"コスモ"ハイスクール・フリート2202   作:篠乃丸@綾香

4 / 26
第一話です!


西暦2202年4月:第一章、旅立ち・ハレカゼ発進!
第一話:西暦2202年・入学式でピンチ!


 今、宗谷ましろは危機に瀕していた。

 昔から運がない事で度々不幸を招いていた彼女であったが、今日は晴れて横須賀高等宇宙学校の入学式を迎えられた。

 学校は地球防衛軍の横須賀基地に併設されている。公共交通機関で近くの駅で降りて、歩いて桜並木を通り、いざ正門をくぐろうとした矢先、奴がいた。

 猫である。

 宗谷ましろは、猫が苦手だったのだ。

 

「〜♪」

 

 ましろが猫を前にして固まっていると、鼻歌を歌いながら別の女子生徒が通りかかった。

 

「あ、猫だ!」

 

 だが彼女はましろの前の猫に気を取られ、レンガ小道の窪みに気づかず、足を取られ──

 

「えっ」

 

 なんと、ましろの前に倒れ込んできた。

 

「あ、ごめんなさい大丈夫──」

「だ、大丈夫だ」

 

 ましろはぶつかって来たツインテールの女の子をよそに、気にせず注意を呼びかける。

 

「全く……気をつけ──」

 

 そう言ってましろが歩き出そうとした、その時だった。

 彼女の足元に、滑りやすいバナナの皮が落ちていた。それに足を取られたましろは、そのままバランスを崩して……

 

「うわぁっ!」

 

 盛大にすってんころりんと、仰向けに倒れてしまった。

 

「いてて……ついてない」

 

 たくさんの新入生の前で転ぶと言う、恥ずかしい醜態を晒してしまった事に、ましろはため息を吐く。やはり運がない、それも徹底的に。

 

「大丈夫?」

 

 そんな彼女の様子を、覗き込むようにぶつかってきた女の子が声をかけてきた。彼女は手を伸ばすが、ましろはそれの手を取らず、自分の手で立ち上がる。

 

「今日はついてないね……」

「お前が言うな!」

 

 誰のせいだと言いたげな表情で、ましろはそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ガミラス戦争から数年。

 少女──岬明乃は成長し、15歳になった。

 そして今日は、地球で新設された横須賀高等宇宙学校の入学式。彼女が宇宙戦士を目指す第一歩にして、晴れ舞台だった。

 入学式が始まるまでまだ時間があるため、新入生達は講堂の中で談笑しながら時間を潰していた。

 さて、先ほどの騒動を解決?して、講堂を彷徨いていた明乃は、ある人物を探していた。

 おそらく彼女も、この学校の入学式にいるはずだ。

 

「あ!もかちゃーん!」

 

 ちょうどその時、明乃はお目当ての人物を見つけることができた。それはかつての大親友、知名もえかだった。

 

「ミケちゃん」

「久しぶりだね!元気にしてた?」

「ええ、もちろん!」

 

 久しぶりの再会を受け、二人は優しく抱きしめ合いながら喜びを噛み締めた。

 ガミラス戦争で離れ離れになって以来、テレビ電話などでその顔は見ていたが、こうして目の前で会うのは久しぶりだった。

 

「また会えたね」

「同じ学校に通うの、小学校以来だもんね」

 

 十分抱きしめあった後、もえかは明乃の手を握りながら言葉を続ける。

 

「クラス発表は最後みたいだよ」

「もかちゃんと一緒の船だといいな〜」

「そうだね」

 

 そうして喜び合うのも束の間、会場にアナウンスが入る。

 

『間も無く、入学式を開始します』

 

 その放送を受け、明乃ともえかは二人一緒に手を繋ぎながら、自分の席を探した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 入学式が始まった。

 入場、整列、着席の後、軍楽隊による歓迎演奏を挟み、新入生の名前が読み上げられる。

 そして入学式は後半に差し掛かり、校長や地球防衛軍幹部たちの祝辞に移った。

 

「では、本学校長、宗谷 真雪宙将補よりご挨拶です」

 

 アナウンスと共に、一人の中年の女性が立ち上がり、壇上へと上がった。地球防衛軍の宙将補の階級章を携えた女性軍人、宗谷真雪である。

 

「みなさん、入学おめでとうございます。校長の宗谷 真雪です」

 

 凛とした雰囲気と柔らかな物腰で、宗谷宙将補は言葉を続ける。

 

「皆さんは座学で優秀な成績を収め、ここ横須賀高等宇宙学校に入学しました。入学後、すぐに実践的な航海実習が始まります。

皆さんは高校生としての学業に加え、船乗りとして、宇宙戦士としての訓練や教育もこなさなくてはなりません。

大変なこともあるでしょうが、困難を乗り越え、立派な宇宙戦士になってください。以上です」

 

 祝辞が終わり、続いてアナウンスが次の祝辞を読む人物の名前を読み上げる。

 

「続きまして、地球連邦防衛軍統括司令副長、芹沢 虎徹宙将からご挨拶です」

 

 続いて登場したのは、険しい顔立ちをしたいかにも軍人然とした壮年の男性、芹沢 虎徹だった。宙将の階級章が胸元に燦然と輝いている。

 

「ご紹介に預かりました、芹沢です。まずは諸君、入学おめでとう。

諸君らは本年度より設立されるこの横須賀高等宇宙学校に入学する初めての生徒であると同時に、今この瞬間から地球防衛軍の一員として迎え入れられたのであります。

諸君らは地球艦隊の再建のための要であり、将来の防衛軍を担う重要な役割があります。そのことを胸に刻み、訓練に励んでいただきたい。以上を持って私からの祝辞とさせていただきます」

 

 芹沢が壇上から一歩下がると、アナウンスが新入生に芹沢へ礼を飛ばすよう指示を出す。

 

「新入生、起立!」

 

 その言葉と共に、生徒たちが一糸乱れぬ素早さで立ち上がると、アナウンスは続ける。

 

「敬礼!」

 

 その言葉と共に、新入生たちが敬礼を行う。地球防衛軍式の敬礼、右手拳を心臓に向けて打ち付けるようなポーズをとり、式典は終了した。

 




ご意見、ご感想お待ちしています!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。