新米召喚術師の異世界紀行   作:woodenface

12 / 17
待っていてくれた方、ありがとうございます。

相変わらずの不定期更新ですがこれからもよろしくお願いします。


募集を活動報告にしました。
大変失礼いたしました。


討伐

―――――ドンドンドンドンッ!

 

「召喚術師殿! そろそろ時間だ、悪いがとっとと起きてくれや!」

 

未だ鳥も鳴かず、静寂が支配する朝にダルカスの野太い声が響く。相も変わらず鎧を着たままの就寝だったのだが、体が慣れてきたのかこの時間までぐっすりと眠れてしまった。さっさと売り払ってしまわないと鎧無しじゃ眠れなくなるかもしれないな・・・・・・・・・・・・いや、流石にそれは無いか。

急かすように何度も響くノックの音を聞きながら、必要なものを手に持つ。右手には昨夜に選んでおいた6枚のユニットカードを、左手にはもしもの場合のための盾を持っておく。今回は自分で戦う気は欠片も無いので槍はここでお留守番だ。焦れてきたのか徐々に頻度が上がり始めたノックの音に慌てて扉を開きにいく。

 

「おう、召喚術師殿。まだ寝てるのかと思ったぜ」

 

「おはようございます。では、案内してもらえますか」

 

「ああ、もうみんな集まってる。ちゃっちゃと行くとしようか!」

 

 

 

 

ダルカスに案内されて向かったのは、昨日はぐれオーガと闘った場所、倒れたやぐらと壊れた塀の切れ目を臨む広場だった。広場の周りには昨夜のうちにバステトたちの治療を受けたのだろう、怪我をしていた狩人衆たちも無事な姿で塀の切れ目を取り囲むように集合している。彼らはこれから行われる山狩りを前に心なしか緊張した面持ちで矢や弓の弦の確認を行っていたが、俺たちが広場に着くと、この夜明け前の薄暗闇の中でもとりわけ目立つ黄金色の鎧に気付いたのか、ダルカスが声をかけずともその視線はこちらへと集まっていた。

敵意は含まれていないからまだマシだが、ジロジロとこちらに突き刺さる視線にはやはり辟易としてしまう。しかし、もしダルカスから彼らに注意してもらったとしても警戒と好奇からくる視線を抑えるのは如何ともし難いだろう。彼らにも悪気は無いのだ、こういう時は我慢してさっさと終わらせるに限る。時間は有限なのだし、準備だけでも済ませてしまおう。

今回喚び出すユニットは6体。全てが小型のユニットで即時召喚が可能なので、一度の即時召喚で済ませてしまうつもりだ。手元のカードに目を落とし召喚の宣言をしようとしたその時、後ろから声が投げかけられた。

 

「召喚術師殿!」

 

せっかく意気込んでいたのを邪魔されて少しばかり調子が狂うな、と思いながら後ろを振り返ると、バステト看護婦団の3人を連れたガルドさんがこちらに歩いてくるところだった。歩くのに誰かに手を借りることの無い健常な様子で、昨日に生死に関わるような大怪我をしたとはにわかには信じられないほど、その姿には怪我を負った時の弱々しい様は面影の欠片すら残ってはいない。腰にはオーガへ抜き放っていた大振りな山刀を差し、手にはその堂々たる体躯には似合わない小さな弓を所持していた。

 

「ガルドさん! その様子だと、もう大丈夫なんですか?」

 

「ああ、少し調子を確認したがどこも問題は無い。昨日の事は長老から聞いている。助けたつもりが、逆に助けられたようだな」

 

「いえ、あの時ガルドさんに助けてもらわなければ確実に死んでいました。バステトたちに治療をさせたのは当然のことです」

 

これは俺の偽らざる気持ちだ。盾を失ったあの時、俺にははぐれオーガの一撃を防ぐ手立ては何一つ残されてはいなかった。バステトたちも向かっていたから息があれば大怪我をしていても治療してもらうことができたかもしれないが、もし死んでしまったらバステトたちの召喚も維持されるのか非常に怪しい。彼女たちの存在は俺が魔力でカードから作った虚像のようなもの。勿論、だからといって消耗品のような扱いをするつもりは無いが、俺が死んだ途端に陽炎のように消えてしまったとしてもおかしくはないと思っている。それらを踏まえて考えればガルドさんに助けてもらえたのは本当に僥倖だった。一歩間違えればはぐれオーガに各個撃破され、2人とも共倒れになるという事もありえたのだから。

