異世界転生した俺はハーレムを築いたがNTR属性の俺は・・・ 作:朧Ω
・・・私は今、歩いています。とても美しい美女と。生前ではとても考えられません。そりゃだって魅了が効いちゃってるんだもの!!それとなく絡みつく腕を外そうと試みたものの、本当に女の子?って思うくらい離れない。瞬間接着剤というか鉄が溶接されましたか?みたいなくっつき具合。胸とかもうすんごいの。腕に押し当てられすぎて何かもう昔あった腕に抱きつく人形みたいに挟まれてる。柔らかくてとても気持ちがいいけど凄く歩きづらいし暑いし正直離れて欲しい。
「・・・えーっと、桜凛さん」
「桃花で大丈夫です!」
「桃花さん」
「桃花で大丈夫です!!」
「・・・桃花」
「はい!なんですか?」
「あの、離れてもらえることは出来るかな?歩きにくくて」
「そうですよね!ごめんなさい!我慢して下さい!」
「あ、分かってくれた・・・ん?我慢してください?」
「はい!私、もう少しこのままでいたいので!」
欲望に忠実ぅ・・・なんて強い眼差しなんだ・・・光り輝いて見えるよ・・・
「えっと、満足したら離れてくれるの?」
「はい!」
「あと少しってどれくらーーー」
「あと少しはあと少しです!」
ふぅ〜・・・OKOK、恐らく一生こうなのね?・・・何もOKじゃないよ!?困るよ!?人の目とかどうするの!?痛いカップルに見られちゃうよ!?やだよ!?俺はNTRが好きなの!自分が幸せで終わるのは解釈違いなの!分かってお願い!・・・あ、でも関係性を築いてからNTRれるのもありっちゃありか・・・それではまずは軽いジャブから。
「あ、そういえば桃花のこと聞いてなかーー」
「身長は158cm、体重は58kg、胸のサイズはE、趣味は花言葉を調べることと体を鍛えることです!」
ohほほ〜全部答えてくれるじゃん、聞いてもないこと全部言うじゃん、俺の事大好きじゃん、適度な関係から築いてこうよ、あまりにも距離を詰めるのが早すぎるよ、魅了のスキルってこんなに強力なものなの?困っちゃうよ俺。
「そういえばお名前を聞いていませんでしたね、なんと呼べばいいですか?」
あ、そういえば俺こっちの世界に来てから勇者としか呼ばれてない。え?普通新しい名前が与えられるもんじゃないの?じゃあ自分で新しい名前考えちゃう?いや、駄目だな。ネーミングセンス皆無の俺が付けるべきではない。過ちは犯してはならない。
「・・・井上透です。どうも、今後ともよろしくね」
「透様!」
「様は要らないです」
「透!」
「あ、はい。」
だから距離の詰め方バグってるだろ。元気が良すぎる・・・眩しすぎるよ君・・・
「ねぇ、透。もう少しで街に着くけど寄っていく?寄っていくよね?泊まっていくよね?一泊はするよね?一緒に朝日を見るよね?」
「え、あの、部屋は別々にするつもりなので、というかまだ日が傾いてないのに泊まるのはちょっと」
桃花は頬を膨らませて絡ませている腕に少し力を入れて抗議してくるが俺は無視を決め込む。すると、突然目の前の空間に亀裂が入り、亀裂が大きく開くと中から自分よりも背丈が二倍くらいある巨大な魔族が現れた。魔族ってこんな短いスパンで現れるもんなの!?というか、さっきの魔族より強そうな上位互換がもう出てくるのおかしくない!?って、そうだ!桃花は軽傷とはいえまだ傷が癒えていない、俺が戦わなきゃ・・・っておい!
