クソボケ谷八幡君 in よう実   作:結構暇なひと

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実は八幡君にとって、茶柱先生は得体のしれない怪物みたいに見えてます。5月にあんな事があってもそういう行動が取れる時点で怖さを感じてます。


1年D組クソボケ谷君8

問題が解決したのでしばらく一人になれるところで休憩していたが、どうやら無人島に向かっていたようだ。バカンスという名の特別試験はここでやるらしい。アナウンスが流れて外に出て景色を見ているが、どう見てもペンションやコテージが見当たらないし。生徒の夏休みを潰してこういう事をしてくるのがこの学校のようだ。

 

 

真嶋先生の説明によれば、マイナスになる要素はないけどプラスになる要素は結構あるようで、Dクラスの連中はやる気になっている。そのやる気を4月に見せてほしかった。そして纏まりがないのもうちのクラスの特徴だ、トイレを購入するかしないかで口論を続けてるし。マニュアルを読んでいると桔梗がこっちに聞いてきたので答えた。

 

 

「八幡くんもトイレは必要ないと思うかな?」

 

 

「いや、2つは欲しい。マニュアルには環境破壊でポイントが引かれるって書かれてる。それにサバイバルに慣れてる奴らばっかりじゃねえんだ、慣れない環境と緊急時のトイレしかないストレスでリタイア続出したらポイントがモリモリ減るだろうし。それにだ、池よ。」

 

 

「な、なんだよ?」

 

 

「トイレを購入しなかった場合、仮にお前が腹を壊しても多分トイレの番を譲ってもらえないぞ。不便をさせられている恨みで。」

 

 

そう言ったら池と購入反対の男子たちの顔がちょっと青くなっていた。ポイントを増やそうという気概は買うが、現代っ子の俺たちに生活水準を極限まで切り詰めろってのは無理がある。1週間の間にどんなトラブルがあるか分からんし。

 

 

「他に必要な物は拠点次第だな。とにかく俺たちも拠点を探した方が良い。他のクラスの奴らはもうとっくに探してるし。」

 

 

そう伝えたらクラスの連中はようやく周りを見渡してくれたようだ。この後は桔梗と平田が執り成してくれるようなので任せた。俺はこのクラスのリーダーでもなんでもないからな。この後拠点探しのためにクラスで移動を始めたが、思ったよりも歩きやすい。整備が行き届いているあたり、おそらく毎年恒例行事なんだろうな、この無人島試験。

 

 

しばらく歩いていると、池が拠点になりそうな良い所を見つけた。川の近くでスポットもすぐそばにあるようだ。水に困らないのはデカいな、上流の綺麗な水のようだし煮沸消毒すれば飲めるだろう。次にリーダー決めの話になったが、桔梗が体調の悪そうな堀北を推していた。どういう思惑があるのかは知らんが、結局の所誰がリーダーでも問題がないので静観した。

 

 

テントの設置とトイレの購入が完了した後に食糧調達の話になり、そっちでいいかと立候補した。その後すぐに桔梗も立候補したら男子たちがこぞって立候補したのは露骨で面白かった。

 

 

「流石の人気と言ったところだ、あっさり人が集まったな。」

 

 

「ふふふっ、ありがとね。でも、八幡くんを見張っておかなきゃいけないってのもあるんだよ?」

 

 

「…えっ、俺?」

 

 

「うん。見ておかないとすぐにどこかに行っちゃいそうだから。」

 

 

どちらかと言えばそれは高円寺だと思う。Dクラスで一番行動が読めない奴だろうし。だが桔梗の「お前船でどこ行ってたんじゃい」という目には閉口するしかないようだ。ちょっと怖い。

 

 

 

 

 

食糧調達に出発しクラスの男子からの嫉妬の目線を感じつつ、隣で歩いているクラスの人気者から質問をされた。

 

 

「八幡くんは船でどこに行ってたのかな?探しても見当たらなかったし、ひよりちゃんたちにも伝えてなかったみたいだね。何かしてたの?」

 

 

「少しばかり慣れない船旅に疲れててな。個室有りの店でダラダラしてたわ。」

 

 

あの額のポイントを持って堂々と歩ける自信がなかったとも言う。こちとら小市民なのだ、大金を急に持ったらビクビクするわ。おそらくその事について桔梗も聞きたいのだろうが、今言う気は無い。桔梗もそれを察したのか、「そっか」と言ってクラスの女子たちに合流していった。その後池に桔梗との関係を聞かれたが、友達と答えておいた。友達にしてはやってる事が大胆な時もあるけど、桔梗だけに限らんし。

 

 

単独行動で食糧探しをしていたが、そのついでに船の上から見えていた小屋に向かった。小屋の中でスポット更新が出来る事を後で報告するとして、釣り竿があったので回収した。一度拠点に戻り、平田にスポットの事を報告してから釣りしてきて良いかを聞いたら許可が出た。やったぜ。

 

 

 

 

 

正直釣りはあまりやった事がないのだが、釣りをしてる場所が入れ食いポイントだったらしい。始めてからそれほど時間も経っていないのに、もうバケツが一杯になってしまった。だらだら釣りしようと思ってたのに。

