"コスモ"ハイスクール・フリート2202   作:篠乃丸@綾香

25 / 26
第二十二話です!


第二十二話:第十一番惑星・買い出し作戦でピンチ!

数十分後 第十一番惑星軌道上

駆逐艦〈ハレカゼ〉 艦橋

 

 買い出しのためのお金をなんとか確保したのち、ハレカゼは第十一番惑星へと向かった。

 ただ、こんな辺境の星にも防衛軍の監視網が張り巡らされているのは同じであり、そのままでは近づけない。

 なので明乃達は、ミーナの助言をもとにある作戦を立てた。

 

「それじゃあ、作戦を開始するよ」

「うん」

 

 その言葉と共に、明乃は鈴に方向の指示を出しつつ、ゆっくりと惑星に近づく。緑色の大地が広がる第十一番惑星が、だんだんと視界いっぱいに広がっていく。

 そのハレカゼの左舷辺りを、ガミラス製の人工太陽が並走している。計器類が人工太陽の電磁パルスを浴び、少し乱れる。

 ハレカゼはその太陽の影に隠れるようにして進んでいた。太陽が撒き散らし続ける電磁パルスに隠れ、ゆっくりと星に近づく。

 

「まさか人工太陽を盾にすれば近づけるなんてな……」

「この手の人工太陽はなかなか曲者でな……昔はいろんな惑星で何度も不良を起こして、電磁パルスを発生させたものだ」

 

 この作戦はミーナの助言を受けて立案されたものだ。この人工太陽が電磁パルスを撒き散らしていると言う話を聞いて、明乃が作戦を立案、鈴と幸子がルートを作成したのだ。

 ガミラス製人工太陽の性質を知っているミーナだからこそ、この惑星に近づくルートとタイミングをしっかり把握できたと言える。

 だが鈴はそんな曲者な人工太陽に近づくことに不安を覚えているのか、小声で聞いてきた。

 

「そ、そんなものの近くに寄って大丈夫なんですか……?」

「今は改良されておるから大丈夫だ。だがそれでも若干の電磁パルスは出している。今回はそれが、この船を隠蔽するのに使えるというわけじゃ」

 

 確かに大丈夫でなかったら、今頃この星に民間人は住んでいないだろう。通信やインターネットが使えない環境になってしまう。

 そんなことにならず、船も行き来できて人も住んでいると言うことは、すなわち安全だと言うことなのだろう。

 だが、そんな太陽を見て、明乃は嫌な汗をかいていた。それを見たましろが声をかける。

 

「…………」

「どうしました、艦長?」

 

 明乃は答えなかった。何かに少し怯えているのか、人工太陽から目を逸らしている。

 そんな明乃の姿に、ましろは少し違和感を覚えたが、それは幸子の報告に遮られた。

 

「監視衛星の哨戒網を抜けました」

「……じゃあ、一気に降下するよ。リンちゃん」

「は、はい!」

 

 明乃の言葉を受け、鈴はハレカゼを一気に惑星の大気圏へ突入させた。

 気圧との摩擦で船体が赤い炎に包まれる。その間、明乃は艦長帽を深く被って炎を見ないようにしていた。

 大気圏を抜けたハレカゼは第十一番惑星の水上へ向け降下、手頃な場所を見つけてそこに着水した。

 そこから買い出しに向かう面々は、ハレカゼの艦尾エアロックに搭載されていたある乗り物を取り出し、それをクランクを使って海に降ろした。

 海に降ろされたのは、"アストロバイク"と呼ばれる小型の浮遊バイクだ。

 これはホバー式の小型バイクであり、水上や雪上、さらには真空の地表でも高速で移動できるという万能な乗り物だ。

 ちなみにアストロバイクの免許は中学生から取得できる。特に宇宙学校の中等部ではこのバイクの免許取得に支援制度があるので、免許を持っている生徒も多かった。

 

「じゃあ行ってきまーす!」

 

 炊事委員の伊良子美甘が、艦内に残る面々に手を振る。見送りの子達は手を振ってそれに返した。

 明乃はそれを確認すると、アストロバイクのアクセルを噴かし、機体を浮かせると、一気に水上を駆け出した。

 先程まで気分が悪そうだった明乃も、もうすっかり正常に戻っている。そんな様子を見て、見送りのましろは少し疑問が重なった。

 

「一度近くのビーチに降りて、そこからバスでオーシャンモールまで向かうから!」

『お忍びで行くわけだな』

「ちょっとかっこいいねー」

 

 買い出し組の面々は、水上バイクに乗りながら通信でそんな会話をする。

 今回買い出しに向かったのは、艦長の明乃と炊事委員の美甘、医務員のみなみと応急員の媛萌だった。

 媛萌はトイレットペーパーがないことを確認した張本人であり、尚且つ倉庫の在庫を把握している乗員だ。

 

『船の話とか、専門用語とか、役職呼びもしちゃダメだからね。あと無駄な買い物もダメ!』

 

 媛萌はそう言って皆に注意を促す。だが美甘は買いたいものがあったのか、少し不満そうに頬を膨らませた。

 

「えー……卵と生クリームとイチゴを買いたいんだけど……」

『ダメに決まってるでしょ!』

 

 そんな会話をしながら水上を航行していたら、一行はあっという間にビーチに辿り着いた。波止場の水上バイクの停留所にアストロバイクを置くと、明乃達は市街地までのバスを探す。

 

「えっと……ここからバスまでは……」

「あ!あれあれ!」

 

 美甘がバスを発見したので、四人はそれに乗り込む。途中、第十一番惑星の特徴である緑色の空に染まった海を眺めながら、四人は市街地の駅に到着した。

 

「わぁー!」

「平和だ……」

 

 駅からショッピングモールまでは目と鼻の先だった。現地は結構人がいて賑わっており、ショッピングモールらしかった。なんとも平和で日常的な光景である。

 

「お茶する時間くらいあるよね」

「いや、ないから」

「ひめちゃん……それかえって目立つよ……」

 

 なお、媛萌はマスクとサングラスで顔を隠している。まるで不審者か、花粉症患者のような格好だった。

 

「じゃ、じゃあ!中に入ろっか!」

 

 とにかく買い物を済ませて、ついでにお茶をして集合場所に帰ろう。明乃は皆を連れてショッピングモールへと入っていった。

 

 




と言うわけで、アストロバイク初登場です。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。