"コスモ"ハイスクール・フリート2202   作:篠乃丸@綾香

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第五話です!

報告ですが、原作タグを変更しました。
ヤマトとはいふり、どっちが原作なんだろう……?と悩んでましたがこっちにします

【推奨BGM:若き翼たち(新コスモタイガー・2205ver)】


第五話:鬼・教練戦闘でピンチ!

発進から数時間後

教導艦〈ユウナギ〉 艦内

 

 横須賀を発ってから数時間後。

 教導艦〈ユウナギ〉の艦橋にて、艦長の古代進は僚艦の古庄を交え、横須賀校の校長、宗谷真雪と通信を繋いでいた。

 

『古代教官、古庄教官、そちらは全艦無事発進したそうね?』

『はい。多少のトラブルはありましたが……』

 

 艦内のメインモニターに、真雪の姿が映る。新入生達の晴々とした出港をこの目で見守り、その報告を受けたところだ。

 それに対して、同じ通信回線にいる教官の古庄が、ムサシのエンストの件を指して少し言い淀んだ。

 

「問題はありません。まだまだ彼らの力で挽回できます」

 

 こんなトラブルは序の口だ。発進が数分遅れただけにすぎない。古代はまだまだそれを挽回できるとし、宗谷校長へ自信を露わにした。

 だが、当の宗谷の表情は優れなかった。少し不安を感じている事があるのか、沈黙を挟んで口を開いた。

 

『……防衛軍は本校設立にあたり、人員不足の解消を求めているわ。すぐに一人前に育てようとする即成教育を、ね……正直、新入生たちは浮足立っているでしょう?』

 

 その言葉を、古代は否定しなかった。

 

「ええ。ですが、彼らはまだ赤ん坊です。せめて両足で立つことくらいは出来るようにしなければ」

 

 古代はまだ航海実習をした事がない生徒達を指し、そう言った。まだ自分の力で立ち上がることができない生徒達を、これなら厳しく指導していかなければならないだろう。

 すでに古代は、厳しく教育するつもりでプログラムを組んである。これからの防衛軍を担う存在として、彼ら彼女らへ、飴と鞭のスパルタ教育を仕込むつもりだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数十分後 月面軌道

駆逐艦〈ハレカゼ〉 艦内

 

 空間が裂け、歪みができる。それも一つではない。少しズレた陣形を組み、その空間から多数の宇宙艦が出現した。

 旗艦のムサシ、戦艦のヒエイ、そして駆逐艦ハレカゼ。通常空間に出現した各艦は、即座にバラけていた陣形を組み直す。

 

「わ、ワープ終了!現在位置、月面軌道上!」

「よし……リンちゃん、陣形に加わって」

「りょ、了解です……!」

 

 鈴からワープの終了の報告を受ける。予定の位置から少しズレているが、艦隊のワープは無事完了したようだ。

 艦長の明乃は鈴に艦隊陣形に加わるよう伝えると、女物の腕時計で時間を確認し、新たに命令を唱える。

 

「総員、教練戦闘用意!」

「了解です!教練せんとーう!」

 

 明乃に従い、ましろがその命令を復唱。彼女は座席に備え付けられたボタンを押し、戦闘配置のブザーを鳴らす。

 それを合図に、ハレカゼに戦闘配置を告げるブザーが鳴り響く。ワープに備えていた乗組員達が、所定の位置に向かって走り出したり、持ち場の作業を開始したりした。

 

『わ、ワープ直後にって……どうかしてる──うっぷ……!』

『うわぁっ、こちら機関室!クロちゃんが吐いちまったぞ!』

「あちゃー……」

「あはは…………」

 

 だが人生初のワープの直後ということもあり、ハレカゼの乗組員の中には、気分が悪いまま配置に着く者もいる。これには明乃達も笑うしかなかった。

 だがそんな雰囲気は、艦橋下にあるCICからの報告で現実に戻される。CICでレーダーを見張っている宇田恵が、艦橋へ目標探知を報告する。

 

『コスモレーダーに感あり!月面基地航空隊の戦闘機です!』

「方位と距離は?」

 

 明乃が即座に問いかけるが、彼女の答えは早かった。

 

『方位206、距離30000!数はおよそ30!すでに6グループに分かれてます!』

「わかった!対空戦闘用意!」

 

 明乃は即座に対空戦闘の指示を下す。その言葉を受け、戦術科の芽依と志摩は、艦橋のコンソールを操作。火器の電源を入れ、対空戦闘に備える。

 

「うーん、撃つのは好きだけど……航空機に一方的に撃たれるのはなぁ……」

「うぃ」

「タマはパルスレーザー撃てるからいいよねぇ……」

「うぃ、うぃ」

 

 二人がそんな会話をしている最中でも、戦闘は刻一刻と進んでいく。

 

『旗艦"ムサシ"より連絡。各艦連動、航空隊を迎撃せよ、です!』

『敵編隊!さらに接近!』

『ムサシ航空隊が迎撃に入ります!』

 

 CICのマチコからの報告を受け、明乃は双眼鏡を取り出し、艦橋の窓から遠くの宇宙を見渡した。

 ちょうどその方向に、戦闘機同士のドッグファイトだろうか、閃光が光ったり、高速で移動する物体が見えたりした。

 演習戦闘が始まったのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻 月面軌道

ムサシ航空隊

 

