別世界の元神がオラリオに来たのは間違ってるだろうか IFシリーズ   作:さすらいの旅人

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幕間

 現在のオラリオは万能薬(エリクサー)と呼ばれる、上級冒険者でも安易に手が出せないほど高価な回復アイテムがある。

 

 中堅派閥として活動してる【アストレア・ファミリア】も簡単に購入出来る物ではない為、高等回復薬(ハイポーション)を最低限の数までしか所持出来ないほど切り詰めている状況だ。回復魔法を使えるリューや、オラリオを出て都市外の冒険者依頼(クエスト)を受けているもう一人の治療師(ヒーラー)団員がいても。

 

 その折にライラが負傷していたところ、アストレアが連れてきた居候の隆誠が駆け付け、妙な豆を食べさせた瞬間に全快したという奇妙な光景を目にしてしまった。

 

 重傷だった団員が全快したのは喜ばしい事なのだが、それでもアリーゼ達は隆誠に問い詰めざるを得なかった。あんな凄い回復アイテムを一体何処で手に入れたのだと。

 

 彼が【フレイヤ・ファミリア】に所属していたのであれば、その派閥で使っていたモノだと容易に想像出来る。しかし、他派閥の人間に与えるのは色々不味いのではないかと危惧していた。

 

 嘗ての最強派閥(ゼウスとヘラ)に代わって、【ロキ・ファミリア】と並ぶ最強派閥【フレイヤ・ファミリア】に大きな貸しが出来てしまったとなれば、今後の活動に大きな支障を来たす可能性があるのだ。

 

 にも拘らず――

 

「これはあくまで俺が個人的に作った物だから、【フレイヤ・ファミリア(あいつら)】とは何の関係もない。これ以上詮索するなら、ライラの治療費として100万ヴァリス請求するぞ」

 

 当の隆誠は全く無関係だと言い切った他、治療費の請求を求めようとしてきた。

 

 万能薬(エリクサー)の倍の値段など普通にあり得ないのだが、豆を食べた直後にライラが全快したのを考えれば、寧ろ安過ぎるのではないのかと思ってしまうアリーゼ達。

 

 100万ヴァリス程度なら【アストレア・ファミリア】でも充分に支払えるとは言え、現在は闇派閥(イヴィルス)の対応や巡回(パトロール)を主に活動してる為、出来るだけ出費を避けたいのが本音だった。結果、これ以上の詮索をしなければ請求しないので、アリーゼ達はもう何も言わなくなった。

 

 因みにアーディは他派閥な為、今回の事は口外しないよう隆誠の方で念を押しておいた。ついでに自分が【フレイヤ・ファミリア】の関係者である事も含めて。

 

「ライラが助かったなら、私はこれ以上何も言わないよ」

 

 と、素直に頷いたから無用な心配となった。

 

 本来であれば【アストレア・ファミリア】は一旦本拠地(ホーム)へ戻る予定だったが、負傷していた筈のライラが全快した為、他の工場で被害が起きていないかの確認を再開する。

 

 用が終えた隆誠は、彼女達に「俺は戻るから」と言いながら去って行く。

 

 

 

 

「おかえりなさい。向こうはどうだった?」

 

「ライラが重傷でしたが、俺が回復アイテムを使って全快にしました」

 

 隆誠が『星屑の庭』へ戻ると、出迎えるアストレアが状況を訊いてきたので、ライラの事を嘘偽りなく答えた。

 

 その内容を聞いたアストレアは安堵な表情を浮かべながら、彼に感謝の意を述べようとする。

 

「ありがとう。私の眷族を治してくれた以上、何かお礼をしないといけないわね」

 

「別に良いですよ。居候として迎えてくれてる時点で、充分過ぎるほど礼は受け取ってますから」

 

 それはそうと、と言いながら隆誠はある事を言い出した。

 

「貴女も一人の女性のように接して欲しいと仰っていましたが――これで良いのか、アストレア?」

 

「っ!」

 

 突然の不意打ちだったのか、アストレアは思わず目を見開いてしまう。

 

 

 

 

 数時間後、工場区の巡回を終えたアリーゼ達が本拠地(ホーム)へ帰還する。

 

「お、帰ってきたか」

 

「あら、リューセー」

 

 食事の準備をしてる隆誠が、広間に入ってくる面々の方へ視線を向けた。

 

 テーブルには美味しそうな料理が並んでいる事に、思わず視線を向けてしまうアリーゼ達。

 

「これはこれは、中々美味しそうなご飯ですねぇ。貴方が作ったんですか?」

 

「居候してるから、せめてこれくらいはしないといけないと思って、な」

 

 素人が作ったとは思えない料理の出来栄えに、輝夜は本当に目の前の男が作ったのかと内心疑っていた。

 

「朝食作った時から美味いのは知ってたが、こうまで作れるとはなぁ。どっかのエルフとは大違いだ」

 

「ライラ、それは私の事を言っているのですか?」

 

 完全に自分より料理スキルが上だと思い知らされるライラが誰かと比較した事に、思わず反応して若干目が鋭くなろうとするリュー。

 

 隆誠は料理を並べながら、彼女達にある確認を取ろうとする。

 

「食後に甘いデザートも用意するつもりでいるが如何かな?」

 

「勿論頂くわ! 因みにデザートは何かしら?」

 

「クッキーシュークリームだ」

 

 甘味のあるサクサクなクッキー生地と、その中に入ってる濃厚なカスタードクリームが合わさってる事を軽く説明する隆誠。

 

 アリーゼだけでなく、一緒に聞いていた輝夜達も大変興味深そうな表情だ。やはり女性は甘い物に目がないのだろう。

 

「リューセー、こっちも出来たから持って来たわ」

 

「お、そうか。助かったよ」

 

 すると、広間に別の料理を運んでいるアストレアが入室する。

 

 二人の会話にアリーゼ達は妙な違和感を感じた。特に隆誠がアストレアに対して妙に馴れ馴れしい態度を取っている事に。

 

「後は俺がやるから、アストレア(・・・・・)は皆と一緒に食べてくれ」

 

『ッ!?』

 

 自分達の主神に対して不敬な物言いをするだけでなく、剰え呼び捨てにした事に目を見開くアリーゼ達。

 

「ちょっとリューセー! 貴方いつの間にアストレア様とそんなに仲良くなったの!?」

 

「不敬だぞ、貴様! アストレア様を呼び捨てにするなど……!」

 

「おやおや、私達がいない間に一体何があったのでしょうか?」

 

「いくらてめーに恩があると言っても、それは不敬にもほどがあるぜ」

 

 驚くアリーゼとは別に、敵視するように睨むリューと輝夜とライラ。

 

(ま、そりゃそうなるよな)

 

 彼女達の反応は至極当然だろうと思っている隆誠。

 

「良いのよ、皆。私がリューセーにそうするよう言ったから」

 

 彼と同じく予想していたアストレアも、事情を説明しながら自分の眷族達を宥めようとするのであった。

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