クソボケ谷八幡君 in よう実   作:結構暇なひと

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こっそり目標としてた評価バーが満たされてちょっと喜んでます。


1年D組クソボケ谷君9

2日目に入り、妙に早く目が覚めてしまった。まだ外は少し暗いが、寝直す気にもなれなかったので他の連中が起きないようにテントを出た。外に出ると、高円寺が体をほぐしていた。高円寺もこっちに気づいて顔を向けてきた。

 

 

「フッフッフ。グッドモーニング、比企谷ボーイ。」

 

 

「…おう、おはよう。随分早い目覚めなんだな。」

 

 

「テントの中はとてもむさ苦しいからね。そんな所で寝るよりは外で過ごした方が有意義ってものさ。」

 

 

「ああ、確かにそうかもしれんな。いびきもうるさかったし。」

 

 

明日以降は外で寝床を探してもいいかもしれない。小屋の中で一人ゆっくり過ごすのも悪くなさそうだ。それはそれとして疑問を解消するべく、高円寺に声をかけた。

 

 

「お前がこの試験に残るとはな。さっさとリタイアして船に戻ると思っていたぞ。」

 

 

「クラスの事には微塵も興味は無いが、君には船の上での借りがあるからねぇ。それを返すために残っているだけさ。」

 

 

「…意外と義理堅いんだな。お前が俺に乗っかって勝っただけなんだから、それで終わりでもよかったんだぞ。」

 

 

「ハッハッハ!君は自分のやった事に対して無頓着だねぇ!」

 

 

「拘る事でもねえしな。……それにしてもうちの連中はぼんやりしてるな。どう考えてもスパイの奴を警戒心0で招き入れてるし。」

 

 

暴力事件でCクラスのボスのやり口をある程度学んだと思っていたが、全然学んでいなかったようだ。学んだであろう堀北はなんか開始前から体調不良らしいし。まあ、綾小路が茶柱先生からの脅しで今はまだ動かざるを得ないから、暗躍はすると言っていたので大丈夫だろう。

 

 

「…あと6日間もあるのマジでだるいな。3日くらいでよかっただろ。」

 

 

「おや?一緒にリタイアでもするかね?」

 

 

「………桔梗に怒られそうだしやめとく。」

 

 

「ハッハッハ!尻に敷かれてるねぇ、比企谷ボーイ。」

 

 

 

 

 

朝の点呼の時間まで暇だったので前が見えなくはない暗さの中、薪拾いをして時間を潰した。最近では珍しくなった一人の時間だったので、ちょっとテンション上がってたのか思った以上に拾っていたようだ。空も明るくなり、拠点に戻ると起きてる奴もちらほら居た。なお、拾っておいた薪はそこそこ喜ばれた。

 

 

点呼の時間に全員の顔をチラ見したが、堀北以外は疲れはあるもののまだ平気そうだった。今日も釣りに行くかと思い準備していたら、何やら別のクラスの奴がやってきた。Cクラスの連中がコーラとスナック菓子を飲み食いしつつ、挑発しながらなんかCクラスの拠点に来いという伝言らしかった。

 

 

「後、比企谷は絶対に連れて来いと龍園さんから言われてる。」

 

 

「いやなんでだよ、俺今から釣りに行くんだけど。」

 

 

何故か名指しされた。どうせ綾小路と堀北が見に行くだろうから、俺は行かんでもいいのだが。

 

 

「そういうのはいいからとっとと行くぞ。到着したらキンキンに冷えたコーラとバーベキュー食わせてやるから。」

 

 

「いや、だからクラスの連中の飯調達しなきゃ…」

 

 

「うるせェ!いこう!」

 

 

ガッチリ両側から掴まれた。というか船に乗ってここに来たからってそんなセリフ言わんでも。しょうがないので観念して離して貰い、一緒に移動した。綾小路と堀北はCクラス偵察のために一緒に来るらしいが、桔梗は付いていきたそうな目でこっちを見送ってた。このクラスほんと纏まりがないからね、平田と桔梗の二人がいてようやくだから離れられんよな。

