次の日の朝。
俺はいつもの洞穴の中で、昨日人間を見た地点への移動手段を考えていた。
まず陸路はアウトだ。直線距離でもかなり遠いし、かなり険しい道を通ることになる。それに猛獣たちの縄張りを通過してしまえば昨日のような戦闘をする羽目になるかもしれない。
陸路がダメなら空路で行くしかない。しかし、飛行できるユニットは数多くいるが、騎乗に適したユニットとなるとその数は限られる。いかに飛べるといっても、ただ大きいだけの鳥につかまって長距離を飛ぶのは無理があるし、騎乗に関する能力を持ったユニットにするべきだろう。
以上を選考した結果、適した能力を持ったカードは3枚。
《ペガサス》、《スカイ・フィッシュ》、そして《ワイバーン》だ。
だが、まずペガサスは除外される。ペガサスは他の2枚と違って「進軍タイプ:長距離飛行」でより遠くまで移動できるが、その背に乗せるのは「属性:水/風」のユニットだけ。属性:聖・魔の俺はどちらにも該当していない為、騎乗することはできない。
スカイ・フィッシュはペガサスと違い乗せるものに制限はないが、防御力の数値がが2とやや低い。昨日のブレード・ファルコンのような猛禽が襲い掛かってきたら簡単に倒されてしまうだろう。よって、召喚すべきなのは騎乗するユニットに制限がなく、かつ攻/防:3/4と十分な防御力を備えたワイバーンとなる。
移動するためのユニットが決まったところで今度は俺自身の準備だ。今の俺の素の能力では何かの間違いで一撃でも食らえば即死亡の危険があるので、装備品によって能力を底上げしようと思う。そのために昨日のうちにカードから出しておいた黄金色のブローチをポケットから出して胸に付ける。
ブローチの名は《黄金の紋章》。「タイプ:黄金」の装備品を残りのアイテム使用可能回数に関わらず3つまで装備できる装備アイテムだ。これを使えばタイプ:黄金のアイテムに限定されてはしまうが、今の自分でも装備アイテムを3つも装備することができる。
「アイテム装備、《黄金の鎧》《黄金の盾》《黄金の槍》!」
声に応じ、カードが光の玉へと変わり全身を包み込む。体を包む光が消えると、そこには黄金の輝きがあった。
頭以外の全身をすっぽりと包み込む、各所に青い宝石を嵌め込んだ黄金の全身鎧(フルプレート)。左手には赤い宝石と装飾があしらわれた黄金の盾、そして右手には槍頭に鳥の翼のような意匠が施された黄金の槍がある。黄金製の装備など自分には重くて使えないのではという不安があったが、装備品の魔力による攻撃力の増強効果のおかげかあまり重さを感じない程度で済んでいる。
無事に装備は済んだ。これで合計して「レベル+1/攻撃力+3/防御力+4/イニシアチブ+1」分の能力の底上げになる。これならもし昨日見た人間や、恐らくあるはずの集落の人間たちと敵対されても逃げられるくらいの余裕はあるだろう。
今できる万全の準備を整え終え、ワイバーンの召喚に臨む。
「普通召喚、《ワイバーン》!」
その声に応え光が地面に魔法陣を描いていくが・・・・・・今までの召喚より明らかにその規模は大きく、速度は遅い。
(即時召喚可能ユニットじゃないから?・・・いや、単純に今までよりレベルが高いからか)
今までに召喚してきたユニットは1レベルや2レベル程度の小型ユニット、しかし今召喚しているワイバーンは4レベルの上、即時召喚も不可能な中型ユニットである。
モンコレにおいて、レベルとは一部の例外を除きそのまま規模や体の大きさを表す。ゲームにおける土地、「地形」の大きさはおおよそレベル合計8を基準にしており、単純に考えればワイバーンは標準的な地形の半分を占拠する大きさを持っていることになる。勿論、特殊能力やら何やらで一概にそうとは言えないが、今までにない大きさであることは確かだ。
(レベルが高いほど召喚に時間がかかるなら、高レベルの大型ユニットは戦闘中には召喚できないと思ったほうがいいな)
感覚共有と違って召喚自体には然程集中がいらないので待つ間あれやこれやと考察していると、2分程の時間をかけてワイバーンは無事に魔法陣から現れた。
「よしよし、今日は結構飛んでもらう予定だから頑張ってくれよ?」
「グルルルル・・・」
鼻の頭辺りを撫でながら話しかけると、気持ちいいのか目を細めながら喉を鳴らしている。猫みたいだな、と仮にもドラゴンの一種に対して場違いな感想を抱いていると、ワイバーンは器用に翼を折り畳み体を屈めて乗りやすい体勢になってくれた。
その首に、カードの収納BOXをぶちのコボルドがつる草から編んで作ってくれた籠に入れてくくりつけ、自らもワイバーンの首の後ろに据え付けてある鞍の上へと跨った。
さあ、いざ出発!という時になり、コボルドたちとウィンター・ウルフが見送りに集まってくれた。
「マスター、気をつけテ」
「がんばっテ!」
