異世界転生した俺はハーレムを築いたがNTR属性の俺は・・・ 作:朧Ω
勇者一行は魔王の城へと歩みを進めていた。廃墟となった集落がその間にいくつもあった、魔物の襲撃の多さを実感させられた。そして、老人の言っていた森に辿り着き、森の中へと進む。獣道を進み、途中開けた場所に辿り着く。日も暮れてきた事もあり、ここで野宿することになった。男女で別れ、眠ることになったが、緊張からか中々寝付けない。透は志刃を起こさないようにゆっくりと外に出て、少し散歩をする。そして思い返していた、みんなとの出会いを。桃花は襲われていたところを助け、パニック状態を抑える為に魅力で無理矢理落ち着かせたが今でもあの選択は間違ってないかと不安になる。だが、それを吹き飛ばしてくれる程の元気の良さに見ていて勇気づけられる。紫乃は性剣を守る魔女だった。いまだに歳上という事実が受け入れられないが、実力は確かだ。彼女の魔法に幾度となく助けられた。氷莉はたった一人で何百という魔物を薙ぎ倒し一週間もの間戦い続けた強者。俺が戦いやすいようにフォローしてくれる戦闘経験の豊富さによるものだ。志刃は出会った時、兄貴と見間違う程似ていて雰囲気に懐かしさを感じていつも接する距離感を間違えて困らせてしまう。そして、このパーティで唯一ヒールを使うことが出来る優秀な僧侶だ。俺がよく前線に飛び出て怪我をするからその度に俺を叱りながらも傷を癒してくれる。こんなに素晴らしい仲間達に出会えたことが俺にとって奇跡であり、運命だったのかも知れない。そんなことを考えながら歩いていると一人星を眺める桃花を発見した。
「桃花?」
「透、起きてたんだね」
「少し寝付けなくてな、桃花もか?」
「そんな感じ。星が綺麗だね〜心の中のモヤモヤも晴れてくみたい」
下手をすれば死ぬかもしれない、そんな不安を桃花も感じ取っているのだろう。心のケアも勇者としての重要な役割だと思う。
「少し話さないか?」
「うん、いいよ」
桃花に近付いて隣に腰を下ろす。桃花はずっと星を眺めている。俺は星に詳しくはないが綺麗なのは分かる。そう思って星を眺めようとした時、桃花が呟いた。
「私達、勝てるかな?もちろん負けるつもりなんてさらさらないけど、でも・・・」
言葉を詰まらせる桃花。俺は自然と桃花を抱き寄せていた。
「大丈夫、勝てるよ俺達なら。今まで無駄に時間を過ごしてきた訳じゃないだろ?訓練だってしっかりやってきた。その成果がドラゴンを倒すことで証明された。俺達は強い、俺達は強くなった。それに俺がいる、俺は勇者だぜ?性剣だってあるんだ、心配することなんて何もない、だからーーー」
ふと桃花の目を見ると涙が流れていた。見られていることに気付いた桃花はすぐに下を向き、そっと体を離し、そっぽ向いた。
「うん、そうだね!透がいるもんね!」
「桃花、お前ーーー」
「ねぇ透、さっき紫乃も氷莉も寝れないって散歩に行ったから会ってあげて、きっと私みたいに不安に思ってると思うの、お願い」
「・・・あぁ、分かった。それじゃおやすみ」
「うん、おやすみなさい」
透はその場を後にして去っていく。桃花は涙を拭いながらあの時のことを思い出す。魔物に襲われ、初めての遭遇に恥ずかしながらパニックを起こしてしまいろくに戦うことも出来ずただ怯えていたあの時、透が助けてくれた。そして、自分を落ち着かせる為に目を見ろと言って綺麗な目を見せてくれた。黒い瞳にうっすらと浮かぶ綺麗な紋章。私はこの人が勇者なんだ、この人と旅をするんだと直感で感じた。それから仲間というかライバル達も増えて賑やかになった。それでも透は、みんなの事を考えてくれる、さっきだって私の事を心配して抱きしめてくれた。いつもは私がすることなのに、いざされると、とても恥ずかしくて、でもとても安心して思わず泣いちゃった。早く気持ちを入れ替えて寝なきゃ、明日に響いちゃう。・・・でももう少しだけ星を見ていこう。桃花はまた星を見ていた。その頃、透は紫乃を見つけ、話しかけていた。
「よ!寝れないのか?」
紫乃は透を少しだけ見て、すぐに俯いた。
「私は皆さんの力になれているでしょうか?」
「そんなことを心配してたのか?」
「そんなことって・・・」
「そんなことだよ、紫乃は力になってるよ当たり前じゃん。それに紫乃が居てくれたお陰で俺は性剣を手に入れることが出来たんだ。むしろ感謝をしたいね」
「・・・私はただ、掟に従って守っていただけですから・・・」
