別世界の元神がオラリオに来たのは間違ってるだろうか IFシリーズ   作:さすらいの旅人

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要望がありましたので、急ピッチで書きました。


後日談

(あんな凄い戦い、もうこの先二度と見れる機会は無いわね)

 

 黒竜との戦いから一週間後、フレイヤ、もといシルはオラリオへ戻ってきた。

 

 彼女が帰還した報せを耳にした【フレイヤ・ファミリア】の元眷族達が、挙って門の前に出迎えたのは言うまでもない。

 

 解体したんだからそんなことしなくても良いのにと思いながらも、オッタル達に感謝した直後に有無を言わさず強制解散させ、シル・フローヴァとして『豊穣の女主人』に戻った。

 

 リューを筆頭にウェイトレス達が喜んでいた他、店主のミアは『どこへ行ってたかは知らないけど、明日からキッチリ働いてもらうよ』とありがたいお言葉を頂いている。

 

 本当なら数日休みたいシルだったが、店にいる以上は文句を言えない立場なので、明日から頑張ろうと思いながら今日一日ゆっくり休むことにした。

 

 と思いきや、彼女に会いたいとの来客が相次いだ。

 

 最初は【ロキ・ファミリア】。主神ロキや団長のフィンも含めた幹部数名が、今まで何処へ行っていたのかを聞き出す為だった。加えて、何故今は隆誠と一緒ではないのかも含めて。

 

 以前までのフレイヤなら適当に誤魔化してやり過ごすのだが、今はヘスティアの『従属神』と言う扱いの為、今も都市最大派閥として君臨している【ロキ・ファミリア】の問いに答えざるを得ない立場になっている。

 

 しかし、彼女は答えなかった。

 

「いずれ貴方達も分かるかもしれないから、今の時点ではまだ言えないわ」

 

 と、明確に拒否したのだ。

 

 余りの返答にロキがキレそうになるも、そこをフィンが抑えながら質問を変えた。

 

「神フレイヤ、貴女とリューセー・ヒョウドウが北へ向かったと聞いている。その方角を考えると、もしや北の最果てにある『竜の谷』へ向かったのでは? 偶然なのかは分からないが、お二人がいなくなってから数時間後、妙な地震が起きたのですが」

 

「【勇者(ブレイバー)】。どう推理しようが貴方の自由だけど、さっきも言った通り今は何も言えないわ」

 

 まぁその代わりとして、と言いながら彼女はこう言った。

 

「リューセーならオラリオへ戻る途中で別れたわ。その時点で彼はもう私の眷族じゃなくなったから、何処へ行ったのかは私にも分からない」

 

『!?』

 

 余りにも衝撃的な返答にロキやフィンだけでなく、一緒に聞いているリヴェリアやアイズも『ガーンッ!』と大きなショックを受けていた。

 

 隆誠と言う強大な力を持った存在が他の国家系ファミリアに所属してしまったら、『世界の中心』と呼ばれるオラリオ側の戦力バランスが一気に書き換えられてしまう。

 

 もしもラキア王国にいる軍神アレスが彼を眷族にしたら最後、あの脳筋バカは『今度こそ確実に勝利出来る!』と確信し、約定を違えて再びオラリオに戦争を仕掛けるのが容易に想像出来る。そうなればオラリオ側の各【ファミリア】は、多大な犠牲を払う覚悟で挑まなければならない。

 

「おい待てやフレイヤぁ! 自分が何をしたのか分かっとんのかぁ!?」

 

 だと言うのに、あろう事かフレイヤは隆誠を野に放ってしまった。それがどれだけ恐ろしい行為なのかは彼女だって理解してる筈なのに、一体何故そんな事をしてしまったのかとロキが厳しく問い詰めざるを得ない。

 

「そんな心配はないわよ、ロキ。彼はもう二度と姿を現わさない遠い場所(ところ)へ旅立ったわ。力を制限されてる女神(わたし)でも、どうする事も出来なかったのよ」

 

「っ! まさか……!」

 

 遠回しに言うフレイヤにロキは漸く理解した。

 

 神々の自分達でもどうする事も出来ない場所へ旅立った。それは即ち、隆誠は死んで魂が天界へ向かってしまったのだと。

 

 段々と暗くなっていくロキの姿に、フィン達もまさかと最悪な方向を考え始めようとしている。

 

(何か勝手に死亡扱いしてるみたいだけど、私は決して嘘なんか言ってないわ)

 

 フレイヤの言い方は誰が聞いても隆誠が死んだと思い込んでしまう内容だが、これは大きな間違いだった。

 

 実際は隆誠が元の世界へ戻る為の異次元の穴――『次元の狭間』と呼ばれるモノを開き、フレイヤでも一切手が出せない異世界へ旅立ったのだ。天界にいる神々であれば何らかの手段を行使していたかもしれないが、彼は穴へ飛び込んだ瞬間に塞いでしまったから、もう一切手が出せなくなっている。

