異世界転生した俺はハーレムを築いたがNTR属性の俺は・・・ 作:朧Ω
魔王城に向けて歩みを進める勇者一行。それを木の上から見る者が居た。その者はクナイを取り出し、勇者に襲いかかる、それを志刃が防御魔法で防ぐ。
「へぇ、僕の存在に気付いてたんだ」
「あんなに殺気立たれていては気付かない方が無理と言うやつだ」
すぐさま剣を振り上げる氷莉から距離を取り、黒髪の中性的な者は不敵な笑みを浮かべる。志刃や他の仲間達は透の前に立った。そして志刃が話しかけた。
「お前は一体何者だ?透を狙うということは魔王の手先か?」
「さぁ?なんでしょう。とは言っても僕は君達を試しただけで魔王の手先という訳じゃないけどね」
「その証拠は?」
「僕のこの容姿、どこからどう見たって人間だろ?それとも君達には魔物に見えているのかな?」
しかし、志刃達は警戒を解かない。
「やれやれ、警戒されちゃったか。まぁ、仕方ないか、けどさ僕は君達の仲間になりたいんだよね」
「そんな言葉を誰が信じる?」
中性的な者は溜息を吐くと自己紹介を始めた。
「僕の名前は四季縛弥(しきばくや)、年齢、性別は秘密、出身は君達が通ってきた街、職業は暗殺者。ここで君達を狙ったのは魔物にわざわざ殺されに行くくらいならここで何も知らず死んだ方がマシだと思ったから。でも君達は違った。僕の予想を遥かに超えるほど強い、君達なら魔王も倒せるだろうさ」
しばらく無言が続いたが、透がそれを壊した。みんなの前に出て、縛弥に握手を求めた。
「俺を狙った理由は分かった、んで、お目に叶ったなら敵対することはないだろ、歓迎するよ、これからよろしく」
「(チョロいなぁこいつは。僕が本当に魔王様の手先だとも知らずに笑みを浮かべて握手を求めてきてる。だが、僕の返事はそれだ)」
縛弥は透の差し出した手を振り払った。そして不敵な笑みを浮かべながら言った。
「仲間にはなるけど、君達、というよりは君と仲良くするつもりなんてないから」
僕にもプライドがある、魔族代表としてのプライドが。勇者何かと仲良しごっこをするつもりなんてさらさらない。そんなことをするくらいなら死んだ方がマシだ。その光景を見た志刃は目を血走らせて縛弥の胸ぐらを片手で掴みあげた。縛弥の体は宙に浮き、足はブラブラと揺れている。
「次、そんなことをしてみろ、貴様の臓物を引きずり出して全部口に突っ込んでやる・・・」
「は、はい・・・すみませんでした・・・」
志刃は縛弥の謝罪を聞いて手を離した。咳き込む縛弥の耳元で志刃は囁く。
「優しくするのは今回だけだ、肝に銘じておけ・・・」
そう言って背を向けると透の心配をした。透は別に気にしてないさ、気難しい奴の一人や二人問題ないと言って笑って見せた。志刃はその顔を見て微笑んだ。
「(な、なんだ?僕が・・・この僕が力で負けた?魔族のエリートのこの僕が、まったく手を引き剥がせなかった・・・なんなんだあの男は・・・それになんだ?この気持ち・・・心臓の鼓動が早い・・・怯えている?恐怖しているのか?いや、違う、何かが違う。高揚・・・興奮しているのか?あの男に乱暴にされて耳元で囁かれて興奮しているのか?僕は・・・今まで僕にそんなことが出来るやつなんて誰もいなかった、だからなのか?)」
縛弥は自分の感情に困惑していた。故に、能力を使うことにした。その能力とはテレパシーだ。縛弥は魔王を除く魔物の中で一番テレパシーを高い精度で使うことが出来る。そしてそれを志刃に向けて使用した。すると、縛弥に対する恐ろしい程の殺意を見た。それを見て縛弥は全身がゾクゾクと震えるのを感じた。
「(悪寒?いや、違う・・・これは、まさか、僕は・・・この男を・・・愛してしまったのか!?ぼ、僕が、この僕が人間を好きになるなんて・・・)」
実感すると体の奥からジワジワと火照るのを感じた。息が荒くなり、頬が赤く染まるのを感じた。他にどんな感情を抱いているのか気になって志刃にテレパシーを使う。すると、愛という感情を見つけた。
「(!?だ、誰に!?一体誰に対し・・・て・・・)」
その深い愛情は他の誰でもない、透に向けれていた。縛弥は地面を抉るほど開いた手を握り締め、唇を噛み締めた。唇が切れ、血が流れる。目に涙を溜め、心の中で憎悪の炎が燃え盛る。
「(僕が・・・僕が先に好きになったのにッッッ!)」
「うおっ、血が出てるじゃん・・・志刃に掴まれて悔しかったのか?志刃、お前がこうさせたんだからヒールかけてやれよ?」
「俺が、か?・・・まぁ、透が言うなら」
志刃は嫌々、縛弥にヒールをかける。すると、縛弥は嬉しそうな顔をした。
「(こんな僕にヒールをかけてくれるなんて・・・好きッッッ!)」
「なんで嬉しそうなんだ・・・」
志刃は困惑すると共にドン引きしていた。その後、透がみんなの自己紹介を軽く縛弥にして、これから魔王城に向かうが本当に着いてくるのか?と確認した。
「当然だ、僕はその為にここで待ち続けていたんだ、よろしく頼むよ」
「あぁ、改めてよろしく!」
縛弥と透は熱い握手を交わした。しかし、その時、縛弥はテレパシーを行っていた。肌を触れ合わせたテレパシーは通常よりも深く行える。これで透がどんな奴なのか見極めてやろうという算段だ。だが、どういうことだろう?透の頭の中にはNTRという謎の言葉が埋め尽くされ、支配されていた。
「(N、NTR・・・?なんだそれは・・・どういうことなんだ・・・魔王様と同じくらい理解が出来ない・・・)」
縛弥は頭にハテナが沢山浮かび、それは顔にまで現れてしまった。
「ど、どうしたんだ?そんなフレーメン反応を起こした猫みたいな顔をして・・・」
「・・・ハッ!?な、なんでもない。なんでも・・・と、とりあえずよろしく・・・」
「あ、あぁ・・・(本当に大丈夫か?こいつ・・・)」
透は縛弥を心の底から心配した。そんな気持ちを感じ取った縛弥は凄まじく嫌気が差した。こうして、最終戦を前に新たな仲間が参加した。