「え・・・・・・?」
突如眼前に広がる鬱蒼とした森に俺は愕然と声を漏らした。
お、お、お、OK落ち着こう。俺は自分の部屋で昔のモンコレのカードを眺めていた、そしたら急に意識が遠くなって、気が付けばこんな森の中に・・・・・・
「分からん、全く分からん。何だって俺はこんな目に・・・」
あまりに非現実的な状況に、自分は部屋で寝落ちして実はこれは夢なのではないか、と現実逃避を始めていた頭にどこからか声が響き渡った。
―君にはそのカードを操る力をあげよう。詳しいことはステータスを見るといい―
聞いたことのない、得体の知れぬ声。それに困惑しながらも、視線を差し向けた先にあるのは部屋で眺めていた時のまま目の前に置いてあるカード用の収納BOXに詰め込まれた大量のカードたち。
モンスター・コレクション。通称『モンコレ』
プレイヤーが召喚術師となってモンスターである「ユニット」を召喚し、戦闘を行いながら敵の本陣を目指す陣取りゲーム。カードゲームにボードゲームの戦略を加えたこのゲームは数多の戦術・戦略を考える楽しさをあたえてくれたが、複雑なゲームシステムからか遊ぶ人間を選んだ。かくいう自分もこのゲームをする友人は数人しか知らない。
そんな不遇なカードたちを見ながら、むむむ、と唸りながら頭をひねる。
もしさっきの声が本当なら自分はこのカードからモンスターが呼び出せる、ということだろうか?何を馬鹿な、と思う一方、こんな不可思議な事が起きているのだから今更何が起きても不思議ではないと思う心もあった。
「兎にも角にも、・・・ステータス!」
唱えながら意識を集中させると
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属性:聖・魔 レベル1 攻/防:0/1 進軍タイプ:歩行
新米召喚術師 【人間】 スペル:* アイテム:1
魔力:5/5
○魔力回復
6時間以上寝る事でスペル・アイテム・魔力が全回復する
○新米の召喚
召喚に対し以下の制約がかかる
・召喚されたユニットは24時間でカードに戻る
・召喚されるユニットに応じた魔力を消費しなければならない
・極稀のカードは召喚できない
この能力は打ち消すことができない
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頭の中に自分のステータスが浮かび上がってきた。
もはやこれが夢や妄想ではない事を認識し、驚愕すべき事実の山に辟易しつつもステータスの内容に目を通していく。
ふーん、俺は聖と魔の二重属性か。たしかモンコレの舞台である六門世界では全ての生物が火土風水聖魔の六属性のいずれかを持ち、人間だけは二重属性を持つという設定だったはずだ。だとするとここは六門世界なのか?謎は深まるばかりだ。
攻撃力/防御力の数値は・・・・・・うん、だってひよわな現代っ子だもの。モンコレ界の最弱オオカミ≪ウィンター・ウルフ≫ですら攻/防:1/1なのだから、武道のカケラも習ったことのない自分の攻撃力などオオカミに比べれば0に等しいだろう。しかしこの防御力では俺の命は風前の灯だ。
スペル:*は戦闘時に使う呪文『戦闘スペル』を扱うためのものだ。それも「*」は六属性のいずれの代わりにもできる万能属性、たった一回しか使えないが戦術的には広範囲をカバーできる可能性があるだろう。
アイテムが使用できるというのも嬉しい。アイテム枠は1つしかないので消耗品か装備品かを選ぶ必要はあるが、あまりにも心もとない防御力をアイテムで補助できる可能性がある。
ここまではいい、ここまでの表記はモンコレのカードでもあったことだ。しかし魔力?そんな概念はモンコレにはなかったはず、それにその下の特殊能力を見るに魔力を消費してモンスターを召喚するようだ。つまり無制限な召喚もできないし軽率な召喚で魔力が尽きたら目も当てられない。
召喚に対する制限は・・・、実際に召喚してみないことには分からないだろう。24時間でカードに戻るのが不便かどうかなんて呼び出してみないことには分からないだろうし、極稀どころか稀のカードですら今の魔力で召喚できるかは怪しいと感じている。
とりあえず何を召喚しようか・・・、その場にあぐらをかき、のんきに召喚するモンスター候補を考えていた思考は突然中断させられた。
『ワオオオオオオオオォォォォォォーン!』
響き渡る遠吠え。イヌ科の、それもおそらくはオオカミであろう野獣の声。自分が人間にとって危険な森のただ中にいることを思い出しあわただしく準備を整えると、とりあえず休息がとれる場所を探して収納BOXを抱えて勝手の分からぬ森の中を歩き始めた。
●特殊能力
一部のユニットが持つ固有の能力
発動の仕方によって、能力名の前につくアイコンで4つのタイプに分けることができる
○は常時発動型。発動の宣言無しに常に発動し続ける能力
✥は宣言型。適したタイミングで宣言することで何度でも使用できる能力
✔は完了型。能力を使用すると行動完了状態になり、このタイプの能力の
使用と攻撃をすることができなくなる
✖は自爆型。このタイプの能力を使用したユニットは死亡する