進め!   作:赤てすり

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かわいそうな若葉君とお供の話
ちなみに皆さんはきのみの見た目と名前と効果って覚えました?
私は最近覚えました。


二歩目

気を取り直して、腰についていたバックを開いて心を落ち着かせる。

 

ポケモンセンターメンバーズカード

ほう、そんなものがやっぱりあるのか

裏面を見ると食と泊るところを保障してくれるらしい

当分の生活は困らないな

 

次、きずぐすり

いやもう、思った以上にでかかった。キッチン〇ハイターみたいなでかさ。よく入ったな。

 

次、推定きのみ

俺、ゲームできのみなんて活用してなかったからさ。

ちゃんと名前と効果覚えてないんだよね。

桃っぽいのが何個か入っていた。多分これは甘いんだろう。

 

次、包帯

冒険には必要だもんね

 

次、お財布

至って普通のお財布で、そこそこ頑丈そうだ。

中身は紙幣が三枚あった。単位が円なのかよくわからないからどれだけのお金を持っているのかわからないのが惜しいところ。

べりべり財布ではなくて安心した。いま俺が何歳かわからないが、ワンチャンあるのが怖いところ。

個人証明書みたいなのは無かった。

 

次、地図

現在地が分からないから使えない

 

最後、さっきのモンスターボール

 

これ、真ん中のボタンを押せば出てくるんだよな...

どうしよう、なんか知らないポケモンだったら。本当ならさ、ポケモンセンターに行って保護を受けた方がよさそうだけど、なんだかなあ...。

 

好奇心がモンスターボールを離そうとしない。

えー、どうしようかな...。

俺よりデカかったらどうしよう。逃げれるかな。

 

だめだったら「戻れ」すればいいか、と理性を納得させてボタンを押した。

 

テレビで孫とよく見た赤い光が放たれ、形を成していく。

ぴかり、と一際輝いてそこにいたのは黄色い毛玉。

 

茶色のつぶらな瞳がぱちくり、と瞬きをしてこちらをゆっくりと見る。

 

『だあれ?』

 

ポケモンの鳴き声と共に頭でそう理解した。

耳で受け取っている情報は確かにこの目の前の毛玉、ピカチュウの鳴き声なのに意味が分かる。

 

おかしい

ポケモンの世界の住人はポケモンと心を通じ合わせることはできるかもしれないが、何を言っているかを理解できるのはごく少数のはずだ。

ましてはイレギュラーな俺が分かるはずがない。

 

『なんだお前?調子悪いのか?』

 

返事のない俺にぴかぴか、と可愛らしい声で話しかけるこの毛玉。

お前が原因だよ、なんて可愛らしい毛玉にやつあたりするわけにはいかない。

いかないが、なんだか自分がおかしなことに巻き込まれているのをようやく実感した。

 

SAN値が削れて死にそう。

 

「...調子は悪くねえ。すまないがお前さんはピカチュウであってるんだよな?」

 

口を開いて己の腕をかるく叩くピカチュウに尋ねる

 

『ん?そうだな。僕はピカチュウ』

 

そしてお前がご主人だろ?

 

その言葉にまた頭痛が襲う。

そうか、モンスターボールに入っていたということは俺がご主人になるのか。

この毛玉はムフンと自慢げに胸を張っている。

 

「お前はどこ出身なんだ?」

 

抱えた毛玉はぱちくりと瞬きをして『シンオウ』と答えた

大人しく答えたのち、ん?と可愛らしく首を傾げた。

ぐるぐると考えていたのか、しばらく考えてピコンと頭の上にビックリマークが出てきそうな顔をしてこう言った。

 

『もしかして、僕の言葉わかるの!?』

 

お手本のような驚き方をしてくれた。

 

ーーーーーーー

 

草原で僕は目を開けた。

はじめてモンスターボールとやらに入ったが、意外と快適でいつの間にか眠っていたらしい。己の肝の太さには関心するが、重要なことを忘れている。

そう、初めてのご主人となる人間の顔が分からないのだ。

やっちまったなーなんておもいつつ、このかわいさでどうにかするしかない。出されたら愛嬌を振りまくってどうにかしよう、と心に決めた。

当然その時には自分の言葉が伝わるなんてみじんも思っていない。

 

だから

 

『えぇーーーーー!!!!僕の言葉、本当に人間に伝わってるの⁉』

 

驚いた。それはもう一生でこんなに叫ばないだろう、と言うぐらいは叫んだ。

目の前の人間はうん、と答えて。頭を抱え始めた。

自分でもおかしいことだと理解しているみたいで、唸っている。

 

何もそんなに難しい事考えなくてもいいのに。

 

『君は僕のご主人で、君はトレーナーだろ?それなら簡単だよ。』

 

ぺちぺちと叩いていた手を辞めてするりと懐に体を入れる。

人間にしては珍しい黒い髪と緑色の目の組み合わせの男が僕の方を見た。

 

『旅をしようよ。君の名前は知らないけれどきっと何かの縁じゃない?』

 

目的が無くたって進んでいけば目的ができるんじゃない?

 

ね?と目を合わせて話すとそうなのか?と聞き返してくる。

少なくともポケモンがトレーナーに捕まったら大体はこのスタンスで生きてるよと言うと微妙な顔をされた。

自然なことだと思うんだけどな、いやだったら逃げちゃえばいいもの。

 

微妙な顔をした男は僕のことを抱き上げて、とりあえずポケセンに行こうと歩き始めた。

 

僕のこと受け入れてくれたのかな?

それにしても、ぽけせんってなんだろう。




かわいいかわいいピカチュウ君
君はどこから来たんだろうね
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