恐縮する俺にガルドさんは巌のような顔を幾らか崩して苦笑した。

 

「そう畏まらないでくれ、それでも結果として私が助けられたことには変わりないのだから」

 

「・・・・・・分かりました。それで、ここに来たということはガルドさんも山狩りに参加を?」

 

「いや、私の弓は昨日壊れてしまってな、予備に残っていたこの短弓では山狩りには参加できん。獣人の方たちと共に長老の家の警護に残るという手もあったのだが・・・・・・まぁ、この弓でも召喚術師殿の身の回りを護るくらいはできる。私は召喚術師殿の護衛役だからな」

 

そう言って厳つい顔に不似合いな笑みを浮かべるガルドさん。不慮の事態に備えて長老の家に村の住民を集めて残りのバステト看護婦団に護らせているのだが、彼女たちと一緒にいた方が安全度は遥かに高かっただろう。それなのに危険を推して俺の護衛に来てくれたのだ。本当に、敵わないなぁ・・・・・・

 

「助かります。・・・・・・それじゃあ、そろそろ召喚に入ろうと思います。ガルドさん、狩猟頭殿、少し場所を空けてください」

 

「ああ」

 

「おう、狩人衆の奴らには昨日のうちに何が出てきても驚くなと言ってある。遠慮なく頼むぜ!」

 

そう言って後ろに下がっていく彼らに黙って頷き、心を落ち着けるために一度深呼吸をする。軽い緊張から来る体の強張りを息と共に吐き出してから再び気合を入れ、手にしたカードを掲げて宣言した。

 

「即時召喚!」

 

宣言と共に俺の前に魔法陣が浮かび上がり、その中から5つの影が(・・・・・)飛び出してくる。

 

「「「キャハハハッ♪」」」

 

3つの影は楽しげに甲高い笑い声を上げながら空中を縦横無尽に飛び回る。その姿はオレンジ色の簡素な衣服を身に纏い、青いリボンで髪をまとめた手のひらに収まるほどの大きさの金髪碧眼の少女―――そして背中に白い蝶の羽を備えた妖精、《フェアリー》だった。警戒していた狩人衆の男たちも宙を踊るように舞う彼女たちに数瞬の間唖然として見蕩れていたが、残る2つの現れた影を見てギョッと目を瞠った。

 

「キヒヒ・・・・・・」

「ケケケ・・・・・・」

 

それらはフェアリーたちに比べると余りに異質に過ぎた。片方は褐色の肌に薄い緑色をしたボロボロの服を肩掛けに着て、左肩に肉食獣の頭蓋骨でできた肩当を付けている。露出している右肩や膝、頭部には赤い顔料で独特の模様が描かれており、同じく赤い染料で染められたのであろう真っ赤な髪は頭頂部で一まとめにされている。鮫のように鋭い乱杭歯からデロリと長い舌を垂らしている姿からは凶暴性は感じられても余り知性は感じられないが、その手に持った使い込まれたクロスボウから彼が狩人であることが見て取れた。もう片方は裾が膝丈より上で破れている茶色いズボンと黒い外套以外左手首に巻いた羽飾り付きの革のバンドくらいしか身に纏っておらず、晒された病的な白い肌には紫色の顔料で同じように紋様が走っている。同じく髪の毛は真紅に染め上げられているが、ボサボサの髪をまとめているだけだった狩人と違い、こちらは元の世界で言うモヒカン刈りの形に切りそろえられている。不気味な嗤い声を上げる彼は手に肘から肩くらいまでの長さの木製の細い筒を持っていたが、この場にいる者の中でこの姿からその生業を窺い知れた者はおそらく召喚した俺以外にいなかっただろう。両者共に成人男性よりも若干低い程度の身長で人間に近い姿をしていたが、ありえないほど高い鷲鼻と先の尖った長い耳、何より黒目の存在しない白目だけの瞳が彼らがヒトとは違うモノだということを如実に示していた。

 

「お、おい、そいつらはゴブリン・・・・・・いや、その身体の大きさからするとホブゴブリンか? 見たことねぇ姿をしてるが・・・・・・」

 

そうダルカスが警戒を滲ませて聞いてきたのも無理からぬことだろう。実際、周りで見ていた狩人衆たちも姦しく空を飛んでいるフェアリーたちよりもいかにも怪しい風体の2人に警戒の視線を向けているし、ガルドさんも黙ってはいるが鋭い視線を彼らから外していない。

 

「彼らはゴブリンの亜種、レッドキャップです。暴れたりはしませんからご安心を」

 

本当は彼らはゴブリンの上位種であるハイゴブリンなのだが・・・・・・、まだこの世界の種族事情はよく分かってないからゴブリンの亜種ということで誤魔化しておこう。実害は無いんだし別にいいよな?

