別世界の元神がオラリオに来たのは間違ってるだろうか IFシリーズ 作:さすらいの旅人
「……成程。確かに七年後の世界からやって来た貴方であれば、この世界にいるフレイヤの所へは戻れないわね」
「そう言うことです」
【アストレア・ファミリア】の
本当ならそんなつもりは無かったのだが、目の前にいる彼女は他の神々と違い、かなりの神格者だから話したのだ。
未来から来た存在となれば、退屈を持て余している神々は絶対面白がるどころか、周囲に言い触らしている。それで更に他の神々も
この世界に住まう人間が神に手を出せば重罪になってしまうが、別の世界から来た隆誠は話は別になる。彼は平然とぶちのめすだけでなく、『滅封波』を使って小瓶に封印してから地中深く埋める事に何の躊躇いも無い。以前にそれを聞いたフレイヤは危惧を抱き、他の神々の目に触れないよう裏方の非戦闘員として働かせていたのだ。
話してる間にアストレアが信用出来る女神なので、隆誠は吹聴しない事を条件にした。それを聞いた彼女は『正義を司る女神アストレアの名に誓って』と自ら宣誓したので今に至る。
「出来れば未来から来たと言う何かを言えるかしら? 例えば……貴方がオラリオに来てから下界に降臨した神の名前とか」
「俺が知ってる中では――女神ヘスティアですかね」
「ヘスティア……!」
余りにも予想外だったのか、アストレアはこれまでにないほどの驚きを示していた。
この反応から見て、あの女神は今も天界にいるのだと隆誠は瞬時に察する。
「まだ天界にいる神の名を、下界の住人が知っている筈がない。やはり貴方は、本当にカオスの歪みを越えてやってきたみたいね」
「信じてくれて何よりです」
この時代で未だに天界に住まう神の名を口に出したのが決定的な証拠だった事に、隆誠は内心安堵した。ただでさえ過去のオラリオに来ただけでなく、更には異世界から来た元神なんて知れば、流石のアストレアでも情報処理しきれずにパンクしてしまうだろうから。
一通りの話を終えた後、アストレアはある事を問おうとする。
「話は変わるけどリューセー、貴方はこれからどうするつもりなの?」
「そう言われても……」
元の世界へ戻る為に必要な『次元の狭間』を開くには時間を要さなければならない為、その間は過去のオラリオに留まるのは既に決定している。
少々強引だったとは言え、アストレアが今いる
「
「それなら猶更、此処にいた方が良いわ。未来から来た貴方の存在をフレイヤだけでなく、他の神々に知られたら凄く厄介なことになるわよ」
「…………………」
迷惑を掛けないよう立ち去る隆誠に、アストレアがまるでそうはさせないと言わんばかりに尤もな理由を突きつけた。
確かにそんな展開になれば、彼としては非常に面倒な事になってしまう。特に周囲の迷惑など一切鑑みない
先手を打たれてしまった隆誠は、彼女の善意を無下にする訳にはいかないと諦めざるを得なかった。
「えっと……暫く此方で御厄介になりますが、男の俺が居ても大丈夫ですか?」
「安心して。私が許可を出したと言えば問題無いわ」
「だと良いのですが……」
アリーゼ・ローヴェルは笑って許すかもしれないが、隆誠にとって一番懸念してるのはリュー・リオンだった。あの生真面目なエルフの性格を考えれば、自分のような得体の知れない男を
すると、外から複数のオーラが
(ん? 四つのオーラの内、一つが裏手に回った。残りの三つは正面から来る、か)
「どうかしたの、リューセー」
話してる途中に目を逸らしながら警戒する表情となる隆誠に、アストレアが少々心配そうな感じで訊いてきた。
「何やら此処に突撃してくる連中がいるので、ちょっとばかり
「え? トラップ?」
困惑してるアストレアに気にせず隆誠がパチンッと指を鳴らした直後、正面玄関から突然バタンッと大きな音が聞こえた。
バタバタと複数の足音が聞こえるも、突如急に途絶えてしまう。
「神アストレア、貴女は此処に居て下さい」
「ちょっ、リューセー……!」
アストレアに待機するよう言った隆誠は、確認をする為に玄関へ向かおうとする。
「てっきり強盗が入り込んできたかと思えば、君達だったのか」
玄関に辿り着くと、その先には見覚えのある少女三人がいた。
「な、何で私達、全く動けないの……!?」
「貴様、私達に一体何をした……!?」
「これはまさか、金縛りか……!」
走った仕草のまま動きが止まっているアリーゼ、リュー、そして和服を着てる黒髪の少女。
何故動けないのかと戸惑う三人を余所に、隆誠は呆れるような目で見ていた。
その後、アストレアが来た事で双方の誤解が解かれる事になる。