別世界の元神がオラリオに来たのは間違ってるだろうか IFシリーズ 作:さすらいの旅人
『……………………』
オラリオに住まう者達は誰一人たりとも声を発する事が出来なかった。実況役のイブリや、いつも喧しく騒ぐ筈のガネーシャですらも。
それも当然と言えよう。『鏡』に映っている光景は、今までと比べ物にならないほど熾烈な戦いとなっているのだから。
つい先程倒されたオッタルは一人でありながらも、『Lv.6』のベル、リュー、ミア、ヘディンの四人を相手に互角に戦って桁違いな実力者だと思い知らされていたが、今行われている光景に比べれば見劣ってしまうだろう。
『Lv.10』以上の実力者である二人は、『Lv.7』とは次元が違うと脳が認識されている最中により、誰も声を出す事が出来ない状況に陥っている。
舞台となっている円形劇場は殆ど破壊されて原形を失う寸前だった。隆誠の『風』で辛うじて残ってる観客席や壁面を切り裂かれ、リュールの『炎』は超高温を証明する為に壁を炭化させており、数分もしない内に更地となってしまうかもしれない。
因みに二人の戦いを間近で見ているヘディンとミアは既に離れている。周囲にも被害が及ぶほどの戦いである為、あのままいたら自分も巻き添えを受けてしまうと。他にも未だに動けないヴァンは回収したが、オッタルは円形劇場からかなり離れているので問題無いと敢えて放置している。
余りにも凄すぎる戦いに、【フレイヤ・ファミリア】の対となるもう一つの都市最大派閥【ロキ・ファミリア】も例外ではなかった。
「どちらも既に僕達の手の届かない
「そうだな。先程見せた魔法は完全に私以上だった。しかも何だアレは、私を差し置いて魔法とルーン魔術を同時に扱うなど……!」
「……今頃は『学区』におる彼奴も、参加出来なかった事に口惜しがっておるやもしれんのう」
『Lv.7』に上り詰めた三首領はもうお手上げ状態になっていた。もしも自分達が
ガレスがリヴェリアの発言を聞かなかったようにしようと、オッタルと同じ『Lv.7』の【ナイト・オブ・ナイト】レオン・ヴァーデンベルグの事を口にしていた。オラリオで行われている派閥大戦だが、この戦いは外部も閲覧可能なので、『学区』にいる神々がいれば力を行使して『鏡』を出す事が可能なのだ。
自分より更に上を行っている実力者同士の戦いを見て、昔の血が騒いでいるんじゃないかと予想していた。それどころか隆誠かリュールのどちらかと戦ってみたいと言う戦闘欲求に駆られているかもしれないと。
すると、『鏡』に映っている隆誠が鍔迫り合いをしてるリュールから一旦離れたかと思いきや、突如急に突進しながら長刀を斜め下から上方に向かって斬りつけようとした。リュールは咄嗟に星剣を構えて防ぐも、衝撃まで押し殺すまでは出来ず、地面に付いていた両足が離れて上空へ吹っ飛んでいく。
「ああっ、アルゴノゥト君が……!」
「凄い勢いで吹っ飛んだわ!」
リュールが吹っ飛ぶのを見て大きく反応するアマゾネス姉妹。
直後、隆誠は『風』を纏わせながら跳躍。
今も上空へ吹っ飛ばされてるリュールだが、彼と違って足を中心に『炎』を放出させながら空中で体勢を整えていた。
その瞬間、跳躍している隆誠が長刀で『風』の斬撃を飛ばすと、リュールは星剣に『炎』を纏わせて斬撃を飛ばす。
二つの飛ばした斬撃が衝突して霧散するも、ソレ等を放った両者が空中で斬撃の応酬が始まる。
「…………凄い」
同時に口惜しく思っていた。自分も使えるのに、隆誠みたいに空中浮遊や斬撃を飛ばす事が出来ないから。
レベルとか関係無く、彼は完全に『風』を自分のモノにしていると痛感させられる。と言うより、あんな使い方が出来るのかと驚くばかりだ。
アイズは根っからの剣士である為、【エアリエル】は大事な魔法であっても、全身や武器を纏う武装の延長線のようにしか思っていない。だから隆誠がやってるような使い方は今まで考えた事がなかった。
『風』の性質を理解していれば同様に使いこなす事は可能だが、それを活かす知識が備わっていない。要するに勉強不足なのだ。しかし残念なことに彼女は勉強嫌いだから、それを克服しなければ『風』を自在に操れる機会は訪れないだろう。
☆
場所は変わって『学区』のとある一室。
そこには一柱の男神と、一人の教師が食い入るように『鏡』に映る戦いを観ている。
「凄い戦いだ。レオンはどう思う……って、訊くまでもなかったか」
「今は何も言わないでくれ、バルドル……!」
『学区』の校長を務める男神バルドルの問いに、教師筆頭のレオン・ヴァーデンベルクは観戦に集中していた。
「オッタル、お前と言う奴は……何故私に彼の事を言わなかったんだ……!」
今のレオンは既に退場してるオッタルに悪態を吐いていた。隆誠と言う強敵を今まで秘匿していた事に。
『現代の英雄』とも呼ばれる彼だが、教師の仕事をしながらも更なる高みを目指す為に日々奮闘している。だからもし隆誠の存在を知れば、真っ先に挑んでいただろう。
今回の
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