 

「―――フゥ、覚悟はしてたつもりだったんだがそれを聞いて安心したぜ。それにしても赤帽子(レッドキャップ)か、なるほど確かに赤い頭をしてるもんな。・・・・・・で、どうする? 長老からは召喚術師殿の命にできるだけ従うように言われてるが」

 

ダルカスの問いに俺は昨夜のうちに考えた作戦を話した。まず召喚したフェアリー2体に風のスペル《スピード》をレッドキャップたちにかけてもらって速度を上昇させる。彼らの特殊能力は[普通]タイミング、つまり先攻を取らねばならないのでこのスペルは非常に重要だ。本来は4体召喚して2回ずつ重ねがけしてもらう予定だったのだが、4枚目のカードは反応せず召喚できなかったので残った1体はもしもの時の《ヒュプノシス》要員に回すことにする。次に《レッドキャップの狩人》に森に入ってはぐれオーガをこの広場に狩り出してもらう。この点についてはそれに関連した特殊能力を持っているので心配していない。首尾よくはぐれオーガが広場に来たら、こちらに残ったレッドキャップが止めを刺す。もしそれが駄目だった場合にはバステト看護婦団が攻撃を防ぐ結界を張る戦闘スペル《サンクチュアリ》を使って足止めをし、狩人衆が一斉射撃を行うのだ。バステトたちも攻撃に回って《クロスファイア》を撃つ、というのも考えたのだが、クロスファイアのダメージ量は1D+1。威力によってははぐれオーガを仕留め損なってしまうので今回は除外することにした。

戦闘スペルの効果を説明しながら作戦を話していくとダルカスは大筋で合意してくれたのだが、ある一点に関しては難色を示してきた。

 

「召喚術師殿を疑いたかねぇが、はぐれオーガを追い出す役が一人だけってぇのは心許ねぇ。せめて1人や2人手伝いを連れて行っちゃくれねぇか?」

 

「レッドキャップの狩人は風の魔法で素早さを底上げします。付いて行くのは難しいでしょう」

 

「よし! 付いて行けりゃあいいんだな。・・・・・・おい、クロード! こっちに来い!」

 

ダルカスの呼び声に周りに待機していた狩人衆の中から一人の男が走り寄ってきた。年の頃は30代前半といったところで中肉中背、口の周りに蓄えた髭以外に特徴という特徴が見あたらない男だったが、わざわざここに呼んだからにはそれなりの男なのだろう。

 

「こいつはクロード、弓の腕は流石にガルド並みとまではいかねぇが俺らの中でも腕っこきの狩人だ。特に森歩きに関しちゃあ右に出る奴はいねぇ。こいつを供に連れててっくれ」

 

ダルカスの頼みにレッドキャップの狩人へ視線で大丈夫か?と問うと、レッドキャップはクロードをジロジロと頭から爪先まで見回してから頷き、低いダミ声で言った。

 

「キヒヒッ、遅レタラ容赦ナク置イテクゼ。小僧?」

 

「なっ! 望むところだ!」

 

・・・・・・うむ、なんか深~い溝ができたような気がしなくもないが、張り合って切磋琢磨してくれる分には問題ない。くれぐれも足を引っ張り合うなよ?とレッドキャップに感覚共有で意識を同調させて伝えると、今度は飛び回るのをやめて3体できゃいきゃいと無駄話に興ずるフェアリーたちに作戦を伝えた。

 

「じゃあフェアリーたち、レッドキャップたちにスピードをプラスでかけてやってくれ」

 

「は~い」

「おっけ~」

 

背中の白い蝶の羽をはためかせて2体のフェアリーたちがレッドキャップたちの頭上へ飛んで行く。ちなみに残った1体はガルドさんの肩にちょこんと座って出番があるまで待機している。レッドキャップたちの頭上に陣取った2体のフェアリーは隣り合わせて手をつなぐと、声を合わせてスペルの使用を宣言した。

