砲撃の数分前
アンドロメダ級宇宙戦艦〈アンドロメダ〉
アンドロメダ級こそが地球最強の船だと、山南は自負している。だが少し前、完成したばかりのアンドロメダ級を見たある技師長は、アンドロメダ級のことをこう皮肉った。
──こんなのは戦艦じゃない、戦闘マシーンです。
山南は否定はしなかった。
戦闘マシーン、その言葉の通り、アンドロメダ級は様々なハイテク兵器とシステムを搭載している。
それだけならまだしも、アンドロメダ級は極度に少人数化されている。その技師長にとって、それが一番気に食わないのだろう。続けて彼は言った。
──地球政府はヤマトの帰還を"機械力の勝利"だと勘違いしている。
技術者らしからぬ言葉だった。
だが、こればっかりは山南も反論した。地球政府はヤマトの勝利が人間の──艦長の沖田含む乗組員全員の力によるものだと、きちんと理解している。
そうでなければ、将来の人材確保の為にわざわざ高等宇宙学校を各地に設立したりはしない。地球政府は人材の重要性をわかっていた。
ならばなぜ、アンドロメダ級は戦闘マシーンなのか。
答えは単純だ。今の地球にとって選択できるのは戦艦ではなく、テクノロジーと合理性、そして殺意で武装した戦闘マシーンしかないからだ。
『広域レーダーに感あり』
「RCS*1を元に解析しろ」
アンドロメダのサブフレームが報告をしたのを受け、山南が即座に解析の指示を出す。するとサブフレームは、レーダー上の物体の反射面積から艦種を特定し始めた。
アンドロメダは素直でいい子だ。艦長の山南の命令に忠実で、艦長の他に四人しかいない艦橋要員の業務も補佐する優秀な子である。
コイツがそんなに利口なのは、地球防衛軍は今、深刻な人材不足に直面しているからだ。
ガミラス戦争での犠牲者は多く、地球の人口は当時の1/3にまで減っている。その流れは地球防衛軍で特に深刻だった。
これが、アンドロメダ級は戦闘マシーンにならざるを得なかった理由だ。人材の育成と確保には時間がかかる。人も資源も金も大量に消費する純粋な戦艦は、今の地球ではまともに運用できない。
『識別完了……横須賀高等宇宙学校所属、駆逐艦ハレカゼ』
そんな思考を照らしている間に、解析が終わったようだ。時間にしては僅かだったが、この距離の反射面積から艦種と艦名まで識別できるのは流石である。
目標はお目当ての反乱艦だった。山南のここを通るだろうという予測は当たっていた。すぐに砲術長へ向けて声をかける。
「砲術長。主砲一番、砲撃用意」
「はっ。照準はハレカゼでよろしいですか?」
「いや、ハレカゼ左後方のデブリにしろ。まずは威嚇射撃だ。説得を試みる」
「了解です」
アンドロメダ級の性能ならこの時点で仕留めることが可能だ。だが、それじゃあつまらない。
山南は砲術長へ威嚇射撃をするよう指示を下す。若く血気盛んな砲術長は、砲撃の指示を今か今かとソワソワして待ち構えている。全く、相手は高校生なのに大人気ない……
そんな事を思っている間に、アンドロメダはハレカゼの後方に漂うデブリに対して、主砲の40サンチショックカノンで照準を定めた。
『発射準備完了』
サブフレームが報告する。それと同時に、山南は叫ぶ。
「撃ち方はじめ!」
「撃てぇっ!!」
山南の命令により、砲術長が主砲の引き金を引いた。主砲から青い光が迸った。
砲撃後
駆逐艦〈ハレカゼ〉 艦橋
メインモニターに映し出された映像を見て、艦橋要員が皆沈黙する中、ハッとしたましろが叫んだ。
「アンドロメダだと!間違いないのか!?」
ましろはマチコに確認を求めるが、そんな必要はなかった。
『あの艦影とカラーリングです!見間違うはずがありませんよ!』
あんな有名人を誰が間違えるんだ、とでも言いたげな口調でマチコはそう言った。確かに、あれだけ有名な地球最強の船だ。あのマチコが間違えるはずがないだろう。
「う、嘘でしょ……アンドロメダってぇ……」
「地球防衛軍の艦隊総旗艦ですね」
「いきなり大将のご登場!?」
鈴が震えながら言う言葉を、幸子が補足した。最後に芽依が目を見開きながら叫ぶ。
一方のましろは、あのアンドロメダが目の前に立ちはだかったことをまだ信じられないのか、震えながら問いかける。
「アンドロメダは演習に参加してるはずじゃ……」
「きっと私たちのことを察知して、抜け出してきたんだと思います」
「って事は、まさか防衛軍の命令で……!」
ハレカゼを正式に反乱者だと認定したのでは、という言葉が続く前に、ハレカゼに対して通信が呼びかけられ、コール音が鳴る。
「アンドロメダより入電です!」
「……メインパネルに出して」
幸子の言葉を受け、明乃は通信を受け取った。幸子が機器を操作すると、顎髭を生やした中年の男がメインパネルに出てきた。相手の艦長のようだ。
ハレカゼ乗員から見れば、その男の第一印象は「優しそうなおじさん」だった。だが彼がハレカゼの前に立ちはだかるアンドロメダの艦長であることを考えれば、その優しげな笑顔ですら恐ろしく見えた。
『……こちらは、地球防衛軍艦隊総旗艦のアンドロメダ。艦長の山南修だ』
アンドロメダの艦長が名乗る。それを受け、責任者として艦長の明乃が立ち上がった。
「ハレカゼ艦長、岬明乃です」
明乃が呼応して名乗ったのを受け、山南と名乗った相手の艦長は少し眉を動かす。それも束の間、彼はハレカゼに対して通告を行う。