「たのしかっタ!」
「まタ、いつでもよんデ!」
「・・・・・・ウォン!」
ワイバーンには一度に1人しか乗れないことと時間がくれば自動的にカードに戻ってくることもあり、彼らはここで召喚時間の限界が来るまで待機することになっている。
ここ数日間を過ごしたねぐらと同じ時を共にした仲間たち、そして地面に別れを告げ、俺とワイバーンは一路人間を見た地点へ向かって移動を開始した。
ワイバーンに乗って空を行くこと小一時間。
かなり揺れるのではと覚悟していたが、鞍とあぶみがあるおかげか翼をはためかせるたびにおきる上下の震動以外はほとんど気にならない。頬で風を感じながらワイバーンの手綱を引いて上昇させたり旋回させてみたり・・・・・・、飛行機とは全く違う生物に乗っての初めての飛行に、まるで子供のように空の旅を満喫していた。
しかし、楽しい時間はすぐに過ぎ去るもの。
太陽が中天に差し掛かるころ、ついにやぐらと人間を見つけたポイントの周辺までやってきた。昨日はハリケーン・イーグルの視界ごしに1つのやぐらしか見ていなかったが、よくよく見ると4つのやぐらが森の中に対角線を描くように建っているのが分かる。木々が邪魔で見えにくいが、やぐらに囲まれるように十数軒の民家が密集しているのも見て取れ、求めていた集落へとたどり着いたことを実感させた。
果たして集落の人間たちは友好的な反応をしてくれるだろうか。しばらく上空を旋回して様子を見ていたが、このまま空を飛んでいても仕様がない。心の中の迷いと怯えを断ち切り、集落へと降りる覚悟を決める。
「ワイバーン、あのやぐらの近くに降りられるか?」
「グルアゥ!」
初めに見つけたやぐらを指差す俺の言葉にワイバーンは一声鳴き、徐々に地表へ向けて高度を下げていった。
木々の合間を縫ってワイバーンが降下すると、やぐらの下には十数人の集団が集まっていた。弓を担ぎ簡素な皮鎧を身につけた狩人とおぼしき中年から青年の男たちに、独特の刺繍が施された民族衣装に身を包んだ壮年の男が2人。そしてその中心に立つ豪華な衣装を着て立派な髭を生やした白髪の老人。ワイバーンの上からでも彼らの視線全てがこちらに向けて突き刺さってくるを感じる。
俺が着陸したワイバーンから降りると、明らかにこちらを警戒してざわめく集団の中から白髪の老人が壮年の男たちを脇に連れ立って出てきて俺に話しかけてきた。
「竜騎士殿、このピエットの村に何用で参られたのですかな?」
――――――――竜騎士?
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属性:聖・魔 レベル:2 攻/防:3/5 進軍タイプ:歩行
新米召喚術師 【人間】 スペル:* アイテム:1(使用中)
イニシアチブ:+1
魔力:3/8
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属性:風 レベル:2 攻/防:1/2 進軍タイプ:長距離飛行
ペガサス 【モンスター】
○空中疾走
このユニットのパーティのユニット1体が対象。
対象ユニットがこのユニットと同時に同じ地形へ進軍する事を宣言され、
「属性:水/風」の場合、「進軍タイプ:長距離飛行」に変更できる。
この効果は1度の進軍に1体しか対象にできない。
消費魔力:3
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※空飛ぶモンスターでも最も有名なものの1匹
しかし現実は非情、乗る者を選びまくる為に万能の騎獣とは言い難い
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属性:風 レベル:② 攻/防:2/2 進軍タイプ:飛行
スカイ・フィッシュ 【魔法生物】
○騎乗
このユニットと同じパーティのユニット1体が対象。
対象がこのユニットと同時に進軍を宣言される場合、
このユニットの進軍先も進軍範囲になる。
この効果は1度の進軍につき1回しか使用できない。
消費魔力:3
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※空を飛ぶ魚の形をしたゴーレムの一種
美点はレベルが低いことなので、大型ユニットと合わせて運用したい
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属性:風 レベル:4 攻/防:3/4 進軍タイプ:飛行
ワイバーン 【ドラゴン】
チャージ:+3
○騎乗
消費魔力:5
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※騎乗に適したドラゴンの一種
先手を取ればドラゴンの名にふさわしい攻撃力を誇る