別世界の元神がオラリオに来たのは間違ってるだろうか IFシリーズ   作:さすらいの旅人

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今回は短いです。


派閥大戦⑮

(全く。こんな場所でアレをやるとは……)

 

 ヘスティアが敵を目の前に堂々と【ステイタス】更新をやろうとしてることに隆誠が内心呆れるも、邪魔する気など毛頭無かった。寧ろさっさと強化して欲しいと願っている。

 

 ベルが今回の戦争遊戯(ウォーゲーム)を開始して戦った相手はヴァン、オッタル、そして隆誠。

 

 一撃で倒した格下(ヴァン)は別として、格上二人と戦っていた事で相当な経験値(エクセリア)を得ている筈だから、どのくらい上昇するかは不明でもマシな戦いになるだろうと隆誠は推測していた。

 

 普通なら阻止すべきなのだが、邪魔はさせないとリュー、ヘディン、ミアが立ち塞がっていた。故に隆誠は先ず三人を相手にしなければならない、と言う雰囲気を見せている。

 

(あの魔法は確か……『階位昇華(レベルブースト)』だな)

 

 リュー達三人が包み込んでる光を見て、隆誠はタンムズから聞いた魔法の効力について思い出す。

 

 【イシュタル・ファミリア】に所属していた元娼婦、サンジョウノ・春姫が使う魔法【ウチデノコヅチ】についての情報も当然得ている。既に送還された女神イシュタルが、【フレイヤ・ファミリア】に対抗する切り札だった事も含めて。

 

 現在『Lv.6』である筈の三人が彼女の魔法によって『階位昇華(レベルブースト)』されたのであれば、一時的だが実質『Lv.7』に昇格している。

 

(手負いでも少しはマシになった、と言ったところか)

 

 尤も、レベルが一つ上がったところで隆誠にとっては何の障害にもならない。自身も一応手負いの状態で相手をするから、それなりに加減して戦うつもりでいるが。

 

 すると、光に包まれてるリュー達が一斉に突撃してきた。

 

「ソラァァァァァァァァァッ!」

 

 思考を切り替えた隆誠は、手にしている長刀を振り下ろすと、『風』に包まれてる刀身が地面を一部破壊した事で粉塵を撒き散らす。

 

 三人が即座に三方へ散開することで回避に成功。

 

 その後には三者三様の戦術をもって、隆誠へと攻めかかる。

 

「ハァァァァァァァ!」

 

 跳躍で回避していたリューは、空中から果敢に星剣を振るう。

 

 流星の如き斬撃を煩わしそうに見る隆誠だが、難なく防いでは避ける。

 

「どこ見てるんだい、アホンダラァ!!」

 

 空中で仕掛けるリューとは別に、ミアは地上による攻撃。

 

 エルフに反撃する寸前、痛烈な円匙(スコップ)を見舞う。

 

 傷がズキズキと痛みながらも、隆誠は流れるような動作をしながら柄の先端で防御しながら弾く。長刀を持っていない片手を握りしめて反撃を試みるが、頭上からの星剣によって防がざるを得ない。

 

 天地それぞれの攻撃に対処している最中、粉塵が晴れたその先には雷の魔法を放つ寸前のヘディンがいた。

 

「ちっ!」

 

 隆誠は舌打ちをしながら片手でルーン魔術を展開。

 

 直後、ヘディンが放った無数の雷弾は対象を狙うように前進するが――全て逸れてしまう結果になった。

 

『ッ!』

 

 対象が当たらなかった事実にヘディンだけでなく、リューとミアも驚愕する。

 

(アレで私の魔法を逸らしていたのか!)

