翌朝の目覚めは最悪だった。
昨日この身を横たえた木製の寝台は村の中でも一般的なものだったのだろうが、いかんせん堅かった。マットレスが欲しい、というのは強欲な願いかもしれないが、鎧を脱いで寝たのに着たままかの様な寝心地というのは些か問題があるだろう。
おかげで昨夜はなかなか寝付けなかった上に今朝起きたら身体の節々がギシギシと軋んでいるような気がする。今思えば、洞窟生活の時のウィンター・ウルフの毛皮ベッドがどれだけ有り難かったのか身に沁みて分かった。
軋む身体を抱えながら木製の寝台から這い出し、狭い室内でストレッチを行う。気休めではあるが、やらないよりはマシ程度の意味はあるだろう。一通りの柔軟を終わらせると、昨夜に寝る前に脱いだ黄金の甲冑を嫌になるほど時間をかけながら身に着けていく。カードから出した時のように苦労無く装備できればよかったのだが、どうやらカードから出した後の装備品は破棄を宣言しない限りこの世に残り続けるようで、脱ぐときは黄金の紋章を外すことで全部の装備を外すことができたのだが、着るのは出っ放しの装備を自ら身に着けなくてはならないらしい。最悪、今出している鎧を破棄して新しい鎧をカードから装備するという選択もあったのだが、いくら珍しくないカードといっても補充の目処が立っていない今は徒にカードを消費する選択肢は選べなかった。
なんとか鎧の装備を終わらせた頃、ドアをノックする音が部屋に響いた。ずいぶん早いな、と思いつつドアを開ける前に数度自分の姿を見ておかしい所がないか確認し、自分なりに身形を整えてからドアを開ける。
そこにいたのは、昨日この家に案内してくれた老人であった。
「おはようございます、召喚術師殿」
「おはようございます、えっと・・・・・・」
そういえば昨日は名前も聞かずに別れたのだと思い出し、応えに逡巡していると、老人は朗らかに笑って言った。
「ははは、昨日は旅でお疲れだろうと急いでおって名乗ってもおりませんでしたな。改めまして、このピエットの村の長老をしております、サイモンと申します」
「おはようございます、長老殿。それで何の御用でしょうか」
「いやなに、召喚術師殿に紹介しておかなくてはならない者たちが居りましてな。・・・・・・ガルド、アリッサ、召喚術師殿にご挨拶なさい」
長老の言葉に、後ろに控えていた2人の男女が前に出てきてた。1人は十六、七の女性、もう1人は三十半ばほどの男性で2m以上はあろうかという巨漢だ。
「・・・・・・私は召喚術師殿の護衛をさせてもらう狩人のガルドという」
「わ、私はガルドの娘で、召喚術師様の身の回りの世話をさせていただく世話役のアリッサといいます」
ぺこり、とアリッサがお辞儀をして挨拶を終えると、長老は笑顔で言葉を続けた。
「この者たちは夜以外は召喚術師殿のお傍に控えさせておきます。何か御用がありましたら気兼ねなくお申し付けくだされ」
長老が帰った後、ガルドさんは家の外で待機し、アリッサは俺の分の朝食をを持って来てくれることになった。また一人になった部屋の中で俺は朝食を待ちながら長老が2人を紹介した理由を考えていた。
世話役をつけてくれたのは純粋に助かる。食事を貰いに行くためとはいえ、よそ者が村の中を我が物顔で歩いては村人達も気分が悪いだろうし、この世界について聞きたいことも山ほどあったので、身の回りの近くに人を用意してくれたのは望外の幸いと言う他ない。
問題は護衛の狩人のガルドさんだ。俺はまだ護衛をして貰うほどの事をした覚えはないし、昨日少しばかり見ただけだがこの村はそれなりに統制が利いていて、護衛が必要なほど治安が悪いようにも見えなかった。その上、ガルドさんにこっそり鑑定をかけた結果がこれである。
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属性:土・火 レベル:2 攻/防:2/1 進軍タイプ:歩行
ピエット村の狩人 ガルド 【人間】
タイプ:弓
✔射撃[普通/対抗]
ユニット1体が対象。対象が「進軍タイプ:飛行/長距離飛行」
の場合、【2】ダメージを与える。
✔狙撃[普通]
ユニット1体が対象。対象に【3】ダメージを与える。
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狩人衆のような集団でではなく個人でのこの力、明らかに村の狩人衆とも一線を画する能力。こんな村の中きっての強者を安全な村に突如やってきたよそ者の傍につける理由、それは監視対象が外側でなく内側にある、すなわち俺を監視するためと思って間違いないだろう。