 

 大きな勘違いをしているロキ達だが、フレイヤは敢えて真実を言わない。それが自分と隆誠の大切な最後の思い出である為に。

 

 【ロキ・ファミリア】がいなくなった後、次の来客が訪れた。

 

 『Lv.7』のオッタルと同格の強さを持ち、『学区』で教師を務めるレオン・ヴァーデンベルク。彼がシルに会いに来た用件は、隆誠と手合わせしたいと言う嘆願だった。

 

 学区が三年ぶりにオラリオに帰港した際、彼は真っ先にフレイヤがいる『豊穣の女主人』へ向かうも、肝心の彼女は隆誠と一緒に旅に出ていると聞いてショックを受けてしまう。オッタル達なら何か知ってるのではないかと訊くも、彼等も全く知らないとの返答を聞いた事で途方に暮れてしまっていた。

 

 数日後に彼女の帰還を耳にした直後に向かうも、【ロキ・ファミリア】と対応中との事で待たされる破目になった。それでも漸く彼に会えると喜んでいたのだが――

 

「悪いけど、貴方の願いはもう二度と叶わないわ。彼はもう……神の私でも手が届かない遠い場所へ旅立ってしまったの」

 

「ッ!!」

 

 フレイヤの返答を聞いた事で、レオンは【ロキ・ファミリア】と同様に大きなショックを受けながら去ってしまうのであった。

 

 因みに学区へ戻った際、非常に落ち込んでいる彼の姿に主神バルドルだけでなく、多くの生徒達も物凄く心配していたことを補足しておく。

 

 フラフラと帰って行くレオンの姿に、嘘を言っていないフレイヤですら『何だか悪いことしたみたいね』と内心反省する程だった。

 

 そして最後に訪れたのは、自分の『騎士』になると約束したベル・クラネル。以前の想い人からの来訪に、疲れ気味だった彼女は快く出迎えた。本当なら二人っきりで話したかったが、同行したヘスティアや他のウェイトレス達の目もあった為、仕方なく離れにある広間で話す事にした。

 

 少年が訪れた主な目的は【ロキ・ファミリア】やレオンと同様、隆誠の事についてだった。嘗て自分を鍛えてくれた師匠だから、会いたいと思うのは当然の行為である。

 

 フレイヤとしては先程まで対応していた来客達と違って、ベルだけには真実を教えても構わないと思っている。しかし、今この場にはヘスティアやリューも含めたウェイトレス達がいる為、適当に暈すしかなかった。

 

「リューセーは旅の途中で私と別れて、故郷へ戻ったのよ。何でもオラリオから物凄く離れた場所だからもう二度と会えない、と言ってたわ」

 

「そう、ですか……」

 

「だけど彼、私と別れる前に凄い事をしたわよ。今はまだ言えないけど、弟子だったベルが誇らしくなる程の偉業を成し遂げたの」

 

「そ、それって一体……!?」 

 

「時間が経てば何れ分かるから、その時が訪れるまで待ってなさい」

 

 ロキ達やレオンと違って、フレイヤは隆誠が死んでいないように答えていた。

 

 そして後日、フレイヤの言った意味が漸く判明する。

 

 ベルがとある理由で『学区』の生徒として変装し、何とか元に戻ったレオンや生徒のニイナと一緒に野外調査(フィールドワーク)をする為に向かった目的地――『竜の谷』で封印されている筈の『隻眼の黒竜』が討伐された事を知ることになる。同時に隆誠が姿をくらましたのは、黒竜との戦いで既にこの世に存在していないのだと。

 

 本来なら『黒竜の討伐完了』は喜ばしい大ニュースなのだが、オラリオでは【ロキ・ファミリア】が遠征に失敗して全滅したとの報告が入った。

 

 それを知ったベルは固く決意する。命を賭して『黒竜』を倒した師匠(リューセー)の弟子として、自分が【ロキ・ファミリア(アイズさん達)】を助けにいかなければと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、『次元の狭間』を通って元の世界へ帰還している隆誠だが――

 

「フレイヤの所の団服を着てるこの子はリューセー・ヒョウドウと言う名で、今日から訳あって居候することになったわ。とてもいい子だから、みんな仲良くしてね」

 

『ええっ!?』

 

(はぁっ、何でこんな事に……)

 

 何故か再びオラリオに来ただけでなく、更には奇妙な出会いをした【アストレア・ファミリア】の主神アストレアが彼を保護する展開になっていた。

 

 目の前にいるアストレアの眷族の中に、顔立ちが幼いリュー・リオンもいるのを見て、自分が今いるのは過去のオラリオだと改めて認識することになる。

 

 隆誠の異世界旅行は、まだまだ続く。




これで本当に【フレイヤ・ファミリア】編は終了です。

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