先生流オトコ飯   作:ジルさん提督

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朝のカップ麺ほど罪深いものは無いよね


腹は減っては朝は起きれぬ

ズモッ…という擬音が聞こえてくるかの様に布団の山が崩れ落ちた

 

ココはキヴォトスのシャーレ内にある仮眠室

ほとんど自室とかしたそこから這い出してきたのはこのキヴォトスの中で「先生」と呼ばれ慕われている20~30代前半の見た目をした男だ

 

現在は朝の7:30頃、本来であれば寝坊だと慌てて布団を蹴飛ばす時間帯であるが今日は前日に大体の仕事を済ませたためまだ時間に猶予がある

 

ぐぃーっと背を伸ばすとシャツがべとりと肌に着く感覚に襲われる

 

前日の仕事終わりが大体0:30分頃、朝の6:30分頃からデスクとにらめっこを開始していたとして実働時間は18時間の超長時間労働だ

 

疲れきった体は布団というオアシスを求めそのまま天国へと旅立ったのだろうと簡単に予想が着く

 

シャワーでも浴びて仕事の準備をしようと着替えを用意し始めるとお腹に違和感を感じる

 

そう、極度の空腹である

 

前日、お腹に入れたのは10秒チャージを謳った某ゼリーと眠気覚ましのためのエナジードリンク3本のみ

 

自堕落を通り越して破滅的な食生活である

 

そんなものしか腹に入れていなければ必然、なにか飯をよこせと腹の虫の革命の産声が一人しかいないシャーレの各部屋に響き渡る

 

給湯室に何かあったかと思いを巡らしながらシャワー室に入るがしかし、そこに確かにあるであろうものはエナジードリンクや牛乳、コーヒーの豆、紅茶や緑茶の葉等当番の生徒たちに振る舞うべく好みに合わせた各地方こだわりの飲み物の数々であった

 

「いや……そう言えばフウカが……」

 

ふと思い出したソレを探すべく給湯室へ

 

ガサリと無造作に開けられた冷蔵庫の中には牛乳やエナジードリンクの他に白く輝く大理石のごとき存在感を発するモノが中央に鎮座していた

 

「あったあった、とろけるチーズ」

 

当番の日になると必ず料理を振る舞ってくれる愛清フウカという生徒がいるのだが、数日前にも彼女がその料理の腕を存分に奮ってくれた際に1枚ほどチーズを余らせたのでパンかなにかに乗せて焼いて食べてくださいと残してくれたのを思い出したのだ

 

その白い輝きはまさしに救世主がごとく給湯室を照らし、気が付くとその頭を深々と下げていた、恐るべしチーズ

 

あると分かれば話は早い、近場のコンビニへ坦々麺のカップヌードルとレンチン惣菜の角煮を購入しシャーレへ帰宅

 

お湯を注ぎ、レンジへ角煮を投入して待つこと約5分

 

角煮は飴色の輝きを放つ宝石のような照りを見せ、坦々麺はホカホカと暖かな湯気を揺らしながらその艶かしい肌ツヤをこれでもかと見せつける

 

しかし、それだけで満足はせずとろけるチーズをちぎり入れて角煮を3~4つ投入、残りをかきこんで待つこと1分弱

 

完成したそれは正しく至宝、赤くルビーのごとくきらめくスープは白く輝く大理石の如きチーズと琥珀色に照らされた角煮に彩られ正しく現代のミロのヴィーナスである

 

腹の虫は限界だとばかりに大合唱を始めもはやクライマックス

 

口を開け、一息に頬張った

 

瞬間、溢れ出す旨味

 

角煮の甘辛いタレチーズのまろやかさ坦々麺の辛味、それらが三位一体ジェットストリームアタックの如く脳髄に駆け巡る

 

気づけば汁ごと消えたソレは確かに腹の虫を押さえつけた

 

時短飯、健康には悪いのだろうがこんな頭の悪いご飯も中々に乙なものだなと残った角煮のタレを舐め取り満足気に顔を上げる

 

気づけば8:30、あんなに余裕のあった朝は既になく遅刻の現実を叩きつける時計は無慈悲に時を刻む音を響かせた

 

 




この後来た生徒に普通に怒られた先生であった
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