ライシュウハイセカイ   作:そこの角にいる

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Q.終末旅行まで誰と過ごす

 

 

 

 

 

「持ってる持ってるヨ~魔導書」

「やっぱり」

 

 魔導書は作り方がまるでわからない再現不可能なアーティファクト。

 本来1回限りの使い捨ての『巻物(スクロール)』を取り込み、何度でも使えるようにする。収録されたスキルの回数制限は変わらないが、同種のスクロールを取り込んだ数と同じ人数に同時に使用できる。

 

「取り込んだ数と収録スキルを考えると魔導書はかなりチートくさいけどね。練習にもスクロールを使ってたらバカにならない額が飛んでいくことになるから、練習期間の使用くらいは許してもらおう。と、勝手に決めた。イリヒトに預けてあるからよしくね。スクロールも今知り合いに集めてもらってるとこだよ」

 

 セワシとそんな話をしている間にも作戦会議は続く。

 助っ人についての話をイリヒトが始めていた。

 

「悪いが助っ人枠5人の内、3人はこっちで勝手に決めさせてもらいたい。その辺どういうルールになるにしろ足を引っ張るようなことはない」

「どうかしら?」

 

 いいんちょーが確認を取る。異論は出なかった。

 

「開催日も決まったことだし、次の話し合いには市の側からも学園側からも運営として参加するとお達しが来たわ、その時にルールは全部決まるでしょう」

「やっとCとのカッセンそれ自体に集中できるな」

「ええ。がんばりましょう」

 

 

 

 

 

「〝終末旅行〟出発まで4日だが準備は?」

 

 ケンセーに誘われ朝から喫茶店のモーニング。

 わざわざそんなことを訊きにきたのだろうか。

 

「……? ああ。問題ないよ」

「学園でまた騒ぎを起こしてるんだろ? いいのか?」

「またってなんだ。おれが起こしてるわけじゃない」

「いいのか?」

 

 これが訊きたかったのか。

 

「いいよ。問題ない」

「そうか。今回の〝終末旅行〟は行って来いで2週間程度を予定している。通常と比べてかなり短い日程だがもちろん理由がある」

 

 ケンセーは短いからこそ誘ったんだけどなと言って続ける。

 

「定例のリモートによる御前会議のためだ」

 

 20年前、いよいよヤバイとなった時と前後して現れた大企業『オカミ産業』の後ろ盾を得て、中央臨時政府が琵琶湖の人工島に置かれた。現在では近畿地方は一大都市圏として概ね順調というウワサ。

 

「今回の終末旅行は一時的ネットワーク構築のための遠征ということだ」

 

 定例会議というのは、人口30万以上の大都市による地方都市連合がそれぞれ部隊を送り合い、中継拠点を造り、皇族もご覧になるリモート会議のこと。

 

「会議の進行次第では、お前たちの〝カッセン〟に間に合うかもしれないぞ」

「えー、別にいいよ」

「おい、クラスの仲間だろ⁉︎」

 

 なんか説教された。お節介め。

 

 

 

 

 

 

 昼過ぎに、いつかの高射砲の下に来ていた。

 

「ありがとう、高玉さん。助かったよ」

 

 いつかのホームレスのような将官に礼を言う。

 高玉さんは豪快に笑って答えた。

 

「いいってことよ。ていうか俺は何もやってねえ。礼を言うなら小津のヤローに言うんだな。いろんなとことハナシつけて道具用意したのはあいつだ」

「そうなんすね。今度お礼を持ってこないと」

「え、俺には?」

「はいはい、今度ね。道具ってどんなの?」

「聞いてねえのか」

 

『大型魔導機械装置(アーティファクト)機巧(からくり)アテナ』

 一定範囲内の紐付けされたモノに強固な『盾』を与える。今回の場合はみんなが着ける武器防具だ。どのように判断してるのか知らないが、今回のカッセンでは死に至るような攻撃に対して自動で【儚き神盾(エフェメラル・イージス)】を発動し完璧に対象を守る。

 

「本当ならダンジョン探索でこそ使いたいんだがなあ」

 

 要である『機巧アテナ』が持ち運びには無理があるらしい。現在は主に軍の演習に使われることがほとんどなんだと。

 

 

 ──あろう、聞こえますか? あろう。

 

 突然頭に響く声があった。

 エドワード。おれたちの拠点でなにかあったのだろうか。

 

 ──聞こえる。どうした?

 ──あろう。カッパです。

 ──はい?

 ──カッパです。あろう。

 ──………………えっと……襲われてんの?

 ──いいえ。カッパの集団がきゅうりを捧げています。

 ──んーと……はい?

 

 

 

 

 

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