別世界の元神がオラリオに来たのは間違ってるだろうか IFシリーズ   作:さすらいの旅人

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サブタイトルを見て「何だコレ?」と思う方もいるかもしれませんが、読んでる途中で分かります。


似非撫子

「すっごく美味しかった! あんなに料理上手なんて、凄いわね、リューセー!」

 

「くっ……悔しいですが、料理の腕は認めなくてはならない」

 

「それはどうも」

 

 隆誠の作った朝食に誰もが舌を巻いていた。

 

 余りの美味しさにお代わりを催促していたアリーゼ、大変悔しそうに食べているリュー。対照的な反応を示す二人だが、どちらも美味しく食べていた事に変わりない。

 

 因みにライラやアストレアも、文句無しと言わんばかりに完食している。特に女神の方は内心また食べたいと考えているほどだ。

 

「ところで、輝夜はどうしたんだ? まだ来てないようだが」

 

 朝食の時間になっても、輝夜だけ来なかったことに疑問を抱く隆誠。

 

 彼女の分だけ全く手を付けていない状態もあって、温かいスープも既に冷めてしまっている。温め直せば問題無いが、彼としては出来たてを食べて欲しかったのが本音だった。

 

「置いておいて大丈夫よ。部屋で寝ているだけだと思うから」

 

「寝ているって……」

 

 どうやらあの似非な大和撫子(以降は略して似非(えせ)撫子(なでしこ))は見た目に反して不規則な生活をしているようだ、と隆誠は大変失礼な事を考えていた。

 

「起こしに行ってこいよ、居候。寝起きのアイツは狂暴だからな」

 

「狂暴、ねぇ」

 

 似非撫子は人間の皮を被った怪物(モンスター)なのか、と再度失礼な事を考える隆誠。

 

 そんな事とは別に、男が寝ている女性を起こしに行くのは少々気が引けるのだが、ライラの提案に周囲は反対する様子を見せていない。まるで問題無いみたいな感じだった。

 

「……私も行きます。念の為、この男の見張りを」

 

「私も行くわ!」

 

 未だに警戒しているリューと、相も変わらず笑顔のまま言うアリーゼも同行することになった。

 

 隆誠としても、一人で会ったばかりの女性を起こしに行くのは少々気が引けてるので、彼女達が一緒なのは好都合だ。

 

 

 

「輝夜って朝は苦手なのか?」

 

 まるで案内されるように着いて行く隆誠は軽い気持ちで訊いていた。

 

 彼の質問にリューが少しばかり困ったような感じで答えようとする。

 

「昨日、月見酒をすると言っていたので、その所為でしょう。全く……」

 

 まだ十代なのに酒なんか飲むなよと突っ込みたい隆誠だが、この世界ではそれが当たり前だと初めて知った時は『嘘だろ!?』と内心驚愕した。けれど神だった頃の前世(むかし)の時代では十代の頃から酒を飲む人間(こども)がいたのを思い出した事で、今の自分は(元の世界での)現代生活に相当馴染んでいるなぁと改めて認識している。

 

「でも輝夜らしいわ! あ、そこが輝夜の部屋よ」

 

 リューの隣に歩いているアリーゼは、目の前にある扉を指していた。

 

 三人がその前で立ち止まった瞬間、急に扉が開こうとする。

 

「どうやら丁度出てきたようだな……って、おい!」

 

 起こす手間が省けたと思っていた隆誠だが、部屋の主がとんでもない姿で出てきた事で思わず目を見開いてしまう。

 

 何故なら輝夜は――全裸一歩手前状態だったから。

 

「ふぁぁ……何だ、朝から騒々しい」

 

「お前、いくらなんでもそれは不味いだろ……」

 

 (イッセー)であれば間違いなく興奮してるかもしれないが、隆誠は呆れるように指摘していた。

 

「ええ、素っ裸ね!」

 

「輝夜ぁぁぁぁぁぁ!? 服はどうしたのですかぁ!?」

 

 隆誠の言葉に笑顔で頷くアリーゼに、顔を赤くしながら指摘をするリュー。

 

 三人から何を言われても全く微動だにしない輝夜はこう言った。

 

「履いているだろう、下に」

 

「下着だけではないですかぁ!!」

 

 リューが突っ込んだ通り、今の輝夜は下着だけしか身に纏っていない。

 

 確かに素っ裸ではないのだが、ああも平然と言い切る彼女に隆誠はある意味凄いと思ってしまいそうになる。

 

「今日は暑い。しばらくこれでいく」

 

 大好きな(イッセー)の前で何の躊躇いも無く裸になるリアス達でも、会ったばかりの男の前では絶対しない筈だと隆誠はつい比較してしまいそうになる。

 

「いくなぁ! 今ここには男性がいる! 早く着替えなさい!」

 

 フレイヤとは違う意味で質が悪い似非撫子の言動に、真面目なエルフは黙っていられなかった。

 

 だがそれでも、輝夜は着替えようとする素振りを見せない。

 

「ここは我々の本拠地(ホーム)だぞ? 何故私がその男の視線など気にしなければならない」

 

 男の視線を気にしないほど、輝夜の羞恥心は無いようだ。

 

 隆誠が色々な意味で凄い女だと思っていると、彼女はあるモノを渡そうとする。

 

「おい、居候。これを洗濯しておけ」

 

「何で俺が……おい、服だけじゃなく下着もかよ!」

 

 投げ渡してくる衣服を思わず受け取る隆誠だが、下着(パンツ)も含まれていたことに思わず突っ込みを入れた。

 

 輝夜は品性が欠けているのではなく、実は女を捨てているかもしれない。そうでなければ男に下着まで洗濯させるなど絶対しないだろう。

 

「大丈夫よ、リューセー! 私のパンツは自分で洗うから、フフーン!」

 

「威張らないでください、アリーゼ!」

 

「さっさと洗ってこい、居候」

 

「………はぁ」

 

 威張るアリーゼ、突っ込むリュー、洗えと言ってくる輝夜。

 

 異世界で活躍してる女冒険者は本当に個性が強い。

 

 【フレイヤ・ファミリア】にいた時からそう認識していた隆誠だが、別の派閥でも突き付けられた事に嘆息するのは無理もなかった。

 

 

 

 

 

 

「フレイヤ様、少々宜しいでしょうか?」

 

「あらヘディン、随分と深刻そうな表情ね。何かあったの?」

 

「昨日、フレイヤ様の眷族と思わしき者が闇派閥(イヴィルス)の信者達を一層していたとの報告がありました」

 

「? 思わしき者って、一体どういうこと? 私の眷族じゃないのかしら?」

 

「確かにフレイヤ様を象徴する団服を纏っていたみたいですが、どうやらその者は我等【フレイヤ・ファミリア】の眷族ではないとの事でした」

 

「つまり、その人間(こども)は私の眷族に成りすました偽物ということなの?」

 

「断定出来ませんが、今のところはそのように考えています」

 

「ふぅん……中々面白い事をしているのね。好き勝手に暴れ回っている闇派閥(イヴィルス)より面白そうじゃない」

 

「ご命令頂けるのでしたら、私とヘグニが即座に捕らえますが」

 

「………一先ず様子を見ましょう。私が命じるまで、一切手を出してはダメよ」

 

「畏まりました」

 

「一応確認だけど、その偽物は今どこにいるのか把握してるの?」

 

「目撃情報によると、【アストレア・ファミリア】の主神が本拠地(ホーム)へ連れて行ったそうです」




似非撫子は輝夜のことでした。

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