勿論、村の中で率先して騒ぎを起こそうなどという気は毛頭無いが、わざわざお目付け役をつけられたのだ、これまで以上に慎重に行動することにしよう。
「召喚術師様、朝食を持って参りました」
「ああ、ありがとう。受け取るよ」
色々考えていると、アリッサが朝食を運んできてくれた。野菜が少し浮いているスープと黒っぽいパン。簡素な食事だが、世話をしてもらっている立場上これ以上を望むのは酷だろう。まず黒っぽいパンに噛り付いてみたが、日持ちがするように焼き固めてあるのかなかなか歯が立たない。思った以上に固い黒パンを手でちぎっては塩味しかしないスープに漬け、柔らかくしながらなんとか腹の中に詰め込んでいく。味を楽しむ要素の無い作業のような食事に若干の辛さを感じていると、食べ終える頃に1人の来客が部屋に入ってきた。
「失礼します、召喚術師殿。お時間を少しよろしいですか?」
入ってきたのはガルドさんと同じく、昨日は姿を見なかった顔だ。他の村人と比べて少し上等な服を着ており、柔和な笑顔を浮かべているがどこか油断のならない、抜け目無さを感じさせる男だった。
「いいですよ、何の御用ですか?」
「私はこの村で商人をしているグァジといいます。召喚術師殿は必要な物の補給にこの村へ立ち寄られたのだとか。私に用意できる物ならばいいのですが、物によっては準備に時間がかかりますので、内容について聞いておきたいと思いまして」
なるほど、確かにそれは必要だ。こちらはいきなり森の中へ着の身着のままで放り出された都合上、旅に必要な物はないない尽くしときている。少しは遠慮したほうがいいんじゃないか、という気持ちもない訳ではないが、対価はこれから病気を治すことで払うのだから少しばかり欲張ってもいいだろう、と自分に言い訳をする。
「そうですね・・・・・・、まず服の上下と替えの下着を2着ずつ、それに手拭いを3枚と干し肉などの保存食を五日分、あとはそれらを入れられる大き目のカバンをお願いします」
グァジさんは懐から取り出した紙の切れ端にさらさらと要望した品を書き込んでいく。
「服、下着、手拭い、保存食、カバン、と・・・・・・。手拭いやカバン、保存食などは今すぐにでもご用意できますが、服や下着は村の背格好が近い者の予備以外ですと、新しく縫わなくてはなりませんので時間が掛かってしまいますが・・・・・・」
「いえ、新しい物でなくとも予備の物で結構ですよ」
「そう言っていただけると助かります。ところで、村の外にいたドラゴンがいなくなっているようですが一体何処に?」
どうやら時間が来てワイバーンはカードに戻ってしまったらしい。どうせ後で治療のためのユニットを召喚するのだから召喚術については隠し立てすることではないが、召喚に時間制限があることはわざわざ伝えなくてもいいだろう。
「ワイバーンはいつまでもいても村の人が怯えるでしょうから還しておきました」
「あのドラゴンはワイバーンというのですか。それにしても還す、ですか? ではあのドラゴンはもう村の近くにはいない、という事でいいのでしょうか」
「ええ、そう考えて構いませんよ。詳しいことは長老殿に話しておきます」
グァジさんは少し納得がいっていないような様子だったが、「・・・・・・わかりました」とつぶやくと、一礼して部屋から出て行った。
彼と入れ替わりに、食べ終えた食器を片付けに行ってから外に控えていたらしいアリッサが部屋に入ってきたので、これからの行動に重要な事を彼女に聞いた。
「アリッサさん、わたしもそろそろ病人や怪我人の治療に向かいたいと思うのですが、どちらに行けばよいか案内してもらえますか?」
「は、はい。それについては長老から言付かっております。病人や怪我人には長老の家に集まってもらっているので、準備ができましたらご案内いたします」
既に病人や怪我人を一ヶ所に集めているのか。てっきり各々の家を回って治療することになるのかと思っていたが、確かにその方が一軒一軒回っていくより効率的だ。それに俺はまだ信頼されていない。村の中をぐるぐる歩き回らせることはできないという判断もあるのだろう。監視役もつけられてるしめっちゃ警戒されてるなぁ、とは思うが、まぁ、信用はこれからの行動で勝ちとっていく他ない。俺は昨日選んでおいたカードを懐に入れると、長老の家に案内して貰うべくアリッサに声をかけた。