「はぁぁぁぁ!!!!」
桃花は先に動き、巨大な魔族の頭に回し蹴りをした。ドンッという大きな音が鳴り、近くの木々が揺れる程の衝撃だった。格闘家の名は伊達じゃない。だがしかし、魔族はよろけるどころかびくともしていない。桃花の首を掴み、木に投げつける。木がへし折れる程の衝撃で投げられた桃花は気を失っているようだった。
「桃花!・・・てめぇ、やりやがったな!?女は大事にしろって親に教わらなかったのか!NTRは好きでもなぁ!DVは嫌いなんだよぉぉ!!!!」
剣を抜き、斬りつける。魔族は微動だにせず、手に伝わる感覚はまるで鋼に剣を叩きつけたようだった。
「かった!こういうのはお約束で俺だけチートパワーで圧倒するもんじゃねぇのかよ!?」
魔族の繰り出した瞬速の拳は俺の腹に当たり桃花と同じように木に叩きつけられる。
「がっっ!」
鎧が無ければ内臓か骨が逝っていた。ありがとう、王様・・・でも衝撃はすべて防げた訳じゃない。みぞおちに入ったせいか呼吸がまともに出来ない、腕や脚に力が入らない。魔族はゆっくりと近付いてくる。殺される、こんなところで、こんな序盤で、何の成果も残せずに死ぬ・・・そんなのは、嫌だ!動け!動けよ!!動いてくれ俺の体!!!その時だった。魔族が伸ばした片腕が目の前で切断され、落ちた。魔族が振り返った時、一瞬だけだが、魔族の背後に人が立っているのが見えた。
「消え失せろ、次は両断する」
杖を魔族に向け、冷たい視線を向ける。魔族は切断された腕を拾い上げると再び亀裂の中へと消えていき、亀裂はまるでそこになかったかのように消えて無くなった。男は深く息を吐くと、俺に近付き、ヒールをかけてくれた。
「希望の星・・・」
「は?」
「あ、いや、ありがとう、助かったよ」
「間に合ってよかった、あのままだと君達は連れていかれていたところだ」
「そういえば、逃がしても良かったのか?あんた程の力があるなら最初の一撃で倒せたんじゃ・・・」
「いや、奴等の急所は硬いんだ。一度不意打ちで首を切ろうと切断魔法を放ったことがあるが、かすり傷が出来た程度で逃げられたことがあってね。手足はすぐ再生、繋ぎ合わせることが出来るからか柔らかいんだが・・・伝説の聖剣があれば斬るのは容易いんだろうが・・・と、話は後にしよう。まず彼女を回復してあげないと」
「あ、忘れてた」
桃花にヒールをしてもらって呼びかける。
「桃花?大丈夫か?」
「ん・・・ん〜・・・透・・・?透ぅ〜」
桃花は抱きつこうとしてくるがそれをかわす。桃花はまた頬を膨らませた。
「そういえば自己紹介がまだだったな、この子は桃花。俺は井上透。」
「井上さんと桃花さん、初めまして俺はーー」
「あ、桜凛で結構です。」
「え?あ、はい。」
俺以外の人に冷たすぎぃぃ!!!驚いたよ!?落差に風邪引くよ!?
「ご、ゴホンッ!えぇっと、あんたはなんて呼べばいい?」
「あ、あぁ、俺は銀翔志刃(ぎんしょうしば)、銀翔でも志刃でも好きに呼んでくれ。」
すると、名前を聞いた桃花が目を大きく見開き、大きな声を出した。
「ぎ、銀翔!?あの銀翔家の!?」
志刃は少し嫌そうな顔をしながら頷いた。
「知ってるのか桃花?」
「知ってるも何も今から行こうとしてた街の名家の人だよ!!確か剣術がとても優れていてさっきの魔族なんて簡単に一刀両断しちゃうって有名な!!!」
「剣術?でも志刃が使ってるのはーーー」
「・・・そう、俺は剣術を使えない。適性がなかったんだ。だから僧侶をやってる。・・・家では落ちこぼれさ」
少し悲しそうな顔をする志刃を見て何かに似ているなと思っているとすぐ思い出すことが出来た。自分の兄貴に雰囲気が似てるんだ。・・・兄貴、ごめんな、俺死んじゃったよ・・・今頃、泣いてるんだろうな・・・しかし、よくよく見てみると本当に似てるな、俺と違って兄貴もイケメンだったからなぁ・・・バレンタインの時なんか兄貴はよく女子からチョコ貰ってたっけ。・・・一緒に食ってたのが懐かしいな・・・そんなことを考えていたせいか、顔に出ていたのだろう。志刃が俺の顔を見て申し訳なさそうに笑った。
「なんで君がそんな複雑な顔をするんだ、気にしないでくれ」
「え、あ、あぁ・・・」
