別世界の元神がオラリオに来たのは間違ってるだろうか IFシリーズ 作:さすらいの旅人
「フレイヤ、これは一体どう言う事だ?」
「………」
女神祭の三日目、
その直後、
隆誠は彼女の眷族であっても【
そして目的を遂げたフレイヤが意識を失っているベルを担ぐオッタル、並びにアレン達を連れて
女神至上主義である眷族達の中で、異を唱えるのは目の前にいる彼だけしかいない。必ず
「答えろ。ベルを奪うだけでなく、何故オラリオの住民達にまで『魅了』を施した? こんな馬鹿げた事をしておいて、気でも触れたか?」
現在行われている女神祭の最中に白昼堂々と他派閥を襲撃するのはご法度も同然なのだ。そんな事をすれば各派閥や民衆の顰蹙を免れないどころか、ギルドの
因みに彼女の傍にいるオッタル達は隆誠の言動に眉を顰めるも、誰一人たりとも口を挟もうとしない。あの喧嘩っ早いアレンですら、自身を必死に押し殺すように歯を食い縛っている。そうしているのは
「必要だったからよ」
彼の鋭い眼光で一瞬気圧されそうになるフレイヤだったが、気丈に振舞う為にハッキリと答えた。
「ベルを『
「半年……っ!」
隆誠はある事を思い出した。ベル・クラネルが【ヘスティア・ファミリア】に入団して、まだ半年しか経っていない事を。
この世界の神々が取り決めた下界の
「一先ずは『半入団』と言う形でベルを此方で引き取り、半年後に改めてヘスティアに『
「それと今回の『魅了』の件に一体何の関係がある?」
「貴方も知ってる筈よ。ベルには
「ッ!」
ベルに『魅了』が効かない意外な事実を知ったのは、壊滅した【イシュタル・ファミリア】元副団長のタンムズ・ベリリから教えられたからだ。
女神イシュタルに絶対の忠誠を誓っていた筈の眷族がそんな簡単に教えたりしないが、そこはフレイヤの『魅了』で上書きされて【フレイヤ・ファミリア】に
「……成程。ベルに効かなければ周囲に、と言う訳か」
「そう言う事よ」
これで漸く隆誠は理解した。フレイヤはオラリオに住まう者達に『ベルは最初からフレイヤの眷族』と言う記憶の改竄をさせる為に『魅了』を使ったのだと。
だが、そのやり方は正直言って余りにも最悪な手段だ。これでもし誰かが何らかの方法で『魅了』を解除されたりしたら、その瞬間に【フレイヤ・ファミリア】はオラリオ全てを敵に回す事態になってしまう。隆誠としてはすぐに解除して欲しいが、今更やったところで後の祭りでしかない。
「………確認するがフレイヤ、もしここで俺がお前に反旗を翻しても考えを改める気は無いか?」
『!!』
今まで黙っていたオッタル達だったが、隆誠の発言は聞き捨てならないと言わんばかりに動き出そうとするも――
「『貴方達は一切手出しをしないで』と言った筈よ?」
『……………………』
フレイヤから邪魔をするなと封殺されてしまうのであった。
オッタル達が動かなくなったのを確認した彼女は、改めて隆誠に答えようとする。
「リューセーがそうしたところでベルは必ず私のモノにする。絶対に」
「…………はぁっ。分かった、俺の負けだ」
揺るぎない意志と眼を見せるフレイヤに、これ以上何を言っても無駄だと隆誠は降参の意を示すように両手をあげた。
もし彼がその気になれば、今この場でベルを助けるだけでなく、同時に【フレイヤ・ファミリア】を壊滅させるなど造作も無い。だがそんな事をしてもフレイヤは絶対諦めないので無意味だと、隆誠は引き下がる事にしたのだ。加えて彼女には借りがある為、その清算が済んでないまま不義理な行為をしたくないと言う理由もある。
対して彼女も望むところだと言わんばかりに、覚悟を持って『神威』をフルに使い隆誠と本気で戦う気でいた。そうなれば強制的に天界送還されてしまうが、そうなる寸前にベルを道連れにする事も辞さないと決意している。
向こうが先に降参した事でフレイヤが内心安堵していると、隆誠は手を下ろしながらこう言った。
「言っておくがフレイヤ、こんな大それたことをした以上は最後まで責任持てよ」
「勿論そのつもりよ。何があってもベルは誰にも渡さないわ」
「――なら良い」
ベルについての責任ではないと指摘したい隆誠だったが、流石にオッタル達の前で言うのは野暮になるので敢えて頷く事にした。
そしてフレイヤは、自身の眷族達に勅命を下す。
ベル・クラネルの【ヘスティア・ファミリア】で活動した半年間を無かったことにするよう、初めから【フレイヤ・ファミリア】の一員だと認識するように。
フレイヤの勅命に誰もが従う姿勢を見せている中、隆誠は事務仕事で使う備品が切れる寸前だったのを急に思い出して、急いで買い出しをしようと出掛けるのであった。
☆
「ベル君、ゴメンよ……!」
フレイヤの『魅了』を神威を使って難を流れたベルの主神ヘスティアだが、周囲に誰一人味方がいない為に孤立状態だった。
大事な眷族を取り返す事が出来ない無力感に苛まれながら独りぼっちとなっている彼女に――
「女神ヘスティアでよろしいかな?」
「ん? 君は……」
「初めまして。俺はリューセー・ヒョウドウ、フレイヤの眷族だ」
購入した備品入りの袋を持ちながら、隆誠はヘスティアに接触していた。
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