 

 

 

 

 

Cクラスのベースキャンプに到着すると、試験そっちのけで豪遊してた。本来想定されていたバカンスを自主的に行ったかのようだ。

 

 

「簡易的なリゾート地みたいになってんな。ポイントも大量に使ってそうだ。」

 

 

「龍園くんは何を考えているのかしら…?」

 

 

そうだね、何で俺を名指しで呼んだんだろうね。…なんとなく理由は分かるが、龍園を動かすほどアレな状態なのか。とりあえずパラソルの下で寛いでる龍園の下に案内された。マフィアの休日みたいな画が似合う男である。それはそれとして文句は言うが。

 

 

「龍園、俺食糧調達で忙しいんだけど。釣り行って釣った魚を捌く作業が待ってるんだが。」

 

 

「知るか、とっととひよりをなんとかしろ。昨日からお前が来ないかなって言い続けててうるせえ。真面目に働いてる場合じゃねえんだよ。」

 

 

こいつは俺を部下だと思ってんのかな?大分無茶苦茶言ってるぞ。ひよりのためならしょうがないと割り切れるけども。どこに居るのかなと探していたら目が合った。ひよりは小走りで近づいてきて、そのまま俺に抱き着いてきた。

 

 

「おはようございます、八幡くん。会いたかったです。」

 

 

「…おう、おはよう。まあ仕事が残ってるからすぐ行くつもりなんだが、っと。暑いし慣れない環境だからあんま無駄に体力使わん方が良いって。」

 

 

「…八幡くんの事ですから頑張ってるでしょうし、少しくらいゆっくりしていくのもいいのではないでしょうか?」

 

 

口調は柔らかいが、俺を逃がす気はないようだ。がっちりホールドしてきた…つもりなんだろうなぁ。本人的には力いっぱいやってるつもりだろうけど、実際の所「ぎゅー」って感じの力加減だ。ただ、俺には振り払えないから効果は覿面である。どうしようかなと綾小路と堀北のほうを見たら、龍園とシリアスな会話してた。うちのクラスに保護されている伊吹って奴の事についてと、龍園のやり方について何か言い合ってた。

 

 

「話を聞く限り、どうやらひよりたちは早めに島から去るんだな。」

 

 

「はい、明日にはリタイアして船に戻る予定になってますね。」

 

 

「まあ、こんなだまし討ちみたいな試験になんて真面目に取り組みたくないわな。」

 

 

あなたの考え読めてませんよアピールのために、昼行燈みたいな事を言っておいた。それはそれとして本音も混じってるが。しかしまぁ、仮にもいきなり始まった試験でここまで大胆な采配を取れる奴はそう居ないだろうな。

 

 

怪しくない程度に周りを見たが、どう計算しても300ポイント分の物資があるようには見えない。龍園のやり口が見えてきた気はする。というか龍園相手にそういう事する奴が居る事実に驚くわ、こいつインテリヤクザだから絶対抜け道作ってくるぞ。不平等条約を突き付けるのが基本みたいな男だろ。

 

 

堀北たちも話が終わりのようだが、俺はまだ動けそうにない。堀北は俺の腕に抱き着いてるひよりを見て困惑しているが、綾小路と龍園はいつものやつだなって感じで見てる気がする。だがここで遊んでクラスの和を乱すわけにもいかんので、ひよりにとりあえず伝えた。

 

 

「ひより、悪いが俺もクラスの為に動かなきゃならんから戻る。」

 

 

「………はい、分かりました。」

 

 

「………一人で釣りに行くつもりだったけど一緒に来るか?」

 

 

「…はい!お供させてください!」

 

 

