"コスモ"ハイスクール・フリート2202   作:篠乃丸@綾香

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第十二話です!


第十二話:救難信号・ムサシがピンチ!

同日夜

駆逐艦〈ハレカゼ〉艦内

 

 ましろの説教が終わった頃。

 乗組員達は交代で夕食を食べたり、損傷箇所の確認などを行なっていた。そんな最中、明乃は入浴時間となったので先にシャワーを浴びていた。

 濡れた髪から水が滴る。明乃は身体を洗いながら、今後のことを考えていた。

 

「これからどうすればいいんだろう……」

 

 付けっぱなしのシャワーからお湯を被る明乃から、内心の言葉が漏れ出た。

 時間的に他に誰もいない。独り占めの入浴であったが、気分は晴れない。明乃の不安は募るばかりだった。

 ふと、明乃は自分の太ももを見る。艶かしい白い肌の中に、幾つか新しい肌の境界線があった。再生医療の手術痕だった。

 

「…………」

 

 これを見るたび、あの時の熱さを思い出す気がしている。肌を見るのが嫌と言うわけではない。再生医療により、傷跡は近くでよく見ないと分からないようになっている。

 明乃は嫌なことを思い出しそうになり、両手で顔を一回、パチンと引っ叩いた。そうして自分に対して喝を入れる。

 

「シャキッとしなきゃ……」

 

 自分が不安そうにしていたらダメだ。周りに示しがつかない。自分は艦長で、みんなを預かる立場にあるのだから。

 さて、お風呂から上がった明乃は、パジャマに着替えてある部屋に向かった。

 

「みなみさん、入るよ」

 

 明乃は医務室の部屋をノックしてから、ゆっくりと扉を開ける。

 そこには制服に白衣を着た、背の低い女の子がいた。衛生長の鏑木 美波だ。

 実は彼女は生徒ではなく、養護教諭扱いだ。しかし飛び級をしているらしく、こう見えても年齢は12歳という凄い人である。

 

「艦長」

「どう?」

「外傷はない。脳派も正常……あとは意識が戻るのを待つしか」

「そっか……ありがとう、私が見てるから、みなみさんは食事してきて?」

「感謝極まりない」

 

 明乃は一人でこの船の医務員として働いている美波のことを気遣い、一時的に役割を交代してもらった。

 彼女が部屋を出た後、明乃はベッドの上で眠るパイロットスーツの女の子を見た。青い肌に金髪、ガミラス人の特徴だった。

 明乃は彼女のズレた毛布を少し直すと、彼女が起きるまで、椅子に座って待つことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 さて、その頃。

 食堂ではお楽しみタイムだった。今日は、金曜日である。つまり、ハレカゼ主計科炊事班特製のカレーが食べられる日であった。

 

「さぁ!みんな食べてー!」

『いただきまーす!』

 

 食堂に集まった非番の乗組員が、手を合わせてカレーを食べ始めた。艶々の白いご飯と、野菜がごろごろと乗ったカレールーのスパイシーな香りが食欲をそそる。

 ちなみにこれは手作りである。ハレカゼにはスペースの関係上、OMCS(オムシス)を載せる場所がない。そのためこのカレーは主計科の炊事班が一から作ったものなのだ。

 

「旨い!」

「120%マジおいしー!」

「これがハレカゼカレー!病みつきになりそう!」

「毎日金曜日でいいのに〜!」

 

 乗組員達がカレーを嗜む。初の晴風カレーはかなり好評だったようであり、作った炊事班の三人はガッツポーズを取った。

 そんな中、食堂にましろがいないのを見た黒木は、カレーとサラダが盛り付けられたトレーを持って、一人で艦橋へ向かった。

 

「宗谷さん、お疲れ様」

「あ、黒木さん」

 

 黒木は気を利かせて、ましろへカレーを届けに来たのだった。ましろは副長の席に座りながらそれを受け取ると、膝の上に置いて、彼女に感謝を伝える。

 

「艦橋勤務、無理しないでね」

「ありがとう」

 

 ましろは黒木の優しさに感心しつつ、膝の上に置かれたカレーを嗜もうと、スプーンに手を伸ばした。

 しかし、そのタイミングで通信機が鳴り響く。艦橋で受話器に一番近いのはましろだった。ついてないな、と思いつつ受話器を取る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、ガミラス人の女の子の様子を見ていた明乃だったが、そろそろ眠気が襲ってきた。

 サルシマの一件から戦闘続きで、ゆっくり休めてない気がする。重たい瞼を擦り、あくびを挟みながらも起きていたが、その眠気は呼び鈴によって吹き飛んだ。

 

『艦長!至急艦橋に来てください!』

 

 ましろの声色から、少し焦りを感じられた。

 また何かあったのかと思い、明乃はすぐに医務室を飛び出して艦橋へと向かった。

 

「どうしたのシロちゃん!」

「ムサシ乗組員による、広域通信です……!」

「えっ!?」

 

 ましろの言葉を受け、明乃は彼女から受話器を受け取る。耳を当てると、雑音が混じった広域通信の声が聞こえてきた。

 

『……こちら練習艦"ムサシ"搭乗、航空隊教官の山本玲。現在非常事態発生により、現在学生一名とともにムサシを脱出。艦内は暴徒と化した生徒たちにより占拠。艦長以下、正気の学生数名と共に、艦内に立て籠っている状況』

「えっ……?」

 

 明乃は広域通信からの報告に耳を疑った。

 

『繰り返す。非常事態発生。現在ムサシは暴徒と化した学生により占拠。艦長以下学生達の救出を求む。なお、我々の現在位置は──』

「もかちゃん……!」

 

 ムサシで非常事態が起きている。

 明乃は親友のことを思い出し、血の気が引く感じがした。




ご意見、ご感想お待ちしております!

本作ゥの予定するCPをっ、亡き総統への手向けとするのだぁっ、選べ!ガーレ・ガミロンッ!

  • 明乃×ましろ
  • 土門×もえか
  • 山南×百々
  • 南部×志摩
  • ミーナ×幸子
  • 古代×雪
  • 俺は……選ばない!
  • 愚かなりゲーぇ↑ルーぅ↓……
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