別世界の元神がオラリオに来たのは間違ってるだろうか IFシリーズ 作:さすらいの旅人
此処からはソード・オラトリアに関わる話になります。
オラリオが平穏な日々を送っているのとは別に、【フレイヤ・ファミリア】と同じ二大派閥の一つである【ロキ・ファミリア】では裏で何か行動している節が見受けられた。何処かのファミリアと結託して集団行動を取っているとの事だが、それに気付いているフレイヤは全く興味を持たずに静観を決め込んでいる。尤も、あくまでそう見せかけているだけで、密かに情報を得るよう眷族達に命じてある。何か大きな事が起きても何時でも動き出せる事も付け加えて。【フレイヤ・ファミリア】が密かに情報収集をしている中、『
『
周囲全体が物騒な雰囲気に包まれながらも、一人の眷族が前に出ている。
「どうも初めまして。俺は【フレイヤ・ファミリア】所属、リューセー・ヒョウドウと申します。以後お見知りおきを」
眷族達の誰もが信じられないと言わんばかりに、
「……アイズ・ヴァレンシュタインです。こちらこそよろしく」
少女――アイズ・ヴァレンシュタインは戸惑いながらも、隆誠に倣って挨拶を返す。
彼女はオラリオにいる誰もが知らない者がいないと言われるほど有名な冒険者で、【ロキ・ファミリア】に所属する幹部の一人。【
そんな予想外の人物が同行者も付けずに単身で『
「ヴァレンシュタインさん、本日は一体どのような御用件でしょうか」
「えっと、実は――」
「おい! 何をそんな下らねえ話をしてやがる!」
隆誠とアイズの会話に割って入るように、愛用の槍を持ち構えている副団長のアレンが怒鳴り込んで来た。彼だけでなく他の眷族達も武器を持ち構えて包囲している。
彼等は単身で乗り込んで来た
「さっさと退きやがれ! そこの人形女と一緒にテメエも殺すぞ!」
「五月蠅い奴だな。と言うか、客人相手にそんな物騒な
「知るか! これ以上邪魔立てするなら――」
(あのリューセーって人、【
隆誠とアレンのやり取りを見ているアイズは内心凄いと思っていた。
彼女が知る限り、アレン・フローメルは主神以外の相手には攻撃的な態度を取り、敵対する冒険者にも容赦無く叩きのめす苛烈な性格をしている。そんな副団長に隆誠は一切臆さないどころか、まるで聞き分けの無い子供のように窘めているから色々な意味で凄いと思ったのだ。
アイズの前にして隆誠を本気で殺そうとするアレンが動き出そうとするも、事態は突如急変した。
「――何をやっているのかしら?」
聞き慣れた声がした瞬間、隆誠とアレンを除く【フレイヤ・ファミリア】の眷族達は即座に武器を降ろして跪いた。
「何か騒がしいと思ったけれど……ふふっ。こんな珍しい『客人』が訪れたのなら、それも当然ね」
現れたのは全身に紫のローブを纏うフレイヤと、護衛として同行するオッタル。
フレイヤは
「お前も来たのか、フレイヤ」
「これだけ騒いでいたら、来るのは当然でしょう」
「!」
隆誠は【フレイヤ・ファミリア】の眷族の筈なのに、主神相手に敬語を使わないどころか呼び捨てにしていた。更にはそのフレイヤも彼の態度に一切気にせず普通に話すから、アイズが驚愕するのは無理もなかった。
彼の態度にオッタルを除くアレン達は当然気に食わないように睨むが、当の本人は全く意にも介してない。
「だったらアレンを止めてくれないか? 俺が言っても全然聞く耳持たずで」
「そうなの?」
隆誠の報告にフレイヤが尋ねるも、アレンは未だに槍を下ろそうとしない。
「申し訳ございません、フレイヤ様。この人形姫をすぐに片付けます」
「アレン、今すぐに槍を下ろして頂戴」
「その必要は――」
「アレン」
再度名前を呼ぶフレイヤに、アレンは漸く槍を下ろしてくれた。これでもし反抗したら、隆誠が問答無用で黙らせていたが。
漸くアイズと話が出来る状態になり、隆誠は安堵の息を漏らしていると、フレイヤが代表して問おうとする。
「それで【剣姫】、一体何用かしら?」
「……頼み事があって」
会話する相手が隆誠からフレイヤになった事で、アイズは真剣な表情となってこう言った。オラリオの頂天と称される【
余りにも予想外な頼みに隆誠は目が点になってしまい、聞いていたアレンが激昂するのは無理もなかった。たった一人で他派閥の
しかし、それでもアイズは懇願していた。自分でも無茶を言ってるのは承知の上で、オッタルに教わりたいとフレイヤに強く言い切っている。
目的が
アイズとの話を終えたフレイヤは隆誠を従者にして戻ろうとするも――
「なぁフレイヤ、俺も参加して良いか?」
「ダメよ。そんな必要は無いわ」
隆誠が訓練に参加したいとの要請を即座に却下した。
先程まで笑みを浮かべていた筈の彼女が途端に不機嫌そうな表情で言う事に、それを見たアイズはキョトンとしている。
普通なら主神にそう言われば簡単に引き下がるのだが、隆誠は全くその様子を見せていなかった。
「良いじゃないか。俺は単に補助をするだけだし」
「オッタル一人で充分よ」
「それはどうかな。オッタルは上手く加減出来ない上に『死ねばそれまで』と考えてしまう悪い癖があるから、もし訓練中に彼女が死んだら【ロキ・ファミリア】と全面戦争になるかもしれないぞ」
「…………………」
隆誠の言い分にフレイヤは否定出来ずに無言となった。
彼女もオッタルの性格を理解している。もし万が一にアイズがオッタルの攻撃で
「……分かったわ。あくまで補助に徹するだけよ、良いわね?」
「ああ、勿論だ」
条件付きの了承を得る事が出来た隆誠はニコリとしながら頷いた。
「と言う訳でヴァレンシュタインさん、俺も参加するのでよろしく」
「……よろしくお願いします」
少々面白くなさそうにフレイヤが去った後、隆誠は改めてアイズに挨拶をするのであった。
フレイヤ「…………」
ヘルン「あの、フレイヤ様。何かお気に障る事でもありましたか?」
フレイヤ「別に何でもないわ」
ヘルン「そ、そうですか……」
フレイヤ「……【剣姫】がリューセーに懐かなければ良いんだけど……」
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