「皆さん、八幡くんを全員で襲いましょう。」
「「「……………えっ?」」」
有栖から相談があると、カラオケルームに集まった3人に有栖は特大級の爆弾を落とした。倫理観を問わない時がある彼女だが、そういう意味での倫理観ではないし。
「あ、有栖ちゃん。どうしてそんな結論に?」
「…正直に申し上げますと夏休み中に、この中の誰かが八幡くんに抱かれててもおかしくないと思ってました。男子高校生はそういうものだと聞いていましたし。私も食べてもらおうと思っていました。もうすぐ夏休みが終わりそうなのですが。」
全員顔を見合わせ、やはりこれまでに誰かが抱かれた様子はなさそうだった。あの男、私たちの男性観に多大な影響を及ぼしたどころか破壊し尽くしてるくせして、中々手を出そうとしてこないのだ。こちらはいつでも良いというのに。
「…確かに私が八幡くんの部屋で本を読んでる最中に寝てしまった時も、ベットにそのまま寝かしつけられただけでしたね。」
「…一緒に寝たりしてるけど、そのまま寝るだけで終わってるわね。」
「……実はちょっと誘惑してみたりもしたんだけど、どうしたらいいか分かってない感じだったかなー。」
「…下着姿で添い寝しても襲われませんでしたしね。」
「ちょっと、有栖ちゃん…?」
まあなんとなく分かってる。彼なりに誰から手を出していいのか分からないのは。
「…話を戻しましょう。何故このような事を言ったのかと言いますと、おそらく八幡くんは最初の1人を決められないだろうから、最初から4人で相手をしてもらおうと思ったのと…」
「うん」
「1人だと確実に戦力不足になると判断したからです。」
宇宙猫状態になるひよりと真澄と帆波。というか目の前の少女がそのまま突き進まないとは一体何があるというのか。
「彼はですね…。」
「「「はい。」」」
「ああやって怠惰に過ごしてるように見えていますが、とても勤勉で努力するんですよ。そこがまた良いのですが。」
「わかる。」
「わかるよ。」
「わかります。」
自己研鑽を欠かしていない姿は全員見慣れているのだ。結構な頻度で部屋に遊びに行っているのだから。いつ来ても嫌な顔せずに、嬉しそうに構ってくれるのだ。手を出してくれないクソボケだけれども。
「短い付き合いでしたが、当時から彼は覚えが良くてですね…。それを考慮すると……………おそらく性行為でも………。」
「「「……………。」」」
「………1人だと、容易く骨抜きにされそうで。ちょっと心細かったのです…………。」
「「「………成程……。」」」
頬を染めながら説明を済ませる有栖を見つつ、説明を反芻してみるとどことなく納得の出来る部分はある。好いてる男に上手くあってほしいという願望と、やはり最高の体験でありたいという下心が。
「…それで、ですね…。いっそのこと………全員で一緒に教材を見て、そのまま私たちに実践して頂こうかと考えまして…。」
「「「!!!」」」
実際には色ボケでしかないのだが、3人には「その手があったか」と啓発された気分だった。全員の腹が決まった瞬間だった。
「…いつ、決行する?」
「…今度の土曜の午後に、部屋で映画を一緒に見るという名目で約束をしてあります。」
「…相変わらず抜かりないわね…。道具の準備はしておいたほうがいいかしら?」
「…そうですね。八幡くんがどれほどのものか分かりませんが、余裕を持って。」
「…急な予定が入らないように、見張っておきますね。」
「…ええ、お願いしますね。」
土曜の午前中に用事を済ませ、昼食を食べてから自室で有栖を待っていた。何やら俺の部屋で一緒に見たい映画があるらしく、パソコンを持参して来るとの事で、運ぶのを手伝おうかと聞いたが大丈夫と言われた。軽く本を読みながら待っていると、インターホンが鳴った。
「おう…ってあれ?」
「すみません大勢で、せっかくなので皆で見ようと私がお誘いしたのです。」
「ああ、そうか。まあ狭いがどうぞ。」
異様にニッコニコの有栖は気になるが、4人全員でこの部屋に来たことがなかったわけではないので深く気にしなかった。ノートパソコンを机の上に置き、件の映画を一緒に見る準備を整えた。右腕にひより、左腕に帆波、膝の上には有栖に後ろから真澄が腰に抱き着いて覗き込むようにしている。え、何この状態…?そして、どこか緊張した声で有栖が言った。
「…さあ、再生しますよ。八幡くん、しっかり内容を覚えてくださいね?」
………え、どういうこと?
部屋に嬌声が響き、画面の中の女性が乱れている。左右と後ろから抱き着かれる力が強くなり、ちらっと見ると誰もが顔を真っ赤にしている。後、有栖はもぞっと動かないでほしい。刺激がヤバい。
…っていうかマジで何なんだこの状況。何故彼女達とAVを見てるんだ俺は。真っ赤な顔の横目でちらちら見るのやめてほしい、俺の中の何かがさらに刺激されるので。
誰一人何かを言う事は無く食い入るように動画を見続ける異様な状況は、一時間近く続いた。
動画の再生が終わったが、誰一人何も言わずに痛いほどの静けさの空気が流れた。そうして5分か10分くらい経ったであろう。ぽつりと真っ赤な顔のまま有栖が言った。
「…八幡くん。」
「…おう。」
「…内容は、覚えましたか?」
「…なんとなくは。」
「………では、服を脱いでください。」
「……………は?」
「ですから、服を脱いでください。実践しますよ?」
実践ってお前…と思いながら有栖の顔を見ると、奴らしからぬ勢いで押し切ってやるという迫力を感じる。いやこいつも実はテンパってるな!?
「お、おい!?ちょっと待て…ってひより!?帆波!?真澄!?」
「…しましょう。」
「…しようね。」
「…するわよ。」
…目の据わった4人にベッドに押し倒されて、かわるがわるキスをされた。全員服を脱いで、俺も服を剥かれてしまった。ことここに至ってはやるしかないとヤケクソ気味に覚悟を決めて、さっき見た動画を参考にしながら4人を満足させられるように頑張って動いた。最後には全員がベッドの上で全裸で絡み合って眠っていた。なんとかやりきったぜ。
この日以降の4人が今までとは比べ物にならないくらい大胆になったり、頻繁に求めてくるから大丈夫なのかと不安にもなったが。
少なくとも、八幡君は一切嫌がってないです。男の子ですもの。