 

「「せ~のっ、《スピード》!」」

 

2体の宣言と共に広場に突如として強風が吹き荒れる。目を覆いたくなるような旋風を巻き起こしながら吹きすさぶ風はその強さを保ったまま徐々にレッドキャップたちへと収束していき、最終的に彼らの肌を覆う膜のような形へと落ち着いた。狩人衆やクロードは突然巻き起こった突風に目を白黒させていたが、ダルカスから魔法の効果であることが伝えられると不思議がってはいたが納得したようだった。

あとはこのスペルの効果が続くうちにはぐれオーガと決着をつけねばならない。戦闘スペルは本来戦闘中という限られた時間内しか効果を持たない魔法だ。具体的な持続時間は分かっていないが、相当長い持久戦にならない限り効果が切れることはないと信じたい。時間が惜しいのでレッドキャップとクロードにはすぐに森に向かってもらった。

 

「ソレジャ、サッサト行クゼ。遅レルナヨ小僧」

 

「ああ! おまえこそな!」

 

・・・・・・やはり溝が生まれているような気がするが、憎まれ口を叩いていても彼らの動きは迅速だった。スペルで強化されたレッドキャップの狩人は文字通り疾風のように、クロードはそれには劣るとはいえかなりの俊足ではぐれオーガを狩り出すべく森の中へと入っていった。

 

 

 

 

彼らが森に入ってから15分ほどが経過した頃、広場でははぐれオーガを今か今かと待ち構え、ピリピリとした緊張感が漂っていた。特に狩人衆たちは、作戦ではレッドキャップが先に仕掛けることになっているものの、それで仕留められると思っているものは少なく、自分たちの働き如何が勝負を決すると考えているのが透けて見えている。俺自身はレッドキャップたちの特殊能力がこの世界でも表記通りの性能なら失敗はないだろうと思っているが、昨日の経験から念には念を入れるべきだという事を学んだばかりなので、自分用の攻撃系戦闘スペルを用意するのを忘れていたことを早速後悔していた。

緊張と不安によるものか、厳めしい顔をさらに強張らせて押し黙っているダルカスに対して場の空気を和らげるため適当な話題で話しかけようとした時、森の中から多数の鳥が飛び立つ音とつんざく様な悲鳴が聞こえてきた。レッドキャップでもクロードのものでもない。間違いない、はぐれオーガだ。

 

「始まったな」

 

ガルドさんの言葉に顔を見合わせて頷き合った。そうだ、始まった。森から響く悲鳴は時折左右に蛇行しながらも、その音源は徐々にこちらへと近づいてくる。加速度的に緊張が高まる中、止めを刺す役のレッドキャップに小さく頼んだぞ、と囁くと、彼はニタリと笑みを浮かべて、

 

「ケケケッ、任セトキナセェ。旦那ァ」

 

と言うと、その白目しかない目を細めた。

最初の悲鳴が上がってから5分も経たないうちに森から茂みを力任せに掻き分けるガサガサという音が聞こえ始め、狩人衆が弓を番えて準備する中、広場に面した森の茂みが揺れたかと思うと見覚えのある巨体が転げ出るように現れた。

赤銅色の肌はあちこち掠り傷だらけで、昨日振り回していた棍棒も持っていない。右手の甲や背中には短い矢が突き刺さっているが、出血の量が少ないことからそれほど深い傷ではないことが分かる。広場に入ってすぐははぐれオーガも事態が飲み込めず混乱しているようだったが、程なくして自分がここに誘い出されたことに気付いたのだろう、拳を硬く握り締め怒りと殺意に満ち溢れた咆哮を上げた。

 

「ウガアアアアアアアアアァァァ!!」

 

はぐれオーガは腕を振りかぶってここで一番目立つ、黄金の鎧を着ている俺に向かって一直線に突進してくる。しかし、そのくらいの事は予測済みだ!

