試験が終わり、結果発表のメールが届いた。俺たちのグループは結果4に終わったので苦労が報われたと言える。というか、全体的にCクラスの正答が多いから龍園が上手い事やったんだろう。契約について龍園に伝え、渋い顔をしながらもお咎めなしだった。言わなかった事より、柔軟性の増した有栖の判断に対しての反応だろう。
試験が終わり、船旅も終えてようやく寮の部屋に戻ってきてから彼女たちについて考えた。
「………まさか4人同時とは……俺もなんでOKを出したのか…。」
口ではそう言うものの、答えは分かっている。告白された勢いとか関係無しに、4人の事が大好きだから。自分の前からいなくならないでほしかったから。自分と一緒に人生を歩んでほしいのだ。
「………ぼっちが聞いてあきれる状態だな。」
少しばかりブルーな気分になりながらベッドをゴロゴロしているとインターフォンが鳴った。玄関に行きドアを開けると、帆波と真澄が居た。
「こんばんは、お邪魔するね?」
「邪魔するわよ。」
とりあえず招き入れ、どうしたのかと聞いたら旅疲れを癒す為に甘えに来たとの事だった。
「んにゃー!試験大変だった!疲れたよー!」
「…頑張ったから、褒めて?」
いつも通りの二人にどことなく安心する。とりあえず言われた通り労おう。頭を撫でながら。
「ああ、試験大変だったな。二人ともよく頑張った。俺も頑張った。」
「ふふっ。八幡くんらしい言い方だね!お疲れ様!…あー、癒されるー…。」
「んっ…。お兄ちゃんも、お疲れ様…。」
全員疲れが残っているから緩やかな空気が流れる。癒されてる姿の帆波と真澄の姿に、こっちも癒される。先ほどまでのブルーな気分はほぼ吹っ飛んだ。しばらく撫で続けてさらに癒されるとしよう。
「んー!すごくよかった。八幡くんは本当に撫で上手だよね。」
「まあ、小町と真澄で鍛えられたからな。」
「…私は言うほど撫でられてないわよ。」
いやお前、お兄ちゃん呼びするようになって物欲しそうな顔してる時に一度撫でてみたら何度も催促してきたじゃねえか。しかも毎回腕が痛くなるくらい撫でてたぞ。
「しかし八幡くんもお疲れのご様子、真澄ちゃんと一緒に撫でてあげよー!」
疲れが溜まってるから妙なテンションになってるな、帆波…。
「こ、こんな感じ…?」
「そうそう、それくらいの強さで。」
おっかなびっくりな手つきで撫でる真澄と、妹が居るからか撫で慣れてる感じの帆波。悪い気はしないけど恥ずかしい。以前有栖と帆波に撫でられた時もそうだったけど甘やかされてる感じがして
滅茶苦茶恥ずかしいのだ。
「…甘やかす側も、悪くないわね。」
「…ちょっとクセになりそうだよね。」
…ほどほどにしておいてください。恥ずかしさで死んでしまいます。
「そういえば八幡くん、部屋に入った時に少し難しい顔をしてたけどどうしたの?」
ひとしきりやって満足した二人に抱き着かれながら、不意打ち気味にそう聞かれ、返答に詰まる。しかし、心配そうな顔をそのままにしておくわけにもいかないのでどうにか言葉にする。
「いや………自分の小ささっていうか、浅ましさっていうか…」
「「…?」」
「…常識からかけ離れてても、間違ってても。どうしても4人が欲しくてたまらなかったって言うか…うおっ!?」
言葉足らずながらもなんとか思ってたことを絞り出してたら二人から思いっきり頭を押し付けられた。
「…私たちも、不安がなかったわけじゃないよ…?」
「…でも、それでもさ。迷惑だと思われても、八幡とそういう関係になりたくって…。」
「…迷惑ならそう言ってる。俺ははっきり言う方だからな。」
「…ふふっ、確かにそうだね。」
「…誰相手でも意外と物怖じしないもんね、八幡は。」
しばらくの間二人を抱きしめて温もりを感じ合った。まだまだ自分には足りないものが多い、そう実感しながら。
八幡くんの口から想いを聞き、悩んでくれていた事に対して申し訳なさと嬉しさを感じる。一般的には不誠実であっても、彼なりに向き合ってくれてるんだから。
どこまでも私たちを手放す気のない八幡に安心を覚えた。それに…家族は多くてもいい、有栖や帆波、ひよりの事も嫌いではないのだから。
自分の部屋に戻る二人を見送り、静かになった部屋で横になり直す。うとうとしていると電話がかかってきた。
「…はい、もしもし。」
『もしもし…すみません、お休み中でしたか?』
「ああ、有栖か。いや、大丈夫だ。何かあったか?」
『…少し、声が聞きたくなりまして。…あの、八幡くん。』
「?どうした?」
『…告白、ご迷惑ではなかったでしょうか?押し切る形で告白したものですから…。』
「……帆波や真澄にも言ったが、迷惑ならそう言ってる。まあ、そうだな…嬉しかった。」
『…!そうですか…。ふふっ、すみません。どうしても不安でしたので。』
「…まあ、有栖たちと上手くやっていけるか、愛想をつかされないかという不安はあるけどな。」
『…ふふっ。八幡くんなら心配要りませんよ。不器用ながらも私たちのために寄り添ってくれると思っていますから。』
「…おう。」
『…では、旅から戻ってきて疲れてるでしょうしこれで…あ、八幡くん。』
「?なんだ?」
『心の底から、愛していますよ?』
「…ああ、俺もだ。」
八幡くんの優しさに付け込んだ、という自覚もある。申し訳ないという気持ちもある。でも、それでも彼と一緒になりたかった。なれてよかった。心の底からそう思う。
次回はふざけます。