別世界の元神がオラリオに来たのは間違ってるだろうか IFシリーズ 作:さすらいの旅人
(魔法は当たったけど、リューセーさんがこの程度で倒せるとは思えない)
本命の魔法である【ルミノス・ウィンド】は広域攻撃魔法として使うが、全ての大光玉を隆誠一人だけに当てようと、一発も無駄にせず全弾命中させた。
言うまでもないが、本来の使い手であるリューより威力や精度が段違いに高い。当の本人も、合体した事で格段に威力が上がるとは思ってなかったが。
一発受けただけでも並みの冒険者を簡単に吹き飛ばすだけの威力があり、数えるのも馬鹿らしくなるほど夥しい大光玉を受ければ、第一級冒険者でも確実に死ぬだろう。
そう考えれば如何に隆誠でも被弾すれば死んでしまうかもしれないが、それは絶対に無いとリュールは確信しているから全力で撃った。
彼が身に纏っている全身鎧は殆どが罅だらけになっており、中身の方もダメージが通っている筈だと思いたい。
「……全く。本当なら見事と称賛すべきなんだが、してやられた所為で何も言えないな」
(やっぱり)
高威力の魔法を直撃したにも拘わらず、顔を守る為に両腕を交差して防御していた隆誠が、全く堪えていないように言ってきた。
「アレを受けても平然としてるのか……!」
「さっきまで戦ってた猪坊主が可愛く見えてきたよ……」
自分が喰らえば確実に死んでいると断言出来るヘディンとミアだが、平常な声を出してる隆誠に思わず戦慄する。
いくら防具で身を守られていたとは言え、あの爆発による衝撃は相当なものだから、中身の方もそれなりにダメージを受けているだろう。しかし肝心の本体が何でもないように言ってきたから、大の大人でも少々恐怖してしまうのは無理もない。
すると、装備している全身鎧と黄金の長剣は、限界が訪れたかのようにガラガラと崩れていく。剣の刀身部分は半分以上失い、兜も半分以上崩れた事で素顔が露わになっている。残りの防具も同様で身を守る為の機能が殆ど失われてるも同然だった。
「まさか
自慢の武器や防具が破壊された事で少々残念そうに呟く隆誠は、もう必要無いと言わんばかりに長剣を放り投げ、崩壊してる兜も外した。
直後、捨てられた長剣と兜だけでなく、未だに纏っている壊れた全身鎧も完全に消失する。
元々は隆誠のオーラによって造られた武装だから、不要と判断するだけで消すのも容易いことだった。
「既に予想してたがリュール、お前の実力は『Lv.10』以上だと改めて分かったよ」
隆誠の発言で周囲がシンと静まり返る。
『Lv.7』になったばかりの【ロキ・ファミリア】の三首領を除いて、現在の最強はオッタルと、オラリオ外で活動してるレオン・ヴァーデンベルグの二人が君臨していた。
しかし、隆誠がリュールを『Lv.10』以上と断言した瞬間、『Lv.7』の二人は最強の座から下りる事になってしまう。
(だろうな)
(寧ろ納得だよ)
普通ならとんでもない法螺だと誰もが否定するかもしれないが、少なくとも、この場にいるヘディンとミアは事実だと受け入れている。最強である筈のオッタルを、リュールが簡単に倒したのを間近で見れば猶更に。
嘗ての最強派閥だった【ゼウス・ファミリア】団長のマキシムは『Lv.8』で、【ヘラ・ファミリア】団長の【女帝】は『Lv.9』だが、その二人を更に超え、冒険者リュール・クランがオラリオ史上初二桁のレベルに達するなど前代未聞にも程がある。
最強となったリュールなら【フレイヤ・ファミリア】に勝てるかもしれない。そんな淡い期待を抱くかもしれないが、肝心の隆誠は恐怖しないどころか、逆に好戦的な笑みを浮かべていた。
「嬉しいよ。これで漸く俺も本気を出せそうだ……!」
隆誠の発言に、リュールを除く誰もが耳を疑った。
「リューセー、貴様、今まで本気ではなかったのか……!?」
真っ先に反応したのはヘディンだった。
彼は自分やアレンを難なく土を付けている隆誠が、オッタル以上の実力がある事をとっくに勘付いている。恐らく『Lv.9』ではないかと粗方の予想をつけて。
しかし、『Lv.10』以上のリュールに本気を出すと言った事で、自身の予想を大きく裏切る結果となってしまう。
「当たり前だ。仮にそんな事したら、お前も含めた【フレイヤ・ファミリア】の半数以上は確実に死んでいたぞ」
知っての通り隆誠はこの世界に来て以降、一度も本気で戦った事がない。余りにも実力差があり過ぎる為に。
彼がその気になれば最強の存在になるのは簡単だが、そんな子供染みた野望を一切持ち合わせていない。故に普段から力を抑えたまま、【フレイヤ・ファミリア】で裏方の事務員として過ごしている。その時折、無謀に挑んでくる相手には力付くで黙らせた後、二度と刃向かわない為に屈辱な制裁を与えたのは言うまでもない。
「この際だから、参考までに俺の
「ッ……!」
余りにも馬鹿げたレベルを否定したいヘディンだったが、全く言い返す事が出来なかった。こんな状況で法螺を吹くとは思っておらず、純然たる事実を言っているのだと。
実際、つい先程見せていた攻防は目で追うのがやっとだったのだ。これで本気でやるとなれば、もう完全に捉えきる事が出来ないだろう。
「リュール、此処からは俺が最も好む武器で相手をしよう」
「っ!」
そう言って隆誠は開いてる右手を伸ばした瞬間、掌から光が発し形作られたのは――極東人のヤマト・
けれど刀身が1.5M以上もあり、本当に刀なのかと疑うほどのありえない長さをしている。
隆誠は日本人として転生したこともあって、西洋の剣より東洋の刀を好んでいる。加えてゲームの『幻想シリーズ』に登場するラスボスが使うシーンを見た事で、自身も真似てみようと練習した結果、得意武器の一つとなった。
「鎧はもう纏わないんですか?」
「必要無い。どうせまた壊されるのが目に見えてる」
リュールの問いに不要だと答える隆誠。
彼がその気になれば更に硬度を高めた『
「鎧の代わりとして――【
『
「………【
またしてもアイズの魔法を使う事に何か言いたげなリュールだったが、既に回収していた星剣を構えながら炎属性の
そして――
「面白い。俺の『風』か、お前の『炎』。どちらが上か――この戦いで証明しようじゃないか!」
「望むところです!」
互いに地面を爆砕するほど加速した二人が刃を振るって激突した瞬間、凄まじい『風』と『炎』が吹き荒れるのであった。
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