クソボケ谷八幡君 in よう実   作:結構暇なひと

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Dクラス入りだった世界線です。大筋はそんなに変わらないはずです。


Dルート
1年D組クソボケ谷君1


「綾小路よ、俺ら来月から0ポイント生活になるっぽいぞ。」

 

 

「…いきなりどうした、比企谷。」

 

 

この学校に入り少し経った頃、初めて出来た友達の比企谷の口からそんな言葉が出てきた。クラスの連中もこっちを見ている。

 

 

「なんとなくだが、クラスの連中が遅刻や私語をしてる時とかに、先生方が逐一チェックを入れてるようでな。50回くらいその動きをしているのを見た。今のペースなら貰えるはずだったポイントをバッチリ全部吐き出すだろうな。ハッハッハ。」

 

 

「笑ってる場合か?だが、実際にそうなるとも限らないだろう。」

 

 

「うちのクラスの赤髪くんが先輩からDクラスであることを馬鹿にされてただろう。地獄を見るとも先輩方は言ってたな。で、地獄を見ているであろうDクラスの先輩方のご尊顔をこっそり見て来た。全然楽しくない学校生活って顔してたぞ。」

 

 

どうやらきっちり確認を取っていたようだ。コイツ、思ってたより頭が切れるな。たまにうちのクラスに突撃してくる女子たちに連れ去られている男と同一人物とは思えない。

 

 

言い終わってからクラスの連中の何人かが「でたらめ言ってんじゃねえ」みたいな事を言ってきているが、

 

 

「いや、将来性が有るかも分からなくて不真面目な奴にお金を払いたいか?10万円どころか千円でも嫌だろ。」

 

 

という一言に全員が押し黙り、顔を青くし始めた。すでにどれほどのポイントが削られてるのかすら分からないのだ、来月は同じように過ごせる訳もない。

 

 

「だからまあ、来月に備えて節約した方がいいぞ。0ポイント確定だろうし。」

 

 

「………流石に、今の話を聞いたら改めると思うんだが?」

 

 

「いや無理だろ、どんだけ言っても信じちゃくれねえって。なんならその時が来たらこっちを責めてくるかもしれないな。『あの時何でもっと強く言わなかった』ってな。あるいは『何でもっと早く言わなかった』とかな。」

 

 

さらに教室の空気が凍り付いた。こいつのメンタルはどうなっているのだろうか、興味が尽きない。笑いながら言ってるし。

 

 

「で、それを何で俺に伝えたんだ?」

 

 

「3%くらいは授業態度の改善への期待で、残りは綾小路は信用してくれそうな友達だからって所だな。黙っててポイント全部使いましたってなったら目覚めも悪いし。」

 

 

…思ったより気遣われていたようだ。実際に使い切る真似はしないが、悪い気分ではない。外を知らない俺でもどこかズレてる気がすると感じる奴だが、悪い奴ではないようだ。この時から比企谷と一緒に行動する事が増えた。

 

 

 

 

 

比企谷という男は図太い性格なのか物怖じしない言動が多い。だが、一般的な良識はあるのだろう。胸のサイズランキングの賭けに対して参加しないのか?と聞いた時に、

 

 

「男子目線で言えば、男のシンボルサイズランキングで鼻で笑われるくらいの屈辱だろ。ポイントは欲しいけども。」

 

 

と言っていた。この時はこいつも女子の胸をガン見してたのかと思ったが、そんな生易しい事ではなかった。後から分かった事だが、実際に参加していたらこいつにとっては落ちてるポイントを拾うようなものだった。比企谷相手に勝てないと思っている事の一つである。

 

 

水泳の授業でも目立たないように泳ぐつもりだったが、比企谷から勝負を提案されたので受ける事にした。思った以上に仕上がった体を見て、こいつの能力を把握するためだった。

 

 

「フッフッフ。私に追い縋れる者が二人も居るとはねぇ。退屈な学校生活だと思っていたが意外と楽しめそうだよ。」

 

 

「…クロールでバタフライに負けるのかよ。どうなってんだこのクラスは、個人の能力に差有り過ぎだろ。」

 