アリッサの案内で長老の家まで来たが、村の代表が住む家だけに俺の寝泊りした小屋よりかなり大きい。ここまで来る途中で見た家は全て平屋建てだったが、この家だけは二階建てであり、村の建物の中でも抜きん出て大きく見えた。
アリッサに先導されて建物の中に入ると、すぐに長老が俺たちを迎えてくれた。
「おお、これはこれは召喚術師殿。皆ももう集まっております。どうぞこちらへ」
長老の案内で建物の中を奥へと進み、他の扉よりも少し立派な両開きの扉がついた部屋の前までやってきた。
「ここですじゃ」
長老の招きで扉をくぐると中は広間になっており、広間の真ん中には集まるように十数人の老若男女が座っていた。こちらをみつめてざわつく彼らに長老が声をかける。
「こちらが治療をしてくださる召喚術師殿だ。ではお願いできますかな?」
「わかりました。しかし私一人ではこの人数は荷が重い。治療を手伝う者たちを呼び出そうと思います、よろしいですか?」
「呼び出す・・・・・・ですか? グァジからドラゴンを"還した"とは聞きましたが・・・・・・、その呼び出したり還したりするのが召喚術、ということですかな?」
「はい、・・・・・・ああ、勿論昨日のドラゴンのような危険なものを呼び出すつもりはありません。バステト――獣人の一種を呼び出すつもりです」
安全と治療という見返り、二つを天秤にかけて悩んだのだろう。長老は難しい顔をしてしばらく考え込んでいたが、最後には頷き答えを返した。
「その呼び出した者たちとで治療をしていただけるというなら否やはありません。しかし、獣人は概して粗暴と聞き及んでおります。どうか危険な事にならぬようお願いしますぞ」
どこか縋るような響きを感じさせるその言葉に、分かっています、と応え、懐から2枚の同じ絵柄のカードを取り出して宣言した。
「普通召喚! 《バステト看護婦団》!」
呼び声に応え、カードから放たれた光が二つの六芒星の魔法陣を床に描き、そこから六つの影がゆっくりと浮かび上がってきた。6人とも一様に緑のワンピースに白いエプロンを身につけ、肩口に切りそろえられた金髪には白いナースキャップが乗せられている。しかしその場違いに揃えられた服装よりも印象的なのはその顔である。その顔は明らかに人間ではなく、黄土色に近い肌と頬を走る黒い縞や斑点も含めて山猫のようなネコ科に近い顔付きをしており、ナースキャップの前にはちょこんと獣の耳が突き出していた。
彼女たちは《バステト看護婦団》。聖属性のスペル枠を二つ持つ優秀な呪文詠唱者(スペルユーザー)であり、設定的にも怪我人を診ることができる数少ないユニットだ。
「「マスター、どうすればよろしいですか?」」
それぞれの3人を代表して青い石の嵌まったペンダントを下げた2人が俺の指示を仰いでくる。・・・・・・、俺はどちらかというと犬派だが、こうして上目遣いで指示を待っている彼女たちを見ると、こう、なんかぐっとくるものがあるな。って、そんなことを考えてる場合じゃなかった。全く関係のない所で生じた雑念を振り払い、彼女たちに悟られぬよう苦心しながら指示を出した。
「ここに集まっている彼らの病状と怪我を診てやってくれ。スペルが必要な場合は後でまとめてやるから後回しに。他にも気付いたことがあったら報告してくれ」
「「はいっ!」」
指示を受けたバステトたちはてきぱきと薬箱や包帯の準備を終えると、集まっている怪我人たちの手当てを始めた。初めは手当てされる者たちも獣人である彼女たちを警戒していたが、手際の良い看護や手当て、その丁寧な態度と優しげな雰囲気に徐々に警戒を解いていった。
彼らが大人しく手当てを受けてくれたおかげで小さな擦り傷、切り傷、火傷や打撲などの軽傷の者たちや軽い風邪を引いている者たちの手当ては程なくして終わり、残るは軽い手当てだけでは治せない重傷の者が4人となった。
俺が持っている戦闘スペルには病気を回復させるものはあるが怪我を直接回復するものはない。似たようなスペルに死亡効果を防ぐ《リジェネレーション》などがあるが、これはユニットが死んだときに効果を発揮するもので、重傷ながら命に別状のない怪我人を回復させるのには使えない。アイテムで何とかしようか・・・・・・、と考えていたところにバステトたちから思わぬ言葉をかけられた。
「マスター、怪我人への《キュア・ウーンズ》の使用を許可願えますか?」
《キュア・ウーンズ》。たしかそれはダメージ自体を減少させるスペルであり、設定的にも怪我の回復に使えそうなスペルだ。しかしあれはモンスター・コレクション2以前のカードで俺は持っていないから使えないはずだが、それを許可?