兄貴のこと考えてたからなんて言えねぇ・・・志刃は小さく笑うと俺達を街まで連れていくと言ってくれた。しかし、そこに別の男が現れた。
「志刃、まだこんな所に居たのか。恥晒しはさっさと消え失せろと言ったはずだが?」
「・・・兄さん」
「俺を兄と呼ぶな出来損ない。分かったら二度とこの街に顔を見せるな」
「・・・あぁ、分かってる」
・・・俺は今、史上最高にキレそうになってる。別に沸点が低いわけじゃないつもりだ。それでも、俺の血管がブチ切れそうになってる。
「そこのあなた達もそいつに近付かない方がいい。出来損ないが伝染るぞ」
気が付くと俺は志刃の兄らしい人の首を片手で締め上げていた。
「井上さん!」
「がはっ!?な、何を・・・」
「・・・黙って聞いてりゃなんだてめぇ・・・自分の弟を出来損ないだ?恥晒しだ?巫山戯るなよ・・・」
首から手を離すと同時に拳に力を入れ、兄らしい奴の顔面に全身全霊を込めて重い一撃を叩き込んだ。そいつは地面を無様に転がり、折れ曲がった鼻を手で隠しながら叫んだ。
「お、俺にこんなことをしてどうなるか分かってるのか!?」
「知るかボケェ!俺が勇者じゃ!勇者は何したって許されるって決まってんだよバーカ!てめぇらがどんだけ位の高い所の出かなんて知ったことか!人として終わったことしてる時点で家を汚してんのはてめぇだろうが!」
「貴様ッッ!」
馬鹿が剣を抜き、振り上げようとした瞬間に剣を抜き、叩き折った。それと同時に自分の剣も砕け散ってしまった。
「名家?この程度が名家だと?恥を知るのはてめぇのほうじゃねぇのか?二度と銀翔名乗んじゃねぇ・・・そんでもって二度とその面見せんな・・・斬り殺すぞ・・・」
「くっ・・・」
馬鹿はヨタヨタと歩きながら街へと帰って行った。馬鹿が見えなくなってから、志刃が心配そうに声をかけてきた。
「井上さん・・・」
「透、透でいいよ。俺も志刃って呼ぶし。てか、いててて、初めて人ぶん殴ったわ、こんなに痛いんだな、申し訳ないんだけどさ、ヒールかけて貰えるかな?」
「あぁ、分かった」
志刃にヒールをかけてもらって多分折れてたであろう指も治り、手を開いたり閉じたりして治ったことを示す。
「ヒールって便利なんだなぁ、俺も覚えられるかな?」
「勇者ならいけるんじゃないか?今まで勇者に会ったことがないから分からないが」
「そうなのか?てか、せっかく貰った剣が折れちまった。どうにかしねぇとなぁ・・・」
「それならさっき言った伝説の聖剣を手に入れに行くというのはどうだ?聖なる森の中にあると言われてるんだ」
「お、いいね!さっそく行こうぜ!あ、それとごめんな、多分俺のせいであの街、もう二度と近寄れないかも」
「いや、いいんだ。元から俺は離れるつもりでいたから。それと、俺の為に、俺の代わりに怒ってくれてありがとう」
志刃は深々と頭を下げた。
「いやいや、いいんだって!それに俺達もう仲間だろ!気にすんなって!」
「仲間?俺も付いて行っていいのか?」
「そりゃもちろん!その聖なる森だかなんだかの場所知ってるのこん中だと志刃だけだろうし、まぁ、嫌なら頑張って探すからいいんだけどさ」
「いや、仲間に入れてくれ。俺も一緒に連れて行って欲しい。」
「それならこれからよろしくな!志刃!」
志刃の肩に腕を回して体を寄せる。
「ッ!あ、あぁ・・・よろしく」
ん?今なんか頬が赤かったような・・・気のせいか?志刃は顔を俺に見られないようにしている。今まで家族にあんな扱いされてたからフレンドリーなのは慣れてなくて恥ずかしいのかな?顔が兄貴に似てるからってちょっと距離詰めすぎたかな?こりゃ申し訳ないことをした。すると、回していない方の腕の袖を誰かが引っ張っている。見てみるとふくれっ面の桃花が立っていた。あ・・・忘れてた・・・
「は、はは・・・てへ!」
笑って誤魔化そうとしたが、桃花はより頬を膨らませた。どうやら放っておかれたのがよっぽどお気に召さなかったらしい。・・・ご機嫌取りをしなければならないのか・・・とほほ。ーーーこうして、NTRの竿役で希望の星・・・じゃなかった。僧侶が仲間になった。格闘家と僧侶と勇者、中々いいパーティーになってきたんじゃなかろうか?