 

 

「うわっ、凄い釣れてるね。…釣れすぎててちょっと気持ち悪いけど。」

 

 

後ろから声が聞こえて振り向いた。桔梗がバケツをのぞき込んで引いていた。

 

 

「ダラダラ釣りしてようと思ったんだけどな。仕方ないから戻る所だったけど、何かあったのか?」

 

 

そう聞くと桔梗は周りに人が居ないのを確認してから、どことなく不安そうに尋ねてきた。

 

 

「八幡くん、船でギャンブルするって言ってたよね?…結果はどうだったの?」

 

 

「…今言わなきゃダメか?」

 

 

「言って。」

 

 

語気は強いが、有無を言わさぬような迫力は感じない。というか少し落ち込んでるようにも見えるな。

 

 

「…ルーレットを1回だけやって、きっちり勝って来た。」

 

 

「そっか。………ねえ、八幡くんはAクラスに移籍するの?」

 

 

「ん、ああ。2学期にはAクラスに居るつもりだ。夏休み中に申請を出しに行く。」

 

 

正直言うとDクラスの連中は好きでもないし嫌いでもない。つまり、どうでもいい連中が多い。例外は桔梗と綾小路くらいだ。なんだかんだ深く関わりを持ったのがこの2人だけとも言う。元々の予定でも2年になってから移籍は考えていたが、綾小路の話を聞いてしまった以上Dクラスに留まるのは危険だと判断した。理不尽な手段が自分に飛んでこないと思えるほど、俺は楽観的にはなれない。

 

 

とりあえず聞かれた事は答えたわけだが、桔梗がさっきより追い詰められた表情をしている気がする。大丈夫かこいつと思いながら見ていたら、胸にしがみ付かれた。

 

 

「………お願いだから…」

 

 

「…?」

 

 

「………お願いだから、私の全部を八幡くんに上げるから、私を置いていかないで…!」

 

 

「………えっ、どういうこと?」

 

 

涙目の桔梗に言われてパニックになった。「何事!?」と思いつつも何とか頭を回転させ、どうしてそういう話になったのか考えてみた。そもそも俺は、桔梗とひよりに一緒に移籍するかの打診をするつもりだった。二人とも頼りになるし、一緒のクラスで学校生活を過ごしたいから。しかし行くなと言われてしまった。つまり…

 

 

「あっ、そういう事か……そりゃそう捉えるわな。」

 

 

「…八幡くん?」

 

 

周りに人が居ないことを再度確認してから、桔梗にもう一度説明した。何に賭けてどれだけ払い戻したのかを。そして桔梗とひよりを誘うつもりだった事も。その額に驚愕していたが、しばらくして目を据わらせて言ってきた。

 

 

「…私の全部を八幡くんに上げるから、私も連れていって。」

 

 

「いや、一旦落ち着け。別に貰わんでも誘うつもりだったって。」

 

 

「いいから、返事は?」

 

 

「……連れて行く事に関しては良いが、貰うのは保留にさせてくれ。」

 

 

桔梗の事は好ましく思ってる自覚はある。だが、どうしても有栖たちの顔が頭に浮かんでしまう。今は決められないと、心のどこかで思ってしまった以上そう言うしかなかった。桔梗こっちの目をじっと見つめ続けてきたが、目線を外してため息をつかれた。

 

 

「話も聞いてたし何となくわかってたけど、八幡くんって面倒な性格してるねっ。」

 

 

「自覚はしてる。」

 

 

選べと言われて選べる気が全然しない。

 

 

「……うーん、しょうがないか。いいよ、今はそれで。でも八幡くん、覚悟してね?」

 

 

「…?」

 

 

「八幡くんがその気ならこっちにも考えがあるからね?」

 

 

「いや怖ぇよ。俺、何されるの?」

 

 

困惑しながら桔梗に聞いても笑顔のままで何も言わない。言う気は無いようなので諦めて拠点に戻る準備を進めた。ふとバケツを見て、もう一つの懸念がある事を思い出した。

 

 

「…桔梗、Dクラスの連中って魚を捌けるんかね?最悪焼いて皮をよけながら食うしかないけど。」

 

 

「…ん-、どうだろうね?私は捌けるけど。」

 

 

「………お前頼りになり過ぎだろ。多分好きとか嫌いとか関係無しに誘ってたわ。」

 

 

率直な感想を伝えたら、いつもより嬉しそうに笑ってた。だが桔梗に処理を任せっきりにするわけにもいかないので、一度やってみてもらってから見様見真似で俺もやってみるか。拠点に戻る際に頼んだら二つ返事で教えてあげると言ってくれた。

 

 

 

 

 

ちなみに拠点に戻ってから教えて貰ってたら、料理経験と下心のある男子たちもこぞって見学していた。密集具合に少し辟易したが、労働力が増えたと考えて耐えた。




何気に八幡君が居る世界線だと月城理事長代理も暗躍しないですし八神君は入学すら出来ないので、桔梗ちゃんの過去がバラされる事は無いです。それはそれとして八幡君には絶対に付いていくつもりのようですが。
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