 

 ヘディンは漸く合点がいった。オッタルに止めの一撃(【ヴァリアン・ヒルド】)を炸裂する筈が真横に逸れてしまう予想外な結果になったのが、隆誠のルーン魔術によって妨害されていたのだと。

 

 その読みは正解で、彼が使ったルーン魔術は『避雷のルーン』。文字通り雷に関するモノを全て避ける事が出来る限定的な魔術だが、ヘディンからすれば最悪だ。ただでさえ規格外な化物を相手にしてるのに、自身の攻撃魔法を防ぐ手段も持っているなど不愉快極まりない。

 

「クソがっ!」

 

 本当ならリューとミアの穴を埋める為に援護射撃をするヘディンだったが、通用しないと分かった以上はミアと同じく接近戦をするしかなかった。

 

 今の彼は眼鏡を失い、冷静沈着な魔導士ではなく、荒々しい戦士の顔を見せて長刀(ロンパイア)を振っている。

 

「ハハッ! お前もそんな顔するんだな、ヘディン!」

 

 思わず笑みを浮かべながら三人の攻撃を対処している隆誠。

 

(くっ! 手負いでありながらも、こうも簡単に防ぐとは!)

 

(こっちは能力(ステイタス)に振り回されないよう意識してるってのに!)

 

(例え御したところで、やはりリューセーには届かない!)

 

 リュールとの戦いで負傷していながらも、一時的に昇格した『Lv.7』の攻撃を簡単に防いでしまう隆誠を見て思わず悪態を吐いてしまう三人。

 

 だがそれでも、諦めると言う選択肢は無い。今も【ステイタス】更新中のベルが加われば、難攻不落な防御を見せる男に僅かな勝機を見出せるかもしれないのだから。

 

 三対一でありながらも、隆誠は全く物ともしないどころか、まるで自分の敵ではないと三人を翻弄している。

 

「……すごい」

 

 その光景を見ていたベルは思わず呟く。

 

 果敢に挑む冒険者(リュー)達の姿ではなく、自分を鍛えてくれた師匠(リューセー)の実力に改めて見惚れているのだ。

 

「すごくなんかないさ! 君もすぐ、あそこに行くんだろ!」

 

 ヘスティアは少年を励ましながら【神聖文字(ヒエログリフ)】を刻んでいく。

 

 ベルの背中に刻まれてる【ステイタス】のアビリティの数値は急速に上がり続け、未だに勢いが止まろうとしない。

 

(ア、アビリティ熟練度の上昇値トータルが軽く四桁を超えてるって……一体どんな戦いしてたんだい!?)

 

 隆誠が与えた修行用バンドによってアビリティは急激に上昇していたが、今回はソレと比にならないほどだった。思わずこの場で隆誠に問い詰めたい衝動に駆られる女神だが、今は何とか必死に我慢している。

 

 こうまでベルが莫大な経験値(エクセリア)を得たのには理由がある。

 

 枷を着けたまま『Lv.5』の状態でオッタルと交戦して蓄積。

 

 枷を外した事で『Lv.6』に戻った瞬間、本来の力を抑えていたアビリティが急上昇。

 

 圧倒的な力を見せる隆誠に諦めず挑み、何度もコテンパンにされた事で再度蓄積。

 

 リューと合体してリュールになり、その状態で『Lv.7』のオッタルに圧勝して相応の経験値(エクセリア)を取得。

 

 『Lv.10』以上の実力を持つ隆誠と互角の勝負を繰り広げた後、あと一歩まで追い詰めた事によって得られた経験値(エクセリア)の大半が基本ベースのベルが取得。

 

 情景一途(レアスキル)も影響していた事もあって、ベルのアビリティ上昇値は軽く四桁を超えているのであった。

 

 しかし、まだこれだけでは済まない。

 

 アビリティが急激に上昇するだけでなく――

 

「ベル君がもうランクアップ可能になってるぅぅぅぅぅぅぅ!!」

 

 オッタルや【ロキ・ファミリア】の三首領と同じ領域(『Lv.7』)に到達可能となっていた。

 

『………は?』

 

「ほう」

 

 果敢に攻撃していたリュー達はヘスティアの叫びを耳にした事で思わず止まってしまい、一緒に聞いていた隆誠も興味深そうに視線を向けていた。

 

 当然これはオラリオ側も聞いており、またしてもとんでもない事実を知った途端、人間だけでなく神々も揃って絶叫しているのは言うまでもない。




原作と違って、ベルを『Lv.7』にまでランクアップさせる展開にしました。
いくらなんでも無理があるだろうと思われますが、どうかご容赦ください。

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