あまりにもしょんぼりしてたもんだからつい提案を口にしてしまった。ひよりも乗り気になってしまった。仕方ないので龍園に許可を貰って、釣り竿を取りに一緒にDクラスの拠点に戻る事になった。戻る最中に綾小路に呆れたような声で言われた。

 

 

「…比企谷、お前大分椎名に甘いな。拒んでる所を全然見た事が無いぞ。」

 

 

「…受験シーズンの間、随分支えてもらってた気がしてな。そのせいか大抵の事は『まあいいか』って思っちまうんだわ。」

 

 

俺の横でにこにこしながら歩いているひよりを見る。途中からこの子に癒されようと図書館で勉強してたまであったからなあ…。それに、慕われている自覚はある。同じ高校に行くとは思わず別れると思ってた反動からか、中学時代よりもずっと積極的になっているが。

 

 

「ふふっ、綾小路くん。八幡くんは親しい相手にはとても優しいですからね、つい甘えてしまうんです。…八幡くん、すみません。いけない事だとは分かっているのですが、どうしても一緒に居たくて。」

 

 

「…迷惑なら最初から言ってる。気にすんな。」

 

 

「………そういう所だぞ、比企谷。」

 

 

綾小路どころか堀北にも呆れられた目を向けられた。しょうがないじゃねえか、相手は天使なんだから。この後拠点に戻ったら桔梗が聞いてきたので、どういう事か説明したら怒ってるような、あるいは呆れたような目で見られた。

 

 

「八幡くんはすぐそうやって女の子を引っかけてくるんだねっ。私、そういうのどうかと思うな?」

 

 

「………すまん。」

 

 

何かしら言い訳をしようと思ったが、桔梗の迫力に屈した。他の奴から見えない角度で「私が頑張ってる中何ナンパしてきてんだ」という目をしている。御尤もです。この後桔梗は俺と一緒に行動すると決めたようで、3人で釣りに行く事になった。

 

 

いつもの釣りポイントに来たが、俺はあまり釣り竿に触らせてもらえなかった。「あんたがやるとすぐに終わるからダメ」との事らしい。餌をつけてやったり、かかった時にリールを巻くのに苦労してたら後ろから手伝ったり、釣れた魚を外してやったりとひよりと桔梗の釣り体験のサポートに回る事になった。結構釣れていたのもあってか、2人とも楽しんでいる様子だった。

 

 

「そういえば八幡くん、ひよりちゃんには伝えなくていいの?」

 

 

「…?八幡くん、私に何か話があるのでしょうか?」

 

 

あ、やべ。桔梗に口止めしておくのを忘れてた。ひよりの態度から龍園が引き抜きに辿り着くかもしれんから、ギリギリまで黙っておこうと思ったのだが。しかし期待した目のひよりに勝てず、周りをぐるっと歩いて人が居ないのを確認してからひよりに船でやってきた事を伝えた。

 

 

「…ということで移籍する事にしたんだが、出来ればひよりにも付いてきてほしい。いや、Cクラスに義理があるだとか友達と離れたくないとかあるなら無理には…っとと。」

 

 

「八幡くん、私を置いていこうとしないでください。私だって八幡くんと一緒が良いです。…ずっと桔梗さんが羨ましかったんですから。」

 

 

ちょっと涙目のひよりにそう言われた。俺なりに気を遣ったつもりなんだが、大層お気に召さなかったようだ。思いっきり抱き着いてきてるひよりの頭を落ち着くまで撫で続けた。桔梗にジト目で見られながら。

 

 

「…八幡くん。それ、私も後でお願いね?」

 

 

…どっちかというとひよりが羨ましいようだった。この後桔梗の頭も満足するまで撫でた。ちなみに釣りは今回も大漁でメシには困らなさそうだった。




八幡君が釣りをすると30分~1時間で終わると想定して書いてます。今回は桔梗ちゃんが幸運の置物みたいな扱いをしたのでそこそこ時間をかけて2人は釣りを楽しめたようです。一番正しい八幡君の運用方法かもしれません。
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