クソボケ谷八幡君 in よう実   作:結構暇なひと

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1年生編最後のイベントですね。正直ここまで続けられると思ってませんでした。


選抜種目試験その1

バレンタインの次の日にあった仮テストに出たような問題がまあまあ採用されていた学年末試験だったが、赤点は居なかった。他のクラスも出てないようで今の所1年は退学者が出ておらず、例年と比べても珍しいようだ。でもうちのクラス未だに平均点最下位だよ、ちゃんと勉強しよう?

 

 

試験結果発表の後に、一週間後に1年目最後の特別試験の説明があると坂上先生から予告された。「君たちなら退学者を出さずに勝ち進めると期待している」と坂上先生が言ってたので、なんとなく予感していたが、退学者が確実に出る試験なのだろう。最後の最後に重い試験を持ってきやがる。

 

 

「やっぱりと言うべきかなんというべきか…つくづく楽をさせてくれそうにねえな、この学校は。」

 

 

「特別試験ですから、クラス同士の対決かもしれませんね。問題は何を行うかなのですが…。」

 

 

「これで勉強系のテストで塗り固められてたら終わってただろうが、坂上先生がそこまで悲観していなかったし全部が全部そういうわけじゃないんだろうな。」

 

 

重い雰囲気纏って期待しているって言われてたら流石に絶望したぞ。少し考えをまとめていたであろうひよりの口から推察が出て来た。

 

 

「…ということは自分たちである程度やる事を決められるのかもしれませんね。あるいはあらかじめ出て来たお題から、順番に選んで対決するとかかもしれませんね。」

 

 

「…なるほど、大分それっぽいな。」

 

 

合ってるかどうかは置いといて、納得した。ひとまず後は来週の月曜に詳しい説明をされるので答え合わせを待つくらいの気持ちでいいだろう。

 

 

 

 

 

来週の月曜になり、坂上先生から特別試験の発表が行われた。各クラスの総合力で競い合う『選抜種目試験』。坂上先生が取り出した白いカード10枚に、クラスで相談して決めた10種目を書き込む。そしてその中から試験当日に5種目まで絞って『本命』として提出する。残りはブラフだそうだ。それと、クラスを束ねるために『司令塔』を1人用意しなければならないし、司令塔は種目には直接参加出来ない。また、司令塔が種目ごとに予め設けたルールで介入する権利を持つので、どちらかと言えばサポート要員になるのだろう。

 

 

「この試験では司令塔の存在が必要不可欠だ。不在では試験は進行しない事になっている。そして、司令塔はクラスが敗北した時に退学となる。」

 

 

…勝てば退学者が出ないが、負けたら場合によってはクラスの支柱を失いかねない試験か。大分重いペナルティだな。龍園をちらっと見たら獰猛な笑みを浮かべていた。こいつ、自分で司令塔をやる気だな。この胆力は素直に尊敬するわ。

 

 

対決するクラスは、司令塔になった奴が今日の放課後に選択権のくじ引きを行うそうだ。…確実にうちのクラスは選ばれない自信があるわ。何やってくるか分かったもんじゃねえから俺でも避ける。最後に、1種目の勝敗ごとにクラスポイントが30ポイント増減し、勝敗数で勝ったクラスにはボーナスとして100ポイント加算される。

 

 

坂上先生からの話が終わり教室を出て行った後、龍園が教壇に座って、教壇に置かれていたルールが書かれた紙を配らせる。

 

 

「司令塔は当然俺がやる。テメェらは俺たちが必ず勝てる種目を考えろ。」

 

 

クラスの連中が目を見開いて驚いている。それを全く気にせずに龍園は話を続ける。

 

 

「俺は勝利しか見ない。俺の退学はお前らに賭けてやるよ。気合入れて挑めよ?」

 

 

この言葉でクラスの士気が上がったように見える。後はくじ引きの結果次第で十分勝利を拾えるだろう。今回の試験のルールだとウチのクラスは間違いなく強いし。

 

 

 

 

くじ引きの結果、龍園は見事に選択権を引いたらしく龍園の予定通りBクラスを選択したと言っていた。それに対して石崎がまあ気になるよなって質問をした。

 

 

「龍園さん、どうしてCクラスではなくBクラスを選択したんですか?」

 

 

「Cクラスは強みがはっきりあるからだ。…仮にこのクラスの学力がもっと高ければ選んでもよかったがな。」

 

 

テストの点数があまり良いとは言えない石崎、おもっくそ藪蛇である。混じりっ気無しの本音なんだろうなって思うわ、一瞬渋い顔したもん。特別試験が無いと浮上できないのはマジでクソゲーだろうし。

 

 

「対してBクラスは能力を平均で見れば高い方だが、それだけだ。奴らにはトップらしいトップが居ねえ。実際に司令塔になった奴は大した事ねえ奴だったからな。なんならCクラスも損切りしてきたがな。予め作戦を仕込んで、仮に負けても極力ダメージを抑えるつもりだろうぜ。」

 

 

「…?誰が司令塔に来たんだ?」

 

 

「Bは戸塚で、Cは山内だ。…Aは坂柳だったがな、流石と言った所だ。」

 

 

Aクラスに関してはまあ予想通りだ。戸塚…確か無人島で龍園と契約した奴だったか。勝ったらポイントが増えて、負けても契約破棄になるからクラスへのダメージが一番軽くなる。やるしかなかったんだろうな…。山内は………なんでだろうね?

