あれからフランマちゃんと別れて、あまねちゃんの部屋へとやってきた私達。
しかしご両親は生憎の不在だった、まあまだお昼だしアポイントメントも取って無いから当然か。
そんな訳であまねちゃんの部屋で待っていた私達だったのだが……
「しずくおねーさん?」
「どしたの?」
「呼んでみただけです♪」
ううん……っと……
笑顔が眩しいのは、良いんだけど……
「サテライト様~」
「ん~?」
「えへへっ、呼んでみただけです!」
部屋に来てからずっと、ずっと……こうだった。
傍から見なくても滅茶苦茶浮かれている。
まあ私も嬉しいよ? 嬉しいけど、ここまで喜ばれると一周回って冷静になるよね?
まるでバカップルみたいじゃん……まあ事実そうなんだろうけど。
こう、背筋とか鼻のあたりがむず痒いというか……
「くしゅん!」
「大丈夫ですかおねーさん!? 今暖房付けます!」
「いや、別にまだ良いよ?」
「そうですか? 誰かが噂でもしてるんでしょうか……」
噂されるのには心当たりしかない、きっとどこかで誰かが私の噂でもしているのだろう。
「それにしても寒くなって来たよねぇ。もう11月も終わるし」
「この一年、あっという間だった気がします……ってちょっと早すぎますかね?」
確かにもうそんな季節だ、ついこの前まで夏休みだった気もするのに。
「んん……良い事を思いついちゃいました!」
そう言ってとてとてと自分のベッドへと向かっていったあまねちゃんが、ぽふんと身体をベッドの上へと沈める。
一体何を思いついたというのか、こういう時の思い付きは大抵碌な事じゃない気もするけど。
ベッドのかけふとんを捲った彼女が、ポンポンとマットレスを叩く。
「お布団の中なら、温いですよ?」
「えっ?」
「一緒にお昼寝───しませんか?」
こてんと首を傾げた彼女の表情が、何故かとても魅力的に見えて一瞬言い淀んでしまった。
自分より四つも年下の、女の子なのに。
「しょうがないなぁ……」
「やったぁ♪ 沢山ぎゅーって温めて差し上げます!」
私が体重を乗せると、ベッドがギシリと音を立てて軋む。
普段から使っているベッドだから当然だが、彼女の匂いがする。
「推しが……私のベッドに……えへへへへへ」
「焦らなくても、逃げたりしないよ?」
ちょっとだらしのない顔でニヤけていて、将来が心配になる。
それにしても私は今、どんな顔をしているのだろうか。
ちゃんと可愛い表情が保てているか、ちょっと自信がない。
そんな彼女が、私の背中へと手を伸ばして抱きしめ……ているつもりなのだろう。
「えへへ、捕まえちゃいました」
「ふふっ、捕まっちゃった?」
だけど身長差で、胸元に顔を埋めるような形になってしまう。
こうして抱きしめてみると、やはり小さい……
間違いなくロリという区分がされるであろう年齢の少女は、犯罪的にすら感じる。
まあ私の年齢も、人の事を言えた口じゃないんだけども。
「布団の中に匂いが籠って……おねーさんに包まれてるみたいです……」
「匂いの感想とかは言わないでくれない!?」
自分の匂い……というやつは、自分では分からないから怖い。
私のような美少女の匂いだから、臭いはずは無いと思うけど……やっぱり恥ずかしい。
それに胸元で動かれると、ちょっとくすぐったいというか気持ち良いというか……
「ぎゅ~っとしたら、暖かいですね」
「んっ、そうだね……」
小さい子供特有の高い体温と、胸の奥がポカポカとする感覚。
そして気恥ずかしさも相まって、先ほどの涼しさが嘘のように身体が熱くなる。
スルリとあまねちゃんの脚が、私の腿を絡めとるように挟み込んでいく。
「おねーさんの太腿様……柔らかくて、むちむちしてて……」
「絶対領域には自信があるんだけどさ、流石にちょっと恥ずかしいというか……」
互いのニーソックスがスリスリと触れ合って、太腿同士がキスをするかのように触れ合う。
凄く胸がドキドキする、さっきまでバカップルみたいだと言っていたが……これじゃそのものだ。
「しずくおねーさん、とっても可愛いお顔してますよ?」
「あっ、あまねちゃん……」
じんわりと汗をかくくらいに、布団の中は暖かかった。
そんな私の手を恋人みたいに繋いで、ぎゅっと握りしめた彼女。
それから暫く、お互いの体温を感じ続けて……
少しずつ興奮よりも眠気が勝り始めた頃だった。
「あまねが、ぐっすり眠れるおまじないをかけてあげますね?」
「うん……」
「それじゃあ、目を閉じて……」
心地良い微睡の中、彼女の声が耳元に迫って───
「……ぺろっ」
「んひゃっ!?」
「ええっ!? どどど、どうしたんですか!?」
───ペロリと耳を舐めとった。
思わずビックリして目が覚めた、何で……何で?