 

「行けっ!」

 

俺の命令にレッドキャップがはぐれオーガに向かって走り出す。走りながら流れるような動きで左手首の革バンドから羽飾りを引き抜くと、それは羽が後ろに結わえ付けられた針だった。彼はそれを手に持った木製の筒―――吹き矢筒に入れると風のような速さではぐれオーガに狙いをつけるとプッ、と言う独特の軽い破裂音と共に吹き矢が風を切る音もなく撃ち出され、はぐれオーガの喉元に突き立つ。しかし、その程度の痛みで動きが止まるはずもなく、振り上げられた腕は目の前の邪魔者に向けて振り下ろされたが、スペルで強化された身のこなしでレッドキャップはスルリと後退し、強大な破壊力を秘めた拳は誰もいない地面を捉えて蜘蛛の巣状のひびをつくるに留まった。

狩人衆たちはすわ失敗か、と弓の弦を引き絞り一斉射撃に備えたが、どうも様子がおかしいことに気付く。大地にひびを入れた腕を引き戻したはぐれオーガが先程の勢いが嘘のようにフラフラと千鳥足で数歩歩いたかと思うと、その場に膝から崩れ落ちた。倒れたはぐれオーガはもがき苦しみながら喉をガリガリと掻き毟り、しばらく口から泡を吹きながらビクンビクンと痙攣していたが、そのうちにそれも治まり完全に動かなくなった。

呆然とする狩人衆の中、真っ先に我に返ったダルカスが問いを投げかけてきた。

 

「召喚術師殿、ありゃあ・・・・・・毒か?」

 

動かなくなったはぐれオーガの死体の喉の辺りがどす黒い紫色に変色していることに気付いたのだろう。事実、それは正解だ。この広場に残って止めを刺す役を務めたレッドキャップの正式なユニット名は《レッドキャップの殺し屋》。勿論その手から放たれる吹き矢もただの吹き矢ではなく、猛毒が塗られた毒の吹き矢だ。

 

「ええ、レッドキャップの毒矢です。連射は効かないので当たって良かったですよ」

 

レッドキャップの殺し屋の特殊能力『毒の吹き矢』は行動完了型の能力なので一度使うと連射が効かない。そのうえ吹き矢の射程が短いのでレッドキャップの狩人の特殊能力『追いつめる』を合わせて使って敵を射程内まで狩り出す必要があった。やっぱりこういったカード同士の組み合わせによるコンボは重要だな。カードゲームの時はこのコンボ使ったこと無かったんだけど、これは他のコンボとかも考えてみたほうがよさそうだ。

1人でウンウン考えているとダルカスは溜息をつき、

 

「・・・・・・召喚術師殿、アンタを敵に回さずによかったって改めて思ったよ」

 

と言って苦笑した。

 

 

 

 

ガルドさん、ダルカスと共に長老にはぐれオーガを無事倒したことを報告すると、長老は大層喜び夜に小さいながらも宴を開いてくれることになった。長老の乾杯の音頭で始まった宴にはガルドさんや狩人が何人か、村の有力者である狩猟頭と農業頭、村専属の商人であるグァジ、そして驚いたことに俺の召喚獣たちも参加させてもらっていた。フェアリーたちは自分とそう変わらない大きさの果実が盛られた皿の上で一つの果実を三体で分けて食べているし、レッドキャップの狩人などはクロードに飲み比べを挑まれて2人して次々と杯を空けている。

俺は酒に弱いので勧められても固辞して、同じく酒を飲まないと言うレッドキャップの殺し屋と一緒に甘酸っぱい果実を搾った飲み物をチビチビと飲んでいた。先程までは酔っ払ったダルカスが断っても断っても延々と俺に酒を勧め続けていたのだが、彼は見た目に似合わず酒に弱かったらしく、今は酔い潰れて横になっていびきをかいている。

グァジが俺に話しかけてきたのはそんな時だった。

 

「召喚術師殿、街への出発を急ぎたいので、明日の朝に出発してもよろしいでしょうか?」

 

明日の朝! 随分急だな。まぁ宴が始まるまでに長老から報酬のお金と頼んでいた物資は受け取ったし、別に出発が早まっても問題は無いかな・・・・・・?