『岬艦長、並びにハレカゼ乗員に告ぐ。貴艦らには反乱の容疑がある。事実確認のため速やかに停船し、白旗を上げて欲しい』
予想通りの言葉だった。やはりアンドロメダは、ハレカゼを阻止して拿捕するために単艦行動をしているようだ。
明乃はこの降伏勧告に対し、モニターに映る山南の目をしっかりと見ながら、詳細な条件を聞き出す。
「その際、乗員の安全は?」
『本艦が責任を持って地球へ送り届ける。身の安全は保証しよう』
「無実の保証は?」
『…………』
「私たちがサルシマを攻撃したのは確かです。ですが、それはサルシマが先に砲撃したからであり、致し方ない自衛の措置でした」
明乃はそう釈明した。それは、ハレカゼにとっては事実である。先に砲撃して来たのはサルシマの方であり、ハレカゼは自衛のために反撃したに過ぎない。
だが、その返答に対して山南という男は首を少し捻り、顎に手を当てながらこう言った。
『にわかには信じ難い話だ。サルシマは君たちの教官だろう?先生が生徒を攻撃する理由が分からんな』
「…………」
『ともかく、まずは停船したまえ。話はそれからだ』
どうやらこちらの釈明は信じてもらえていないようだった。
やはり教官であるサルシマが、大切な生徒であるハレカゼを攻撃するという事実は、にわかには信じ難いようである。
数日前に幸子や芽依が懸念していた通りのことが起きていた。
山南の返答を受け、明乃はしばらく俯いて沈黙していた。だが、何かを決心したのか、また顔を上げてモニターの山南を見据える。
そして──
「いえ、停船はお断りします」
「えっ?」
「艦長!?」
山南の警告を蹴った。
これには艦橋要員の面々も驚愕の声を上げる。だが、明乃はすぐに理由を説明した。
「私はこの船の艦長です!乗員を守る義務があります!乗員全員の無事と無実が保証できない限り、停船は出来ません!」
明乃はきっぱりと言い切った。
自分たちは無実だ。謂れのない反乱者の汚名を着せられるくらいなら、みんなを守るため、アンドロメダだって相手にしてやる。明乃はそう判断したのだ。
その言葉を受け、山南は眉を少し動かして笑顔を作ると、少し嬉しそうな口調で最後の言葉を伝えた。
『そうか……分かった。警告はしたからな?』
そう言って通信が切られる。
その瞬間、明乃は弾け飛ぶように叫んだ。
「来るよ!総員戦闘配置!」
「ちょ、ちょっと待ってください艦長!」
明乃が停船命令を拒否したことを受け、流石にやばいと、ましろが抗議した。
「シロちゃん、危ないよ、座って」
「アンドロメダと戦うつもりですか!?」
「戦わないよ、逃げるだけ。流石に勝ち目がないことくらいわかってる」
アンドロメダが相手ではそれすらも難しいのではないか、とましろは言いたかった。他の乗員達の中にも、アンドロメダを前に恐怖を感じている者がいた。
「こ、怖いです!だって、相手は地球の総旗艦なんですよね!?絶対強いに決まってるじゃないですかー!!」
「アンドロメダ級は全長444m、超大型のハイテク戦艦です。砲撃の正確性は無論、武装も豊富で、戦闘システムは──」
『艦長!レーダーが!』
幸子が相手のスペックを読み上げようとしていたその時、CICの恵が悲鳴のような報告をして来た。
『レーダー、ホワイトアウト!何も見えません!』
『こちら機関室!ワープの航法システムがイカれちまったぞ!どうすんだい!?』
続いて機関室からも悲鳴が上がった。レーダーだけでなく、ワープの航法システムの計算すら妨害されているようだった。
「……アンドロメダ級には強力なECM装置が備わっています。一説によれば、単艦で百隻のワープを妨害できるとか」
「これがアンドロメダ級の性能……」
「くそー!インチキにも程があるだろー!」
乗員達がアンドロメダ級の性能の高さに震える中、明乃は鈴へ向けて反転の指示を出す。
「リンちゃん、反転180度!急速離脱!」
「は、はいぃ……!」
この中で一番恐怖を感じているのは彼女だろう。だが、彼女は逃げに入れば強い。ハレカゼは艦を反転させ、アンドロメダから逃げ切るつもりで加速した。
ハレカゼvsアンドロメダ
巨人と子供の戦い……ハレカゼは逃げるのみ。
本作ゥの予定するCPをっ、亡き総統への手向けとするのだぁっ、選べ!ガーレ・ガミロンッ!
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明乃×ましろ
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土門×もえか
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山南×百々
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南部×志摩
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ミーナ×幸子
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古代×雪
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俺は……選ばない!
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愚かなりゲーぇ↑ルーぅ↓……