「どうしてはこっちの台詞じゃない? えっ何で急に耳を……舐めたよね?」
「皆さんが、寝る時は耳舐めカウントダウンされながらに限るって……!」
この場合の『皆さん』とは、間違いなくインターネットの皆さんの事だ。
これだから参考になる訳無いのに、どうして鵜呑みにして……!
「ASMR……自律感覚絶頂反応とも言うらしいですね? おねーさんの為に、一杯調べたんです!」
「あっ、そう……」
「あまねに任せてください!」
それは、イヤホン越しに聞くものであって本当に舐めるものでは無い筈だ。
だがそこまで言われてしまうと、彼女の努力を無碍には出来ない。
諦めてもう一度寝転ぶと……左耳に吐息が触れて背筋がゾクゾクと震える。
「それじゃあ……れ~っ」
「んっ……」
生暖かい唾液の不快感と、耳元にかかる吐息のくすぐったさ。
それがどう作用しているのかは全く分からないが、ふにゃりと身体の力が抜けていくのが分かる。
「はむっ……どうれふか?」
「いっ、嫌じゃないの?」
「へんへん?」
耳たぶを甘噛みされたまま喋られると、何かがまずい感じがして。
それがどうまずいのかは、上手く表現できないけど……何なんだろう、これ?
「……あぁっ!?」
「ビックリした!? 急に耳元で大きな声出さないでね!?」
いきなりASMR中に大きな声を出さないで欲しい。
そんなところまで忠実に再現しなくて良いんだよ?
「あっ、あぁっ……ごめんなさい。そう言えば、これ……二人でやらなきゃいけないんでした」
確かにこういうのって両耳から、別々の子が話しかけたりするのが定番だけど……
ここに居るのは私とあまねちゃん、そしてそのお父様とお母様くらいしか居ないはずだ。
「いっ、良い事を思いつきました! これなら……」
「いや、もう普通に……寝ない?」
「大丈夫です、あまねに全部任せて……」
私の上に覆いかぶさるように身体を重ねたあまねちゃん。
何をする気か……なんて、聞き出そうとする前に目を閉じさせられる。
「こっちのお耳は私が……」
交互に、耳元で囁かれて先ほどよりも脳の奥を痺れるような感覚が襲う。
随分と器用な事をするものだなんて、感心してる場合じゃないかもしれな……
「ちゅ~っ、ちゅっ♡好きです、好きですしずくおねーさん♡」
腰がへなへなってなって、力が入らない。
「良いんですよ? 素直になるのは、とっても立派な事ですよ♡」
真反対の事を言われて、頭がバグりそうになる。
「布団一杯におねーさんの匂いが広がって、とっても幸せですっ♡」
「やっ……らっ……♡」
背筋がゾクゾクってして、脳がぞわぞわして……癖になっちゃいそうで。
「カウントダウン、しちゃいますね?」
そうだ、本当に耐えなきゃいけないのはこれからで───
「きゅう。我慢しなくても、良いんですよ?」
「やっ、これ以上は……んぐっ!?」
「正直じゃなぁいお口はぁ、ベルが指で塞いであげるね?」
細い指が口の中に侵入して、舌を押さえつける。
ビクンと身体が跳ねて、甘い痺れが身体に広がって……
「はーちっ。腰をへこへこって動かしてどうしちゃったんですか?」
でも、もう焦らされ過ぎて……
「ろくっ♡しずくおねーさんが気持ち良さそうで、私も嬉しいですよ?」
身体が熱い、布団の中には色んな匂いが充満していて……それだけでクラクラする。
ぐちゅぐちゅと口の中をかき混ぜるように、指が口内を蹂躙して。
「いーち♡もっと楽しみたかったんですけど、これでおしまいです♡」
いきなりは止められたカウントダウンに、思わず身体が震える。
さすさすと身体を撫でながら、耳に触れそうなくらい近くでプルプルの唇が震える。
ただの数字の羅列に過ぎないのに、開発された脳が身体が……快感を受け入れてしまっている。
「ぜーろっ♡」
「───ッ♡」
バチバチってして、頭がフワフワして……
腰がガクガクと動くけど、その場からは逃げられない。
「おやすみ~♡」
「おやすみです、しずくおねーさん♡」
プツリと意識を失った私と、妖艶にほほ笑むあまねちゃん。
そして彼女の御両親が帰ってきた20時までの間。
何が起きていたかは───彼女のみが知る事となった。
続きが見たいお話のアンケート!(第3弾)
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