 

「…比企谷が言えた事でも無いと思うが。」

 

 

1位高円寺、2位俺、3位比企谷だった。途中で失速しようと思ったが、何故か最後まで全力で泳いでしまった。不幸中の幸いは、俺だけが目立ったわけでは無かった。

 

 

「綾小路も随分速かったな。負けたわ。今まで何か特別な事でもやってたのか?」

 

 

「…いや、書道とピアノくらいだな。」

 

 

「…流石にその誤魔化し方は下手くそすぎるぞ。まあいいけど。」

 

 

呆れている表情の比企谷に言われた。詮索する気は無いのは助かる。

 

 

 

 

 

5月は堀北に嵌められて手を貸す羽目になったり、坂柳とチェスの勝負をしてやって欲しいと頼まれたりしたが、個人的に一番大きなイベントは茶柱から比企谷と一緒に呼び出しを食らった時だろう。星之宮に絡まれてた時に助けてくれなかったのはちょっと恨んでる。

 

 

茶柱に指導室に案内され、給湯室に入って物音を立てずに静かにしろ、破れば退学だと命令された。この時の比企谷の目は普段よりもずっと冷めていた。こいつ、こんな表情も出来るのか…と驚かされた。そして職員室に戻ろうとするのを茶柱に呼び止められていたが、完全に無視して星之宮に質問をした。

 

 

「星之宮先生、お忙しい所すみません。質問をしてもよろしいでしょうか?」

 

 

「ん?比企谷くん、どうしたの?女の子との付き合い方でも教えて欲しいのかな~?」

 

 

「それはまた知りたくなった時にお願いします。…先生方はどれくらいの権限を持っていらっしゃるのでしょうか?」

 

 

「…どういうことかな~?比企谷くん。」

 

 

「生徒が命令に服従しなかったら、退学を命じられるのですか?」

 

 

星之宮の顔が固まった。職員室の空気はヒエッヒエになった。アイツの心臓は一体どうなっているんだ。あんなのが世間に当たり前に居るなら、ホワイトルームで倒れていった連中が脆弱過ぎるように思えてしまう。

 

 

「……え~っと、あの~…。」

 

 

「答えてください、星之宮先生。先生方は生徒を私物化しても良いというルールがあるのでしょうか?」

 

 

「な、無いよ…。」

 

 

比企谷が、その言葉が聞きたかったという顔をしている。アイツは鬼だ。

 

 

「そうですか。ありがとうございました、星之宮先生。綾小路、行こうぜ。」

 

 

「…あ、ああ。」

 

 

促されるままに比企谷と一緒に職員室を出た。その後すぐに職員室は騒がしくなったが、比企谷は完全に気にしていない表情だった。

 

 

「…で、なんでこんな行動を取ったんだ?」

 

 

「茶柱先生の考えは知らないけど退学までちらつかせてきたんだ、絶対めんどくさい事をやらされるだろう。学費無料目当てに入った学校だから、本当に退学になってもそれほど問題ないかなって。」

 

 

「俺は退学にされたくないんだが。」

 

 

「俺を売ればいいだろ、実際やらかしてるのは俺だし。」

 

 

「…お前はそれでいいかもしれないが、お前を気に入ってる女子にお前ごと激怒されそうなんだけどな。」

 

 

この一言でようやく顔を青くした。マジかコイツ、そこまで考えてなかったのかよ…。

 

 

「………正直ちょっと頭に血が上ってたから気づいてなかった。やっぱりヤバいかな?」

 

 

「…まあ、茶柱先生次第じゃないか?厳重注意されるくらいならバレずに終わるだろうし。」

 

 

「…茶柱先生の無事を祈っておくか。」

 

 

コイツ、自分でやっておいてコレかよ…。とりあえず、比企谷に何か問題が起きたら連絡してくれと言われているので坂柳にこっそりメールを送った。次の日の放課後に、比企谷は青い顔をして4人に連行されてた。愉快な男である。




これタグ追加したほうがいいのかなと思いましたが、番外編なのでスルーします。
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