英語は我の敵である
そしてこいつらいまだに自己紹介をしていない
名前ぐらいだせ
少し、じめッとした扉を開くと綺麗な部屋があった。
一人と一匹だから狭くていいと思っていたが、そこそこ広めな部屋がそこにあった。人によっては大きなポケモンもいるから天井が高いのだろう。前の世界のワンルームよりも広い。
地下だから窓がなくて少し閉塞感があるが、清潔でいいお部屋だ。
ベットはシングルだろうか、もふもふなかんじがするのできっとお高いだろう。さっさとお風呂に入ってこのベットに飛び込みたい。
腕の中で爆睡していた毛玉は寝ぼけたような声でご飯と呟いた。
「ごはんよりも先に風呂だ、風呂」
『えー...ここどこ?』
くしくし、と可愛らしい動きをしている毛玉を風呂場に連れていく。
飯食う時に汚れるかもしれんが、そのままも汚いだろう。
服も一緒に脱ぐ。どれぐらいこの毛玉が人間になれているのか知らないが暴れて服がびちゃびちゃになっては困る。持っている服はこれしかないんだ。次の町では下着ぐらい買おうと思いつつシャワーに手をかけた。
今日得たものとしてピカチュウ意外と毛玉ではない
ぬれて貧相になった猫みたいにはならなかった。
ピカチュウ君は終始されるがままで、何なら少しご機嫌かもしれない。
ポケモンの声が自動で翻訳されなければもふもふ祭りだったのに、人間の言葉として理解してしまう己が惜しい。こんなにかわいいのに言っている内容がおっさん臭くて悲しくなる。
毛玉をあらかた洗って湯舟に浸からせたあと、避けていた鏡を見た。
目の前にいた素っ裸の少年は俺ではなかった。
昔の俺はお団子ができるぐらいの髪の長さはしていなかったし、こんなに整った顔をしていなかった。どこにでもいる純日本人然とした黒目黒髪のよく日に焼けたクソガキだった。今鏡に映っている少年は黒髪であるが目が萌えるような黄緑で色白の肌だ。あまりにも違いすぎる。
「ねー、さっきからジーっと見てるけどさ、もしかしてナルシストだったりするー?」
湯舟に浮いている毛玉はこちらを見ている。どうやら見すぎていたらしい。
ごまかすのも面倒だな、と思いつつ桶にためていたお湯を被る。
うわ、と毛玉のほうからコツンと音がしたが知らん。
上がるぞ、と声をかければ毛玉は肩に飛び乗った
こいつ、さっき持ち上げた時もそうだったが意外と重いな。
猫と似たような重さかと思えばこんなもんか、って気はする。
外に出るつもりはないから部屋ではパンイチでいいか
さっきまで着ていた服を後でコインランドリー(ジョーイさんに教えてもらった)に持っていこうとまとめておく。
ピカチュウ君は拭き終わったよ、と伝えるとベットに飛び乗っていった。
「さて、ピカチュウ君。君の名前はあるのかな?」
んえ?と随分と間抜けな声を上げてこちらを見る毛玉。名前?と首をかしげている。
「そう、名前。ピカチュウってことは進化してるってことだろ?元の名前とかあるんだろ?」
そう聞くとはて?とまた首を傾げた。
どうやら本当にピンときていないらしい。
『ねえ、もしかして僕らピカチュウの子どもはピチューで生まれると思ってない?』
ン?
ちがうのか?
目の前のピカチュウ君はくふくふと笑いながら口を開いた
『僕らはピカチュウともピチューともどちらも生まれるし、人間がいないと進化しないわけじゃないんだよ』
違うの...か?
すべて人間がいないと僕ら進化できないわけじゃないんだよ?とのんきに笑うピカチュウ君は俺の膝の上にいる。
何か言うつもりだったんでしょ?とこちらを見るくりくりした目はこちらを見ている。なんだか腹が立つから頭をぐりぐりしておく。毛並みの良し悪しは分からないが、セラピー効果がすごい。
や~め~ろ~と揺れる毛玉に聞いてみる
「...ピカチュウ君は大事な人...?ポケモン?がいるのかい?」
ピク、と耳が揺れた
「俺、とくにさ旅を続ける目的が今のところなくてさ。君さえよければそこに帰る旅しないか?」
は?と文句を言いそうな顔をされた。
まあ待て、とピカチュウ君の脇に手を入れて持ち上げてから寝っ転がる
「さっき言ってただろ?旅の目的はやれば出てくるって。その過程に俺を連れて行ってくれよ」
だめか?と聞くとウゴウゴと四肢をバタつかせながら降りようとする。下ろすと俺の上に乘ってきた。普通に重い。
薄い胸筋に少し湿った鼻がぐりぐりされる。少々痛い。
しばらくあーやらうーやら唸った後、バッと顔を上げたかと思えば口を開いた。
『君はあくまでも僕の主人だよ?君が好きにすればいいのに』
そうやってわざわざ確認するの?と聞かれた。
当たり前では?というとあんまり普通じゃないよと返される。
『僕らは君たちトレーナーに人生を左右されるの。だから君みたいな僕の目的をかなえるために旅に出るなんて普通じゃないね』
それにもし僕が逃げたらどうするのさ?
そう言った。君の事誘拐している状態だからなぁとぼやくとほっぺたを掴まれた。
『そ!れ!は!僕が、君の事認めているからいいの!』
何もしていないのに?と聞くと何もしてなくても!と言う。こちらとしては巻き込んでいる負い目があるのだが、そんなことはどうでもいいらしい。
そんなことよりも君はそのまま生きていくつもり?と言われた。
『僕がもしも目的地に無事ついて目的を果たせたら、君と一緒に行動する理由なんてなくなるんだよ?モンスターボールを壊して、君を森の中に残したら。君は死んでしまうよ?』
ポケモンって別に人間を捕食対象にしていないだけで食べるやつは食べるよ?と釘を刺された。ポケモンって人間食べるのか...と呟くと額?に手をあててため息をつかれた。
『なんか、君。色々知ってなきゃダメなこと知らないね』
そんなにか?と聞くとそんなにと言われる。
なんかもう、つかれたやと呟いて俺の横にコロンと寝ころんだ。
『そういえば名前なんて聞いてどうしたの?』
そうだ、その話をしているんだった。
なんか俺の無知が晒すだけ晒して終わったのかと思ったぜ。
「なんか、ずっとピカチュウ君って種族名で呼ぶのってどうなのかなって思ってさ。名前があるならそっちで呼びたいなーって思ってさ」
名前、つけていい?と尋ねた。
全然うまくできないんですけどなんでダメなんですか。
暴れ馬すぎる。
前途多難すぎる
実際問題ピカチュウとピチューの進化って野生だとどうなってるんでしょうね
野生のライチュウなんてどういう経緯で雷の石を触れたのか。なんかここ入ると進化する洞窟とかで進化しているんでしょうかね。
なぞだ