別世界の元神がオラリオに来たのは間違ってるだろうか IFシリーズ   作:さすらいの旅人

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派閥大戦 幕間

 隆誠が【ヘスティア・ファミリア】の本拠地(ホーム)へ訪れた時まで、時間は遡る。

 

 

 

 ヘスティアと密談を終えた隆誠は、居室(リビング)でベルに一通りの説明をしていた。

 

 相手が【フレイヤ・ファミリア】の眷族だからか、一緒にいるリリ達は未だに信じきれないように見守っている。

 

「『Lv.6』にランクアップした今のベルでは【ステイタス】に振り回されるかもしれないから、そのバンドはもう暫く付けておけ」

 

「は、はい!」

 

「いつ外すかはベルの判断に任せるが、なるべくギリギリまで付けておいた方が良い。長く付けるほど底力が身に付くのは、もう既に分かってる筈だ」

 

「分かりました!」

 

 言いつけをちゃんと守るように力強く返事をするベルに、隆誠は素直だなぁと思わず笑みを浮かべていた。

 

 こうも善良かつ純粋な心根をしている少年を見る事で、思わず力を貸したくなってしまう。義妹(アーシア)のように純真だけでなく、訓練の時では絶対諦めずに挑み続ける(イッセー)と似ている為に。

 

 本当ならこれで用件を終えて本拠地(ホーム)へ戻るのだが、ベル達の敗北が確定となった場合に備える必要を考えてしまった為、隆誠は懐からある物を取り出した。

 

「ベル、もうついでにコレも渡しておく」

 

「えっと、コレは……イヤリングですか?」

 

「おお、綺麗なイヤリングだね」

 

 隆誠が渡そうとしてるのは一対の耳飾り。

 

 キョトンとしているベルや、興味深そうに見てるヘスティアだけでなく、リリ達は怪訝な表情になっている。

 

「って言うか良いのかい、リューセー君。見た感じ何らかの魔道具(マジックアイテム)っぽいけど、これ以上敵に塩を送るなんて事をすればフレイヤが黙ってないと思うぜ?」

 

「心配無用だ。ベルに貸してるバンドだけでなく、このイヤリングも【フレイヤ・ファミリア】どころか、主神のフレイヤすら知らないからな」

 

 フレイヤは隆誠が別の世界から来た事を知ってても、隆誠が元の世界で作成したアイテムについては一切聞いていない。教えたら絶対面倒になると既に予想していた為に。

 

「え~……嘘を吐いてないのは分かるけど、本当に大丈夫なのかい?」

 

 後からフレイヤに知られたら不味いのではないかと不安に思うヘスティアだが、当の本人は全く気にしてない様子だった。

 

「大丈夫、バレたところで其方は一切気にしなくて良い。もし何か言われても、全部俺がやった事だと押し付けてくれ」

 

「それはそれで罪悪感が……」

 

「まぁ君がそう言うなら良いんだけどさ」

 

 ベルとヘスティアは何とも言えない気持ちになるも、本人が気にするなと言ってるのだから取り敢えず割り切る事にした。

 

「ところで、その魔道具(マジックアイテム)は一体どんな効果があるんだい?」

 

 もうこの話題は終わりだと言わんばかりに、ヘスティアは一対のイヤリングの効果について訊ねる。

 

 何かしらの魔法を多少防げる防御用アクセサリだと予想するも彼女だが――

 

「二人の人物が片耳ずつ付けることで合体出来るアイテムだ」

 

「ふぁっ!?」

 

『ええ!?』

 

 全く予想外かつとんでもない物だと分かった瞬間に噴き出すのであった。

 

 彼女だけでなく、ベル達も信じられないと言わんばかりに驚きの声を上げている。

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ! そのイヤリングで二人が合体出来るって、本当なのかい!?」

 

「俺が嘘吐いてると思うか?」

 

「いやいや、嘘じゃないのは勿論分かってるんだけどさ! と言うかそんな凄いアイテムどこで手に入れたのさ!?」

 

「悪いが流石にそこまでは教えられないな」

 

 隆誠が作ったイヤリング――『タポラ』はドラグ・ソボールに登場した合体アイテム。これは今まで作成した中で結構苦労しており、神の能力(ちから)が無ければ完成出来なかった。

 

 本当に合体出来るのかと疑われるのは無理もないが、それは既に元の世界で証明されている。

 

 兵藤一誠と木場祐斗で試したところ、『(ひょう)() 祐誠(ゆうせい)』と言う一人の転生悪魔として誕生した。その後に二人が合体した仲だと何故か学校中に知れ渡って大騒ぎとなり、オカルト部員達(特にリアスと朱乃)が真剣な顔で記憶操作した程だと補足しておく。

 

 閑話休題(それはそうと)

 

 嘘を吐かずに上手く誤魔化した隆誠は次にこう言った。

 

「まぁ取り敢えず、今この場で一度試してみるといい。本当に合体出来るのかと疑いを晴らす為に、な」

 

『…………………』

 

 隆誠の提案にベル達は途端に無言となる。自分達が合体するとなれば無理もないだろう。

 

 すると、ヘスティアが代表して手を上げた。

 

「そ、そう言う事ならボクとベル君が――」

 

「ちょっとヘスティア様! 何さり気なくベル様と合体しようとしてるんですか!」

 

 ヘスティアの魂胆を見抜いたリリルカが、そうはさせまいと即座に割って入って来た。

 

「いくら魔道具(マジックアイテム)だからって、神と人間が合体すれば問題が起きる可能性が大いにあります!」

 

「んなぁ! 別に良いじゃないかサポーター君! これは試しでやるだけなんだから!」

 

 急にギャアギャアと騒ぎ出すヘスティアとリリルカ。

 

 また始まったと見ているベル達とは別に、呆れ顔になってる隆誠はある事を教える。 

 

「神ヘスティア。言い忘れてたが、貴女は合体しないでくれ。このアイテムは合体しても一時間で戻れるが、神が合体した場合、下手すれば永遠に戻らなくなる可能性がある」

 

 隆誠の作った『タポラ』の性能がドラグ・ソボールと同様であれば、片方が神であれば永遠に合体が戻れなくなってしまう。もしヘスティアがベルと合体すれば戦争遊戯(ウォーゲーム)に参加出来なくなるどころか、今後の生活に大きな問題となるのが容易に想像出来る。

 

「そんなぁ~! 折角ベル君と一つになりたかったのにぃ~!」

 

「処女神のくせに卑猥なことを言わないで下さい!」

 

「ベル様と一つに……あわわわわ!」

 

 ヘスティアの問題発言に顔を赤らめながら突っ込むリリルカと、何やら卑猥な妄想をし始める春姫だった。

 

 それを聞いたベルは何故か首を傾げている。

 

「? ……何で合体するのは卑猥なの?」

 

「ベル、お前はまだ知らなくていい」

 

「そ、そうです! ベル殿が知るのはもう少し先かと自分はそう思います!」

 

 ベルが質問するも、ヴェルフは適当にはぐらかし、今は必要無いと頬を赤らめながら諭すように言う命。

 

「……あの~、神ヘスティア以外の誰が合体してくれるんでしょうか?」

 

 早くして欲しいと催促する隆誠に、ヘスティア達はハッとする。

 

 その後は誰がベルと合体するかとの話題になって、再びあーだこーだと騒いでしまう。

 

 このままでは埒が明かないと思った隆誠は、ベル以外の誰かと合体しようと提案して収まる事になる。

 

 誰と誰が合体したのかは、この場にいる当人達しか知らない。




今回の話はベルが合体アイテムを持ってる経緯でした。

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