「それでもだよ、ありがとう」
「ふふっ、透ありがとう。私のことを元気づけに来てくれたんでしょう?」
「おうよ!大切な仲間だからな、ケアはしてかないとな!」
「それなら氷莉のことを任せてもいいですか?彼女、とても思い詰めていたようですから」
「分かった、それじゃ行ってくる」
透は紫乃の頭を軽くポンポンとする。
「子ども扱いしないでください」
「ははっ、ごめんごめん、それじゃ行ってくるよ、また明日」
手を振り透を見送る。そして、紫乃は考える。きっと自分は透のことが好きなんだなと。最初はどこからそんな力が出ているのかと興味が湧いて付いてきたのに気付いたら彼のことを目で追っていた。私のことを性的な目で見て来ない彼が不思議で仕方なかったからなのだろうか?それとも誰にも分け隔てなく優しく接してくれる彼の姿を見て恋に落ちたのだろうか?分からない、でもこれだけは確かだ。この命に変えても彼を守る、守ってみせると。透は紫乃に言われた通り、氷莉を探して歩いていた。そしてようやく見つけたが、氷莉は剣を構え精神集中していた。邪魔をしないように静かに黙って見ていると氷莉は剣をしまい、話しかけてきた。
「何か用か?」
「あぁ、すまん。精神集中してたから黙って見てた。あと紫乃から何か思い詰めてる感じだったって聞いたからさ」
「紫乃め、余計なことを・・・まぁ、いい、せっかく来たんだ。軽く手合わせ願えないか?」
「おいおい、これから寝ようってなってんのにやりあったら目が冴えちまうぞ?」
「たった一振でいい、それだけで。」
「・・・分かった」
透と氷莉は剣を抜き、構える。しばらく互いに様子見をした後、動き出す。刹那、透の剣が氷莉の首元で止まる。氷莉は深く息を吐き、それを合図にお互いに剣をしまう。
「・・・強いな、透は」
「氷莉に鍛えられたからな」
「そんなに鍛えたつもりはないけど、透は才能があるんだろう」
「そんなことはないさ、初歩的な事や相手の体の動きでどう動くか判断するとかそういう事も氷莉は教えてくれた。それを欠かさず練習してものにしただけさ。もちろん、簡単なことじゃなかったぜ?だから才能なんて言葉で片付けられちゃ困るな」
「はは、それはすまない。それでもここ数ヶ月で私を超える力を手に入れているのは才能と言わざるを得ないさ、だからこそ期待しているぞ」
「任せろって、氷莉の期待にバッチリ応えてみせるよ、それじゃおやすみ」
「あぁ、今日はありがとう、おやすみ」
透は自分のテントへと帰って行った。その背中を見て氷莉はまた考えに耽っていた。私は強くなっている、だが透もまた強くなっていっている。会った頃は自分の方が強かったのに今では私よりも強い。さっきの一振で確信した。ふと、透に男を感じてしまった自分が恥ずかしかった。今はそんな時ではないというのに。自分よりも強い男が好きなのは分かっていたことだ。でも今そんな状況ではないことは分かっているはずだ、なのに心臓の高鳴りが止められない。こんなことで明日から本格的に始まる戦いにちゃんとやっていけるのだろうか?そんな心配と不安が氷莉の頭の中をぐるぐると回っていた。透が自分達のテントに帰ってくると、志刃が座って待っていた。
「あ〜、すまん、起こしたか?」
「いや、さっき起きたところだ、何処に行ってたんだ?」
「あぁ、眠れなかったから少し散歩にな」
「そうか・・・なぁ、透」
「どうしたんだ?」
「いや、やっぱりなんでもない」
「なんだよ、話してみろよ」
「いや、聞こうとして自己解決してしまったんだ、すまない」
「あぁ、よくあるやつな、まぁそれなら仕方ない。それじゃ俺は眠くなってきたしそろそろ寝るわ、また明日な」
「あぁ、また明日」
二人は横になり眠った。目を瞑りながら志刃は考える。自分は異端だと。剣術を収められず、更には男を好きになってしまった。自分は普通じゃない、でもそんな自分でも透は受け入れてくれるんじゃないかとそんな夢想する。だが、行動には移せない、これは墓場まで持っていくものだ。あくまでも俺は透の友人。でも、それでも良いと思った。きっと明日から激しい戦いが始まるだろう。それに備えてしっかりと寝ることにした。そして翌朝、皆覚悟が決まったようだった。それを見て透は自分の頬を叩き、自分も覚悟を決める。
「よし!みんな、行くぞ!」
全員でおー!と叫び、団結する。今日から始まる戦いに備えて。