「許可とはどういうことだ? お前たちは戦闘スペルのカード無しにスペルが使えるのか?」
「はい、私たちマスターに召喚されたユニットは一部を除いてカードがなくとも自由にスペルが使えますし、1時間ほどで再使用できます。勿論マスターの許可があれば、ですが」
なんと!召喚したユニットたちは俺よりも自由にスペルを運用できるのか! それなら、これからは戦闘スペルを使用したいときはできるだけユニットに使用してもらうようにした方がいいな。自分でスペルを使用するには戦闘スペルのカードが必要だし、使用したスペル枠を回復するのには6時間も掛かってしまうのだ。それを考えれば、多少魔力は掛かってしまってもユニットを召喚したほうがいいだろう。しかし、これだと俺は完全にユニットの下位互換じゃないか。やっぱり召喚術師は召喚術師らしく、自分ではなく召喚獣で戦えということなのだろうか。
「分かった、残った人たちをスペルで治してやってくれ」
「分かりました!」
俺が許可を出すとバステトたちはすぐに重傷者の治療を始めた。骨折してしまい患部が腫れ上がっている人や脇腹を深く切ってしまったらしく傷跡が膿んでしまっている人もキュア・ウーンズの詠唱と共にバステトたちの掌に集まった光をそっと怪我へと流し込むと、たちまちのうちに腫れは引き、骨はつながり、傷は癒えた。驚いたのは欠損してしまった部位もお構い無しに治ってしまった事である。木から落ちて脚を折ってしまっていた禿頭の男性は、昔、村を襲った猛禽との戦いで負傷して隻眼だったのだが、脚を治すためにかけたキュア・ウーンズで目玉までも再生してしまった。数年ぶりの両目での視界に泣きながら礼を言ってきたのには少し戸惑ったが、そんな奇跡のような治り方をするのも無理はない。そもそもキュア・ウーンズはダメージを1D(ダイス)――サイコロ一回分の数値――減少させるスペルだが、普通の村人ならそのほとんどの防御力は最低値の1。つまりスペルでほぼ確実に過剰な数値分回復するのだから、古傷もなにもかも含めて癒してしまったのだろう。
キュア・ウーンズの思わぬ力に治してもらった者たちが歓喜の声をあげる中、先ほどまで脇に下がっていた長老が真剣な顔をして近づいてきた。
「召喚術師殿、その素晴らしき癒しの技、見せていただきました。ついてはもう1人、診ていただきたい病人が居るのですが・・・・・・」
「ええ、いいですよ。バステトたちはここに任せて行きますので、私が直接診ましょう」
バステトたちは4人の怪我人を診るのにスペル枠を使い切ってしまった。スペルが再び使用できる一時間後を待つという手もあるが、病気なら治せるスペルがある。1人であれば俺だけでも対応できるし、ここは俺が直接行くとしよう。
「ありがとうございます。では、こちらに・・・・・・」
長老が案内したのは二階に上がったところにある小さな一室だった。部屋の中には窓際にベッドがある以外に家具らしきものは置かれておらず、閑散としている。この部屋の主らしき14、5歳の少年はベッドの上に横になり、時折病の影を感じさせる咳をもらしていた。
「ワシの孫のハンスといいますが、『平民殺し』に罹ってしまっております」
「『平民殺し』?」
「おや、召喚術師殿はお知りになりませんか。『平民殺し』は肺の臓腑の病でしてな、咳が止まらなくなって徐々に衰弱していくのです。特別効く薬というのがありませんでな、街の神殿に莫大な寄進をして癒しの奇蹟をかけてもらうか十分な栄養をとって安静にしていられればよいのですが、それができないワシらのような平民は―――」
―――死に至る、か。『平民殺し』などと物騒な呼ばれ方をするのは伊達ではないらしい。まずはスペルの効果があるか確かめるためにベッドで眠るハンス君に鑑定をかけた。
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属性:土・水 レベル:1 攻/防:0/1 進軍タイプ:歩行
ピエット村の少年 ハンス 【人間】
