"コスモ"ハイスクール・フリート2202   作:篠乃丸@綾香

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第二話です!


第二話:任命・クラス割り当てでピンチ!

 式典の後、クラス割り当てが発表された。

 横須賀の海に面し、様々な艦種の宇宙艦艇が係留されている宇宙港にて、明乃は親友へ喜びを露わにしていた。

 

「すごいすごーい!もかちゃん、ムサシだよムサシ!あのヤマト級の二番艦だよ!」

 

 明乃はもえかの周りをくるくると回りながら、親友が大役に命じられたことを、まるで自分ごとのように祝福していた。

 

「しかも艦長だなんて!」

 

 それもそのはず、もえかが艦長に任命されたムサシは、特別な船だった。

 ムサシはヤマト級宇宙戦艦の二番艦である。ヤマト級とはご存知の通り、16万8000光年の彼方を旅して地球を救った英雄、宇宙戦艦ヤマトの姉妹艦達である。

 ムサシはヤマトが地球を旅立ってから建造された船で、ヤマトが旅をしている間、留守の太陽系を守り続けた船でもある。

 ただ今となっては、ヤマト級はその役目を新鋭艦に譲り、練習艦として各所の高等宇宙学校の所属に払い下げられている。

 それでも名誉ある船であることには変わりはない。そんな船の艦長を務めることになった大親友のことを、明乃は誇りに思うことができた。

 

「ミケちゃんだって、艦長さんになれたじゃない。ハレカゼの」

 

 もえかがそう言って指差す先には、水の上に停泊する、赤と灰色に塗装された駆逐艦の姿があった。

 改イソカゼ型突撃宇宙駆逐艦ハレカゼ。ガミラス戦争の時に使われた磯風型突撃宇宙駆逐艦を、波動エンジンを搭載するよう再設計した小型艦である。

 あれが、明乃の乗艦になる船だった。艦番号Y467。ムサシに比べると小人のような船に見える。

 

「うーん、でも私が艦長で大丈夫かなぁ……艦長の仕事なんて受験勉強でやっただけだし……」

「大丈夫、ミケちゃんはきっといい艦長さんになれるとおもうよ」

 

 そう言ってもえかは、明乃のことを応援するつもりで励ましていた。もえかとしても、明乃は立派な艦長になれると信じている。

 明乃は不安そうだったが、大親友の言葉を受け、「そうだよね!」と決意を新たにした。そんな親友の様子を見て、もえかは少し寂しく思う。

 

「やっと会えたのに、また、離れ離れになっちゃうんだね……」

 

 もえかはそう言うが、明乃は持ち前の明るさで彼女を励ます。

 

「大丈夫だよ。船は別々だけど、同じ宇宙の上だもん」

「ミケちゃん……」

 

 明乃の言葉を受け、もえかは少し笑った。確かにそうだ、船は別でも同じ宇宙の上。彼女にとって宇宙の仲間は家族なのだ。

 

「そうだね。船乗りの仲間は家族だもんね」

「うん。頑張って卒業しようね!」

 

 二人はこれからの学業に期待に胸を躍らせながら、そう言って大親友と誓い合った。彼女ならきっと大丈夫、二人ともお互いのことをそう思っていた。

 

「あの、すみません」

 

 と、そんな二人の後ろから声をかけられた。やや童顔の少年で、髪は緑がかった癖っ毛で、背筋はビシッとしていた。好青年といった感じだ。

 

「突然声かけてごめん。ムサシ艦長の知名もえかさんが、どこにいるか知らないかい?」

 

 好青年は礼儀正しい言葉で二人に話しかける。彼からムサシ艦長の名前を呼ばれ、もえかが反応した。

 

「あら、それは私のことですよ」

「あっ、これは失礼しました!自分、ムサシ戦術長に任命されました、土門竜介といいます!同じ艦の乗組員として、よろしくお願いします!」

 

 そういって好青年は敬礼をしながら自己紹介をした。どうやら乗船前に挨拶回りをしているようであり、それを察したもえかは、こちらも敬礼で返して彼に答えた。

 

「ああ、戦術長の。ご挨拶に来てくれたのね。よろしくお願いしますね」

「はい。よろしくお願いします!」

 

 そんな二人の様子を見計らい、明乃の方もついでに自己紹介をする。

 

「私は岬明乃!あっちの駆逐艦〈ハレカゼ〉の艦長だよ!もえかちゃんとは幼馴染で親友!よろしくね、リュウくん!」

「リュウくん?」

 

 と、いきなりあだ名で呼ばれたので、真面目な土門は少し戸惑ってしまう。そんな彼に対し、もえかが耳打ちでフォローを行う。

 

「彼女、同い年の子にこういう感じだから、気にしないで」

「な、なるほど……分かりました!」

 

 彼女の言葉を受け、土門は改めて明乃と挨拶を交わす。

 

「よろしくお願いします。岬艦長」

「よろしく!私のこともミケでいいよ!」

「じゃあ、ミケ艦長」

 

 そうして三人は挨拶を交わし、これから向かう宇宙への航海に胸を躍らせる仲間として、握手を交わした。

 

「おーい土門!挨拶終わったかー?」

「あ、今終わったから!すぐ行く!」

 

 それが終わったと同時に、土門は他の新入生から呼ばれたのか、向こう側に声をかけていた。

 

「ごめんなさい、友人たちが呼んでいるので、自分はこれで失礼します」

「はい。それじゃあ、このあと艦内でね」

 

 向こう側へ駆け出していく土門を見送り、明乃ともえかは彼の印象の良さを受け、少しだけ感想を漏らした。

 

「真面目そうな人だったね」

「それもそうよ。彼、男子部門では首席合格者だもん」

「えっ、すごっ!そりゃあムサシに乗れるわけだよ……」

 

 もえかに並ぶすごい人なんだと理解した明乃は、目を見開かせて驚いた。そんな彼女の反応が面白くて、もえかは少しクスッときた。

 そうして彼女達は、初航海までの時間を過ごして、それぞれの乗艦へと乗り込んだ。

 地球での再会は、二週間後。それまでしばしのお別れだが、同じ宇宙の上なので、寂しくはなかった。




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