で食べるも、全く拒否反応を示さず喉がスルリと通った事に驚くアルフリッグ。

 一体どういう事だと疑問を抱くも、そこを隆誠が簡単に説明する。

「トマト嫌いな理由の大半は味、食感、匂いだからな。それを考慮してトマトカクテルでは飲みやすい味にして、トマトゼリーも甘くした上にプルプル食感にすればスルリと喉が通る。普通のトマトを食べるより良いだろう?」

「………認めたくはないが、確かにリューセーの言う通りだ」

「結構。これでアルフリッグのトマト嫌いが完全に治るとは思えないが、それでも加工すれば問題無い事が証明出来た。では次にメインのトマト料理を――」

「まだあるのかよ!? いい加減トマト以外の物を出せ!」

 加工すれば食べれると言っても、これ以上トマトに関する物はもう勘弁して欲しいと叫ぶアルフリッグ。

 因みに後日、食事に出されたトマトを出されて嫌な顔をしつつも、普通に食べ切る長男を見たドヴァリン達が心底驚愕する事になる。


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