タイプ:疫病
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思っていたとおり、ステータスにタイプ:疫病がついていた。これなら使う予定だったスペルで問題なく回復するだろう。心配そうな目をしている長老に安心させようと軽く微笑みかけ、俺は懐からカードを取り出した。
「戦闘スペル《キュア・ディジーズ》!」
宣言と共にカードは光の束となり、スペルの対象となったハンス君の身体に吸い込まれていった。
このスペルはモンスター・コレクションの世界設定、六門世界における三大疫病、眠り病(ソムナ)・石化病(ペトロ)・狂獣病(フォビア)をも治すことができる。たとえ『平民殺し』といえど、タイプ:疫病であれば癒せたはず。結果を確認するためもう一度鑑定を行った。
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属性:土・水 レベル:1 攻/防:1/2(30分間) 進軍タイプ:歩行
ピエット村の少年 ハンス 【人間】
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うん、問題なく治っているな。副作用の攻撃力と防御力の上昇も+1と控えめな数値だ。この上昇値はゲームにおいては1D分であったから1~6のランダムの上昇で、それが今回はたまたま1だったということだ。まあ、たとえ30分間という限られた時間だとしてもあまり高すぎると細かい動作に支障をきたしそうだし、今回は運が良かったのだろう。
傍らで固唾を呑んで見守っていた長老に無事病気は治ったことを伝えると、泣きながら礼を言ってきた。なんでもハンス君は流行り病で亡くなった息子夫婦の忘れ形見で、『平民殺し』に罹ったと分かったときはもう助からないものと覚悟を決めていたらしい。
泣きながら感謝の言葉を漏らす長老を落ち着かせながら一階の広間に戻ると、そこには先ほどの人数の数倍に達する人が集まっており、バステトたちはその対応に追われていた。集まっている人たちから話を聞くと、キュア・ウーンズで傷を治してもらった禿頭の男性が話を村中に広めてしまったのだという。隻眼だった男性の見開かれた両目はこれ以上ない説得力となり、既に諦めていた古傷を治したいという者だけではなく、話に尾ひれがついて、かけてもらうだけで健康になる、長生きできるなどという話に集まってきた者たち、果てはその様を見たいだけの野次馬まで集まってこの人数になってしまったらしい。
混沌とした場を長老に頼んで抑えてもらい、1時間に4人ずつという条件でバステトたちに村人を診てもらう事にした。魔法を使う関係上、この間隔が限界だと説明すると、村人達は渋々だが待つことを了承してくれた。
長老と相談してバステトたちには夜まで長老の家で村人たちを診てもらう事にし、俺は一足先に小屋へと戻ることにした。
長老の家から出ると、太陽は既に中天にさしかかろうとしていた。
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属性:聖・魔 レベル:2 攻/防:2/3 進軍タイプ:歩行
新米召喚術師 【人間】 スペル:*(使用済み) アイテム:1(使用中)
魔力:2/8
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属性:聖 レベル:③ 攻/防:2/2 進軍タイプ:歩行
バステト看護婦団 【バステト】
スペル:聖聖
耐性:石化/猛毒
消費魔力:3
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※石化と猛毒に耐性を持つ、獣人【バステト】のナースさん
聖2つのスペル枠は攻撃に防御に使い易い
●耐性
「耐性:X」と表記される。Xはダメージ属性。
耐性を持つユニットは指定された属性のダメージでは死亡しない。