 

 

話を戻して、龍園が提出する種目を見せて来たが、200メートル走以外はほぼ格闘技一色だった。出ろって事ですね、分かります。まあ格闘技に関しては勝ち抜きルールで強いのを出して、仮にアンラッキーで負けても司令塔の介入でやり直しが出来るようにするらしい。おそらくうちのクラスでの最適解だろうな。

 

 

さらには試験前日までにBクラスの連中に絡んで情報を盗み出し、さらには遅効性の下剤で当日トイレに篭ってもらおうとしてる。クラス全体が騒いでる中、渋い顔をしてたせいか龍園と目が合った。

 

 

「…不満か?比企谷。」

 

 

「…出来ればバレた時のリスクは避けたいからな。だが…勝てなきゃ何の意味もないからな、作戦自体は呑み込める。」

 

 

「じゃあなんだ?」

 

 

「そういう手を使わないと勝ち目が低いってのが不甲斐ないと思っただけだ。」

 

 

それとなく言い続けはしたんだけどなぁ…。この試験までに改善される事なく頭脳担当にしわ寄せが行き続けてる。今更どうしようもないし俺はもう知らんが。

 

 

 

 

 

作戦を決めた日の夜に、寮で有栖に連絡を入れて伝えるべき事を伝えた。

 

 

「相手がAクラスじゃねえし今言う。必要なポイントが貯まったから、今回の試験が終わったらクラス移籍するわ。」

 

 

『……本当ですか?嘘じゃないですよね?』

 

 

「代わりにホワイトデーのプレゼントも買えやしないけどな。」

 

 

最後の最後でまたクラスポイント削られたから本当にギリギリだった。ちょっと足りないから貸してとか恥ずかしいからやりたくなかったし。

 

 

『今回の試験が終わったらすぐに移籍の手続きを済ませるのですか?』

 

 

「それなんだが、真嶋先生に一つ確認を取ってもらいたくて。」

 

 

『確認…ですか?』

 

 

坂上先生に聞いてクラスに動揺が走るのは気が引けたので、有栖に頼むことにした。

 

 

「いや、予め契約で移籍のタイミングを決められないかなって。試験中とかに移籍してAクラスの奴を困惑させてやろうかなって。」

 

 

実際の所はDクラスと勝利を分かち合うには気が引けるからだが、誤魔化して伝えた。

 

 

『…真嶋先生に確認が取れ次第、メールで知らせますね。』

 

 

「…ああ、頼むわ。」

 

 

 

 

 

次の日に有栖から確認が取れたというメールが来た。可能だったという事なのでひよりに、夜に俺の部屋に来て欲しいとメールを送った。

 

 

「八幡くん、何か大事な話があるという事でしたが。」

 

 

「ああ、ちょっと頼みがあって…。」

 

 

「頼みですか?何でもおっしゃってください!」

 

 

いつも通りのひよりの笑顔にほっとする。少しばかり緊張がほぐれた。

 

 

「…えーっと、これを見てくれ。」

 

 

「…!」

 

 

俺の携帯には二人分の移籍代が賄えるポイントが表示されている。道場破り同然の賭けで1年間稼ぎ続けた成果でもある。正直しんどかった、来年は死んでもやらねえ。やるとしても圧倒的に頻度を落とすわ。

 

 

 

 

「…ひより。一緒に、ついてきて欲しい。」

 

 

「……!」

 

 

弾けたような勢いのひよりに抱き着かれた。しばらくしてから顔を上げたひよりの目は潤んでいた。

 

 

「…私なんかに、こんなにポイントを使ってもいいんですか?」

 

 

「…言ったろ?隣に居てほしいって。」

 

 

「……こんなにたくさんのポイント、大変でしたでしょう…?」

 

 

「…まあ、大変じゃなかったと言ったら嘘になるな。」

 

 

そう言うとひよりは俺の胸に頭を押し付けた。少しばかり震えてるひよりの頭を撫でてやりながら、落ち着くのを待った。

 

 

 

 

 

「………すみません、お恥ずかしい所を。」

 

 

「…いや、気にしてないからいい。」

 

 

落ち着きを取り戻したひよりは、恥ずかしくなったようで頬を染めている。こっちはこっちでOK貰えたのでほっとしている。ダメですって言われてたら確実に落ち込んでたよ?俺。

 

 

「…いつ移籍をする予定ですか?」

 

 

「それなんだが………それぞれが特別試験の出番が終わってからAクラスに行こうと思ってる。Dクラスの連中が勝利に喜んでる姿と顔合わせるのなんとなく気まずいし。」

 

 

「…変わったタイミングを選ばれましたね。」

 

 

「…1割くらいはAクラスの連中が困惑する顔が見たくて。」

 

 

Aクラスって言うか帆波と真澄の顔だが。ホワイトデーで何も送れそうにないから、驚かせて誤魔化そうかなって。ケーキがとても美味しかったからまあまあ負い目があったりする。

 

 

「…帆波さんと真澄さんですか。」

 

 

「…ひよりにはバレるか。」

 

 

「それはそうですよ。私が一番八幡くんの隣に居たんですから。これからも八幡くんの隣に居続けるんですから。」

 

 

「…おう。まあ、これからもよろしくな?」

 

 

「…はい!」

 

 

一年の集大成と最大の懸念がこれでようやく落ち着いた。これで今のクラスに愛着があるからって言われて断られてたら…俺、ずっと枕を濡らす日々だったよ?




2年生編どうしましょうね。本当に。
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