 

「大丈夫ですよ。しかし、そんなに急ぐとは他に何か急用があるのですか?」

 

グァジは俺の言葉に少し戸惑ったようだったが、すぐににこやかな笑顔を取り戻して答えを返した。

 

「オーガの死体が出ましたからね。村の墓地に埋葬する予定ですが、アンデッドになる前に本格的に弔ってもらうために街の同胞会に報告して神官を派遣してもらわないと」

 

「同胞会、ですか?」

 

「同種族間の互助組織のようなものです。オーガの同胞会にはぐれが出て、倒したことを報告すれば神官を派遣するお金ぐらいは出してくれるはずです」

 

なんでも、特に苦痛の中で息絶えた遺体はアンデッドになる可能性が高いらしく、普段ならあちこちの村を回っている巡回の神官に弔ってもらうところだが、今回は急いで神官を派遣してもらうことにしたそうだ。ちなみに村を巡回しているのはこの村でも信仰されている大地の女神の神官だが、今回派遣されるのはオーガが火の神の祝福を受ける種族なので火の神の神官であろう、という話だった。

それからしばしグァジと明日の予定を話した後、宴はお開きとなりかなり高くまで昇った月を眺めながら帰途に着くことになった。レッドキャップたちには手分けして酔い潰れた者たちを家に送らせ(クロードはグデングデンに酔っ払ってレッドキャップの狩人に肩を貸されていた)、俺は果実数個分重くなったフェアリーたちを肩に乗せて借りている小屋へと戻った。

危険はもう無いので鎧を脱ぎ、手拭いと着替えを入れたカバンを枕にして寝台に横になった。木製の寝台は相変わらず堅いが枕があるだけでも大分違うもので、程無くして俺は深い眠りへと落ちていった。

 

===================================

属性:聖・魔  レベル:1  攻/防:0/1  進軍タイプ:歩行

新米召喚術師  【人間】  スペル:*  アイテム:1(使用中)

魔力:1/8

===================================




●隊列
戦闘におけるユニットの並んでいる順番。
攻撃のダメージは最前列から順番に受け、
ユニットの防御力の数値分だけ減少していくので、
後列にいるほど攻撃からは生き残りやすい。


===================================
スピード  戦闘スペル
属性:風  使用条件:風
[イニシアチブ/普通/対抗]
ユニット1体が対象。
対象ユニットに「イニシアチブ:+2」または、「イニシアチブ:-2」を与える。
===================================
※イニシアチブ操作系のスペル。吹雪ダメージの起点にも。

===================================
ヒュプノシス  戦闘スペル
属性:風  使用条件:風
[普通/対抗]
ユニット1体が対象。
対象ユニットが「レベル:1D+2」以下の場合、行動完了にする。
===================================
※3レベル以下は問答無用で行動完了。✔特殊能力封じにもなる。

===================================
サンクチュアリ  戦闘スペル
属性:聖  使用条件:聖聖
[対抗:攻撃限定]
「攻撃」してきた敵軍パーティのすべてのユニットが対象。
対象ユニットの「攻撃」を打ち消し、行動完了にする。
===================================
※攻撃をシャットアウトする結界。特殊能力やスペルは防げないので注意。

===================================
クロスファイア  戦闘スペル
属性:聖  使用条件:聖聖
[普通/対抗]
ユニット1体が対象。
対象ユニットに【閃光:1D+1】ダメージを与える。
===================================
※聖属性スペルで貴重な制限の無い対抗スペル。弱点は使用条件の重さか。


=================================
属性:風  レベル:①  攻/防:0/1  進軍タイプ:飛行
フェアリー 【スピリット】 スペル:風
イニシアチブ:+1
消費魔力:1
=================================
※1レベルでスペル:風とイニシアチブ:+1が付いてくるお得なユニット。
 逆に言えばスペルが無ければ戦闘にはほとんど寄与できない。

=================================
属性:魔  レベル:①  攻/防:1/1  進軍タイプ:歩行
レッドキャップの狩人 【ハイゴブリン】
✔追いつめる[普通]
ユニット1体が対象。
対象ユニットに【1】ダメージを与える。
その後、対象ユニットをパーティの最前列に変更する。
消費魔力:2
=================================
※敵を目の前まで引きずり出す狩人。
 防御の薄い敵ならそのまま狩り殺すこともできる。

=================================
属性:魔  レベル:①  攻/防:1/1  進軍タイプ:歩行
レッドキャップの殺し屋 【ハイゴブリン】
✔毒の吹き矢[普通]
ユニット一体が対象。
対象ユニットがパーティの最前列の場合、【猛毒:3】ダメージを与える。
消費魔力:2
=================================
※1レベルで【3】ダメージを出せるユニット。
 射程が短いため狙い撃ちはできない。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。