早朝、少し曇りがかったガラスから差し込む朝日と、スズメのチュンチュンと鳴く声で目を覚ました。昨日の記憶が曖昧だ、まるで時がスッポリと飛ばされているような気すらする。昨日は、確か……そうだ、叡智だかえっちだかそんな名前の魔王を倒して……それで……
今の時間を調べる為にスマホを捜そうと、上体を起こして布団の中を探っている辺りで違和感に気付く。そもそもここって……何処なんだろうか?天井に見覚えは無いし、私は服を着て無いし……着てないし?何故か横には何も着ていないクロエちゃんが居て……あっ。寝ぼけていた思考が、まるで冷や水をかけられたかのように冷えていく。あぁ、ああああ……あああああああ……
「うわぁぁぁぁぁぁ!?」
「うるさいですわよ、今何時だと思ってますの?」
「あっ、すいません……」
確かにご近所迷惑かもしれない、でもそれどころじゃなくないか?そうだ昨日は……うん、色々あったんだった。やべぇよ、まさか同級生と朝チュンする事になるなんて。こっ、この物語の登場人物は成人であり、実在のものとはいっさい関係がありませんから許してくれないかな……
「普段は随分と感情豊かですのね?いつもそうなら、高嶺の花過ぎてとっつき辛いなんて言われませんのに……」
「何時もそんなこと思われてたの!?いや、その……クロエさんの方こそ落ち着きすぎじゃ?」
「貴方が連れ去られてから、わたくしもそういう覚悟を決めましたもの。わたくし自らあんな事をするとは思ってもいませんでしたが……」
そう言って何とも言えない表情で私の頭をなでるクロエちゃんに対して……申し訳なさと、服を着て無い状態で頭を撫でられるってなんか背徳的だよね?って気持ちが
「それで……わたくしに何か言う事があるんじゃありませんの?」
「ごっ、ごめんなさい……」
頬っぺたを引っ張られた、いひゃい。どうやら彼女の求めていた答えでは無かったらしい。こういう鈍い痛みもまあそれはそれで悪くな……違う違う、流石にそろそろ幻滅されそう。
「あっ、ありがとうございます……?」
「しずく……?」
今度は首筋を撫でられた、人体の急所を無防備に晒しているって言うのも興奮するよね。ほら、相手への信頼の証とも取れる訳じゃん?そんな考えが読まれた訳では無いと思うけど、そのままゆっくりとさすってくれている。怖さと安心感って両立するんだな……
「ごっ、ご主人様……♡」
「おばか!?」
お尻を
「たっ…………ただいま」
「えぇ、おかえりなさい……しずく」
はっ、恥ずかしい……こういう羞恥は得意じゃないんだが?そんな赤面している私を、彼女はゆっくりと抱きしめる。彼女の心音と布団の暖かさにつられてついつい二度寝をしたくなるけど、状況がそれを許してくれそうにはない。うおっ、でっか。なにがとは言わないがでっかい、同じ中学生とは思えないんだけど。何を食ったらこんなに育つんだよ。
そして、それから暫くはクロエのされるがままになっていた。頭を撫でられたり、背中をさすられたり。凄い、服さえ着てれば魔法少女再会の感動の名シーンとして地上波に流せたのに。これじゃお茶の間には絶対に流せない。深夜帯でも怪しい。
これじゃまるで純愛みたいじゃないか。私、純愛はあんまり食指が動かないんだよな……と思いつつも、存外悪くないじゃないかと思い始めて……いや、ないけどね?全く無いけどね。この想いに嘘は―――つきたくないから。
「もし、貴方がその衝動をどうしても抑えきれなくなって外敵に負けたいと思ってしまったら……」
「……うん」
「その時は、
耳元でそんな風に呟かれると、急にスイッチが入りそうになる。昨日で私の自尊心さんとやらは随分と御主人さまに飼いならされてしまったらしい。されないとは思うけど、日常で呼ばれたら「わん」って応えてしまうかもしれない。それにしてもどういう意図で言っているのだろうか。
「どっ、どういう事……?」
「あまり本意ではありませんけど……
うおっ、でっか。あまりにも権力がデカすぎる、そういえばお嬢様だったね。何しれぬ顔で私の髪を指で梳いている彼女は、さらっと恐ろしい事を言っているのに気付いているのだろうか?いや……分かってて言っているのだろう。彼女にはそれだけの覚悟と私への愛があるという事だ。そしてこれはつまり……
「……プロポーズ?」
「違いますわよ!?わたくしは、結婚相手とは対等に在りたいと思っていますし……それでも、手放す位なら主義や好みは二の次ですもの……」
一般的な結婚像だ。実はこんな悩みを抱えている人間はあまり多くは無いようなのだ。そう……残念な事に多数派では無いのだ。もっと一般的だと思ってた、おかしい。なんで純愛派が多数派なんだよ、おかしいだろ。*1
とはいえこれで私の
シャワーを浴びて、いつの間にか用意されていた着替えに身を包む。そして何時の間にか用意されていた朝食をとり……物凄い権力を感じる。これ、クロエちゃんを泣かせたら本当に消される奴では?
