別世界の元神がオラリオに来たのは間違ってるだろうか IFシリーズ   作:さすらいの旅人

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【アストレア・ファミリア】編
またしてもオラリオへ


(よし、このまま問題無く戻れそうだ)

 

 周囲には何も存在しない『次元の狭間』を移動する青年――兵藤隆誠は、自身が住まう元の世界へ戻ろうとしている。

 

 此処へ訪れる少し前、異世界で世話になった女神フレイヤから、戦争遊戯(ウォーゲーム)で負けた責任を取ってもらう為に『黒竜』と戦っていた。今まで全力で戦う機会がなかった所為もあって、少々派手にやり過ぎてしまったと反省していたが。

 

 目的を果たした隆誠は、仮初めな関係だった主神に別れを告げた際、【フレイヤ・ファミリア】の団服を返上するつもりだったが断られた。『私の派閥(ファミリア)は無くなったから、それはもう貴方の物よ』と言われた為に。

 

 最後の別れに(フレイヤとしては接吻(キス)をして欲しかったが)親愛の抱擁をしてから、隆誠は漸く自力で開く事が出来た『次元の狭間』の穴に自ら入り、直後に防いだことで異世界との繋がりを断ち切った。

 

 そして現在、無の空間を漂いながらも元の世界と思われる痕跡を辿っている隆誠だが――

 

「ん、何だ? 急に何か引っ張られて……!」

 

 あと少しで戻れそうなところ、何時の間にか自身の周囲に纏わり付いている見えない何かによって、強制的に方向転換させられていた。

 

「おい待てコラァァァァ! 人が折角帰ろうとしてるのにぃぃぃぃぃ!!」

 

 神の能力(ちから)を使って抵抗している隆誠を、そんなの知った事かと言わんばかりに元の世界が繋がっていると思わしき穴からどんどん遠ざかっていく。

 

「クソォォォォォ! アーシアと再会の抱擁するつもりがぁぁぁぁぁ!!」

 

 一年以上も大事な義妹(いもうと)に会えなかった分を取り戻す筈だった隆誠(シスコン)は、またしても異世界と思わしき穴へと放り込まれるのであった。

 

 

 

 

 

 

 そして、隆誠が放り込まれた異世界は――

 

「また此処かよ!」

 

 何と別れた筈の迷宮都市だった。

 

 見覚えのあるバベルの塔や建物を見た事で、彼はすぐにオラリオだと分かって思わず叫んでいる。

 

 もう一度『次元の狭間』を開こうと試みるも、全く反応が無かった為、またしても時間が経たなければ開く事が出来ないと隆誠は即座に理解した。

 

 フレイヤにもう二度と会えないから別れの抱擁をしたのに、再びオラリオに戻って来た事で、あの時のアレは一体何だったのだろうと思わず気落ちしてしまいそうだった。

 

「ん? いや、何か違う……」

 

 パニック気味だった隆誠は段々冷静になってきたことで、ある事に気付いた。

 

 バベルの塔は相も変わらずだが、自身の周囲にある家屋や通路が所々破損しており、少し先には生きる気力を失ったかのように座り込んでいる住民達がいる。

 

 更には何処からか爆発するような音が聞こえ、都市が戦場のような物々しい雰囲気。

 

 少し前まで見たオラリオとは全く異なる光景である為、これは一体どう言う事だと疑問だらけになっていく。

 

「俺がいなくなってから何が起きたんだ?」

 

 異世界と『次元の狭間』による時間の流れが異なるとは言え、それでも数時間で平和だった筈の迷宮都市が突如戦場になるとは到底考えにくい。

 

 退屈を持て余してる馬鹿神(きちがい)共の反乱、もしくは先日壊滅させた闇派閥(イヴィルス)と似たような組織がオラリオに総攻撃、等々が考えられる。【ロキ・ファミリア】を筆頭に元【フレイヤ・ファミリア】のオッタル達がいても、余りの数に対処しきれず苦戦しているとなれば相当厄介な相手かもしれない。

 

「一先ず調べてみるか」

 

 異世界の出来事とは言え、一年以上もオラリオで世話になった隆誠としては放っておけない為、今の現状を確認する為の情報収集をする事にした。

 

 一旦フレイヤがいる場所へ向かおうと考えたが、それはすぐに却下した。別れの抱擁をしておいてもう二度と会えないと言っておいて再会するのは少々気まずいから、なんて理由じゃないと自分に言い聞かせながら。

 

「ちょっと良いですか?」

 

「ヒッ! 【フレイヤ・ファミリア】……!」

 

 聞き込みをしようと声を掛ける隆誠に、住民は彼が身に纏っている団服を見た途端に怯えた表情になる。

 

(未だに恐れられている、か)

 

 戦争遊戯(ウォーゲーム)で敗北して解体されても、住民達からすれば【フレイヤ・ファミリア】は恐怖や畏怖の対象として見なされているようだ。

 

 自分も派手にやらかしていたから無理もないと、諦めるように嘆息しながら去って行く隆誠。

 

 やはりフレイヤに会いに行くしかないかと諦めかけている中――

 

 

「死ぬがいい、愚か者どもよ!」

 

「い、闇派閥(イヴィルス)だぁ!」

 

 

 すると、目元以外の全身を隠している白装束を纏った集団が、逃げ惑う住民に襲い掛かろうとしていた。

 

「ふざけた事を……」

 

 目の前で人が殺されそうになっているのを見た隆誠は、不快になりながらも割って入ろうとする。

 

「おい、随分ふざけた事をしてるじゃないか」

 

「ッ! な、何だ貴様は!?」

 

 住民を手に掛けようとしていたところ、超スピードを使って突然出現した隆誠に、白装束の集団は困惑していた。

 

「コイツは【フレイヤ・ファミリア】……!」

 

 その集団の一人が彼の団服を見たことで、忌々しそうな目で睨む。

 

「て、撤退だ! ここは撤退しろ!」

 

 集団のリーダらしき男が撤退の指示を出す事に、他の者達も反対する事無く撤退行動に移ろうとする。

 

 こんな場所で美の女神(フレイヤ)の眷族と遭遇するのは予想外だった。あんな狂信者共とまともに相手してられないから、彼等は迷わず逃げる事を選択したのだ。

 

「おいおい、俺を見た途端に逃げるなんて酷いじゃないか」

 

『ッ!?』

 

 迅速に撤退した筈なのに、また急に自分達の目の前に再び【フレイヤ・ファミリア】の眷族が現れた事で再び困惑する白装束の集団。

 

 この直後、隆誠によって彼等を一人残らずぶちのめしたのは言うまでもない。




今回はプロローグです。

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