 ムサシ航空隊がヘッドオン、仮想敵役の月面基地航空隊と演習弾の光を散らしながら、交差する。

 何機かの機体はそのまま撃墜判定を喰らったが、残りの機体は旋回し、ドックファイトに入る。

 両者のうち、ムサシ航空隊は新型機を使用していた。機体名、一式空間戦闘機"コスモタイガーⅡ"。ステルス性を捨て、機動性と武装搭載量に割り振った機体だ。

 対して、月面基地航空隊の機体はわざと古い機体を使用していた。機体名、99式空間戦闘機"コスモファルコン"。ガミラス戦争時代の局地戦闘機である。

 だが性能差はあれど、相手は現役のパイロットであるが故に、新入生パイロットは押され気味だった。ムサシ航空隊も優秀な生徒達とはいえ、流石にプロとして任務に就いているパイロットとは練度が違う。

 そんな中でも、奮戦しているパイロットが一人いた。

 

「イヤッホォォォォイ!!」

 

 ムサシ航空隊所属、坂本茂。

 彼は月面軌道の広い空間を縦横無尽に飛び回り、背後から迫っていた敵三機を確認。

 追いかけ回されているのにハイテンションで叫ぶと、機体のスラスターを全開で噴かし、後方へ一回転するクルビット機動を取った。

 そしてその一瞬のうちに機銃を掃射。瞬く間に迫っていた機体全てに撃墜判定を下した。

 

「よっしゃ!三機撃墜!」

 

 彼が仮想敵役に下剋上を決めたのを喜んでいる最中、それを見ていたムサシ航空隊教官の山本玲から注意が飛ぶ。

 

『坂本、無茶をするな!その速度で相手と衝突したら即死だぞ!』

「だから面白ぇんじゃん!」

 

 そんな山本の注意すら聞かず、坂本は次の獲物めがけて急降下を始めた。その後も無茶な速度でドックファイトを続ける。

 そんな破天荒な新入生パイロットを見て、山本は大きなため息を吐いて呆れていた。あとで一発入れてやろうか、とも思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻

駆逐艦〈ハレカゼ〉 艦内

 

 防空戦闘が始まってから数分が経った。

 ムサシ航空隊と月面基地航空隊の戦いは、練度の低さを航空機の性能が補い、一進一退の攻防を続けていた。

 観測員のマチコが、その様子を光学カメラで中継しつつ、戦況を艦橋へ伝える。

 

『また敵機撃墜です、同じ機体の模様』

「おー!」

「ムサシの航空隊も粘りますね……」

 

 坂本を始めとしたムサシ航空隊の奮闘を、芽依と幸子は賞賛した。

 まさか新型機とはいえ、あの月面基地航空隊相手にここまで奮戦するとは予想外だった。やはりムサシは成績優秀者の集まりなのかもしれない。

 そんな時、一部の敵機が迎撃を突破したのを恵は見逃さなかった。

 

『敵編隊、三機が迎撃を突破!』

『ムサシよりデータリンク来ました!』

「対空防御開始!」

 

 明乃の指示を受け、志摩がハレカゼに搭載されているパルスレーザーを連射。対空防御を開始した。ついでに上部の12.7サンチショックカノンも、対空バーストモードで撃ちまくる。

 ハレカゼに搭載されているパルスレーザーは単装で、両舷で四基と心許ないが、ハレカゼは僚艦と連携して射撃する事により、数は少なくとも効果的な迎撃を喰らわしている。

 だが敵航空隊はそれらの対空防御を、一糸乱れぬ急降下で切り抜け、指向するパルスレーザーが減る下方より接近。射程内に入るなり、対艦ミサイルを一斉発射した。

 今度は艦隊の迎撃が対艦ミサイルに向かうが、至近距離であるためほとんどがすり抜けられた。一発がハレカゼに向かい、演習モードにより直前で爆発する。

 

「ミサイル、至近弾です!」

『演習プログラムよりハレカゼへ。右舷パルスレーザー全損判定』

「あ……」

「あちゃー!」

 

 被弾により、演習プログラムかハレカゼへ損害判定を下した。

 一気に対空手段を削り取られたハレカゼ艦内では、ダメージの演出の一環として、艦内に設置された装置から擬似煙が撒かれる。

 

『ちょっ!配食届けに行こうと思ったのにー!』

 

 誰の悲鳴か、艦内から主計科の子の声が廊下から上がった。そんなてんやわんやの艦内を見て、ましろは静かにため息を吐く。

 

「ふぅ……まさか発進初日からこんな調子とは……」

「古代教官は鬼だよー!」

 

 ましろは緊張と疲れからか、そう言って一息ついた。これでもまだ航海実習が始まって間もない、スタート地点である。

 その言葉には思わず芽依も叫んだ。この演習プログラムを考えた古代教官のことを静かに恨んで。

 こうして古代進は、憧れのイケメン教官から、鬼のスパルタ教官へと評価がクラスチェンジしたのであった。

 怒涛の航海実習の初日は、こうして終了した。




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