とっ、とりあえず都合の悪い事には蓋をして家に帰らないと。流石に一週間も無断で欠席した以上、学校はやばいし親は……まあ大丈夫か。部屋に戻って支度をしてからかな……一限間に合うか怪しいか?
「送っていきますわよ?」
「いっ、いやぁ大丈夫だよ?ほら、空飛べばすぐだし」
「……風情がありませんわね」
そして肝心のクロエちゃんは……布団から出た後も、やたらと距離が近い。女子同士だからそう言う事も往々にしてよくあるけど、何処か触り方がジトっとしている。
魔法を使って空を飛ぶ、本当は魔法の私的利用はあんまり良くないらしいけど……魔法少女の実力人気共に一位の名声と魔法少女協会の圧力がそんな声を搔き消している。今日は何と権力を感じることの多い一日か。まあ、国防を15程度の少女に任せきりな現状で、否と言えるわけは無いと思うけど。
何時もの慣れ親しんだ家に辿り着いた。チャイムを鳴らすのに緊張する、家出とはわけが違うのだ。それでもそんなにこの世の終わりみたいな絶望を感じているかというと、そういうわけではない。
実は、私の夢はお母様ともう一人にだけは告げてある事なのだ。前者はめちゃくちゃ悶着があったし、後者はなし崩し的に仕方なくだけど……今は落ち着いている。そして、クロエちゃんで三人目か。お母さまには本当に申し訳ないとは思う、でも伝えておかないと……そうなった時に命を削ってまで私を捜そうとするだろうから。
意を決して、チャイムを鳴らすとピンポーンという間の抜けた音が響く。少し待っていると。ドタドタとこちらに向かって走ってくる足音が一つ、確かに聞こえる。扉を開けてお母さんの顔が見えた、すこしやつれて寝不足気味ではありそうではある……当然か。それでもそんな事を感じさせないようにだろうか?ニッコリと笑っている……目以外は。
「ふっ、不肖しずく!ただいま帰りました!」
「言いたいことは沢山あるけど……風邪ひくから入りな、バカ娘」
思いっきりげんこつをもらった、頭がすっごく痛いけど……まあ、性癖とか関係なく悪くないなって思った。その痛みで帰って来たんだなって……そんな実感が出来たから。
積もる話はあったものの、それでも私の意思を尊重してか学校に行くように急かされた。本当にいい親を持ったなと思う、うん。部屋に入ると、1週間空けていたにも関らず埃は全くないのは……私が居なくても掃除をしていてくれたのだろう。ただ一つの点を除いて、私の記憶にあるままの自室がそこにはあった。ただ一つの点を……除いて。
ところでだが、私に施されたであろう淫紋の効果は二つある。一つは、魔法を使い終わった後に激しい快感が襲うというもの。これはまあ、移動に使う位ならムラムラするくらいで済むから別にいいとして……今問題なのは、もう一つの方だろう。
「あら、遅かったわねサテライトちゃん?」
「なっ、なんで……」
私の居場所を伝えるという、本来の首輪の機能がついていた事は覚えてはいた。それでもまさか、私の部屋に先回りしているなんて想像がついただろうか?それも、ルクスっぽいだけの妙にデフォルメされたぬいぐるみみたいな姿形になってるし。
「人間界にいるのも、魔力を食うのよね……だから、省エネモードって訳なのよ。魔法少女にはマスコットがいるって言うし、悪くはないでしょ?」
「いや、そう言う事じゃなくて……何でここに居るの?」
そもそも魔法少女のマスコットが淫魔なんて聞いたことも見た事も無い。まあ今、目の当たりにしてるんだけどさ。
「私……諦めてなんてないもの」
「えっ、でもさ。言い辛いんだけど私には……」
純愛派の彼女には悪いが、クロエちゃんと朝チュンした後だと言おうとして……何かおかしい事に気付く。彼女は、私の好きなタイプや好きな食べ物について聞いたことはあったものの……一度でも、『彼氏/彼女』がいるかを聞いたりはしただろうか?いや……してないのだ。気になる相手に真っ先にするであろう、その質問を。
「あの、私さっき……」
「あら、私はお相手さんがどれだけいても気にしないわよ?強い個は多くの子孫を残すべきだというものね?」
「ぶっ、文化の違いを感じる……」
デフォルメされた身体をくねくねと揺らして、推定セクシーポーズを取る彼女はエッチと言うよりかは可愛らしいの方が勝る。まさか魔族を秘密裏に家に呼び込んでいるなんて……これから起こるトラブルに頭を悩ませつつも、一旦は現実を逃避して荷物をまとめる。
「何時か私のモノになってね、サテライトちゃん♡」
「わっ、私は……」
純愛なんかには負けないが?なんて言葉にもならない声は、日常の喧騒の中へと紛れて消えた。
プロットは一旦ここで一区切りっす、好評そうなら続くかもしれないですが……
時間が、時間が無いんですよね……
魅力的だなと思ったシーンは何処ですか?
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キャラの掛け合い
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戦闘描写
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えちちなシーン
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地の文・心情
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その他(よければ感想まで)